キングオブステージ・RHYMESTER、パンクキッズにヒップホップの極意を伝導
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RHYMESTER
山人音楽祭2016 【赤城ステージ】 RHYMESTER
これまでも数々のヒップホップアクトを迎えている山人音楽祭。4回目の開催にして遂に日本語ヒップホップシーンのレジェンドであり、現役のトップランカーでもあるRHYMESTERを榛名山の麓に迎えることとなった。
揃いの白ジャケットで登場した宇多丸、MUMMY-D、DJ JINの3人がオープニングナンバーとして選んだのは「ONCE AGAIN」。初っ端からコールアンドレスポンスでフロアを温める。
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そして、「まだ昼間ですけど縦にノリますか!」というMUMMY-Dの合図と共に、DJ JINが間髪入れずに「Still Changing」のビートで鋭く切り込む。一聴してすぐにそれと分かるMUMMY-Dのクールなラップと、ヒップホップに馴染みのないパンクキッズには文化人としてのイメージが強いかもしれない宇多丸の、重量感のあるラップは何年経っても衰えないどころか、年を経るごとに説得力を増している。ライブ後半に宇多丸が「今でも若手に脅かされながらやっているけど」なんて自嘲気味に語っていたけど、いやいや、これは容易に追いつける次元ではない。パンクキッズが多いであろうフロアからも数え切れないぐらい拳が挙がっている。格好良い音楽は簡単にジャンルの壁を越える。ここにいるキッズはそのことを本能的に分かっているんだ。
さらにキングオブステージの異名をとる3人。『山人音楽祭』の性格とフロアの様子を把握した上で、ヒップホップの基本的な解説を始める。まず、DJ JINがJohnny Pete「Shaft in Africa」のレコードをかけ、フロントの2人が軽くノッてみせる。このレコードから使いたいビートを抽出してクリエイティブな音楽にしていくのだ。これはまるで、米ドラマ『ゲット・ダウン』の日本版。普段、クラブでやってるライブでなら野暮以外の何物でもないが、こういう現場だからこそ響くし、かなり効く。現にこの後にプレイした「ライムスターイズインザハウス」にフロアは大きな盛り上がりを見せた。フロアに媚びるのではなく、あくまでもヒップホップマナーに則って音と言葉を投げつける姿は実に凛々しい。
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こうやってフロアとの距離を詰めたあとに放り込んでくる日本語ラップクラシック「B-BOYイズム」が響かない訳がない。約20年前のトラックとリリックが、2016年のパンクなフロアをクッと掴む様子がたまらない。こうなればあとは3人に身を任せるだけ。「The Choice Is Yours」~新曲「スタイル・ウォーズ」とプレイし、3人は堂々とステージを後にした。
レポート・文=阿刀“DA”大志 撮影=HayachiN
RHYMESTER
1.After The Last-Intro
2.ONCE AGAIN
3.Still Changing
4.ライムスターイズインザハウス
5.B-BOYS イズム
6.The Choice Is Yours
7.スタイル・ウォーズ