WHITE ASHがアニメ モンスターストライクとガッチリ組んで作り上げた最新作が明快で"らしい"1枚になったワケ
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WHITE ASH 撮影=菊池貴裕
WHITE ASHの新作は全曲『アニメ モンスターストライク』とタッグを組んだミニアルバムになる……そう聞いたとき、「これはある種の企画ものというか、これまでの作品とは別軸のものになるのではないか」そう思った。だが、実際に出来上がった音を聴き、彼らの言葉を聞くと、この『Quest』という作品は、モンストとのタイアップを経ることでWHITE ASHが自らの強みを見つめ直すと同時に新たな扉を開けるという、バンドヒストリーの過程において重要な役割を担ったことがよく分かる。6曲収録のミニアルバムという形態ではあるが、チャレンジと工夫に満ちたこの作品群は、『SPADE 3』以降、次なるフルアルバムに向かう上での重要な一歩であることは間違いない。その歩みはいかにして踏み出されたのか。4人全員に話を聞いた。
――まずはアルバム『SPADE 3』のリリースツアーを終えて、率直にどうでしたか。
のび太:すごくいいツアーだったなっていうのが、率直な感想ですね。『SPADE 3』がライブを意識した作品だったので、ツアーもきっと今までよりも激しいライブになるんだろうなっていう予想はしてたんですけど、その予想をはるかに超えるアツさと盛り上がりがあったし、「こんなに自分って汗かくんだ」っていうくらいの熱量でやれて、お客さんも待っていてくれて。楽しみにしていてくれたのが伝わりました。
剛:今までのライブはどちらかというと見せるようなライブだったんですけど、今回『SPADE 3』では一緒に楽しむっていうことがテーマにあったので、今回17本経る中で、自然とメンバー間でライブをどうしていこうか?って話し合いながらやってこれて、それが次のライブに繋がって。お客さんの表情もそのまま返ってきていたのがすごく印象的でした。今までにない一体感のあるライブが一本一本できたなと思います。
山さん:ザックリとした流れだったり見せ方だったり、この曲はどうやったらお客さんと楽しめるだろうね?みたいことを、機材を移動している時とかに自然と話し合えて。そこが良かったし、バンドとしても成長できたと思います。
――その中で新曲たちの手応え、伝わり方はどうでしたか。
のび太:すごく聴いてからライブに来てくれたんだな、いい感じに伝わって良かったなって思いましたね。今回のツアーでは、アルバム(『SPADE 3』)の曲たちがライブの流れの中で良い位置にあって。そこで空気感をガラッと変えたり、よりみんなのテンションを上げたり……という役割をアルバムの曲たちが果たしてくれたので、そういう意味ではライブで活躍する曲たちが増えてよかったです。
彩:それに、ライブがレベルアップした気がします。没頭してできるというか、記憶がないくらい自分の中で楽しめている感じ。それが多分お客さんにも伝わって、端の人ともアイコンタクトができたり、ちゃんと見てくれてるなっていうのも感じられたし、楽しんでくれてるのが分かりました。ツアーファイナルは一番広い会場だったんですけど、奥の方まで盛り上がってくれてて、このお客さんたちはまた遊びにきてくれるんだろうなって確信がもてましたね。本数をこなしてきただけあって、どんどん完成していって、自分のやりたいライブができたなって。
――集中して入り込むっていうことを突き詰めて行くと、場合によっては、お客さん側からすると完成度の高いライブを見せられてただ圧倒される……ということも起きうると思うんですけど、今回はそうはならずに、ちゃんと巻き込んでいけたんですね。
彩:そうですね、メリハリはできたと思います。
のび太:もしかしたら、今までの僕らってそういうタイプだったと思うんですよ。曲に集中することによって、自分たちの中で完結してしまうというか。そのぶん置いてけぼりにしてしまった部分が今まではあったかもしれなくて。今回のツアーでは、みんなひっくるめて楽しむことができたと思います。
――それは『SPADE 3』の作品の中で既に意図されていたことですよね。
山さん:そうですね。初めてライブでやることを意識して作った作品です。
剛:『SPADE 3』っていうアルバムを作ったときの気持ちが、4人の音を鳴らす衝動感だったり、純粋な気持ちよさっていうところから始まったものだったので、そういう気持ちをツアーに持って行って。ツアーでもレコーディングとまったく同じ気持ちで17本回れた気がします。それはものすごく良かったなって思いますね。今まではお客さんに助けられた部分も多かったんですけど、今回は自分たちが引っ張って行けた感じがします。このアルバムが自信をもって見せれるもので、それをライブで楽しんでやるっていう気持ちが素直に出せたことで、お客さんをリードできたんじゃないかなと思います。そういう自信が発見できてよかった。
WHITE ASH・のび太 撮影=菊池貴裕
――というツアーを終える前に、すでに次回作『Quest』のアナウンスがありました。制作はツアー中に行ったんですか?
