「バンドがすごく楽しい」平均年齢18歳の3ピースバンド・リーガルリリーから放たれるリアルな言葉
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リーガルリリー 撮影=菊池貴裕
たかはしほのか(Vo/G)、ゆきやま(Dr)、白石はるか(B)で結成された、3ピースガールズバンド・リーガルリリー。18歳とは思えないライブパフォーマンス、そして、現実なのか空想なのか……不思議かつ刺激的な詩世界・楽曲はどのようにして生まれているのか。作詞作曲を担当している、たかはしほのかの頭の中は一体どうなってるんだろう? そんな謎を解消すべく彼女たちに様々な疑問をぶつけてみた。その中で印象的だったのが、インタビュー時に何度も出てきた「バンドがすごく楽しい」というなんとも真っ直ぐなひとこと。撮影時もインタビュー中も、ちょっとした移動時さえも最大限に楽しむ彼女たちが発する、18歳のリアルな言葉をお届けします。
――アーティスト写真の印象から、どんなキュートでガーリーな世界観のバンドなのかと思ったら……1stアルバム『the Post』を聴いてたまげました。最高にロックじゃないですか。おまけに、まだ10代で結成して2年って。驚きが過ぎます。
たかはしほのか(以下、ほのか):ありがとうございます。
――オルタナとかグランジの影響を感じつつ、でもメロディは綺麗で、曲によってはブルージーな色もあったりしますけど、すべての作詞・作曲を手掛けるほのかさんのルーツは?
ほのか:最初はニルヴァーナとかが好きでした。
――カート・コバーン(Vo/Gt)は、ほのかさんが生まれる前に亡くなっているわけで……どういうきっかけで知ったのでしょう。
ほのか:お母さんが大好きで、その影響で弟も好きで、よく車でかかっていたんですよ。でも、私は最初興味がなかったから全然聴いていなかったんですけど……高1のころに男の子たちとバンドを組んで。そのメンバーの影響がすごくあると思います。ニルヴァーナとか、いろんなバンドを教えてもらったし。それで、お母さんに「ニルヴァーナっていうバンドが超カッコイイんだよ!」って話したら、「それ、いつも車でかけてるから」って言われて(笑)。
ゆきやま:それ面白い(笑)。
ほのか:そのうち、自分らしいバンドを組みたいなと思うようになって、まずは弾き語りをしながら、少しずつ仲間を見つけていこうと。
白石はるか(以下、はるか):桃太郎みたいにね(笑)。
ほのか:そうそう(笑)。それで、高2の6月に私がひとつ下のはるかちゃんを誘ったんです。
はるか:私とほのかちゃんは2~3回対バンしたこともあり、知り合いっていう感じだったんですけど、「バンドやりたいんだけどベースやってくれない?」っていう連絡がいきなりほのかちゃんからあって「うん、やる」って。
――即決だったんですね。
ほのか:本当にすぐ返事をくれて。一緒に音を合わせてみたら、ベースが上手くてびっくりしました。「これがベースなんだ」って思いましたもん。
――それまでも、バンドはやっていたのに。
ほのか:その前にやっていたバンドのベーシストは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー(B)に憧れすぎて、ハイポジションの音しか使わないし、音も硬いし、スラップばかりする人だったので(笑)。
はるか:私は私で、最初にスタジオに一緒に入ったとき、いきなりほのかちゃんが新曲を持って来て、アイデアがその場でぽんぽん出てくるから……すごいなって思ってました。
リーガルリリー・たかはしほのか(Vo/G) 撮影=菊池貴裕
――閃き力がすごいと。
ほのか:そう、私って閃きですぐ行動しちゃうんです。
はるか:それがね、すごく楽しかったんですよ。「そっちかい!」って思ったりするのが(笑)。
ほのか:私も、はるかちゃんと音を出すのは楽しかったんですよ。でも、はるかちゃんはそのとき、小学生のころから組んでいるちゃんとしたバンドをやっていたから……やっぱり誘えないなと思って、別のベーシストと組んだんですね。ちなみに、ゆきやまもはるかちゃんと同じく同級生とか同じ学校の友達ではないんですけど、やっぱり対バンをしたことがあったから誘ったら……一度断られたんですよ。
ゆきやま:桃太郎からのせっかくの誘いをね(笑)。そのときは、コピーバンドを組んでいたので。でも、その後ずっと後悔していたんですよ。それまで自分はコピーバンドをずっとやっていてオリジナルバンドを組んだことがなかったから、「やっぱり楽しそうだな、なんで断っちゃったんだろう」って。だから、しばらくして自分から連絡をしたんです。
ほのか:そのときはサポートドラムを入れて活動していたんですけど、「もう本メンバー決まっちゃった?」ってね。
ゆきやま:そうしたら、「まだ決まってないよ」って言うから……「やってみたいな」って。
ほのか:そして、2014年の8月から私とゆきやまと前のベーシストの3人でリーガルリリーを始めたんです。
ゆきやま:9月に初ライブをしてね。
ほのか:でも、すぐにベースの子が家の事情でバンドができなくなったので……。
はるか:私がサポートを頼まれて。10月のハロウィンあたりのライブからだよね。
ほのか:そのまま、2015年の1月とかはまだサポートなのに十何本もライブに出てもらって。
はるか:自分のバンドと掛け持ちしつつ。でも、自分のバンドが3月に解散してしまって、ほのかちゃんとゆきやまがまた誘ってくれたから、4月に正式メンバーになったんです。
――すると、お互いにしっくりきましたか。
ほのか:そうですね。なんていうか……すごく“バンドやっている感”があって。
ゆきやま:うん、あった。本当にしっくりきました。
はるか:私は、ゆきやまの叩き方がすごく好きで。ライブで後ろを見たとき、めっちゃカッコイイって思ったのを憶えてる。
ゆきやま:……嬉しいじゃん。照れるけど(笑)。
――なにか決めたことなんかもあるんですか?
