Sky’s The Limit、Kのカバー「Only Human」でメジャーデビュー「この曲がなければここまでの僕らの活動はなかった」
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Sky’s The Limit
リアルオーディション番組『X FACTOR OKINAWA JAPAN』で初代グランプリを獲得し、2014年よりインディーズで活動してきた4人組ボーカルグループのSky’s The Limitが、2016年8月24日にシングル「Only Human」で念願のメジャーデビューを果たした。同曲は、2005年にシンガーのKが発表した楽曲のカバーで、Sky’s The Limitがかねてより歌い続けてきたゆかりの深い楽曲の一つ。メジャーシーンへ降り立つにあたり、彼らが果たしてこの楽曲とどのように向き合ったのか。また、彼らはどのようなアーティストなのか。その全容を、これよりお届けする。
――まずは、皆さんそれぞれで自己紹介をお願いします。
前田:沖縄県の本部町出身、リーダーの前田秀幸です。僕は小さい頃から沖縄民謡をやっていて、高校のときにはバンドを組んでいました。『X FACTOR OKINAWA JAPAN』で初めてボーカルグループを組み、今に至ります。
――沖縄民謡に親しみ出したきっかけというのは?
前田:僕の親がもともと好きだったのと、祖父が沖縄民謡をやっていた影響で僕もやり始めました。
――ミュージシャンとしての実績もかなりお有りですね。過去には一度CDデビューもされているということで。
前田:一番年上ということもあって、この4人の中では一番長く音楽活動しています。過去にはバンドとして一度全国デビューして、その後ソロとしても1枚シングルを出しました。
――そして、もう一人の沖縄県出身が大城さん。
大城:はい。沖縄県は西原町出身でございます。大城貴史、24歳、B型、さる年です。僕は5年前に音楽を始めて、アルバイトをしながらボイストレーニングを積み重ねていたんですが、ある時期から当時通っていた大学を休学して音楽活動に集中するようになりまして。オーディションを受けたり、自主的にライブを催したり、路上ライブをしたりとチャンスを探していた中で、『X FACTOR OKINAWA JAPAN』に出逢いました。個人的にはこのオーディションが最後のチャンスだと思い、これでダメなら大学に戻るという決意の中で参加しました。
――5年前に音楽を始めたのは、どういうきっかけからだったのでしょう?
大城:高校の学園祭や舞台で歌いたがる人っているじゃないですか。僕もそのタイプで。うちの高校はすごく生徒が多くて、舞台での出し物もたくさんの人が観てくれるんですけど、僕自身そこで歌ってみたらとても気持ちが良くて。それからですね、「人前に立って歌を歌っていきたいな」と思うようになったのは。
――経歴だけでも歌が大好きだということがひしひしと伝わって来ます。そしてプロフィールを見て、キャリアや歌に対する姿勢が大城さんと似ているなと感じたのが山本卓司さん。自己紹介をお願いします。
山本:はい。山本卓司です。グループの中で最年少です。大阪府の豊中市出身です。歌手を志したのは高校生の頃で、ストリートなどで音楽活動をしていました。当時はクラブやライブハウスでちゃんとライヴをすることがあまりなく、自分の出来る範囲での音楽活動をしていました。
――『X FACTOR OKINAWA JAPAN』に挑む前はフィリピンのセブ島に滞在していたそうですが、どういった目的が?