のび太:いや、『SPADE 3』のレコーディングをしていた時に、同時進行で曲を作っていたんです。年末にお話をいただいて。『モンスターストライク』(以下、モンスト)にはメインとなるメロディというかBGMがあるんですけど、そのメロディを使って曲を作ってほしい、それを『アニメ モンスターストライク』の曲として使いたいですっていうお話しだったんです。それで疾走感のあるものとミディアムなものを作って両方提出して、どっちかが選ばれるんだろうな、好きな方を選んでくださいっていう気持ちだったんですけど、“2曲ともOKです”ってなって、「えー!?」ってビックリして(笑)。普通どっちかじゃないですか。
――確かに。
のび太:それが「Strike」と「Knock On Doors In You」っていう曲なんですけど。「Strike」はサビがそのモンストのメロディで、「Knock On Doors In You」はAメロがそのメロディになってるんです。そこから、さらにもう2~3曲くらい作りましょうって話しになって、でもさすがに同じメロディでまた曲を作るのは難しいなって思ってたら、残りの曲はモンストのメロディとか関係なくて大丈夫とのことだったので。それで5曲つくって。その後に『モンストグランプリ2016チャンピオンシップ』っていう大会のイメージソングも一緒にやりたいってなったので、1曲目の「Monster」っていう曲を作って。だから、『SPADE 3』が発売された頃には、6曲作り終えてたんです。せっかく揃ってるんだったら小出しにせず、モンスト括りでミニアルバムで出しちゃおうよっていう想いがあって、短いスパンだったけどミニアルバムとして出すことになりました。
――前作を受けてとか、ツアーを終えてというわけでなく全くの別ものだったんですね。
のび太:そうですね。だから、本筋と外れるような作品になるのかな?とも思ってたんですけど、結果的に出来上がったものを聴いた時に『THE DARK BLACK GROOVE』から『SPADE 3』を出した流れの中で、モンストっていう括りをなくしてもWHTE ASHの作品として成立するものになったなと思えて。それに、『アニメ モンスターストライク』の音楽担当の方がすごい僕らのことを好きでいてくれて、「WHTE ASHの曲ってこういうところがいいと思います」「こういうところが好きです」って言ってくれて、その方とイチから曲作りをできたんですね。その環境下で、WHTE ASHらしさを残した上で、モンストの曲を仕上げていくっていう作業を一緒にやれたからこそ、いつも以上に整理されたというか、第三者的にWHTE ASHの魅力ってこういうところですっていう部分がちゃんと詰まっていて。だから新曲だけどベスト盤みたいな形というか、『SPADE 3』の後にこういう……総括的な、“WHTE ASHってこういうバンドです”っていう作品を出せたのがすごいラッキーだなって感じてます。
――作るべきもの、打ち出すべき部分が明快だったということですよね。その一方では、このフレーズを入れなければいけないとか、制約もあったわけですけど、その辺りはどうでした?
