初のベスト盤発表&地元野外ワンマン決定!! WHITE JAMが語る、現在、過去、そして新展開 <後編>
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WHITE JAM 撮影=kazuyatanaka
インディーズ時代からSNSツールやYouTubeなどでその名を全国へと轟かせ、 2014年のメジャー・デビュー以降も既存の音楽業界の枠にとらわれない活動を続けるWHITE JAM。泣き歌アーティストとして感動をもたらす反面、メッセージ性の強い楽曲で賛否両論を呼び、渋谷のカリスマとして人気を博しがらも実は全員関西人と いう、どこまでも一筋縄ではいかない3人。そんな彼らのキャリア初となるベスト・アルバム発売と地元野外ワンマンの開催が決定した。詳細未定の強行インタ ビューだったものの、近況やこれまでを振り返りつつ、その最新情報と現在進行中の企みまでを語ってくれた。
――ベスト・アルバムのことをまだあまりお聞きできないので、全体的な曲の話を伺ってもよろしいでしょうか。
SHIROSE:大丈夫ですよ。
――新曲が多くあるとのことですが、過去の曲はすでにある音源のままですか?
SHIROSE:新曲はもうレコーディングが終わっていて、既発曲はそのまま、録音し直してないですね。
NIKKI:いや、今までの曲もレコーディングし直したのが何曲かあるかな。
SHIROSE:あっ、そうですね。カバー曲やります、セルフカバー。AAAのNissy(西島隆弘)に提供した「DANCE DANCE DANCE」という曲があるんですけど、それを。この曲結構好きなんです。
――1stアルバム『自由時間』ではスーパージュニアに書いた「君が泣いたら」をセルフカバーされていますが、数多くある提供曲の中で、セルフカバーに選ぶ基準は何ですか?
SHIROSE:「DANCE DANCE DANCE」に関しては、9月22日(木)の野外ライブでやりたいなって。ちょっとライブとかでやったら盛り上がるんちゃうの?って。
――なるほど(笑)。収録曲の中で、WJにとってターニングポイントになった曲はありますか?
SHIROSE:「ウソツキ」ですね。
GASHIMA:やっぱり僕もそうですね。
NIKKI:うん、「ウソツキ」。
――インディーズ時代に発表して、PVを含め、WJの存在を知られるきっかけになった曲ですね。
SHIROSE:そうです。正直、今、泣き歌No.1アーティストみたいになってると思うんですね。でも僕ら別に泣き歌ばっかりある訳じゃないんですけど。
SHIROSE:逆 に泣き歌じゃないっていうか、スタイルやルーツはHIP HOPだったりするんです。でも、イメージとしては「咲かないで」とか「ウソツキ」だと思うんですよ。そういう僕たちのイメージとなるきっかけになったと 思いますし、次のステップというか、メジャー・デビューのきっかけだったり、今回海外に出るきっかけになったり、色んなきっかけや出会い、運命を変えてく れた曲なんだろうなって思いますね。
――そこは3人とも意見が一致?
GASHIMA:そ うですね。その状況だけじゃなくて、自分たちの意識もこの時期に変わった様な気もしますね。たくさんの人に届いたのもそうだし、日々の中で悲しいことが あったり悩んだりしている子が、本当にすがるような気持ちでこの曲を聴いてるっていうのを手紙とかで読んだりして、自分たちの音楽がただの音楽じゃなく なってる瞬間みたいなものを感じた曲ですね。
NIKKI:もうちょっとでYouTubeでの再生回数が 1,000万回いくんですけど、このPVを公開して半年で100万回いったんですよ。当時インディーズだったし、自分たちの周りでも100万回いってる アーティストっていなかったんで、その数字に対してもピンとこないし、実感も沸かなくて。
NIKKI:自 分達だけで色々やってたんで、特にその頃は宣伝する方法とか、世に自分たちを広める方法がライブしかなかったんですよ。そのライブ以外で、自分たちが全然 知らない人たちに広まってるという感覚を初めてつかんだ瞬間だったんで、やっぱり私も「ウソツキ」がターニングポイントだったなって思います。
――WJには誰かのために歌っている曲が多いと個人的には思っていて。例えば「童貞ヒーロー」や「東京」などもそうかと。
SHIROSE:い や、正直、僕は全曲自分のために作ってますね。今まで2,600曲ぐらい作ってますけど、自分が聴きたい曲を作っているだけで、誰かのためには作ってない です。その「東京」も日記みたいに書いた曲で……というか、元々そういうブログを書いてて、これこのまま歌詞でいいやんって、曲にして。だから、結局は自 己満足なんですよ。
――曲作りは自分を慰めたり、元気づけるため?
