A9 目前に控えた結成12周年ライブ、その意義とバンドが目指すもの

インタビュー
2016.8.22
A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

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A9が8月28日(日)に東京・新木場STUDIO COASTにて開催する12周年記念公演のチケットが、追加席まで瞬く間に完売した。そうした反響からも注目度の高さがうかがえる本公演『XII ANNIVERSARY 2004-2005 ONLY LIVE“NO NAME”-名前は未だ無い-』は、“邂逅”をテーマに2004~2005年に発表した楽曲のみを演奏するライブになることを事前にアナウンス。その後、かつてのバンド名である“アリス九號.”時代のコンセプトだった“和洋折衷”を彷彿させるキービジュアルを解禁するや否や、チケットは即バースト。当時のファンから現ファンまでが大注目するこの公演について、A9の“音楽リーダー”であり、この公演の発案者でもある沙我(B)に話を訊いた。

――まず、今回の公演のコンセプトを思いついたきっかけから教えてもらえますか?

12周年って、5年とか10年というのと違って、特に節目になるような時期でもないので、どうしようかなと今年の春前ぐらいに考えていたんです。その頃、僕らは二部構成のツアー(『A9 TOUR 2016「TRUTH IN LIGHT AND DARKNESS」』)をやっていて、最新作『LIGHT AND DARKNESS』と、俺らが昔(アリス九號.時代に)出したアルバム『絶景色』と『Alpha』という作品の曲を意識的に入れてたんですけど。そうしたら、思いのほか得るものがあって。一番最新の曲と昔の曲を同時にやることによって、いまにはいまの、前には前の良さがあるのを感じて、改めてこのバンドが持っている空気感や、ファンと作り上げたものを感じることができたんですね。その流れで、じゃあいっそのこと12年前の曲だけでライブをやってみたらどうなるのかな? という想像が働いたんです。当時の曲を生で聴いたことがない人はたくさんいますし、いまの俺らが2004~2005年、その1年間に出した曲だけでライブをやったら面白いかも、と。それがきっかけでした。

――春のツアーで『絶景色』や『Alpha』の曲をやったからこそ生まれたアイデアだったと。

そうですね。それぐらい春のツアーの感触が良かったんです。最近の定番曲ではなくて、昔の曲を並べてやってみたときの空気感というのかな。“俺らってこういう良さがあったんだな”っていうものが脳内にスーッとフィードバックして、忘れていたものを思い出した感じがあったんですよね。

――なるほど。では、今回のライブに向けてのリハをやってみて、手応えはどうですか?

当然12年前の曲はいまと較べると足りないものはあるんですけど、あの頃は何も知らないが故の絶対的な自信というのがあって。それがいま聴いてもいいんですよ。もちろん“こんなことやってたんだ!?”という驚きもあるんですけど、それ以上にいまでは絶対に作れないなという曲がいっぱいあって。なんか、バンドを再結成したような気分になるんですよね。

――それは予想もしていなかった感覚?

ええ。不思議ですよ。12年間メンバーチェンジも解散もなくやってきたんですけど。だんだん再結成しているような気分になってくる。

――何なんですかね、それは。

それほど12年の間に変化を繰り返しまくってたっていうことなんですよ。でも“あの頃恥ずかしかったな”ということには意外とならなくて、ノスタルジックな気持ちなんです。“いまの俺らはもう戻れない、あの頃には”みたいな(笑)。

――はははっ(笑)。でも、ビジュアルでは当時のアリス九號.にちゃんと戻れた。

僕はビジュアルまでは考えてなかったんですけどね。最近のラフな感じのままでいいかと思ってたんですけど、(このバンドの)ビジュアルリーダーの将(Vo)さんがね“せっかくやるならとことんやろうよ”と。たまにあるじゃないですか、昔のライブを再現したライブは。でも、ビジュアルまで徹底的に遡ってやる人はいないから、やろうと。

『A9 XII ANNIVERSARY 2004-2005 ONLY LIVE “NO NAME”-名前は未だ無い-』コンセプトビジュアル

『A9 XII ANNIVERSARY 2004-2005 ONLY LIVE “NO NAME”-名前は未だ無い-』コンセプトビジュアル

――あの衣装は今回のために新しく作ったものなんですか?

そうです。12年前の“和洋折衷”というビジュアルコンセプトを改めて再現した感じですね。

――撮影のときは、どうでしたか?