のび太:すでに決まってるメロディに曲をつけるっていうのは初めてだったので、どうしようって思ったんですけど、制約とかあると燃えるタイプで(笑)。限られた中で、いかにかっこいいものを作るかっていう落としどころを(モンストの)音楽担当の方と一緒に話しながら作り上げていったので、他のコラボ作品を作ったときよりは苦労しなかったですね。らしさを残しながらどう作っていくかってディスカッションしながら作れたので、新しいチャレンジではあったんですけど、良い刺激になったなっていうくらい。苦労っていう苦労は無かったですね。
――みなさんでアレンジを詰めていく作業はどうでしたか。
山さん:2曲目の「Strike」は、メロディが縛られている分、ギターがその色を出さなくちゃなっていう。今までWHTE ASHでやってきたギターって、ボーカルのメロを食うくらいの、戦っているくらいのイメージでフレーズをぶつけていく意識があって。そういう部分は、2曲目に関しては存分に出せて、モンストのメロディを活かしつつ、WHTE ASHらしいアレンジやギターのアプローチをしたり。あと今までの作品って、のび太のイメージを音に変える感覚でやってきたんですけど、今回はのび太のイメージだけでなくモンスト側のイメージも音にするっていう新たな試みがあったので、その作業は普通に楽しくできちゃいましたね。1曲目の「Monster」は大会の曲なんですけど、青春感が欲しいとのことだったので、自分のギターで青春感を出してやろうと思って(笑)。そういうやり取りはしてましたね。
彩:そのために甲子園の動画見たんでしょ?
山さん:青春とはなんだろう?って考えたときに、甲子園かなと思って。
――あんまり反映されてる感じはしない……(一同笑)。
山さん:甲子園感は反映されてないんですけど、青春感というかキラキラした汗をかいている感じは、サビのギターに出せてるんじゃないかなって思います(笑)。そういうイメージをしつつやってましたね。
WHITE ASH・山さん 撮影=菊池貴裕
――他には制作期間中のやり取りで印象深いことはありますか?
剛:俺の場合はそこまでやり取りしてないですね。基本的に任されてるっていうか信じられてるというか。おおまかな部分に関しては俺のプレイを思うがままに。そこで気になったところや、ここはこうしたいっていう部分に関しては話しながら調整していくっていう。基本的には3、4枚目の感じを継続してたのでやりやすかったです。
彩:私も完全に自由でした。特に何も言われず(笑)。曲に関しては、のび太くんとモンストの方とでやり取りをしてるし、私はいつも通りやるだけで充分だったみたいで。普通が一番いい……みたいな(笑)。
山さん:普通が一番いい(笑)。
彩:一回、「Rove」で“時の流れ” や“時間”をテーマで作っていたときに、「Aメロで時計の音っぽいベースって弾けます?」っていう話しがあったのでやってみたら「……無理だね」ってなって(一同笑)。
のび太:違う!ってね(笑)。僕の中でベースはベースでいてほしいんですよ。色物になってほしくないというか。あくまでそういう色づけはギターがやるのが一番シンプルというか。だからドッシリと構えててもらえたらそれでいい。
彩:だから何もしてなくて。音色に関してはこだわりがあるので、弾き方変えたりとか音色を変えたりっていうのはやりましたけど、基本的には注文をされなかったですね。
――確かにそういわれてみれば、WHITE ASHってベースがトリッキーなことをしたり、ドヤってる曲はあまりないですよね。
のび太:なんか、アレなんですよ。絶対に何かしたくなるんですよ、ベースって。他の曲とかを聴いてると、動くことで主張するパターンも多いじゃないですか。だから逆に、僕的にはそこで強い音を一発バーンって、一発で黙らす!みたいな、そっちの方が存在感があるし、それだけでも勝ちだなって思うんです。
彩:だからフレーズ作る能力とか退化してそうで(笑)。この前スコアブックを出したんですけど、大体同じで、「繰り返し」っていうのが多くて。
