札幌にてSiM×NOISEMAKERが2日間にわたり激突 セレクトショップA.dore 10周年イベントで
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【A DOG HOUSE】NOSEMAKER x SiM
2016.08.30&08.31 【A DOG HOUSE】 SiM×NOISEMAKER 2MAN SHOW@DUCE SAPPORO
札幌のセレクトショップ「A.dore」(アドア)の10周年を記念して、8月30日、31日と2日間に渡り、『「A DOG HOUSE」SiM×NOISEMAKER 2MAN SHOW』がDUCE SAPPOROにて行われた。インディース時代からA.dore(アドア)と親交の深いだけでは言い表せない2バンド。キャパ300人、観客とバンドが0距離、ステージの汗が降り注ぐDUCEにて交互にトリを取った2度と無い奇跡の2日間を振り返る。
NOISEMAKER
DAY.1のトリはNOISEMAKER。
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
BGMがフェードアウトし暗転すると映画『AKIRA』のテーマ曲をサンプリングしたオープニングSEが会場に響き渡った。トップのSiMの余韻をかき消すかのように、新譜『ROAR』のリード曲である「Flag」を掲げ、イントロから大合唱が沸き起こり会場が大きな旗の様に揺れ動く。続けざまに「Mouse Trap」。身体に突き刺さる様なHIDE(G)のリフにYU-KI(B)のうねるようなベースライン、UTA(Dr)の跳ねるようなスネアが絡み合い、AG(Vo)のシャウトと共に全てが解き放たれ会場は2曲目にして灼熱となる。
ここでAGの「今日は伝説を作りにここに来た。明日を越えられない1日にしようぜ!」の号令とも言える言葉とともにミニアルバム『NEO』より「Her Diamond」をドロップ。ミドルテンポの出だしからAGの歌声が入った瞬間に一気に加速する曲調に会場は熱狂に包まれた。
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
AGの「まだ行けるだろ!?」の煽りから故郷である北海道を想い、歌い上げた「Point of Origin」、続くリアーナのカバー曲「Rude Boy」と続き、HIDEの重厚なギターサウンドが体を押し潰す「Minority」まで一気に駆け抜ける。ここでMCとなり、A.dore(アドア)との思い出を語る。
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
「気づけばこんな腐れ縁になると思いませんでした(笑)。俺たちは2年前に東京に出て来たんで、その時に住んでいた家ももう無いんですよ。そんな俺たちが札幌に帰った時は真っ先に帰る家みたいな、本当に心の拠り所です。いつだって心は繋がってるし、こうやって帰って来るし。そんな大切な場所、大切なふるさと、大切な記憶のある人へ、そしてA.doreへ。」とMCからメジャー移籍した彼らを代表する曲、「Home」のイントロが始まり、暖かみを帯びたAGの歌声と観客のシンガロングが一体となりその場に居る者全ての心を鷲掴みにした。
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
余韻の中、UTAのドラム繋ぎからミニアルバム『MAZE』より「DRIFTING CLOUDS」で歓声と大きな手拍子が沸き起こった。AGから旧知の仲であるSiMが横浜アリーナ公演を控えている事に対してNOISEMAKERからの思いを告げた。NOISEMAKERが今年の大きな目標と掲げている11月23日の恵比寿リキッドルーム初ワンマン公演を見据え、「俺たちは1つ1つ山を越えて行く。絶対に追いつく。それにはみんなの力も必要だ。そして高く羽ばたく!」のMCから「Butterfly」へ。
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
最後に選んだ曲は、今日と言う日に色々な思いが込められたであろう「One Way Letter」。観客はそれぞれの「One Way Letter」を胸に秘め大合唱となり、その想いをNOISEMAKERが大きな羽で包み込んだ。
鳴り止まぬ歓声の中、再び登場したNOISEMAKER。恒例となりつつあるUTAのおちゃらけたMCに、クールなHIDEも笑みを浮かべる。そして鍛え抜かれた上半身をあらわにしたYU-KIに黄色い歓声が上がる。AGの「滅多にやるもんじゃないとは思いますけど、この2日間めちゃくちゃヤバい日を作ればSiMもA.doreのみんなもオリンピックに併せてまたやろうよってなるかもしれない。あと2曲!全力でかかってこいよ!」の言葉に歓声が湧く。
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
オーディエンスの願いを叶えるかのように、インディース時代を代表する「PLATINUM SHOES」で、今ライブが始まったかのような盛り上がりを見せ、アンコール2曲目の「SOMEBODY WANTS DAYS YOU CLOSE」では、その日一番のクラウドサーフとシンガロングの嵐となり、2DAYS初日はNOISEMAKERへ軍配が上がった。
【A DOG HOUSE】20160830_NOISEMAKER
SiM
DAY.2のトリはSiM。
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
SEのサイレンがけたたましく鳴り響く中、メンバーが登場。最後にMAH(Vo)が登場するとサイレンをかき消す大歓声が上がる。妖艶な照明の中、現メンバーで初めてリリースした「ANTHEM」からの始まりで会場は瞬く間に大合唱となった。
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
曲の最後にMAHが高らかにシャウトしたかと思うと、まさかのSiMの代表曲とも言える「KiLLiNG ME」、MAHの「モンキーダンスしようぜ!」の煽りからSKAナンバーの「GUNSHOTS」で300人の腕が上下に大きく揺れ動く。そしてSKAやレゲエをミックスさせた展開の激しい「Amy」と続き、キラーチューンの連発でこの後の展開が怖くなる程の盛り上がりを見せる。
