【後編】エンタメの今に切り込む新企画【ザ・プロデューサーズ】第八回・Jin Nakamura氏 ~ヒットを産み出す彼の流儀とは?~
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ザ・プロデューサーズ/第八回 Jin Nakamura氏
「ザ・プロデューサーズ」Jin Nakamura編の後編です。EXILE「Lovers Again」誕生のお話からの続きです。
ザ・プロデューサーズ/第八回 Jin Nakamura氏
――難しい発注じゃなかったですか?
そこでできたのが「Lovers Again」なんです。だからビート的にはR&Bのまま抑えつつも、メロディ的には姉の影響で聴いていた小田和正さんの感じが出ていると思います。EXILEさんがすごいと思うのは、そのトライした踊れるバラードというチャレンジを良しとしてくれたというか、いいじゃん!って受け入れてくださったことです。その姿勢が今の彼らの成功につながっているのかなと思います。
――なるほど。
「Lovers Again」のミックスの時、スタジオに当時7人のEXILEさんが全員で来ました。基本的に一人でもこの曲は嫌だという人がいたら、やらないというのが彼らのスタイルで。それがリーダーでも新人でも一人でも嫌だという人がいたらその曲はボツ、全員で合意しなければやらないというやり方でした。スタジオでパフォーマーは踊りながら曲を確認するんです。このミックスでいいのかどうかを。そこがプロだなと思いました。聴くものではなく、観るものということを前提に、彼らは曲の良し悪しを考えているんです。狭い部屋でミックスしていましたけど、その片隅で踊っているのを見て、すごいと思っていましました。
――松尾さんは当時“美メロ”という言葉を盛んに使っていましたが、Jinさんが作るメロディはまさに“美メロ”ですよね。
いえいえ。自分のスタイルとして、パーツパーツでメロディを作っていくというよりは、ひと筆書きなんです。こう入って、こっち行って、こっち行って、こうやって最後はこう!みたいな。全部が繋がっていて意味がある事にしたいんです。
――全部が意味がある事にしたいという考え方が、“美メロ”を作る秘訣なんですね。「Lover Again」の次には「日本レコード大賞」の大賞を受賞した「Ti Amo」をEXILEに提供しています。
「Ti Amo」をやらせて頂く時に、また松尾さんとのコンビでということになって、ディスカッションをしていく中で、今までやった事ないこと、歌を、歌ってもらおうということになって、ラテンはどうだろうと。
――確かにそれまでのEXILEにはなかったテイストです。
じゃあラテンR&Bってどうなんだろうと松尾さんがアイディアを出して、じゃあこんな感じですかと僕がすぐ音を出して、それで「Ti Amo」ができあがりました。それで松尾さんが「これって男目線じゃなくて女目線で歌詞を書いたら面白いかも」という感じになり…。
――逆に松尾さんはJINさんのメロディを聴いて、あ、これ男じゃなくて女目線の方がいいんじゃないかとひらめいたのでは?
そうかもしれないですね。メンバーに曲を聴いてもらい、女目線での歌詞はどうですか?ってプレゼンをしたら、いいね!ってなって。キャリアを積んできてファンも多い彼らが、ラテン、女目線の歌詞にトライしようとする姿勢、それを良しとするメンバーがやっぱりすごいです。現状に満足しないで、どんどん高みを目指していくその姿勢というか、心意気が、アーティストにとっても、クリエイターにとっても大事なことだと思いました。
――この後はあらゆるアーティストからの発注が増えてきたのではないでしょうか?
範囲が広くなりましたね(笑)。
――EXILEさんのようなアーティストばかりではなく、新人も多かったと思うのですが、例えばキーが窮屈でJinさんがひと筆書きで書いたメロディがなかなか歌えなかったり、表現できない歌い手には、歌の部分からレッスン、ディレクションしていく感じですか?