のび太:僕、曲を作る時に結構意識してるんですよ。どれだけベースが簡単かどうかって(一同笑)。
――彩さんを退化させちゃってるんじゃないですか(笑)。
のび太:だって難しくないのにかっこいいって……それが一番かっこいいじゃないですか。……省エネ。
山さん:省エネって言い方はよくないけどね(笑)。シンプルがかっこいいってやつね。
――例えば中高生の、バンドを始めたての人でも弾けちゃうようなシンプルベースで、ちゃんとかっこよさを出せるって理想ですよね。
山さん:ベースが土台にいてくれる分、僕らは自由にできるし。なおかつ今回の曲で言うと、ニュアンスが今まで違う感覚というか……アルペジオを弾くんだけど、そのアルペジオも淡々と弾く方がボーカルが立つイメージの曲があったり、逆にギターが引っ張ることによってドラマが生まれたりとか。そういう感覚で一個一個音を追求できた曲がたくさんあって。
のび太:「Knock On Doors In You」の最後のサビで山さんが弾いてるフレーズは、もともとガッツリと人間臭い感じで……ギタリスト!っていう風に弾いてたんですけど、音楽担当の方が“もうちょっと感情を込めずに淡々と弾いた方が、よりボーカルが聴こえる分ギターのフレーズがエモくなる”って。エモくさせるために淡々と弾くっていうのが逆転の発想で面白いなぁと。
山さん:人間臭い感じで(これまで)ずっと弾いてて、それは良いことなんですけど、それが淡々と弾くことによってボーカルの人間臭さが引き立って。
――結果、曲としてはそっちの方がエモくなった。
彩:引き算だね。
山さん:そういう感覚があまり今までなかったので。それぞれの個々のというよりは、バンドのサウンドとして、良いエモさが出てる感覚というか。それをドラマチックに表現できてるかなと思います。
WHITE ASH・彩 撮影=菊池貴裕
――それは発見ですよね。作品全体を見ると“WHTE ASHってこうだよね”っていう中でいろんなパターンの曲たちが詰まってて。中でも冒頭の2曲は特に明快な印象を受けました。
のび太:僕が普段作る曲って、分かりやすさを意識しているはずなんですけど、結果的に分かりづらかったりとか、ガッツリとポップでしょ!って思ってても思いのほかトリッキーだったりっていうことがあったんですけど、今回音楽担当の方がいたことによって、第三者的に曲の構成を話しながら作れたことが結構大きくて。よりスッと曲に入り込める構成だったりとか、より聴いてて気持ちいい感じとかを話しながら作れたので、今まで作った曲の中でも、“分かりやすさ”っていう部分を、特に冒頭の1~2曲目は意識して作りました。
――リスナー目線みたいなものが制作過程に加わってきたことによって、削ぎ落とされた部分や、変にひねくれずに済んだ部分があると。
のび太:すぐひねくれちゃうから!(笑)
彩:それでいて、おいしいところはちゃんと残してくれるタイプの方だったんで。
――それはちょうどいい塩梅かもしれないですね。なにしろ「Monster」なんてほとんどフレーズ一個で突っ走る感じじゃないですか。
のび太:それこそシンプルでかっこいいっていうのは「Monster」でできたなって思って。実は、今回のミニアルバムの中で作り直した回数が多い曲なんですよ。大会のテーマソングの方向性として疾走感と、さっき山さんが言った青春感っていうものをいただいて、2~3回くらい作ったんですけど、どれもドンピシャにハマったものがなくて。「別アプローチを聴いてみたいです」って言われたんですよ。だけど、僕は今までタイアップの曲を作ったときって基本一発OKだったから、リングで闘ってるときに途中でタオルを投げられたような感覚になって。別アプローチの前にこの方向性で1曲作らせてくれ、ラストチャンスをくれと。これでもしダメだったら言われた通りに別のアプローチで曲を作るんでってお願いして、最後に作ったのが「Monster」だったんですよ。それがまさにドンピシャで“ストライク”な曲だったっていう。
のび太・山さん:お後がよろしいようで(一同笑)。
彩:キマったな~。
