『ハンサム落語』第八幕が11月に開幕! 初登場の小笠原健インタビュー

2016.9.22
インタビュー
舞台

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古典落語を現代風にアレンジした舞台『ハンサム落語』。若手実力俳優たちが着物姿も美しく、「男花魁(おとこおいらん)」という華やかな世界観で、名作落語を2人1組の掛け合いで演じる。スタートは2013年2月、今回で早くも第八幕を数えるというこの人気公演に、今回初登場するのが小笠原健。2,5次元舞台から時代劇、またライブ的な作品まで幅広く活躍している彼に、この作品初出演の期待を聞いた。

衣裳の華やかさとあいまっていつもと違う雰囲気に

──この『ハンサム落語』への出演が決まったときの気持ちは?

まずはびっくりしました。「ハンサム」?「落語」? 僕でいいの?みたいな(笑)。

──出演者は皆さん、美しい男花魁になるわけですが?

美しいかどうかは別にして(笑)、こういう感じの着物の着方は一度やってみたいなと思っていました。花魁風に着るなんて、あまりやったことのない着方ですから。

──ビジュアル撮影で実際に着てみていかがでした?

自分で言うのもなんですけど、意外とセクシーになったなと(笑)。もかなり気に入ってます(笑)。

──落語というジャンルへの興味は?

僕はテレビで長瀬智也さんが落語家になるドラマ『タイガー&ドラゴン』(05年)が好きで観ていたので、入り口程度の知識はありました。でも実際に落語をやるとなると、かなり難しいだろうなと。それに本来は落語って1人でやるわけですから大変ですよね。でもこれは2人で組んでの掛け合いということなので、漫才のようでもあり、楽しくできそうだなと思いました。

──その相方も日替わりで、何人かの方と組みますね。

そこが心配なんです!実は僕は林明寛さんと組む回が多いんです。すごく仲が良いのですが、ちょっとキャラ的に似てるんです(笑)。どうなんでしょうね?(笑)まあ、噺の中には色んな役が出てきますから、きちんと演じ分ければいいのですが。

──言葉自体も江戸時代の言い回しとかですから難しいでしょうね?

僕も客席で観ていて、皆さんよく言いこなしていますよね。よく知っている俳優たちも出ていたんですが、あの衣裳の華やかさとあいまって、いつもと違う雰囲気になっていて素敵だなと、すごく感動しました。

──落語は内容も日本人の心情に訴えかけるものが多いですね。

日本の伝統文化を伝えるわけですから、とても大事な世界だと思います。古い文化はどんどん忘れられていったり、消えていってしまう。でもそれを若い力で、こういう面白いものがあるんだよと伝えることができれば。大きな話になりますが、2020年のオリンピックに向けて発信するくらいの気持ちでいいのではないかと(笑)。

──いいですね!外国の方にも受けると思います。

男花魁のビジュアルから入ってもらって(笑)。字幕で内容も解説すれば「ジャパニーズ・ラクゴ!」と喜んでくれそうですよね(笑)。言ってみれば落語を新しい形で観せていく作品ですから、ここから日本文化の良さを伝えられるんじゃないかと思います。

本物の落語とはちょっと違うけれど新しい面白さがあるねと

──落語を通して俳優としても発見があるのではないかと思いますが、どんなことを心がけて演じたいと?

いつも僕は、役の思いとか演じる役の人生とか生き方とかを、お客さんに届けたいと思っていて、こういう思いで生きていた人がいたんだよと、そこを届けるために役者はいるんだと思っているんです。それから、落語などはとくに歴史ある世界で、落語家さんになっても、ある程度認められるまで高座になかなか上がらせてもらえないわけですよね。それを僕たちはこういう公演でやらせてもらうわけですから、とにかく失礼のないようにと思っています。

──確かに、ある程度修業してからでないと出られない世界ですね。

そこを僕らは俳優として演じるので、ちゃんと勉強して取り組まないといけないと思っています。

──俳優としては、落語の中で何役も演じることで引き出しになりますね。

本当にそうです。男から女に変わったり、親方から弟子になったり、そこはとても勉強になると思います。演じ方も色々チャレンジしてみたいなと思うことも沢山あって、あれこれ考えているところです。でも笑っていただきたいのと同時に、落語本来の「噺」の面白さをちゃんと伝えることも忘れないようにしたいなと。笑いの中にどれも深いお話ばかりですから。もし本当の落語家の方が観にいらしたときに、「若いのにちゃんと勉強してるね」と、「本物の落語とはちょっと違うけど新しくて面白いね」と思ってもらえたらいいなと。

──今回「第八幕」で、もう八回目ですが、落語の新しいジャンルとしても定着してきていますね。

そういう意味でも、ここまで築いてきた方達はすごいなと思います。同年代の人も多いですし、良い意味でしのぎを削り合えればいいなと。そしてできれば「第八幕」が一番面白かったねと言ってほしいですね(笑)。がんばらないと。

──噺の枕もそれぞれが考えるわけですが?

