能年玲奈あらため女優・のん 『この世界の片隅に』でアニメ映画初主演「今まで拒んできたものに目を向けてみようと思いました」

2016.8.24
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のん アフレコ風景

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11月12日公開のアニメーション映画『この世界の片隅に』の主人公・すず役を、能年玲奈あらため女優・のんがつとめていることがわかった。

『この世界の片隅に』は、こうの史代原作の同名漫画を『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督が6年の歳月をかけて映像化したアニメーション映画。第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、戦況が悪化していく世の中で、大切なものを失いながらも日々を前向きに生きる女性・すずの姿を綿密な時代考証をもとに描いている。

 

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

 

片渕監督は、同作をより多くの観客に届けるべくクラウドファンディングで出資を募った。その結果、目標金額の20,000,000円を大きく上回り、2015年当時最高記録となる36,224,000円の支援額、3,374人の支援者を集めることに成功している。その成果と片渕監督の約4年ものリサーチを反映するかのように、公開された予告編では呉にお嫁にきたすずが、軍港・呉に停留する戦艦大和や戦闘機などと隣り合わせに居ながらも、日々を楽しんで生活する姿が鮮やかに映し出されている。また、本編楽曲も担当するコトリンゴによるカバー曲「悲しくてやりきれない」が作品の世界観を壮大に歌い上げているのも特徴だ。

 

 

女優・のんの声は、片渕監督と監督補・浦谷千恵氏の2人が何年も前から想像してきたとおりのものだったという。片渕監督は「のんさん以外のすずさんは考えられないと確信しました」と声を聴いた際の印象を語り、「すずさんに命を吹き込んでくれて感謝の気持ちでいっぱいです。この作品は本当に幸運に恵まれたと思います」と喜びを語っている。

 

のん アフレコ風景

 

また、今回の発表にあたり、のんが同作への思いを語ったコメントも公開されている。
 


のん コメント

――オファーを受けた時の気持ちは?

すごく本当に、とんでもなく嬉しくて、なんか地面からふわっと浮いちゃいそうなくらい嬉しかったです!

――声優に挑戦しようと思った理由は?

映像を見させていただいたり、原作も読ませていただいて、すごい映画だと思ったので、ぜひやりたいと思いました。

――アフレコのお仕事はいかがですか?

別世界だなというのを痛感しました。体全部を使って演技をする時は、直接皮膚感を何も考えずに使えるのですけど、声だけでそれを全て表現するのは難しくて、全然違うなと思いました。すごく楽しかったです。

――アニメの世界の中に入った印象は?

映像を見させていただいた時に、セリフが入っていなくても絵だけですごく泣けてくるというか、ここに声をのせていくのは簡単じゃないなと、心して挑んでいます。すごく嬉しいのですが、(完成が)どんな感じかなって思っています。

――原作を読んでみた感想は?

私は、戦争や暴力の描写が嫌いで苦手で、目を向けないで拒んでいたところがありました。(戦争は)非日常なもので別次元のものと思っていたのですが、原作を読ませていただいて、日常と隣り合わせに戦争があったのかもしれないなと感じて、今まで拒んできたものに目を向けてみようと思いました。

――広島弁はいかがでしたか?

難しいですね(苦笑)。標準語でいけちゃうところとかあるんですけど、言葉自体は「何々しとる」とか関西弁っぽいところもある。なのに、イントネーションは標準語、みたいなところがあったりして難しかったです。でも可愛いなと思ったので、頑張ってしゃべりました。

――すずさんはどういう女性だと思いますか? 共感することなどありましたか?

感情が沸きたった時に、がーって絵を描いていく感じがすごく共感しました。すずさんはぼーっとしていると言われながらも、パワフルでポジティブなところに共感しました。劇中ですずさんがやっているような着物のリメイクにも挑戦してみたいです。

――アフレコ中に苦労したことや楽しかったことはありましたか?

最初はすごく難しくて、どうしたらいいんだと悩んだんですけど、やっていくうちに絵に息を吹き込むというのが楽しくて。あぁ、声優さんはこういうことをされてたのかと思うと興奮しました。

――すずさんは戦時中でありながらも日々を楽しんで生きていますが、何かやってみたいと思ったりしたことはありますか?

実際に着物からもんぺを作ったり、野草でごはんを作ったりとかやってみたいなと思いました。すずさんが一生懸命なんだけど、すごく楽しみながら節約したり、リサーチしているのを見たら、とてもおもしろそうと思いました。

――クラウドファンディングで製作が決定した作品ですが、こういう作品に関わることになった今のお気持ちは?

観たい映画を一緒に制作していくという、応援してくださってるみなさんがこの映画を一緒に作っているというのが本当に素晴らしいことだなと思います。私もそこに参加させていただけることがすごく嬉しいです。

――コトリンゴさんの「悲しくてやりきれない」を聞いた感想はいかがでしたか?

コトリンゴさんの手によって映画の世界に溶け込む音になって流れていて、あの景色に流れてくるのが、心の中に直接、呉の広島の当時の映画の中の空気に触れた気にさせてくれるような感じで素敵でした。

――本作を楽しみに待ってくださっている日本のみなさんへ見どころ・メッセージをお願いいたします。

普通に生活しているとか、ただ生きているっていうことが、あぁやっぱり普通っていいな、と思える映画だと思うので、そういうのを感じていただきたいなと思います。そして、是非ご家族を誘って見ていただきたい。大切な感覚を一緒に共有出来ると思うのです。


アニメーション映画『この世界の片隅に』は11月12日(土)テアトル新宿、ユーロスペースほか全国ロードショー。
 

作品情報

アニメーション映画『この世界の片隅に』

声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 / 澁谷天外
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
企画:丸山正雄 監督補・画面構成:浦谷千恵 キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎 製作統括:GENCO アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル

【ストーリー】
すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19(1944)年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす。 だが、戦争は進み、日本海軍の根拠地だった呉は、何度もの空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦たちが炎を上げ、市街が灰燼に帰してゆく。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく。それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20(1945)年の夏がやってきた。


(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
konosekai.jp

 

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