山さん:今までの曲作りで言うと、メンバーがのび太にギラつくみたいな感覚はあったんですよ。曲のイメージをもらってフレーズを投げる時に、どうだ! これでもか!って感じで投げるんですよ。俺はこういう風に弾きたい、でもイメージと違うからNGが出る……くっそ~と思ってもう一度投げて、最終的にはお互いが納得するめっちゃ良いものができていくっていう。それって、今までのび太自身は経験してこなかったんですよ。そのやり取りが今回、担当の方とのび太の間であったので、のび太がギラついた感じが出てるかなって。
のび太:ギャフンと言わせてやるぜ感が。
彩:大会の曲だから正しい感じだよね。
――確かに。詞の内容もそういう感じですよね。今までにこういうハッキリ“行くぜ!”っていう詞はなかったですし。
のび太:今回のモンストの曲たちってコンセプトがそれぞれにハッキリしてたので、その内容にリンクしていた歌詞を書いて、なおかつ自分が歌っていて気持ちいい、聴いていて響き的にも気持ちがいいっていうのを重視してつくったので、結果的にすごく伝わりやすいというか。ちゃんと耳に入ってきて刺さりやすいっていう意味では、今回の作品では日本語が増えてます。
――のび太語的なものも今回ほとんどないですしね。聴こえ方の部分はありますけど。
のび太:自分で自由に好きにしていいってなるとできるんですけど、タイアップとなると意味は通じた方がいいってなるんですよ……まぁ、当たり前ですけど(笑)。
――という1~2曲目なんかはすごくストレートですけど、聴き進んでいくと「Drop」なんかはエフェクトがかかった、籠った感じで始まってサビでパーンと抜けるような曲になってたり、「Mad T.Party (1865-2016)」は前々作の『THE DARK BLACK GROOVE』に近い雰囲気で。後半の2曲はテンポを抑えた感じですけど、「Rove」は、この曲メロディが……すごいですね。
のび太:やったー! ありがとうございます。この曲自体は珠玉のバラードを作りたいんだけど、聴いたことのないメロディでコード進行を珍しいものにしたいっていう意識があって。既存の曲で「Aurora」っていう曲があるんですけど、そういうシューゲイザー系というか広がりのある曲を日本語の歌詞で聴いてみたいっていう狙いと、『アニメ モンスターストライク』の主人公が記憶喪失なんですけど、そこから記憶とか時間っていうテーマのバラードを作りたいと思って。歌詞の内容に関しては、ガッツリとアニメの本編とリンクしてなくてもいいと。時間とか記憶っていうのをテーマにバラードを作ろうと思ったら、ラブソングがいいなと思ったんです。もし自分が記憶喪失になったら、大切な人に対して何を思うだろうなっていうところからイメージを膨らませて作っていったのが「Rove」です。
――詞はロマンチックな部分が出てると思うんですけど、そこに難解なメロディが乗ってくる。いいですよね。
のび太:あれは頭のコードを聴いて、2個目、3個目で“お? おぉ~!?”って(一同笑)。
――なりました、なりました!
のび太:不思議なコード進行の曲にしたいっていうオファーだったんで作ったんですけど、自分でも“これはセーフなのか?”と思いながらで。すごくいいって言われたのでよかったなと。
――これは新たな扉を開いた曲なんじゃないかなと思って聴いてました。
のび太:テイスト的には今までにない感じの曲になったかと思います。
WHITE ASH・剛 撮影=菊池貴裕
――剛さんは思い出深い曲とかありますか?
剛:それこそ「Rove」とかは、バラードで8・6の曲ってやったことがなくて、ものすごく苦労した曲なんですよ。冒頭から最高潮に持っていきたいという風に言われて、自分の中で固まっているものがあったんですけど、その場で1時間くらい時間をもらって楽譜を書き直した曲で。自分の中のリミッターを外さないといけなかった曲というか。自分の個性ややりたいことから逸脱して、どうやったら自分の中の感情を爆発させられるかなって考えながらやりました。
――山さんはどうですか?