まずその曲の中で、ユニークな点が何かひとつないと、結局ヒットしないとって思っていて。それは他のアーティストや曲との差別化ということでもあるのですが、差別化できていないとヒットする条件に当てはまらないと思っています。自分なりにここは面白いというところを思いついたら、その山を目指すために、先ほど言ったみたいに一生懸命メロディを書いたり、アレンジしたりしますが、やっぱりそんなに上手くはいかないので、とにかく死ぬほどトライ&エラーを重ねます。一発では絶対いかない。だから例えば一オクターブしかこのアーティストは歌えませんとなったら、それはもうそれで受け入れて、その中でメロディを紡ぐと。例えば一音だけはみ出たりとかしたら、それを一回聴いてもらって、この音ギリギリだめですかって食い下がります(笑)。
――ダメと言われたら…
はい、了解しましたって(笑)。その直しを怖がらない事も大事で。みんなで作っていくものなので、レコード会社さんやプロダクションさんがお金をかけて、これをこうしたいというビジョンと希望がある中で自分が招聘されて、そこで力を発揮しなければいけない立場なんです。ディレクターさんやジャッジする方がいるのですが、その方を最初のお客さんだと思っています。その方がダメだと言うものはダメなんだと。どんなに自分がいいと思っていても、その方がダメだ、ここは良くないと思ったのであれば、それはもう喜んで一旦引き上げて直しまします。その直してる時に、実は発見があるんです。自分が思いつかなかったメロディの行き方だったり、アイディア、サウンド感とか、その人とのある意味コラボレーションで、新しい自分が開発されたりすることも結構あります。結局人から言われた事を、うーんとか首かしげながらやった事が、自分の新しい面を発掘してくれたりします。ひと筆書きってかっこよく言いましたけど、誰かに聴いてもらって、ダメだって言われる事を怖がらないということなんです。
――逆に最初から完成形を持っていかないということですよね?
そうです。もちろんその時の自分のベストの状態のものを持って行きますが、そこで何か言われた時に、居酒屋じゃないですけど、喜んで!って思い込んでやっていかないといけないと思っています。
ザ・プロデューサーズ/第八回 Jin Nakamura氏
――逆にベストを尽くしたものを提出して、ダメ出しされたらモチベーションが落ちそうな気が…。
もちろん若い時は、直せないと思った時期もあったかもしれませんが、でもそれを繰り返しているうちに、人に聴いてもらって、ここがいいとか悪いとか言われて、その人との関わりの中で、やっぱり曲って磨かれるんです。曲を集めてコンペというスタイルが今は多くて、100曲も200曲も集めて、そこから選ばれた曲です、というのがプロモーションに使われてたりする恐ろしさもありますが(笑)。でもそのやり方は合理的だとは思いますが、若い作家、クリエイターは育ちにくい環境だと思います。ここがダメとかほとんど直しがないので。
――なるほど。
だから一長一短で、なるべくディレクターやジャッジする人間と向き合って、そこで意見が合わなくてケンカしたり、意見をたたかわせて、そういう経験の中で自分の知らない部分や才能が磨かれる事の方が多いと思います。自分がやりたい音楽はもちろんあります。でもこの仕事をやっている以上は、そうじゃないものを書く機会の方が多いんです。そこからは逃れられない。例えばハッピー感満載で、めちゃくちゃ幸せな曲でって発注があって、そんな曲書けるかなと思いながらも受けて、完成して聴かせたら、やっぱJINさんらしいですねって言われて。自分ぽくないなと思って書いたとしても、自分のセンスからは絶対逃れられないんですよね。
――“その人”が、曲のどこかに絶対出てますよね。
出ているし、カッコ悪い事って出来ないんですよ、クリエイターって。だから若いクリエイター達に言いたいことは、どんな発注でも喜べ、自分に合っているとかいないとかは関係ないと。そこで自分が精一杯かっこいいと思う事をやっていれば間違いないと。
――今の話に繋がりますが、Jinさんはあらゆるアーティストに書いています。東方神起や山下智久他、ジャンルは関係なく書いています。