僕はアドリブ系は得意ではないので、そこはしっかり固めておきます(笑)。意外と心配症なので(笑)。

──そうなんですか?舞台の上では押し出しよく見えますが?

スイッチがうまく入ると大胆になれるんです(笑)。

──最後に大喜利というお遊びもありますね。

そこはいけるかなと。けっこう僕はいじられキャラなんです。意外とカワイイところがあると思うので(笑)、そこをいじってもらえれば、お客さんに「カワイイ」と思ってもらえるのではないかと思っています(笑)。

眼で耳で五感で楽しんでいただきたい!

──作品も幅広く色々なフィールドで活躍中ですが、役者さんである面白さというのは?

なんか、ドキドキするんですよね。舞台に立っているとドキドキするんです。それが好きなんです。僕は緊張することが大嫌いで(笑)、だから舞台袖では「やだな、緊張するな、出たくないな」と思っているんですけど、いざ舞台上に出て、稽古でやってきたことがうまくいくと、ドキドキするというかゾクゾクするというか。

──高まっている?

そう、高揚します。それが好きですね。とくに最近そうなりました。昔はドキドキするのもいやだったんですが(笑)、少しずつ慣れてきたのでしょうか。ドキドキが楽しくなってきました。

──経験とか自信がついたのでは?昨年の『新版 義経千本桜』での碇知盛など、とても評判がよかったですね。

いや、まだまだです。あとから「ああすればよかった」とか、反省することばかりで。役者って数字が見える仕事ではないので、その中でどう評価されているかとか、気にならないわけではないんですが、でもゴールのない仕事なので、今目の前のことを一生懸命にやりながら、舞台の上でドキドキしたいなと思いますね。

──これからやってみたい役とかありますか?

僕はオバカキャラか、熱血キャラが多いんですが、今年テーマにしているのが「セクシー」で、ちょうど30歳になったことですし、大人の男の色気を出せればと。そこを磨きたいですね。

──この公演でちょうど磨けますね。

落語自体、色気のあるものが多いですからね。この公演をステップに大人の30代に踏み出せたらいいなと。

──最後に公演への意気込みを。

演出のなるせ(ゆうせい)さんとは、今年、『ヒストリージャパン』という舞台でご一緒していて、その舞台は漫才で僕は初めての経験で、すごく色々勉強になったんです。今回もなるせさんの演出で初落語で、またすごいチャンスをいただいたなと。ふだんの2時間のお芝居とはまったく違う形で、4つの噺の中で色々なキャラクターを演じるという、とても大きなチャンスをいただいたわけですから、俳優としても更にステップアップしたいなと思っています。そして観にいらっしゃるお客さんには「俺が一番セクシーだろ」と(笑)。まあ、キャスト全員そう思っていると思いますが(笑)。でもそういう素敵な仲間と一緒にがんばりますので、お客さんも『ハンサム落語』の世界を、眼で耳で五感で楽しんでいただきたいです。

おがさわらけん○1986年生まれ、愛知県出身。最近の舞台はタンバリンステージプレゼンツ『鬼切丸』(15年主演)舞台『神様のおしごと』(15年主演)舞台『下天の華』(15年主演)30-DELUX 『新版 義経千本桜』(15年)Tk project vol.1『SOLLADO』(15年)舞台『のぶニャがの野望 幸村と五輪の剣』(16年主演)舞台 『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和 デラックス風味』(16年)『ヒストリーズ・ジャパン 2016ver』(16年)舞台『下天の華 夢灯り』(16年主演)水木英昭プロデュースvol.20『眠れぬ夜のホンキートンクブルース 第二章 ~キセキ~』(16年)ミュージカル『雪のプリンセス』(16年)など。

 

〈公演情報〉
 

『ハンサム落語』第八幕

脚色・演出◇なるせゆうせい
出演◇磯貝龍虎 / 小笠原健 / 植田圭輔 / 碕 理人 / 西山丈也 / 林 明寛 / 
平野 良 / 宮下雄也 / 吉田友一 / 米原幸佑(50音順)
●11/1~6◎東京 CBGK!! シブゲキ
●11/11~13◎大阪 テイジンホール
〈料金〉5,700円(税込)
〈HP〉http://www.clie.asia/hr8/


【取材・文/榊原和子 撮影/アラカワヤスコ】