BUCK-TICK 24年の時空を繋ぐ『CLIMAX TOGETHER』
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BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
『CLIMAX TOGETHER』とは、24年前から12年に1度という他に類を見ない時間軸で開催されている、非常にユニークなBUCK-TICKのライブタイトルである。『CLIMAX TOGETHER』の話をする前に、BUCK-TICKについて少し触れたいと思う。
BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
1985年に現メンバーで結成。1987年にメジャーデビューし、これまでにシングル34作、アルバム19作を発表してきた日本を代表するロックバンドである。
BUCK-TICKを語る上で特筆すべきことが2つある。それは、結成から現在に至るまで活動をし続けていること、そして、メンバーが変わっていないことだ。彼らと同世代のバンドを見ても、そのほとんどが一度は活動休止、または解散を経験している。そうした中で、30年以上継続した活動をし続けている上に、日本武道館や横浜アリーナといった会場を完売させることができる稀少なバンドである。
近年では、2012年に自身のレーベル“Lingua Sounda(リンガ・サウンダ)”を発足、2013年にはデビュー25周年を記念したドキュメント映画『劇場版BUCK-TICK〜バクチク現象〜』が全国上映された。また、2015年6月にはLUNA SEAが主催した『LUNATIC FEST. 』に出演するなど、フェスやイベントに対しても変わらぬ姿勢で積極的に参加しているのと並行して、毎年恒例となった日本武道館公演は今年で17年連続開催となるなど、長きに渡って継続している活動がある。来年迎えるデビュー30周年を目前に、デビューから10年間所属した古巣のビクターに20年ぶりに復帰し、その第1弾リリースとなるニューシングル「New World」は9月21日、ニューアルバム『アトム 未来派 No.9』を9月28日にリリースする予定だ。
BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
■『CLIMAX TOGETHER』とは何か
『CLIMAX TOGETHER』の第1回開催は、1992年の9月10日、11日の2daysであった。その12年後の2004年9月11日に第2回が開催されたのだが、92年当時に“12年に一度開催する”というアナウンスはなかったため、驚きのニュースとして話題になった。それからさらに12年後となった今年2016年の同日、3度目の開催となった今回は『CLIMAX TOGETHER 3rd』と銘打たれ、過去開催と同会場である横浜アリーナにて快演された。
こうして1992年から2016年まで、すべての公演が同会場・横浜アリーナにて開催されたことで、24年前と12年前の同じ日に、同じメンバーを、同じ場所で観ることを実現したのが『Climax Together』である。BUCK-TICKのギタリストである今井寿作曲の同タイトルの楽曲同様、バンドにとっても、ファンにとっても、関わる者皆にとって特別なものであることは疑いようがないだろう。
BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
■過去2回の『CLIMAX TOGETHER』では
1992年の『CLIMAX TOGETHER』が開催された頃、BUCK-TICKはその前年には名作『狂った太陽』を、その年の春には『殺シノ調ベ This is NOT Greatest Hits』を発表していた時期。幕越しにメンバーのシルエットだけが浮かび上がる中で「JUPITER」から始まった9月11日のライブは、その鮮烈なオープニングと、映像シューティングを目的と謳われたライブであったこと、そして、とてつもなく豪華な舞台セットとシューティングのためのおびただしい数のカメラ台数が印象的であった。
2004年開催時のタイトルは『悪魔とフロイト-Devil and Freud- Climax Together』。この日のライブでは、櫻井敦司の呼びかけで、当時3年前となる同時多発テロにより犠牲となった死者へ祈りを捧げた。また、終演後スクリーンに映し出された「すべての亡骸に花を すべての命に歌を」という言葉とこの日のライブ全体を通しても、愛を唄うバンド・BUCK-TICKから発信された非常に強くて深い、心に響くメッセージを持ったライブであった。
■そして、『CLIMAX TOGETHER 3rd』 へ
其処此処に飾られたシャンデリアが怪しく紫に照らされた会場。18時20分、幕越しにメンバーが登場し「SPEED」が始まった。貴公子然としたフリルをまとった櫻井をはじめ、シルバーのロングコートを閃かせた今井、衛兵の如くカッチリとした衣裳のヤガミ、そして白黒でコーディネートした星野と樋口らメンバーの煌びやかな装いと、ステージ上の巨大なスクリーンにある楕円の額縁の中に映し出される映像から、そこはまるで中世のお城での舞踏会のよう。「一緒に楽しみましょう」という櫻井の言葉で「MACHINE」へと続き、『狂った太陽』からの2曲で幕開けした。
BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
「エリーゼのために」「唄」「無知の涙」、そして一音鳴った途端に歓声があがった「羽虫のように」と続き、「ドレス」へ。櫻井の頭上では踊り子が揺らめく光の渦となって映し出されていて、その踊り子と櫻井の姿が同じ画面に映し出される演出が非常に美しかった。その世界観のまま「ROMANCE」ではシャンデリアが灯され、幻想的な空間が広がった。後半は「メランコリアーELECTRIA-」、「極東より愛を込めて」「Memento mori」と立て続けに盛り上がるナンバーを披露。照明、映像、そして炎といった特効による計算し尽くされた演出が曲ごとに盛り込まれ、この記念すべきライブを会場にいるすべての人が一体となって、楽しみ、歌い、祝っていた。
BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