俺はめちゃくちゃ不安だったんですよね、衣装を着る前までは。だって、ただでさえ12年経ってる訳ですから。年齢は公表してないですけど、どう考えても“いい歳”じゃないですか(笑)。なのに、俺なんか太もも出てるし背中も開いてるから、どうなんだろう?って。メイクもバリバリ濃いし“キツイんじゃないか?”って気もしたんですけど、5人揃ってみると“売れそうなヴィジュアル系バンドじゃね?”って盛り上がって(笑)。だから、いまは自信を持ってドヤ顔で撮影とかやってますよ!

――ライブ当日も衣装はあれを着用されるんですよね?

もちろん。眼帯もつけますよ。でも片方の目が見えないから、動き辛いんですよね。ヴィジュアル系ってそういう苦労もあるんです。

――当時、なんで眼帯を付けてたんですか?

あれは、前に所属していた事務所の先輩からインスピレーションを受けまして。何か付けたいなと思って付けたんです。でも、1年半ぐらいで限界が来ましたね。眼帯は手元が見えないので、とても無理でした。

――では、ファンのみなさんが気になっているであろう当日のライブに関してなんですが。当時の曲を当時のまま演奏するんでしょうか。それともアレンジして、いまのA9サウンドとして演奏するんでしょうか。

ファンも俺らのことだから昔の曲をガラッと変えてやるんじゃないかと思ってるかもしれませんが、それだと意味がないんです。だとしたら、衣装も和洋折衷にする必要性はない。なので、あくまでも当時持っていた良さを自分たちで吟味しつつ、昔よりもさらに“歌モノ”としてダイレクトに伝わるように。例えば、ちょっと無知がゆえにかなり雑だった部分を整理したりというのはしますけど、変にカッコよくしたりはしないです。でもまあ、僕らは12年前の自分たちではないので、どうやってもいまの音っぽくはなるんですよ。だから、聴いてても“昔っぽい”感じにはならないと思います。どんなに濃いメイクをして昔っぽい衣装を着てても、中身は12年という経験を積んだ自分たちなので。あくまでも12年経った自分たちが演奏している音になりますね。

――なるほど。

そう考えると(今回のライブも)最新の僕らであることに変わりはないんだなって思うようになってきました。

――12年前といまでは曲の作り方もまったく違う訳ですよね?

当時は感覚だけで作ってましたからね。いまはいろいろ勉強して、いろんな知識を得て、いろんなプロデューサーとも出会って、その感覚を無くしてたんですよ。何が良くてなにがいけないかという区別ができるので、いつも良いものだけを選んで、自ずと“カッコイイものにしよう”“スタイリッシュにしよう”と思ってしまう。でもあの頃は違ったんです。よく分からない自信で、他と比べてとか知識がどうとかではなく“とにかくこれがイケてるんだ”という自分らの感覚だけでやっていた。言葉だけ読むと“えっ? それヤバイっしょ!”ってなるんですけど、実は根本に必要なものって、こういうことじゃないのかなって改めて思ったんですよね。そこで作った曲というのは、さっきもいったようにいまでは絶対作れない曲なんです。その感覚を取り戻したいなというのは思いましたね。別に洗練されてなくていいから、これがかっこいいんだぜ、と思える曲を作れたらいいなって。

――今年出した『LIGHT AND DARKNESS』とは……。

全然、真逆に意識がいってますね。

A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

「銀の月 黒い星」は俺のなかの“ご先祖様”(笑)。このおじいちゃんがいて、そこからいろんな曲が広がっていったんです。

――そんな自分を呼び起こしてくれた昔の曲たちのなかでも、ライブでもほとんどやっていない一番のレア曲というと?

ちょっとメロディアスな曲で「本日ハ晴天ナリ」。これは12年のなかで2回ぐらいしかやってないんですけど、意外といい曲で。聴いてびっくりしたんですよ。“いいじゃん! 何でやってなかったんだろう?”って(笑)。いまスタジオでやってると、すごくしっくりくる。そういう発見が楽しいですね。他には「聖者のパレード」もレアですし、「光彩ストライプ」という曲も1回ぐらいしかライブで演奏してないですね。絶対いまは作らない曲ですけど、何度も聴いていたくなるような微笑ましさを持ってて。「タイムマシン」もそうです。バンドで一番最初にできた曲なんですけど、自分たち的にそんなにいい曲じゃないのかなと思っちゃって。ファンの子からもやってくれという要望はなかったんで、自然とやらなくなったんですよね。でも改めていまやるとこれ“めっちゃいいんじゃないか?”と思ってきて。かなりいい曲として8月28日に鳴らせると思うんですよね。

――では、この当時に作った曲で沙我さん自身の会心作というと?