語弊があるかもしれませんが、僕は来た仕事は断らないんです。反社会勢力とかからじゃない限り(笑)。基本的には断らない。僕にやらせようと思った理由が何かあるはずだから。それがたまたまなのかもしれないんだけど、そこはその人とすごく向き合いたいと思うし、さっきの話じゃないですけど、自分のモチベーションとか書く理由というのが、出会いに基づいてることが多いので。このアーティストと出会えたからこういう曲書けたとか、こんな事できたという事が結構あると思っていて。だから、こういう感じのものしかお受けできませんと自分で自分の事を狭めてしまうのは、ダメですね。だから色々な方からお話しを頂けて、色々な事をやるのは自分としてはすごく心地いいんです。
――今のイメージ、路線を変えたいからJinさんにお願いしようというアーティストも多いと思います。ターニングポイントのタイミングで、Jinさんにお知恵拝借ではありませんが、助けを求める感じの発注も多そうです。
ありますね。大体レコードメーカーさんとプロダクションさんの意見があって、アーティストはアーティストの意見があって、そのほとんどがイコールではないんですよ(笑)。
――そうだと思います(笑)。
それが、キャリアがある人であればあるほど、イコールではない場合が多くて。その両方の意見を僕は聞きたくて、だから頼んできてくれていると思っていて。で、あなたはこうしたい、そっちはこうしたい、僕はこんな感じがいいと思っています、というのを合わせたらこういう感じじゃない?というのを提案するのがある意味仕事だと思っていて。100%それができているとは言い切れないですけど、スタイルとしてはそういうやり方を目指しています。
ザ・プロデューサーズ/第八回 Jin Nakamura氏
――難しい役割というか、当人たちではどうしようもなくなって、駆け込み寺存在なのがJinさんですね(笑)。
わりと難案件多いです(笑)。舵を取る人が多いとか(笑)。逆に難しい方が燃えますよ。ひょっとしたら料理人に近いかもしれないですね。例えば採れたての魚は何も手を加えなくても美味しいじゃないですか。でもそうではなくて、時間が経ってたり、もしくはあまり人が今まで食べていなかったものとか、それを料理して美味しくするのがプロデューサーの仕事かもしれないですね。
――音楽プロデューサーとして、Jinさんの創作意欲を掻き立てる新人、アーティストを教えて下さい。
極論をいうと、ヒットを生むということが自分の命題だった場合は、100点じゃダメで120点にしないといけないと思っていて。でも人って色々な部分があるじゃないですか。性格は最高にいいんだけど、声がダメとか。顔はかわいいんだけど、歌が下手とか、色々な人がいると思うんです。でもダメなところ良くするということはあまり考えていなくて。いいねっていわれている100点の部分、例えば顔がすごくいいとか、ダンスが上手いとか、そこを120点にするという作業、それがある意味、他のアーティストと比べて際立ってくるポイントかなと思っていて。だから全部の要素を、及第点にもっていくというやり方ではないんです。アーティストやプロジェクトの、ここがユニークだというところのどこにスポットライトを当てるかを探るのが、自分には向いていると思っています。
――お断りする場合も?
言い方が難しいのですが、やってはみるんです。とにかくやってみて、人の評価を浴びるところまでやることが大事だと思っています。やっている中で気づく事もあって。ファルセットだけすごくいいとか、やってみなければわからいこともあって、だからやらないよりはやった方が絶対いいので、僕は全部受けたいんですね。それでもやっぱりそのアーティストのどこが一番ユニークかを見極めることが大切です。ダメなところを見つけるのではなく、いいところを見つけて、そこをどんどんブラッシュアップしていって、わかりやすくメディアを通じて伝えるという事をしていかなければ、たくさんアーティストがいて、色々な曲がある中で埋没してしまいます。お客さんの財布はひとつしかなくて、中学生や高校生が1,500円しか持ってないのに、どれを買う?ってなった時に、選んでもらわなければいけないんです。よっぽど際立っていないと選んでもらえないと思う。だから自分的には120点のものを作っていくのが仕事だと思っています。
――逆に伸ばすところがない人もいますよね。いい意味でフラットなコが。その時は1ミリでも出ているところをなんとか見つけて引っ張り出す感じですか?
それが面白くない人にはいまだかつて会ったことがないんですよ。どこを面白がれるかというのは、自分の感性じゃないですか。だからその人の面白さが見つからないというのは、逆に自分の感性が鈍いんだなと思います。
――今ライブシーンが盛り上がっていますが、プロデューサーとしてライブで大切にされている事を教えていただけますか?
