BUZZ THE BEARSがベスト盤をリリースへ 10年という月日の中で見えた自分らしさとは?
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BUZZ THE BEARS
10年というバンド活動の中で数々の苦労を経験するが、それでも諦めずに自分たちの音楽を信じ、走り続けた10周年という節目である2016年10月12日(水)に、ベストアルバム『BUZZ THE BEST』をリリースするBUZZ THE BEARS。自分らしさとは何かを追求し作り上げた、これぞBUZZ THE BEARS!と感じさせる新曲から始まり、今までの彼らの歴史が詰まった曲たちが収録された全24曲の今作は、まさに彼らの10年の集大成とも言える内容となっていた。バラエティ豊かな楽曲の裏側にある、彼らの音楽ルーツや楽曲制作のエピソードを交えて、今回のベストアルバムと、BUZZ THE BEARSが歩んできた10年について語ってもらった。
――2006年にファーストミニアルバム『緑の風』をリリースしてから、今振り返ってみてどんな10年間でしたか?
越智健太(Gt/Vo)(以下、越智):ずっと泥水にまみれてきた10年ではあったけど、その中でも水が凄く綺麗なところにも出会えた10年でした。
――泥水にまみれてきたとのことですが、どんな時が苦しかったですか?
池田大介(B/Cho)(以下、池田):CDが出せなかった時ですかね。
桑原智(Dr/Cho)(以下、桑原):もともと在籍してたレーベルでファーストとセカンドのCDを出したんですけど、そのレーベルを移籍して、そこから2年間CDをリリースしてなかったんです。その時は、ライブをしてもモチベーションが上がらずキツかったですね。ライブをしても、CDも物販も無いから、バンドの存在すらを忘れられるという事がありました。
池田:友達のバンドのリリースツアーとかに誘われて一緒にやる時に、俺ら以外のバンドが余計にキラキラして見えて、なんやコレ……みたいな悔しさがすごくありました。
桑原:ネットとかで「BUZZ THE BEARSって解散したんじゃなかったっけ?」みたいなことも書かれてて。そういう文面をずっと見ていて、「あぁ……みんなそう思ってるんや……」って思ってました。
――そんな中でも、10年間辞めずに今まで続けてこれた理由はなんでしょう?
桑原:正直辞めれなかったというのはありましたね。辞めれる状況じゃ無かったんです。レーベルを移籍してからも、その後の予定とか決まっていて俺らの意思だけで辞めれる状態では無くて。
池田:CDが出せるっていう話はあるけど、そこにいくまでにスムーズに辿り着けないっていう。
越智:そんな中でも“俺らは間違って無い! 絶対俺らの曲を聴いてもらったら大丈夫!”っていう想いがずっと強くあったんです。だから辞めなかった。
BUZZ THE BEARS
――10周年という節目にベスト盤をリリースしようという構図はあったのでしょうか?