あー、「銀の月 黒い星」ですね。これは“キターッ”と思いました。このバンドにおいて自分らしい曲、他の2人のコンポーザー(ヒロト、虎)にはない自分の良さが出てる曲で、なおかついい曲ができたなと思いました。この曲は俺のなかの“ご先祖様”(笑)。このおじいちゃんがいて、そこからいろんな曲が広がっていったんです。

――この頃から将さんは沙我さん曲に冬を感じ、歌詞には“粉雪”を乗せてるんですよね。

そうです。

――「百合は蒼く咲いて」「無限の花」「葬園」という聴かせる曲も本当にいい曲たちばかりで、感動しました。

音源の雑な部分を整理して、当日はより“歌”が届くと思います。

――どの曲も6分以上の長さなんですよね。

長いですよ。「無限の花」は、 LUNA SEAの曲に6分超えのバラードがあるので、俺らもそれぐらい熱いバラードを作ってステージで泣こうぜというのが動機で長い曲作ったという。微笑ましいきっかけです。

――うはははっ(笑)。当時の音源を聴いて思ったんですけど、このバンドは結成当時からメロディアスなバンドだったんですね。

激しさとかまったくなかったんで、根本はそんな感じなんですよ。ただ、いい曲を届けたい、それだけなんですよね。

――しかも沙我さんだけではなく、ヒロトさん、虎さんの曲作りの根本にあるものもそこだったんですね。

そうです。この5人が集まって“めちゃくちゃ狂ったような曲を作ろうぜ”とはならないんです。お互いの雰囲気を見て“俺ら、あんまりダークなヤツらじゃねぇよな”ってなるんですよ(笑)。

――沙我さんのベースもこの当時は派手で。あちこちにカウンターメロディーを。

入れてますね。この頃は曲もコンポーザー3人が均等ぐらいの割合で作ってましたし、俺自身、曲作りにそこまで興味がなかったんですよ(笑)。それよりも、当時はベースのアレンジでいかに曲中で目立てるかというのが重要だったんで。

A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

PS COMPANYに“武道館に立たせてもらった”。だから“次は俺たちの力で武道館に立ってやったぜ!”というところまで持っていきたい。

――今回、ステージ上でのベースプレイは当時のまま?

やりますよ。当時のフレーズを生かして。ただ、やり過ぎてたところはちょっと戻しますけど。

――バンドサウンドも、当日の聴きどころになるでしょうね。LUNA SEAが2010年に東京ドームでLUNACYを復活させて、『黒服限定GIG~the Holy Night~』で初期の曲ばかりをプレイしたときとか、めちゃくちゃ上手くなってて衝撃を受けたんですけど。A9も昔よりもプレイヤーとしてテクニックが上達してますから。

Nao(Ds)さんは一番上達してますね。でも、俺も含め弦楽器隊はそんなに変わってないです。みんなとも話したんですよ、“あれ? 俺らそんなに上手くなってねぇよな”って(苦笑)。

――そんなことないですよ。

いや。LUNA SEAは最初からアレンジも出来上がってますから。まず、俺らの“初期衝動”と、LUNA SEAやL’Arc~en~Cielでは、スタートラインの次元が違う。そこは声を大にしていいたいんですよ!! 俺らは彼らみたいなエリートではないから。俺らは下手なりに謙虚に、冷静にやってます。そこは、12年前と比べて大人になりましたね。

――なるほど。あと、当時の曲はそれぞれに細かい振り付けがありましたよね?

ついてました。将さんが頑張って振りを付けてましたね。俺らは全然知らなくて、ライブのときに“あれ、振りやってる!?”って(笑)。「花一匁」とかは、僕から振りを付けてほしっていった曲ですけど。当時は振りがあってなんぼ、みたいなところがあったんですよ、僕らのテンション的に。いまでは考えられないです(笑)。

――12周年ライブでは将さんも当時の振り付けをやってくれるんですかね。

分からないです。

――リハで将さんが練習してたりは?

やんないですよ。リハで振り付けまでやってたら俺、笑っちゃいますよ(笑)。

――当日、将さんが振りをやってたらお客さんもやった方がいいんですか?

それはやってもらった方が嬉しいんじゃないですか。将さん一人でやってたら辛いと思いますよ。“せっかく俺やったのに……”って。誰も踊ってくれなかったら二度とやんないでしょうね。

――そういうところも含めて、これまでとは全然違うライブになりそうですね。

いいライブになる自信はあります。原点回帰した分、これをリスタートにしたいんです。事務所から独立して、活動的にはリスタートしたんですけど、バンドとしての音楽的な部分などは全然リスタートしていなくて。ずっと続いてるんですよ。でも、今回で本当にバンドとしてそこもゼロに戻れた。リスタートできたからこそ、ここからもう一度、道を作りたいんです。

――その、道というのは?