山本:大学に通うためです。もともとは小学校の先生を目指していて、その大学がセブ島にあったので。『X FACTOR OKINAWA JAPAN』にもセブ島からエントリーしました。友だちが「こういうオーディションあるよ」って教えてくれて、「絶対行くわ!」ってすぐに応募したんです。
――では最後に、若江さん。
若江:若江爵紀、現在29歳、大阪の吹田市の江坂出身です。オーディション前からずっと音楽活動はしていたのですが、プロになりたいとかは当初思っていなくて。自分がやりたい音楽をやって、大学まではスポーツに励んで、そのあと就職もしたのですが、『X FACTOR OKINAWA JAPAN』がきっかけで脱サラをして現在に至ります。
――お父様がジャズピアニストだったそうで。
若江:はい。だから一番最初に好きになった音楽もジャズでした。祖父もタンゴとかボサノバとか、古典的なラテンミュージックをやっていて、僕も自然とそういう音楽を中心に聴くようになっていきました。J-POPに触れるようになったのは、それよりも後ですね。僕らのプロデューサーの松尾潔さんが手がけていたCHEMISTRYさんや、MISIAさんなど、日本でもブラックミュージックを掲げるアーティストさんがヒットを続出していた頃に、聴きあさるようになりました。
――今の話だけでも、音楽に対していかにインテリなのかが伝わってきます。
若江:いえいえ、全然です。昔はアメフトをやっていたりしたので、むしろガツガツした部活少年的なキャラクターの方が強いなと自分では思います。
――そういえば、皆さん学生時代はスポーツに打ち込んでいたとか。
若江:はい。山本がサッカー。大城が野球と陸上、バレーボール。僕もアメフトと陸上をやっていました。
――前田さんは?
前田:中学校の頃はサッカー部に入っていました。小学校の頃はずっと吹奏楽部でしたね。土日も部活だったことでスポーツはもちろん、遊ぶ時間もなかったので、中学に入った当初は「もう部活はやりたくない!」って思っていました(笑)。
――およそ2年半に渡る活動を経て、8月24日に満を持してメジャーデビューされたわけですが、反響や実感はありましたか?
若江:沖縄や大阪の友だちから「○○店で、CD売り切れやったで!」という電話がかかってきて、嬉しかったですね。
前田:僕は先日、池袋のタワーレコードに行ってきました。実際にお店に自分たちのCDが並んでいるのを目の当たりにしたときは感動しましたね。「うわっ、あるー!」って。
――メジャーデビューすることを皆さんが知ったのはいつ頃だったんですか?
前田:今年の6月ぐらいですね。情報解禁とほぼ同じ時期だったと思います。
――その知らせを聞いたときの心境は?
若江:「遂に来たか……」と。
前田:全然冷静でしたね。
山本:嬉しい気持ちはもちろんあったんですけど、「これからSky’s The Limitはどう変わっていくんだろう……」という期待と不安が入り交じった感情がまず最初に浮かびました。
――拠点としている沖縄のファンの人からはすでにたくさんの祝福があったかと思うのですが、いまSky’s The Limitが支持されている所以は何だと思いますか?
前田:やっぱり歌で集められた4人なので歌に対する決意は強いです。それをファンの皆さんにも感じて頂けているのではないかと思います。別にビジュアルが取り立てて良いわけでも、身長が高いわけでもないですし、『X FACTOR OKINAWA JAPAN』で優勝した時点から「これからずっと歌で勝負していくんだな」と覚悟を決めていました。
山本:あとは、4人それぞれが違った歌声なんですよね。たとえばR&Bのグループなら、声質にまとまりがあったり、メンバー同士が似た趣味や思考を持っていることが多いと思うんですけど、僕らは聴いてきた音楽も、もっと言うならそれぞれが持っているキャラクターも全く違うから、それが魅力になっているとしたら嬉しいです。
――今回リリースされたメジャーデビュー作「Only Human」も、まさしく4者4様のボーカルが光る力作に仕上がっていますね。『X FACTOR OKINAWA JAPAN』のステージでも歌唱するなど、今やファンにとっても思い出深い楽曲かと思うのですが、皆さんは今回この楽曲にどのような気持ちで臨みましたか?