越智:いや、無かったですね。お客さんから「今日のライブでやっていたこの曲とこの曲を聴きたいんですけど、それらが入っているCDは売っていますか?」って聞かれることが多くなってきたんです。それで、この1枚で今までの曲がもっとみんなの手に届きやすいようになればいいなと思って今回のベストアルバムを作りました。10周年という節目に“これぞBUZZ THE BEARSだ!”みたいなものを1枚出して、もっと多くの人に知ってもらって、また次のライブ行こうって思ってもらえるような物を作りたかったんです。ベストアルバムを出すことで、よく「辞めるんですか?」って言われたりするんですけど……そうではなくて、もっと先を見据えたベストアルバムになってますね。
――新曲である1曲目の「あなたへ」は、感謝やこれからもよろしくという気持ちと、新しいBUZZ THE BEARSを感じさせる楽曲でした。この曲はどのような想いで作られたのでしょう。
越智:“これぞ俺ら”みたいな曲を作ろうと思ったんです。でもそれがすごく難しくて、何曲作ったのか分からないくらい作りました。
桑原:今まではオリジナルアルバムだったので、作り溜めた楽曲の中からアルバム用に曲を選んで収録するという感じだったんですけど、今回は1曲目のために作った曲の中から選んでレコーディングするという形だったんです。候補として出来た他の曲も良かったのですが、“俺らっぽい”というのを考えると、この曲じゃないな、みたいな。
越智:今まで“俺らっぽい”というのを、そこまで深く考えたことが無かったんですよね。今までは、新しいビートとか、そういった要素などを取り入れてみたり、新しいことに挑戦しながらアルバムを作ってきたんですけど、原点に戻って“俺らとは? みんなが聴いて俺らっぽいと思うのはなんだろう?”というのを考えながらコード進行を作って。そのコード進行で何個もメロディーを作ったんです。そして最終的には言葉と一緒に出てきたメロディーに決まりました。そうして新曲の「あなたへ」は、10年間やってきた“BUZZ THE BEARSっぽい” “BUZZ THE BEARSの新曲いいよね”って言われる様な曲に仕上がったんじゃないかなと思います。
BUZZ THE BEARS
――このベストアルバムを最後まで通して何回も聴かせてもらいましたが、聴き疲れるということが一切無く、それでいてライブの様な疾走感があって……全曲聴き終わるとまるでライブを見た後のような爽快な気持ちになりました。
池田:おっ! そうなりましたか。このアルバム74分くらいあるんですよ。曲順もけっこう考えてて、最後の方とか惰性で聴いてしまうような曲順になるとしんどいなと思ったので、ライブをイメージした流れで決めていきました。
越智: 24曲のワンマンライブととらえて、前半はグワーッと盛り上げて、中盤は聴かせたいところにしようと「バラード」のアコースティックバージョンで一息入れてから、後半はまた盛り上がっていくっていうような飽きない流れを気にして曲順を組みました。
桑原:ライブ盤みたいなイメージもあって、ライブでよくやってる曲を中心に入れたり、お客さんからリクエストがあった曲を入れたり。CDというよりライブというイメージが強いですね。
――普通のベスト盤にしたくないという気持ちがあったのですね。
池田:普通のベスト盤だと、今までのシングルの曲とかも絶対入っていると思うんですけど、今回の僕たちのベスト盤では入ってないシングルの曲もあったりします。僕たちのライブを見てCDを欲しいって思ってくれた人が喜んでくれるような曲を入れました。
――「サンライズ」「雪慕情」「サクラ」「羽根」「ひまわり」は、新たにレコーディングされていますが、再レコーディングしようと思った理由はなんだったんですか?
越智:「ひまわり」は収録されたCDが廃盤になっているというのと、今改めて音源を聴いたら、今の感じの音でやりたいなと思って録り直そうと決めました。「サクラ」や他の曲も、同じくです。
――このベストアルバムで想い入れの強い曲はありますか?
池田:「ひまわり」ですかね。バンドを組んでCDを出したのが2006年なんですけど、それよりも前からあった古い曲なので想い入れは強いですね。多分10代の頃からあったと思います。この曲は、たまにライブで演奏したりしてますが、音源はもう手に入らない状態なのに、割とみんながリクエストしてくれるんです。
越智:前のツアーファイナルで、お客さんに無茶振りでもいいから聴きたい曲ってなんですか?ってリクエストを募ったら、1位が「ひまわり」だったんですよ。
池田:ライブで「ひまわり」を演奏して、お客さんから「良かったです!」って言われるのですが、CDが無いので途中からあんまり演奏しなくなったんです。それでも、根強く好きと言ってくれるのは嬉しいですね。なにか力がある楽曲なんだと思います。
―― このアルバムの24曲全て個性的で、中でも9曲目の「ダーリン」は大人な雰囲気が漂うコード進行、12曲目の「月明かり」はJ-POP要素もあるように感じたのですが、みなさんのバックグラウンドにはどんな音楽があるのでしょうか。
桑原:入り口はみんなJ-POPですね。僕は出身が愛媛県なんですが、攻撃的な音楽はあんまり無かったし、聴いてる人もそんなにいなかったのでJ-POPばかり聴いていました。
――なるほど。別のインタビューなどで越智さんはB’zを聴いていたと聞いたことがありますが。
越智:そうですね。だから「月明かり」は、内容的に僕の中ではB’zの「LOVE PHANTOM」なんです。曲調じゃ無くて(笑)。「LOVE PHANTOM」の内容的なことをキャッチーに陽気に楽しく歌ってみようかなという、曲調は全く違うのですがイメージはそういう感じになっています。
BUZZ THE BEARS・越智健太(Gt/Vo)
――曲を作る時はメロディーが先ですか? それとも歌詞が先ですか?