昔はそれこそ、僕らが結成1年でSHIBUYA-AXをやって。“次はここでこんなライブをやって”って、どんどんどんどん続いてたんです、道が。ストーリーがあるみたいな感じで、ファンの子を引き連れてみんなで一つのものを見て、そこに向かって走ってる感覚が当時の俺らにはあった。周りにいたバンド、SIDやNIGHTMARE、みんなそういうものがあったんですよ。それが、あるところまで行くと、どこかに向かってというのではなくて、実験を繰り返したりしだして。試行錯誤をしてく方向に変わっていったんです。そうなると、会場とかも大きなところを目指すとかではなく、その時々に合った場所でいいやっていう感じになって。ファンの子たちも一緒に目標を追いかけるというよりも、俺たちの実験に付き合うみたいな感じになっていくんですね。そこを今回のリスタートで1回元に戻して、最初の頃の、“俺たちがファンを連れてくぜ!”というところに戻したいんですよ。

――それ、素敵じゃないですか!

もう1回、遠くの方にかすかに見えるゴールをファンと一緒に目指したい。じゃないと、走れなくなってきちゃうんです。そのためのリセットでもある。これがきっかけで、次のアルバムが濃いメイクで和洋折衷なものになるかもしれないしとか、そんなことはどうでもいいんです。これは、バンドとしてまた走れるようになるためのリスタートで、また当時みたいにお客さんと同じ方向を向いて走りたい。そこが一番大事。それを、もう一度やりたいんです。

――もう一度お客さんと同じ方向を向いて走りたい、と思えるのは、事務所を独立したことも影響していますか?

独立したからこそですね。ずっと前の事務所にいたら、そうは思わなかったと思います。前に武道館をやったのも、事務所に立たせてもらったんだと思いますからね。記念だからファンのみんなも来てくれた。なので、バンドとしてあそこにみんなを連れて行ったというよりも、“立たせて頂いた”っていう意識なんですよ。武道館でやりたいといったのは俺らですけど、そこにはただやらせてやろうだけではすまない労力と人の力がいることも、いまは分かるので。それをやらせてくれたPS COMPANYに“俺らは武道館に立たせてもらったんだな”と5人とも感じてます。だから、独立したいま“次は俺たちの力で武道館に立ってやったぜ!”というところまで持っていきたい。そのためのリスタートだと思って下さい。

――分かりました。では、当日来てくれるファンのみなさんに一言お願いします。

昔観に来てくれた人たちや、初めて僕らのライブに行こうと思ってる人たち、いろんな人たちがいると思うんですが。今回は今までのA9がこうだったから、という先入観を捨てて観て欲しいです。僕らもリスタートな気持ちでやるんで、観ている人も目に飛び込んでくるものをそのまま観て欲しいです。

取材・文=東條祥恵 撮影=鈴木 恵

A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

A9/沙我(B) 撮影=鈴木 恵

 
A9 2004-2005 楽曲一覧 ※年代順
タイムマシン
メロウに沈んで
華一匁
明治
アゲハ
グラデーション
極彩極色極道歌<G3>
朱い風車
本日ハ晴天ナリ
H.A.N.A.B.I.
Siva&Diva
春夏秋冬
葬園-名も無き君へ-
ハイカラなる輪舞曲
平成十七年七月七日
銀の月 黒い星
光彩ストライプ
闇二散ル桜
白夜二黒猫
聖者のパレード
無限の花

 

ライブ情報
A9 XII ANNIVERSARY 2004-2005 ONLY LIVE 
"NO NAME"-名前は未だ無い-

[日程]2016/8/28-SUN-
[OPEN/START]16:45/17:30
[会場]STUDIO COAST

【チケット料金】
2F指定席:¥7,480-(税込)

 
【注意事項】
※未就学児童入場不可。
※入場時、別途ドリンク代必要。
※開場/開演時間は変更になる場合がございます。
 

 

リリース情報
『A9 1ST COLLECTION ”G r a c e”』
2016年8月17日発売
数量限定生産
2CD+DVD[3枚組]
NINE HEADS RECORDS
NINE-0003/¥3,800(+tax)
PC・スマホ →  http://www.hmv.co.jp/product/detail/7194206
※商品についての店舗様へのお問い合わせはご遠慮ください。

[先着購入特典]
“Re:birth” 、”TRUTH IN LIGHT AND DARKNESS” TOUR PASSレプリカシール
もしくは
発売記念イベント参加券(※HMV&BOOKS TOKYO店でご購入の方のみ対象)
 

 

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