若江:『X FACTOR OKINAWA JAPAN』で「Only Human」を歌った当時、僕らはすでにソロとして落選し、Sky’s The Limitとして敗者復活戦に挑戦するという瀬戸際でした。落ちたときの本当に悔しかった気持ちや、それでもメラメラと燃え続ける気持ちが入り乱れる中、僕らはこの1曲に望みを懸けるしかなくて。本当にこの曲がなければここまでの僕らの活動はなかったも同然なので、今回新たに歌わせて頂く際も、あの頃に沸き起こった情熱をブラッシュアップしながら、メジャーという大舞台に負けないような強い気持ちを持って臨みました。
大城:曲をカバーさせてもらっていることへの感謝を忘れないようにしつつ、僕らの思いもぎっしりと詰まった曲なので、“これが僕らの「Only Human」だ”と胸を張って言えるように心を込めて歌いました。
――メジャー第一弾をあえてカバーで飾るあたり、Sky’s The Limitらしい潔さを感じました。
山本:ありがとうございます。『X FACTOR OKINAWA JAPAN』に参加していた頃から、インディーズ時代、そして今に至るまで、僕らはいつもカバーと共に歩いてきたので、メジャーデビュー作をカバーで勝負することになったのも、ある意味当然のことのように感じています。
Sky’s The Limit
――カップリングに収録されている「Only Human feat. K」では、楽曲のオリジナルであるKさんとのコラボレーションも実現しています。共演されてみていかがでしたか。
若江:まず、コミュニケーションがとても上手な方だなと。ユニークなことを流暢に言いつつ、いざというときにはピアノを弾きながら、先生のように音楽的なアドバイスもたくさん下さって。本当に素敵な方です。
山本:主題歌になっていたドラマ『1リットルの涙』もテレビで観ていましたし、ずっと前から尊敬していたアーティストさんだったので、共演出来たことが夢のようでした。
――ミュージックビデオでもKさんと共演されていますが。
若江:そうなんです。しかもロケ地が、Kさんの「Only Human」のミュージックビデオが撮影されたのと同じ中田島砂丘という場所で、当時ドラマ『1リットルの涙』を手掛けた関谷正征さんにプロデュースして頂きました。上空からドローンを利用した撮影もあり、本当に1秒1秒、濃い時間が流れていました。
――2曲目には、沖縄の先輩アーティストであるHYの名嘉俊さんが楽曲提供を行った「I know」を収録。この楽曲の制作経緯というのは?
大城:『世界の若者ウチナーンチュ大会』という、沖縄出身の方が世界中から集まる大会のテーマソングとして、名嘉さんに書き下ろして頂きました。大会のコンセプト的にも、沖縄の方にぜひ曲を書いて頂きたいと思っていたので、前々からご縁のあったHYさんにお願いしたら、ご快諾頂けました。
――元気になる曲ですよね。HY節炸裂といった感じで。
山本:家族愛をテーマにしてるので、共同生活をしてある意味“ファミリー”的に生活をしている僕らにぴったりの曲だと思いました。俊さんが僕らの特長をとってもご理解してくださっているということを、曲を通じてひしひしと感じました。
若江:「おかえり」とか「ただいま」とか、そういったフレーズが散りばめられているんですけど、僕らも沖縄からいろいろな場所にライヴをしに行ったりする中で、この曲と同じような気持ちで、お客さんとの距離を縮められたら嬉しいなと思っています。
――では最後に、メジャーでの抱負を聞かせてください。
若江:今までは沖縄を中心に活動してきたのですが、これからは全国47都道府県に可能な限り伺い、いろいろな方にお会いしたいです。9月には東京と大阪で初のワンマンライブを行うので、気を引き締めて歌を届けたいと思います。
前田:全国に僕らの歌が届けられるきっかけをメジャーデビューによって頂いたと思うので、自分たちの歌をもっと追求し、ジャンルを問わず色んな楽曲にチャレンジしていきたいです。メジャーデビューは、僕らにとって色んなアーティストの方々にお会い出来る機会でもあると思うので、そういった繋がりがたくさん増えるのも楽しみです。
大城:そしていつか、『紅白歌合戦』に出たいですね。おじぃとおばぁが沖縄の離島に住んでいて、普段はなかなかライブを見せることが出来ないので、元気なうちに孫が歌っている姿を見せたいです。
山本:恩返しですね。『X FACTOR OKINAWA JAPAN』に携わってくださった方々や松尾さん、家族や友だち、応援してくださる皆さんに、メジャーデビューしてめっちゃ売れることで、感謝の気持ちをお伝えしていけたらなと思っています。
取材・文=白原ケンイチ
※本記事の初出しの際に、若江爵紀さんの出身地に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。
誤)大阪の江坂市出身です。
正)大阪の吹田市の江坂出身です。
2016年8月24日発売
AICL-3129 ¥1,200(税込)