山さん:「Mad T.Party (1865-2016)」ですね。この曲ってもともと全体的にテンポが落ちるところがあるじゃないですか。それってその場で決まったんですよ。そこでギターソロをよりカオスに、変態にしてほしいって言われて、コードも分からないまま「さぁ、弾いて」って言われて弾いたギターソロなんですよ。だから本当にアドリブというか、その場で自分が気持ちいいように音を探していって弾いて。だから今までにないというか……今まではガチガチに固めていってから録る曲が多かったんですけど、この曲に関して言えば、その場でのび太のドSが出ちゃって(笑)。
――野放しの状態から弾くことに。
山さん:そう(笑)。そこで生まれたのがあのギターソロで、そういう意味では今までにない新しい音が出来上がったんじゃないかなって思います。実は次の日にもうちょっとまとめてから弾き直したんですけど、そしたら全然違うって言われて……。
彩:満場一致で(笑)。
山さん:「それ違うよ、昨日の方が良かったよ」って。エンジニアさんもそうで。
のび太:「Mad T.Party (1865-2016)」っていう曲自体ハチャメチャなものにしたくて、一番のサビが終わってテンポチェンジするときにカオスな空気感というか、この後に何が起こるのか誰にも分からない感じにしたくて。構成的にはギターソロが入るのが一番良かったから、そのギターソロを誰にも予測できないものにしたかったんですよ。誰にも予測できないギターソロってどういう風にしたらいいかと言うと、本人すらどういう風に展開していくか分からないギターソロが一番ワケ分かんないなと思って。だから練習させずにそのまま一発で本番みたいな(笑)。それで弾いてもらったのが収録されているやつで。それがすごくスリリングなんですよ。だから次の日にある程度音を整理して、ギターソロらしくしてきたものは、なんて言うんだろう……コーティングさせちゃダメで、ワケ分かんないやつがいいから一発目のやつを採用しました。
――なるほど、そういう視点で聴いてみると面白いかもしれない。あと、この曲はコーラスもすごく印象的でした。
のび太:この曲はみんなで歌うパートを作りたいですって言われて、あまり聴いたことのないコーラスがほしいですって言われたんですよ。最近コーラスがある曲って多いじゃないですか、サビのところで「ウォ~オ~」っていうのが入ったりして。その中であんまり聴いたことのないコーラスってなんだろうなって思った時にハネ感を意識したコーラスってないなと思って。そこから「ゥオッオッオッオ~オ」って簡単だけどあんまり聴いたことないなと思って。コケそうになって、片足でトントンってなる感じ(笑)。
山さん:おっとっと的なね(笑)。
――ギターとかで弾いたらファンキーな、スカっぽい感じにもなるという。
のび太:裏を意識する感じで。
――これはライブとかでやったら楽しそうですね。
のび太:そういうところも意識して作りました。
――彩さんは思い出深い曲、どうですか?
彩:ベース的に弾いていて気持ちいいのは「Drop」とかで。サビの感じとか完全に手癖というか好きなリズムで動いてるので、それがボーカルの感じの動きと良い感じで合わせるとこがあるんですね。そこがグルーヴしてて気持ちいいなって思います。
のび太:サビ前の“ドゥーン!”とか、あれはもう……
彩:村上ショージさん。
のび太:……そう。
山さん:村上ショージさんって(笑)。
のび太:難しいことをせずに一音、「ドゥーン」って……ふふっ。 ……彩さん余計なこと言うから!(一同笑) これ言うたびに村上ショージさんが頭を横切る(笑)。
――ショージさんの“ドゥーン”は全然ベース音ぽくない感じですけどね(笑)。
のび太:「Drop」のベースはシンプルだけど最大限の効果があるというか。
彩:ありがちだけど、今さらやる人ってあんまりいないっちゃいない。
――さっきもおっしゃってたベースに求めるものを凝縮したフレーズですよね。
のび太:そうですね……ぶふっ(思いだし笑い)……これは彩さんが悪い!
彩:そうだね(笑)。
――こうして並べると、6曲のミニアルバムという形態ではありながら、聴き応えたっぷりで。
のび太:ボリューム感的には、6曲なのにすごい詰まってる感じがしますね。
――作品も作り終え、間もなくリリースがされますが、モンストって対象年齢が広いじゃないですか。そこで新たにWHITE ASHに触れる人も出てくるだろうし、そこを巻き込んで今後の活動に繋がっていくと思うんですけど、そこに関してはみなさんどういう心境なんですか?