本編最後の曲は「世界は闇で満ちている」だった。演奏が終わるまで、この楽曲でピアノを演奏した森岡賢氏の面影と演奏前に櫻井が語りかけた「人生を楽しんでいきましょう」という言葉を反芻し、亡き天才を偲んだオーディエンスも多くあったことと思う。
アンコール1曲目は「JUPITER」。24年前に見たあの日の映像がスクリーンに映し出されるのを目にしながら、現在の「JUPITER」を聴くというこの日のハイライトとも言える時空を繋いだ素晴らしい演出には誰もが心を揺さぶられたことだろう。また、ダブルアンコールでは今月リリースされる新曲「New World」も披露され、最後はライブのタイトルでもある「CLIMAX TOGETHER」で終演した。
BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
一曲一曲にその歴史を感じることができる、BUCK-TICKの魅力であるポップとダークな世界観がふんだんに散りばめられた新旧織り交ぜの2時間20分に及んだセットリストと、それを24年前と変わらぬ容姿端麗でステージに佇む5人が奏でた奇跡に13000人が酔いしれた夜となった。
1992年、2004年のライブでも言えることだが、BUCK-TICKのライブには常に最新のテクノロジーとハイセンスが導入されている。いまでこそ当たり前となってはいるが、2004年当時はまだ多用されていなかったLEDスクリーンを今回同様ステージいっぱいの特大サイズで起用していたことや、使用される映像のクオリティもそのスクリーンの使用法、そうした時代の先端を行くセンスや技をBUCK-TICKの楽曲に併せて惜しみなく披露しているのは特筆すべきポイントだろう。そして、何よりも照明が美しい! 見事である。
BUCK-TICK『CLIMAX TOGETHER 3rd』 撮影=堀田芳香
メンバー、そしてクルーのアートへの探究心の奥深さに毎回感心させられる空間芸術が行き届いたBUCK-TICKのライブ。その歴史の一部は、入手可能な映像作品で鑑賞することもできるが、まだライブ経験をしていない方には一見を強くお薦めしたい。
取材・文=早乙女‘dorami’ゆうこ 撮影=堀田芳香
2016年9月21日(水)発売
【初回限定盤B】(SHM-CD+特典映像DVD)
VIZL-1029 ¥1,980(TAX OUT)
【通常盤】(CD2曲収録)
VICL-37210 ¥1,000(TAX OUT)
2. Devil’s Wings –type2- 作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿
2016年9月28日(水)発売
【初回限定盤B】(SHM-CD+特典映像DVD)
品番 VIZL-1042 ¥5,480+税
【通常盤】(CD)
品番 VICL-64629 ¥3,000+税
2.PINOA ICCHIO - 躍るアトム - 作詞/作曲:今井寿
3.DEVIL’S WINGS 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿
4.El Dorado 作詞: 櫻井敦司 作曲:星野英彦
5.美 NEO Universe 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿
6.BOY septem peccata mortalia 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿
7.樹海 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦
8.THE SEASIDE STORY 作詞/作曲:今井寿
9.FUTURE SONG - 未来が通る - 作詞:今井寿・櫻井敦司 作曲:今井寿
10.曼珠沙華 manjusaka 作詞:櫻井敦司 作曲:星野英彦
11.Cuba Libre 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿
12.愛の葬列 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿
13.NEW WORLD - beginning - 作詞:櫻井敦司 作曲:今井寿
10月08日(土) 神奈川:よこすか芸術劇場
10月10日(月・祝) 千葉:市川市文化会館
10月15日(土) 奈良:なら100年会館 大ホール
10月16日(日) 兵庫:神戸国際会館こくさいホール
10月19日(水) 埼玉:川口総合文化センター リリアメインホール
10月23日(日) 新潟:新潟県民会館 大ホール
10月27日(木) 埼玉:大宮ソニックシティ 大ホール
10月29日(土) 長野:ホクト文化ホール(長野県県民文化会館) 中ホール
10月30日(日) 群馬:群馬音楽センター
11月04日(金) 福島:郡山市民文化センター 中ホール
11月06日(日) 宮城:東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館) 大ホール
11月09日(水) 東京:中野サンプラザホール
11月10日(木) 東京:中野サンプラザホール
11月13日(日) 東京:オリンパスホール八王子
11月19日(土) 栃木:栃木県総合文化センター メインホール
11月23日(水・祝) 福岡:福岡市民会館
11月26日(土) 大阪:オリックス劇場(旧:大阪厚生年金会館)
11月27日(日) 大阪:オリックス劇場(旧:大阪厚生年金会館)
12月01日(木) 神奈川:神奈川県民ホール 大ホール
12月03日(土) 広島:広島 JMS アステールプラザ 大ホール
12月04日(日) 香川:サンポートホール高松 大ホール
12月08日(木) 京都:ロームシアター京都(京都会館) メインホール
12月10日(土) 石川:金沢市文化ホール
12月17日(土) 北海道:札幌市教育文化会館 大ホール
12月22日(木) 静岡:静岡市民文化会館 中ホール
12月23日(金・祝) 愛知:日本特殊陶業市民会館フォレストホール(旧:名古屋市民会館)
12月29日(木) 東京:日本武道館
※ 3歳未満入場不可/3歳以上有料
※ 客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合があります。予めご了承ください。
※ 公演日当日に