歌が上手いコにはたまに言うんですけど、歌う事が大事なんじゃなくて、伝えるという事の方が大事だよって話をしていて。つまり、感動しないとお客さんはお金払う意味がないと思っていて。それは別に歌だけに感動してるんじゃないんだと。歌に込めてるメッセージだったり、そこにかける努力だったり、あなたが持っているサイドストーリーだったり、そのライブで、色々なステージの上で歌っている、それ全部があなたの伝える装置であって、伝えるという事を意識して欲しい。特にライブがメインのアーティストはそうじゃなければいけません。
――間違いないです。
じゃあ伝えたい、伝えるにはどうしたらいいか。この歌唱力じゃ伝わらない、このダンスじゃ伝わらない、でも感動を生むというところを目標にして、そこから逆算して何が足りないかを考えなければいけません。単純にもっと声が出るだろうとか、ピッチがずれているとか、そんなことは過程の話であって、逆にいうとピッチがずれていた方が伝わるケースだってあります(笑)。何がこの人の強みで、何にオーディエンスが感動しているかというところを、自分が一オーディエンスとして、ファンとしてそのアーティストと向き合った時に、何に感動するかを本当に考えなければいけなくて。それから逆算して、例えばギターの弦のチューニングが合ってないほうがいいんじゃないとか、極端なことを言うと(笑)。その方がワイルドだとか。全部ちゃんとしてればいいという感じじゃないんですよね。
――何を伝えたいか、ですよね。
そう、伝える手段として何が必要かという事を考えていく。ライブは特にそう。ライブが今すごく評価されているというか、そこに人が集まっているというのは、やっぱりみんな感動を求めてきているんです。だから逆にショーとして伝えるってどういうことなのかという事を、もっと自分は考えていきたいと思っています。
――ちなみにJinさんが最近観たライブで、良かったのは誰のライブですか?
アトランタで観たドレイクのライブですね。サイドストーリーになりますが、僕は2年程前から、アメリカへ武者修行に行っていまして。日本でやらせていただいている仕事はもちろん大切なんですが、自分のインプットというか、もっと刺激を求めなければと思って。そこを怠ってはダメだと思いまして。ある人を通じて、アメリカのものすごく有名なプロデューサーさんに紹介していただいて、その方の元で修業をすることになり。最初はチェックされるんですよ、こいつ本当にできるのか?という感じで。僕はトップライナーといって、メロディを書く担当として就きました。
――分業なんですね。
向こうのプロデューサーさんはトラックを作る方が多くて、その現場に連れて行かれて、作ったトラックにメロディを付けろって言われて、その場で初めて聴いたトラックにマイクを立てられて、メロディにトラックを乗せろと(笑)。今までそういう作り方をやった事がなかったので、最初はすごく戸惑って。まず歌うって事がないじゃないですか。。その場のノリとかフィーリングで、どんどん作っていくというやり方に衝撃を受けました。そこで試されて、帰れって言われたり、いいじゃん!ブラザーって言われたり、でもある意味その評価はフェアだなと思って。良ければいいし、ダメなら使わないみたいな感じで、そこでどんどん自分の刺激になる事をインプットしていきました。そのためにアトランタに行ったりロサンゼルスに行ったりしていました。ストレスとプレッシャーでしか人って成長しないと思いました。
――自らストレスを感じに、プレッシャーを求めて渡米したんですね。
もう行こう!と。怖いんですよ、めっちゃ怖いんですけど(笑)、やっぱり行かないといけないと思っていて、試されて、もちろんダメって言われる事もあるけど、いいって言われることもあって。そこでやっぱり刺激を受け、ポップスが生まれた地でもあるので、それはそれで優れた点もあって。日本は日本でもちろん優れた点はあるんですけど、そこは謙虚になって欧米のアーティストさんとかクリエイターさんがやっている事というのを、俺ら日本人なんでわかんないっすとか、こんなのそのままやっても売れないっすとかって言わないで、ちゃんと謙虚に優れてるものは優れてるものとして浴びたいと思って。
――成功を収めている人が、敢えて苦行の旅に出るのがすごいです。
自分として、まだまだクリエイターとして知らない事があったり、やれる事があるって信じているので、ある意味美しい思い込みというか。勘違いなんですけど、でもそれがないとやってられないと思うんですよ、クリエイターって。
ザ・プロデューサーズ/第八回 Jin Nakamura氏
――Jinさんの想いはどこなんですか?まだ成長し続けて何かを残したいと思っているのか、こういうところにたどり着きたいというのはあるんですか?