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
ここでMCが入る。「SiMはライブの日もOFFの日も基本単独行動でメンバーで飯に行ったりなんて全然しないんだけど、そんな俺らがですよ? 待ち合わせている訳でも無いのに自然とA.dore(アドア)に集まる。簡単に言うとそう言う場所と人達なんだ。そんなA.doreのみんなともNOISEMAKERのみんなとも会ったのは2009年。ある曲のリリースツアーでした。色々言いたい事はあるけどこの曲をやるのが一番伝わると俺は信じている。その時の曲から2曲。まずは「Murderer」。」
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
悲鳴の様な大歓声の中、GODRiがスティックをハイハットへ振り下ろす。MAHの圧巻のパフォーマンスで自分があたかも曲中に居るかの様な錯覚に陥り観る者全てを引きずり込む。この時ばかりはこの曲の底知れないエネルギーに恐ろしさを感じた。
そして「Set Me Free」と続き会場はクラウドサーフの嵐となった。息をつかせぬかの様に4th フルアルバム『THE BEAUTiFUL PEOPLE』からサイコビリー感満載の「MAKE ME DEAD」、近年の彼らを顕著に表している「Dance In The Dark」と、出会った頃の2009年から2016年の現在へと進むセットリストには脱帽させられる。
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
曲の終わりと同時に会場内に火災報知器が鳴り響く。余りの熱量に誤作動を起こしたようだ。今回のライブのタフな状況を物語っている。報知器が鳴り止む。
MAHがMCを続ける。
「今回のイベントは昨日今日決まったものじゃないんだよね。出会ってすぐの7年前にさ、10周年までA.doreはイベントやんないから。そんときは出てよ!って。昨日今日でその約束を果たす事が出来て本当に嬉しい。でも、大事なのって結果じゃなくて、まだ見ぬ未来の事を笑顔で語り合えた。そう言う関係でずっとずっと居られた事。幸せだなって思います。もし良ければ20周年もSiM、NOISEMAKERそしてA.doreの3マンをやりたいなと思います。それまでみんながんばります。そん時はみんな来てよ!!大切な曲を送ります。「Same Sky」」
曲中、MAHは何度も舞台袖に目をやる。そこには大切な人が居るのであろう。MAHの、SiMの気持ちが歌詞に乗り観る者に突き刺さる。
「札幌は本当に色んな事を経験しました。SHOW-HATEが倒れたのも札幌でした。人って死んじゃうかも知れないんだって思って、でもなんとかしなきゃって。きっとSHOW-HATEはすげー考えて、俺らも全力で待たなきゃって思ったし、それを越えて俺たちは今ここに立っています。みんなもなんかあっても転んでも良いから立ち上がれよ! 転ぶ事はカッコ悪くねーよ! 転んでも起き上がらねーやつがカッコ悪いんだ! この曲を送ります!「EXiSTENCE」!」
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
突き刺さるサビの歌詞とMCに心を打たれ凄まじいシンガロングが沸き起こる。ラストは「Blah Blah Blah」。MAHの「俺も振り絞るからさ!お前らも死ぬ気で来いよ!」の煽りから先程のシンガロング以上の熱量とクラウドサーフの嵐で会場はカオス状態に。
愛に満ちた狂気のステージは一旦、幕を閉じた。放心状態の観客が振り絞るいつもより少ないアンコールの声。再び登場したMAHが「無理しなくて良いよ?(笑)。」
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
言い切れる事なのだが、無理をしているのでは無く想像を絶するステージに全てを搾り取られた観客は声も出せない程に圧倒されていたのだ。それに気づいてかMAHが長めにMCをとる。
「店の宣伝を考えたらさ。広いところでやったら良いと思うの。でもさ、こう言う雰囲気。バンドの熱量を一番感じられるこの距離。ライブハウスはこれが当たり前だからね。そう言うのをみんなに知って欲しくてこの会場を選んだと思うんだ。おかげでこんだけキツいライブになったけど(笑)。みんなはここでしか味わえない事を教えてくれたA.doreに感謝して欲しいし、2日間併せて600人しか来れ無かった分、みんなにはそれを伝えて他の人に分け与えて欲しいんだ。宜しくお願いします。そんな感じかな。」
主催への気遣い、そしてライブハウスで育ったバンドらしいMCにMAHの、SiMの人間性が垣間見えた。
「こんなクソ疲れてるのに早口の曲を歌うの嫌なんですけど、、、「JACK.B」と言う曲を!」
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
観客は想像を良い意味で裏切られ、悲鳴とも思える歓喜の声が上がった。この日一番の、いや、2日間合わせて一番のクラウドサーフがそこかしこと起こり、会場は暴動の様な状態になる。最後はMAHが両手を前に出し手のひらを合わせ左右にかきわける。会場内全ての頭に浮かんだ「f.a.i.t.h」の5文字。
【A DOG HOUSE】20160831_SiM
既に余力など無い筈なのにの激しいウォールオブデスが起こる。イベントの最後を飾るに相応しい幕切れとなった。SiMがステージをさがった後も会場内では「やばい!やばい!なに今日?やばいって!!」と汗で全身がずぶ濡れの観客が笑顔で語り合っているのが印象的であった。
終演後はA.dore、SiM、NOISEMAKERがステージに上がり大抽選会が開催され普段では絶対に有り得ないサイン入りグッズなどが配られた。
3者の関係性が無ければ起こりえない愛に溢れた奇跡の2日間。2度と無いと主催のA.doreは語っていたがMAHとAGのMCに何かを期待させられる。
取材・文=岡崎 亘 撮影=半田安政(Showcase)
詳しくはA.doreの公式サイト(http://adore-snowcity.com)をチェックしてみよう。
2016.8.30 NOISEMAKER setlist
<アンコール>