EXILE MATSUが初めて演出に専念、愛と命がテーマの舞台『かげろう』開幕間近

2016.8.3
インタビュー
舞台

EXILE MATSU


パフォーマーとして活躍する一方、ライブの構成や舞台の演出などで、その才能を発揮してきたEXILE MATSU(以下、MATSU)。彼がこの夏、初めてのストレートプレイの舞台の演出を手がける。8月10日(水)から恵比寿・エコー劇場にて幕を開ける舞台『かげろう』は、MATSUが長年温めてきた、愛と命をテーマにした物語。あえて、客席と舞台が近い劇場を選び、若手実力者のキャストと共に送る本作の内容とは?7月の稽古初日、本読みを終えたばかりの稽古場にて、演出のMASTU、そして出演の佐藤永典、森岡朋奈、宮田悟志に話を聞いた。
 

佐藤永典 森岡朋奈 宮田悟志

--今回の『かげろう』は、MATSUさんが初めて(出演せずに)演出のみに集中する公演となるそうですね。

MATSU はい。前回、劇団EXILE松組の旗揚げ公演『刀舞鬼~KABUKI~』という舞台の演出を担当していたのですが、それは自分も出ていました。今回は松組の公演とは別で、演出に集中することになります。あと『刀舞鬼~KABUKI~』は、エンタメ、ショーの要素が強い舞台だったのですが、今回は完全なストレートプレイ。前々からストレートプレイの舞台の演出をしたいという思いがあったので、今回初めて挑戦させていただくことになりました。

ストレートプレイって、ごまかせないでしょう。ショーだと、歌ったり踊ったりして、経験や勢いでごまかせる部分もあるんだけど、ストレートプレイだとそうはいかない。作品のテーマを演出だけで追求してみたいと思ったので、チャレンジします。

--『かげろう』は、不治の病を扱った作品だそうですが、これはMASTUさんが取り組みたかったテーマなのでしょうか。

MATSU はい。少し重たい話にはなってしまうんですが、たとえば、患者さんが本当に苦しいと思う部分は、実はまわりが心配してくれる部分とは違うことも多いんです。周囲は優しく、病気の症状や痛みとかを心配してくれるんだけど、病気になって一番辛いのは、メンタルの部分。今日は調子がいいけど、翌日は調子が悪い、みたいなバイオリズムの中で生きていると、だんだん悲観的になってくるんですよね。そうすると、周囲の優しさが辛くなってきたりすることもある。その本人しかわからない気持ちっていうのは、多々あるわけです。ただ、もちろん周囲の優しさに救われる部分もたくさんありますよ。そのデリケートな部分を、いかに丁寧に描けるか、表面的にだけではなく、奥の奥まで掘れるかっていうのを、脚本家の江藤直樹さんと話し合いながら、今作り上げていっているところです。

『かげろう』稽古場より EXILE MATSU

--では、出演されるキャストの皆様へ期待することを教えてください。

MATSU まず、ヒロインのナツキを演じる森岡朋奈さんは、オーディションで決めさせていただきました。その時、僕のインスピレーションで「あ、ナツキはこの娘だ!」と思いました。ナツキは、もともと元気なイメージがある役なんです。でも、この元気な女の子が・・・というところに感情移入できるだろうなあって思ったので、彼女に決めました。

ナツキの恋人役を演るのが佐藤永典さん。彼が今回演じる青年は、どこか弱々しいというか、真面目で人見知り。とてもナイーブな人物なんです。本読みしてもらったら、もうバッチリだなと。

そして宮田悟志さんは、僕と同じLDHのファミリー。ある意味、今回のタイトルの“かげろう”みたいな存在の、患者さんの役をやってもらいますが、宮田さんはもともとシンガーですから、歌も1曲歌ってもらって、この舞台に生命を吹き込んでもらいたいなと思っています。

--なるほど。歌も聴けるんですね。

MATSU はい。宮田さんが作詞してくれた主題歌を歌ってもらうんですが、これがめちゃくちゃいい楽曲なんですよ。懐かしい感じの楽曲がいいなと思っていたんですが、ちょうど見事にマッチする楽曲です。そちらも楽しみにしていてください。