SHIROSE:完 全にそうですね。例えば、僕、睡眠障害なんですけど、聴いて寝られる曲があったらいいな、というようなところから曲作りが始まるんです。どんな曲だったら 寝れるかなって。こういうテンポや音を使ったら寝れるんちゃう?というようなことを睡眠の専門家みたいな方に教えてもらって、それを取り入れた曲を作って 聴いたら、「本当だ、寝れた~」みたいな感じで。「この曲をリリースして、自分みたいに苦しんでいる人が寝れたら超幸せなんじゃないか?」「じゃあ、出し ましょうか」って決まったりとか、全曲そういう感じなんですよ。「夏なんて」もそうで。僕、夏にどっこも行かないし、「イエーッ!夏だ!」「海だ!」みた いなのが全然なくて。そんな僕みたいな奴のテーマソングはないんかいって思って「夏なんて」を作ったら、意外とそんな人が7割らしいと。だから自分のため に作って、自分みたいな奴が集まってるんですよね、たぶん。失恋してる人、卒業がイヤだと思っている人、僕みたいな奴の夏のテーマソングはないのかって 思ってる人。みんなそれぞれの自分なりのサイズで聴いていると思うんで、僕もみんなと一緒なんですよね。だから誰かのためには歌ってないというか、みんな 自分のためにやってるんですよ。
――そもそも音楽を始めたきっかけは何だったんですか?
SHIROSE:もともと僕、すごいメモっ子だったんです。普通にずっと書いてる奴……っていうか、それを飛び越えて机に彫ってる?みたいな奴いたじゃないですか、学校に。
SHIROSE:そ れ僕なんですよ。常にノートにいっぱい書く、みたいな感じで。でもメモりきれないというか、音楽ならその言葉以上のことをメモれたりして。毎日、これいい なーって思ったことをノートにメモるように曲を作ってきた感じですよね。だから(ベスト・アルバムは)『メモ』っていうタイトルでもいいかも知れないです (笑)。
――それは小説とかじゃなく、音楽じゃないとダメだっだと。
SHIROSE:な んか音楽のことをあまり良く言い過ぎたくないんですけど、やっぱり力があるじゃないですか。さっきの「東京」という曲をブログに書いたとしても、音楽と比 較すると明らかにパワーが違う。ブログだったら文字の温度でしかないんですけど、音楽ってその温度までメモれてしまえるというか……そういうところが、紙 に書いたりブログやTwitterでつぶやいたりするのとは全然違いますね。
――GASHIMAさんが音楽を始めたきっかけは?
GASHIMA:僕は「音楽をやろう」と思ったことはなくて。元々ギターをやってて、歌も歌ってて、その流れでRAPを始めたんですけど……RAPはやってみたらやめられなくなっただけですね。“やめられなくなった”っていう表現が一番正しいと思います。
――やめられないまま今に至ると。
GASHIMA:そうです。やめたいと思ったし、イヤになったことも何度もありますけど、やめられなかったから今もやってるし、多分これからもやっていくと思います。
――GASHIMAさんの詞を見ていると音楽への愛情がすごくあって、やめたいと思ったというのは意外です。
GASHIMA:いや~全然思いましたね。僕、大学に行ってるんですけど……
GASHIMA:その大学時代の友達が就職した時は、「うわっ、すごいやめたい」って思って、けど結局やめられなかったですね。本当やめたかった、あの時は。きつかったし、全然儲からないし……。
SHIROSE:やめなくて良かったですか?
GASHIMA:わからないですね、正直。未だにわからない。僕、すっごい飽き症なんですよ。色んなことにハマっては、すぐ飽きるんです。ただ未だに飽きないのがこれで。もう15年ずっとやってるんで、多分やめないだろうと思ってます。
――NIKKIさんは?