のび太:僕らはツアーを回ってても、年齢層がすごく広くて。下は中学生くらいの子から上は60代くらいの人までいらっしゃって、親子で来てくださって、親御さんの方が好きだと言ってくれて。そういう意味では、モンストをやってる年齢層も広いので、すごくマッチしているというか。確かに今回の作品を機に僕らを知ってくれる人もたくさんいると思うので、そういう方たちをライブハウスに引っ張って行って、今まで応援してくれている人も、今作で初めて知ってくれる人もひっくるめて楽しめたらいいなというのはありますね。
――入口になりえる作品ですね。
のび太:そうですね。今回の作品で僕らを知って、他の作品を聴いてみようと思ってもそこまでギャップがないと思うんですよ。ザ・WHITE ASHなミニアルバムになってるんで、そこからいろんな作品を聴いてもらうのもいいし。そういう意味では名刺的な作品になってると思います。
――最初に最近のライブで「みんなひっくるめて楽しむことができてきた」というお話がありましたが、そことも繋がってきます。
のび太:それにライブ映えする曲がたくさんあるので、みんなにライブで聴いてもらった時にどういう反応があるのかなっていうのもすごく楽しみな部分ではあります。
山さん:とにかくライブに来てほしいっていうことですね。『SPADE 3』からライブの楽しさもメンバーは全開だし、それをファンと共有できてる部分がすごく多くて。レコーディング中もライブをいっぱいやってるし、その間の熱量も確実に作品に入ってると思うし。その感覚が秋のツアーには出るとは思ってて、今からどう表現しようか楽しみですね。
――モンストで知った人の中には、ライブ自体初めて行くんですっていう人もいるかもしれないですよね。
山さん:絶対いると思います!
彩:モンストのメロディ使ってるから、モンストをやってる人は絶対ニヤッてするところがあるだろうし、それをキッカケにライブハウスに行ってみようかなって思ってもらえたら嬉しいですよね。しかもモンストってめちゃくちゃプレイ人口多いんですよ。
のび太:国内で2800万人とか。
――すごい。5人に1人くらいの割り合いですね。
彩:たしかに! ……売れちゃうね~(笑)。
山さん:売れたいね~(一同笑)。
取材・文=風間大洋 撮影=菊池貴裕
WHITE ASH 撮影=菊池貴裕
9月25日(日)に幕張メッセで開催される「XFLAG PARK2016」に出演決定!
さらに完全応募制の本イベント抽選申込券が、『Quest』の初回盤、アマゾン限定盤に封入
モンスト盤(初回盤) ©mixi, Inc. All rights reserved.
WHITE ASH×ANIME MONSTER STRIKE SPECIAL MOVIES
1.「Strike」Music Video 〜ANIME MONSTER STRIKE ver.〜
2.「Knock On Doors In You」Music Video
3. WHITE ASH One Man Tour 2016 “Emperors And Dumbasses” Final at AKASAKA BLITZ TRIAL MOVIE
通常盤
【内容】
モンスト盤(初回盤)
アニメ モンスターストライク×WHITE ASHオリジナルTシャツ
【CD収録曲】 *全形態共通/全6曲
1. Monster ※モンストグランプリ2016チャンピオンシップ 大会イメージソング
2. Strike ※「アニメ モンスターストライク」エンディング・テーマ
3. Drop ※「アニメ モンスターストライク」エンディング・テーマ
4. Mad T.Party (1865-2016) ※「アニメ モンスターストライク」エンディング・テーマ
5. Knock On Doors In You ※「アニメ モンスターストライク」エンディング・テーマ
6. Rove ※「アニメ モンスターストライク」エンディング・テーマ
<購入者特典情報>
・タワーレコード「WHITE ASH×神威」オリジナルA4ノート
・HMV「WHITE ASH×デッドラビッツ Ltd.」オリジナルA4ノート
・TSUTAYA「WHITE ASH×ナポレオン」オリジナルA4ノート
・アニメチェーン(対象店舗:アニメイト、ゲーマーズ、とらのあな、ソフマップ)
「WHITE ASH×ルシファー」オリジナルクリアファイル
※各特典は先着となりますので、なくなり次第終了となります。あらかじめご了承下さい
※一部取り扱いのない店舗及びオンラインショップがございます
※特典の有無については、各店にお問い合わせください。