二期会史上初のR.ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』上演を記念してトーク&コンサート開催

2016.9.5
レポート
クラシック
舞台

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8月28日(日)、東京二期会主催『二期会プレ・ソワレ』がMy Space ASPIAアスピアホール(渋谷区幡ヶ谷)にて開催された。このイベントは、9月10日(土)から始まる二期会オペラ劇場、R.ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』の二期会初演(64年の歴史初めて)を記念してのトーク&コンサートだ。

時間になり、ピアニストの木下志寿子氏が『トリスタンとイゾルデ』の前奏曲を弾き始めると、ワーグナーの世界に会場全体がすぐに包まれていき、会場が温まったところでトークが始まった。

トークはメインゲストに映画監督・演出家の深作健太氏、聞き役に音楽ライターの井内美香氏という豪華なメンバー。深作監督は、2015年9月東京二期会『ダナエの愛』を演出され、初のオペラ演出にも関わらず大絶賛を浴び、2018年には同『ローエングリン』の演出も決まっている。

トークでは、深作監督の5歳の時に観た『スター・ウォーズ』の音楽の話から始まり、自身の体験をもとに、ワーグナー・オペラの魅力について語った。特に、大学時代にたどり着いた最初のオペラがワーグナーだった事、自身が携わった『バトル・ロワイアル』シリーズの映画と映画音楽の関係など他では聞けない興味深い話ばかりだった。『トリスタンとイゾルデ』をベルリンで聴いた時の衝撃体験の話は、観客から笑いがこぼれ、会場をすっかり和ませる話術も魅力的で、あっという間の50分間となった。

後半のコンサートではソプラノの田崎尚美氏がイゾルデ役、テノールの菅野敦氏がトリスタン役で、第2幕第2場の二重唱、そして第3幕のイゾルデの名曲「愛の死」を熱唱。不朽の愛の名作「ロミオとジュリエット」(シェイクスピア)と物語の源泉を同じくする『トリスタンとイゾルデ』は、ワーグナー・オペラの金字塔ともいえる作品だ。田崎、菅野の両名は『トリスタンとイゾルデ』の主役二人のカヴァー歌手であると同時に、11月の二期会公演 R.シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』でアリアドネとバッカス役に抜擢されている。二人の二重唱は圧巻で、一曲目から観客は目の前の2人にくぎ付けとなり、本番さながらの歌声の醍醐味を肌で感じていた。

東京二期会は、オペラを身近に感じてもらうことを目的に、こうしたトーク&コンサートを公演にあわせて不定期に開催している。常に実力あるフレッシュな人材も多く出演しているので、有望歌手のチェックができるのも面白い。

『トリスタンとイゾルデ』本番に向けて、より期待を膨らませる内容のイベントであった。9月10日の開幕が待ち遠しい限りだ。

公演情報
『トリスタンとイゾルデ』 オペラ全3幕 字幕付原語<ドイツ語>上演
 
 日時:2016年9月10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)
 会場:東京文化会館大ホール (東京都)

 指揮:ヘスス・ロペス=コボス
 演出:ヴィリー・デッカー
 管弦楽:読売日本交響楽団
 合唱:二期会合唱団
  曲目・演目: 『トリスタンとイゾルデ』 オペラ全3幕 字幕付原語<ドイツ語>上演

<10・18日出演>
 ブライアン・レジスター/清水那由太/横山恵子/大沼徹/今尾滋/加納悦子/大野光彦/勝村大城/新海康仁
<11・17日出演>
 福井敬/小鉄和広/池田香織/友清崇/村上公太/山下牧子/秋山徹/小林由樹/菅野敦

 

 

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