越智:メロディーが先というのが多いです。歌詞から先に出来ることはほとんど無いですね。
――8曲目の「シェアタイム」を聴くと、コードとメロディーと歌詞がバシっとハマっていて、この曲はメロディーと詞を同時進行で作ったのかな?と思いました。
越智:「シェアタイム」は、先にサトシ(桑原)がメロディーを作って、詞は僕が書きました。
――最初にメロディーだけを聴いた時に、夏の海辺をドライブしているイメージが出てきて、そのあと歌詞を聴くと詩とメロディーがベストマッチしていました。
越智:この曲は、メロディーが出来たときにそんな感じだったんです。これはこうでしょう!みたいな。
――なるほど。改めて今までの曲が入ったこのベストアルバムを自身で聴いて、何か感じたことはありましたか?
桑原:いい歌が多いなって思いました。
越智:なんというか、“74分間BUZZ THE BEARS!”って感じる、すごい濃密な時間だなって思いました。1回通して聴いたとき「すごい濃い! これは堪能してもらえるね!」ってみんなで話してたんです。
池田:「これだけボリューミーだと、おなか一杯にならないかな? これで満足してライブ来てくれへんのちゃう?」みたいな心配すらありました(笑)。
――11月から始まるツアーもこのベストアルバムにちなんだ曲を演奏されるのですか?
越智:そうですね。勿論そのつもりです!
――最後にツアーに来られるファンの人たちへメッセージをお願いします。
越智:今年初めて、今までお世話になったバンドや友達とかみんなに、俺やサトシ(桑原)の地元である愛媛県のいい所をたくさん知ってもらいたいなと思って、10月29日(土) に『愛媛無双2016』というタイトルのサーキットイベントをやるんです。その後、ツアーのファイナルでは大阪で結成したバンドとして大阪BIG CATでワンマンライブをやります。BIG CATをソールドさせる気でガッツリとツアーを回っていこうかなと思っています。10年間やってきたどっしり感と、俺らがメインだ!っていうようなライブを見せたいし、たくさんの人達と楽しめたらいいなと思ってるんで、是非みなさん遊びに来てください。
インタビュー・文=けんじろ~ 撮影=K兄
日時:2016年10月10日(月・祝)
会場:名古屋CLUB QUATTRO(愛知県)
出演者:BUZZ THE BEARS/花団 オープニングアクト:ヤバイTシャツ屋さん/MC:田原”104”洋
BUZZ THE BEARS presents 愛媛無双
日時:2016年10月29日(土)
会場:松山市内3会場
出演者:BUZZ THE BEARS / AIR SWELL / Cold Retriver / FEELFLIP / HOTSQUALL / innocent / KNOCK OUT MONKEY / locofrank / LONGMAN / My Hair is Bad / Northern19 / NUBO / PAN / PRAY FOR ME / Rhythmic Toy World / SABOTEN / SECRET 7 LINE / アルカラ / ガガガSP / グッドモーニングアメリカ / 忘れらんねえよ
BUZZ THE BEARS"BUZZ THE BEST TOUR"