NIKKI:私 は表現することが好きで、元々お芝居をやってたんですね。でもお芝居って物語があって、その役にはめられたものを自分なりに消化していくんで、自分が感じ たことを表現するのとはまた違うんですよ。その点、音楽は自分が感じたことがそのまま表現できるし、伝わるんです。ライブで同じ曲を歌ってても、その時の 自分の感情とかによって表現の仕方や感じ方が全然違っていて。そのライブで、どういう感情で歌うのかも自分自身興味があるし、それがお客さんにどう伝わる かも興味があるんです。お客さんで一度も逃さずライブに来てくれてる子がいてるんですけど、ライブによって泣く曲が違ったりして。
――今この子に何があったの?って思いますよね。
NIKKI:そうなんですよ! 「えっ!? なんでこの曲で泣いてるんだろ?」って思うと、またそこで自分の歌い方も変わってきたりして。そんな生ものが好きですし、表現することが好きでお芝居に入ったんですけど、結局、音楽に落ち着いたのはそこなのかなと思います。
――みなさんにとって音楽を続けている原動力というか、エネルギーの源になっているものって何ですか? また勝手な憶測ですが、NIKKIさんはそういう喜びとか感動を音楽に昇華している気がするのですが、GASHIMAさんは怒りや憤りなのかなと。
GASHIMA:僕、 そんなにカリカリしてるように見えます?(笑) まぁ、音楽を作るエネルギーとはちょっと違うんですけど……。これは勝手な僕の考えですが、人間って本来 は暴力的な生き物だと思うんですよ。ちっちゃい子をほっといたらケンカすると思うし、殴ると思うし、他人から物を盗ると思うし、すごく暴力的じゃないか と。大人になってそれがなくなった訳じゃなく、理性で抑えてるんだと。僕はそういうエネルギーが自分の中にすごくある人間だと思うんです。それを発散でき るのがRAPなんです、僕にとって。その沸々としたエネルギーのはけ口にRAPがなってるのかなっていう。だから僕はそんなにいつも苛立ってるわけじゃな いんですけど、ただ、思いっきり他人を殴るぐらいの気持ちでRAPをしてるからそういう風に聴こえるのかもしれないですね。
――今、一日一回「褒めラップ」をTwitterで更新されてますが、それは怒りではなかったです。
SHIROSE:それ、僕が言って始まったんです。一度RAPで褒められたことがあって、めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。「お前すごいな!」って。それで、「褒めてみたら?」って。で、色んな人を褒めてみたらビックリするくらいみんな喜ぶんですよ。
NIKKI:泣いてる人もいるんです!
GASHIMA:そう、たまに泣いてる人もいて……。
――RAPって“ディスる”って言葉があるように交戦的な感じもしますが、褒めるというエネルギーもあるんですね。
GASHIMA:どっ ちもあると思いますね。褒めるっていうのもそうだし、他人をけなすこと……ディスることって、責任が伴いますが、その人に対して本当に心を許してたり、リ スペクトがないと言えないこともありますよね。褒めて「いいね。いいね。」だけじゃ、人間関係は成り立たないと思いますし。
―― そんな中でSHIROSEさんの歌詞には優しさと憤りの両面を感じるのですが、「伝えたいことがあるから歌を書く」みたいなことを言ってらしたこともありますが……。
SHIROSE:伝えたいことというか……さっきも言いましたが、僕の場合は完全な、究極に一貫して自己満足でやってるだけですね。
――誰かのためとか、誰かを思って書こうっていうのは、もうまったくない?