『かげろう』稽古場より EXILE MATSU

--では、キャストの皆さんから、今回の舞台にかける意気込みを教えてください。まず、ヒロインを演じる森岡朋奈さんから。

森岡 オーディションで、台本の一部を読んだ時に、こんなに儚げで、純粋な愛を表現できる舞台に出れるんだったら、ぜひ出させていただきたいなと思いました。人間への愛に溢れた作品なので、それをしっかり表現できるよう全力を尽くしていきたいです。最初は明るいんだけど、やがて病気になってしまう役なんです。葛藤する彼女の心境も、リアルに演じられるようにしたいです。え? MATSUさんの印象ですか(笑)。実は、私めちゃくちゃ大好きなんです。EXILEのCDも全部持っているくらい大好きだったので、一緒にお仕事できるというのを、本当に心から楽しみにしています。

MATSU オーディションの時は堂々としていて、全然そんなそぶりは見せなかったのに(笑)。ありがとう(笑)。

『かげろう』稽古場より 森岡朋奈

--ヒロインの恋人を演じる佐藤永典さんは、いかがですか。

佐藤 今日、本読みをさせていただいて。これは、身も心も脳も、一回の公演で全部なくなるんじゃないかと思うくらいエネルギーを費やさないとできない舞台なんじゃないかと思いました(笑)。今日、他のみんなも言ってましたが、2回公演の日とか、どうなっちゃうのかなと(笑)。命をテーマに扱った作品ですし、すごく切ない話でもあるので……。

MATSU 熱量が高いから。きっと大変な舞台になると思います。

佐藤 MATSUさん的には、最後に何が正解だったかわからないように見せたいと話されていました。その結末に向けて、色々な感情や思いを命がけで表現していきたいです。その一方で、楽しいシーンもあります。とにかく実際に舞台で演じてみないと、自分の感情がどうなっていくかわからないですね。ある意味ボロボロになりながら。全力でやりたいなと思っています。あと、今回、客席と舞台の距離がとても近い劇場なんです。だから、吐息とかひとつひとつの細かい動作が、全部お客さんに伝わってしまうので、緊張感もありますね。

MATSU そうそう。今回、小さい劇場にしたのは、細かい表情や目の動きなどを、お客さんに見てもらいたいからだったんです。その分、ごまかせない部分も多いんですけど、お客さんには、より深く作品の世界に入っていただけると思いますよ。

『かげろう』稽古場より 佐藤永典

--そして、今回が初舞台となる宮田悟志さん。

宮田 今回、 命と愛がテーマとなる作品なので、台詞はもちろん、歌詞もより丁寧に伝えていきたいなと思っています。僕は野球部にいた高校一年生の時にEXILEを聞いて元気をもらいました。その時にも感じていたんですが、MASTUさんは飲み会でお会いしても、とても優しくて愛のある方なんです。だから、気合いを入れてチャレンジしていかなければと思っています。

あと、僕はもともとグループで音楽で活動していた(元BREATHEのボーカル)のですが、先日グループが解散しました。1人になって、これからどうしようかなって考えていた時に、MATSUさんから突然、「明日、空いてますか」というLINEが来まして(笑)。ええ? って思って、翌日事務所に会いに行ったら、『かげろう』という舞台、一緒にやりませんかというお話をいただきました。この舞台は、MATSUさんにとっても新しいチャレンジだし、僕にとってもチャレンジだし、よい巡り会わせだなと思ってます。そして、MATSUさんとは地元も同じ川崎で、近所なんです(笑)。

MATSU え、そうなんだ(笑)? 色々縁があるんだね。ちなみに彼のいた高校の野球部の後輩は、ダルビッシュさんなんですよ。甲子園にも行ってるんだからスゴイよね。今回、宮田さんに声がけしたのは、お互い、新しいことをスタートさせているタイミングだし、その中で、いい化学反応が起きるんじゃないかなと思ったからだったんです。だから彼にとっても、新しい才能に目覚めるきっかけになってくれたらいいなと思ってます。一見初めてな感じはしないけれど、芝居するのは本当に初めてなんだよね。