綺麗事になるんですけど、結局人を喜ばしたいんですよ。でも、昔と同じやり方だと人が喜ばなくなってきているのがわかってるから、ポップスをやっている限りは。だからどんどん自分にないものを取り込んでいかなければいけなくて、今自分の中にあるものだけではこれから勝負できると思っていなくて。人に喜んでもらうって意味では豆腐屋さんもパン屋さんも全部一緒かなと。喜んでもらうためにやっているのであれば、喜んでもらえる様にあらゆる事をやれと。それがモチベーションです。
――すみません、途中になっているドレイクのライブの良さを教えて下さい(笑)。
そうでした(笑)。アトランタに行って、現地の黒人の方にドレイクのライブに行こうぜって連れて行かれて。アトランタのアリーナで1万5000人くらいのキャパでした。アトランタってご存知の通り、ヒップホップとR&Bの聖地で、人口比率も黒人6割白人3割、それ以外1割という感じなんです。会場に着いたら、ドレイクってもっと白人にも黒人にも愛されている、ユニバーサルなアーティストかなって思っていたら、お客さんの8割が黒人で、1割白人、1割がその他でした。スタート時間が遅かったんですけど家族で来ている黒人が多くて。ドレイクが出てくる前に、オープニングアクト的なアーティストが何組か出てきて、それがちょっと衝撃で。ごりごりのヒップホップのラップなんですよ。汚い言葉も連呼してます、子供には聞かせられませんみたいな(笑)。
――コンプラですね(笑)
でも隣にいる子供達が汚い言葉のラップに合わせて、一緒にやっているんですよね。ヒップホップって、ここではいわゆる歌謡曲として染み付いてるんだって衝撃でした。そのラップ、ヒップホップの本当の部分を見たというか。で、ドレイクが出てきたらすごく洗練されていて。そこで得た一体感というのが、自分は東洋人なんだけれどもやられちゃって。R&Bとかヒップホップってこういう風に楽しまれているんだということが初めてわかりました。歌舞伎座でやっている歌舞伎が本物だとしたら、今まで自分は違う歌舞伎を見てすごいと思っていたというか。この音楽が生まれた場所で、歌謡曲として消化している人達と一緒に浴びることができたということが、すごく刺激になりました。
――これからの曲作りとかプロデュースにも影響がでますね。
もう影響されています。まず自分のスタジオのスピーカーが大きくなりました(笑)。やっぱり爆音じゃないとダメだなと思って。すぐ影響されるんです(笑)。
――でもすぐ影響されるって、すごくいいい事ですよね。
結局憧れとかが大事だというか、自分はこうで、とか、アイデンティティがこうでって言う前に、憧れる力が人を動かしているから、素直にそこは憧れていこう!みたいな。かぶれていこうと(笑)。でも結局は自分のセンスからは逃れられないんですよ。それが真実なので、そこも怖がらずにどんどんかぶれて行こうと。
――最後に、これから音楽業界はどうなっていくと思いますか?
2012年から2015年の間のヘッドホンの売上げがものすごく上がっているんです。つまり、音楽はみんな聴きたいし必要としている。音楽業界が危惧しているところって、CDが売れなくなったことに特化していると思います。でもユーザーは音楽を必要としていて。ライブにも足を運んでいます。ただCDとうアイテムをマネタイズの媒体として考えていたというところから、どんどん脱却していかなければいけないと思います。それは今までとは違う感性で捉えていかないといけなくて。別にCDがライブのグッズでも僕は問題ないし、CDが
【編集後記】
やはり「売れる曲を作る」ということ、ヒットを出すということには理由がある。圧倒的な努力と、妥協のない突き詰め方。どの成功者にも言えることですが「人よりも努力する」これにつきます。売れない売れないとぼやいているアーティストやバンドマンにも、売れているサウンドプロデューサーにも、「何で?」なんてことは一つもなくて、当たり前のように当たり前の努力と、前に進む力を継続した人だけがチャンスを掴むのだということを改めて感じさせてもらいました。限界なんてたくさん通り越して、その先に行こうとしている人だけが、何かを得れるのでしょう。個人的にもとても楽しいインタビューでした。
次回もお楽しみに。
編集・企画=秤谷建一郎 文=田中久勝 撮影=風間大洋
Produce/Sound Produce/Compose/Arrangement/Remix
2001年作家デビュー。洗練されたメロディと独創的なトラックメインキングに定評がある。JUJU、EXILE、東方神起などのプロデュースを行いながら、近年LA、アトランタ在住のプロデューサー達とのコラボレーションも深めている。日本レコード大賞、JASRAC賞など受賞多数。現在音楽シーンで最も注目度が高いプロデューサーの一人である。クリエイター集団オケラボ主宰。クリエイター集団オケラボ主宰<クリエイター、ボーカリスト等随時募集中。問い合わせ先min@e08.itscom.net>。