SHIROSE:たまにありますけど、大体は自分のために書いてます。
――たまにはあるんですね。
SHIROSE:そうですね。僕が人生で初めて作った曲は、結構“あるある”で言うの恥ずかしいんですけど、告白ソングみたいな感じでしたね。彼女っていうか、彼女になった人に贈った曲。でも、結局はそれも自分のためかなって。
――まだまだ伺いたいのですが、最後にベスト・アルバムとそれを引っ提げた初の野外ライブを待っているファンの方にメッセージをいただければ。
GASHIMA:SHIROSE も言ってたんですけど、本当にベスト・アルバムもライブも入りやすいというか、食べやすいものにしようと思っているので、今まで音源は知ってるけどライブ に行ったことがないとか、YouTubeでは見てるけどアルバムを手に取ったことないという人のきっかけになればいいなと。今までライブに来てくれてる 人、音源を全部チェックしてくれてる人はもちろんなんですけど、気になってるけど手を出せないでいる人にはぜひぜひ、アルバムを手に取ってもらいたいし、 ライブにも遊びに来てもらいたいなと思ってます。そのための感謝価格ですから(笑)。
NIKKI:私は今年一番の楽しみなんですよ、このベスト・アルバムと野外ライブが。この準備ためにイタリアに行かないので。
――このために?
NIKKI:はい。もうこれをしっかり準備したいので。だから、必ず楽しい流れになると思うので、みんなも楽しみにしてもらえれば、間違いないです!
SHIROSE:僕、 9月22日(木)の直前までイギリスにいて、終わったらまたすぐ戻るんですよ。なので、今は頻繁にライブができないので、この日は特に地元ということもあ り、ベスト・アルバムの曲を披露できるすごい機会なんで、めっちゃ楽しみなんですよ。イタリアに行くのも、このライブで良いものを見せたいから、その修 行っていう意味もあり、ちょっと新しいものを披露したいと思っているので観に来て欲しいな。
――今の言葉からすると、もう構成などは固まってるんですか?
SHIROSE:肝 になるものは決まってるんですけど……。実は「恋バナ花火」という曲をベスト・アルバムのリード曲にする予定なんですね。ライブでの中心曲でもあって、こ の構成が「おおー!新しいな」っていうものになってると思うんです。その修行としてイタリアとか海外に行くので。それがどんなものなのかをぜひ観に来て欲 しいですね。ちょっと新しい画を作るんで。
――ライブは、構成などかなり細かに決めるようですね、フリースタイルではなく?
SHIROSE:そうですね。チームのみんなと話し合ってですが、結構しっかり決めますね。ある程度決めてないと自由になれないんですよ。全部フリーだと逆に自由じゃないんです。なんかルールが決まってる方が楽しいです。
――そういった部分も含めて、今回の野外ライブは新しいものを見せてくれると。
SHIROSE:「恋バナ花火」が肝ではあるんですけど、もちろん「ウソツキ」や「咲かないで」も歌うんで、そちらも楽しみに聴いて欲しいなと思いますね。
――最後と言いつつ話しが戻るのですが、SHIROSEさんは「ウソツキ」を歌うのが辛い時期があったとか。
SHIROSE:一度、YouTubeを消しましたからね、(メジャー)リリースする直前に。
――どうして辛くなったんですか?
SHIROSE:元々 プライベートな、家族愛のことを歌ってるわけじゃないですか。それが広まり過ぎたというか……この曲を聴くことで自分と同じように辛いと思う人もいるだろ うし、その辛さに曲が寄り添ってることもあるんでしょうけど、「ちょっと影響与え過ぎじゃないか?」って、歌えば歌うほど思えてきて。半ウツ状態みたいに なって、一度なしでやってみたいと。そういう時期もありましたね。
――今はちゃんと向き合って、歌えるように?
SHIROSE:そうですね。今、僕、世界一歌が上手くなりたいと思ってるんですよ。だから、これを歌えないとなれないなと。
――以前、GASHIMAさんが一番好きなボーカリストはSHIROSEさんとNIKKIさんだと話してて……。
SHIROSE:言ってましたよね、それ。すごく覚えてます。
GASHIMA:僕、そんなこと言ってました?
――言ってました(笑)。NIKKIさんが「彼がそんなこと言うのは珍しいからレアですよ」と。
NIKKI:レアです、それは! ほとんど聞いたがことない。
――その気持ちは今も変わらずですか?
GASHIMA:それは変わってないですね。どんな曲を聴いてもSHIROSEとNIKKIが一番良いなと思いますね。
NIKKI:安心しました。
WHITE JAM 撮影=kazuyatanaka
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