宮田 もともと舞台を観るのは好きだったんですが、出演するきっかけは今までなかったんです。だからとても嬉しいですね。あと、読み方は一緒なんですけど、僕は名前も変えたんです(宮田慧→宮田悟志)。姓名判断で、「この字画の漢字に変えると、アーティストとして、もうひとつ両立するものが出てくるから、より音楽も輝いてくるよ」って言われて。ちょうどその時に、このお話をいただいたので驚きました(笑)。

『かげろう』稽古場より 宮田悟志

--よいタイミングだったんですね。では最後に。今回は、愛と命がテーマの作品ということですが、MATSUさんにとって「愛」とは何だと思いますか。

MATSU うーん。あえて言うなら、愛って形では見えないものじゃないですか。形のないものっていうのは、人間の心や本能、感情で感じるものですよね。この人を好きになろうと思っても単純に好きになれるものでもないし、この人キライって思っていても、ある日何かのきっかけで好きになってしまうこともある。それは、無意識的なんだけど、実際には自分の本能で選択していることだと思うんですよね。

この『かげろう』も、最後にヒロインの友達がある選択をするんですが、それが果たして正しい選択なのか、間違った選択なのかっていうのは、誰にも言えないだと思うんですよね。愛が根底にある選択なんだけど、愛にも色んな選択肢があるってことを、そして「この選択を、あなただったらどうします?」っていうのを、今回僕は、お客さんに問いかけたいんですよね。そして観終った帰りに、友達同士で、愛について、そして選択肢について、色々語り合ってもらえる作品になればいいなと思ってます。

『かげろう』稽古場より EXILE MATSU

『かげろう』稽古場より 佐藤永典 宮田悟志

『かげろう』稽古場より 佐藤永典 森岡朋奈

公演情報
『かげろう』

■会場:恵比寿・エコー劇場
■日時:2016年8月10日(水)~8月16日(火)
8/10(水)14:00~/19:00~
8/11(木・祝)17:00~
8/12(金)14:00~
8/13(土)12:00~/17:00~
8/14(日)12:00~/17:00~
8/15(月)19:00~
8/16(火)14:00~
料金
前売り・当日: 5,500円(全席指定・税抜き) ※税込み5,940円
※未就学児入場不可

 
■ゼネラルプロデューサー・演出:EXILE MATSU
■企画:平沼紀久 
■脚本:江藤直樹
■出演:佐藤永典 森岡朋奈 吉川純広 川久保拓司 宮田悟志 松本理沙 富田昌則 他
■主催 LDH
■企画・製作 LDH 
■公式サイト:http://www.matsugumi.com/posts/981791
■あらすじ: とある新人医師が不治の病の「告知」をする相手。それはかつての初恋の相手だった。医師、初恋の女性、その婚約者。かつて親友同士だった3人は、それぞれが過去に「秘密」を抱えていた。数年ぶりの再会を果たした3人だが、やがて運命の歯車はゆっくりと動き出す。「今、愛する人のために出来ることは何なのか……」 余命わずかの時間の中で、それぞれが出した答えとは―――!?
 
<アフタートーク登壇キャスト決定!> 
◆8/10(水) 
14:00佐藤永典/森岡朋奈/富田昌則  
19:00佐藤永典/宮田悟志/川久保拓司 

8/11(木・祝) 
17:00吉川純広/松本理沙/富田昌則 

8/12(金) 
14:00森岡朋奈/川久保拓司/宮田悟志 

8/13(土) 
12:00佐藤永典/森岡朋奈/富田昌則 
17:00吉川純広/宮田悟志/EXILE MATSU 

8/14(日) 
12:00佐藤永典/宮田悟志/川久保拓司 
17:00松本理沙/富田昌則/EXILE MATSU 

8/15(月) 
19:00吉川純広/川久保拓司/松本理沙 

8/16(火) 
14:00佐藤永典/森岡朋奈/吉川純広/川久保拓司/宮田悟志/松本理沙/富田昌則


※8/4(木)10:00~8/14(日)18:00 当日引換受付もおこないます。