ゆきやま:それは特になくて……。
ほのか:私がやりたいものをやる、っていうくらい(笑)。
はるか:そう。それが好きだからね、私たちも。
ゆきやま:うんうん。
リーガルリリー・白石はるか(B) 撮影=菊池貴裕
――ただ、リーガルリリーとして表現するにあたって、プレイヤーとしてはそれぞれ高いレベルを求められますよね。
ゆきやま:そうなんですよね。好きなんだけど、それを表現するには練習をたくさんしないといけないっていう。
ほのか:私自身もそうで、へたくそだから練習しなきゃって(笑)。
はるか:でも、ライブをしているときは楽しいよね。
ほのか:そうそう。ついテンションが上がっちゃうよね。あと、音源を作るときも楽しい。
ゆきやま:新曲できたときとか、CDできたときとか、CDのジャケを決めているときも楽しいしね。
はるか:うん。バンドがすごく楽しい。
――その純粋さ、音にすごく表れています。なお、『the Post』を作るにあたっては、テーマがあったりしたのでしょうか。
ほのか:実は、はるかちゃんがサポートで入ってからすぐ、ミニアルバムを出しているんですけど……。
はるか:10月にサポートで入って、1か月くらいでレコーディングして、クリスマスにはレコ発ライブをしたもんね。
ほのか:そうそう。当時の自分としてはめいっぱい頑張って作ったわけですけど、最初と最後は弾き語りの曲で、バンドの曲は4曲くらいしか入っていないとか、100%納得いっているわけではなかったので……今回のミニアルバムは、ちゃんと今の自分たちを詰め込んだものにしたいなと思っていて。
ゆきやま:うん。今回は、すごく自分たちらしいものにできたよね。
はるか:プリプロをちゃんとして、アレンジを練ることができたし。
ほのか:そうだね、そこが前とは違う。それでも、その場で浮かんできちゃったものだけど(笑)。
ゆきやま:「White out」なんか、レコーディング前日に曲ができたしね。あれはビックリした(笑)。
はるか:だから、直前にアレンジを考えて、スタジオで合わせてね。
ほのか:でも、やってみたら案外いけたっていう(笑)。
はるか:意外に、大変ではなかったよね。
ほのか:大人に怒られるようなことはしちゃいましたけど(苦笑)。
――でも、軽やかな風の中で切なさを感じるような、また新しい表情を見ることができる曲になりましたから。
ゆきやま:うん。すごく良い曲だし、好きな曲です。
――なにしろ、閃き力とそれをどんな状況でも形にしていく力というのは、リーガルリリーの武器だなと。一方、歌詞は……夢心地でふわっとしているのかと思うとドキっとするような鋭い言葉があったりとかして。ほのかさんの頭の中、どうなっているんだろうなって思うんですよね。
ほのか:何も考えていないんですけど……たとえば自転車に乗っているときとか、歩いていて信号機が視界に入ったときに思いついたりとか。
――歌詞に関しても、閃くまま、思いつくまま書いているというか?
ほのか:ですね。何の前触れもなく、パっと言葉が出てきたりするので。でも、たとえば「リッケンバッカー」とかは、自分なりにあんまりふわふわしていないというか、まとまった曲だなって思うんですよ。
ゆきやま:わかる。昨日、ちょうどそう思ってた(笑)。でも、この曲を最初に聴いたときは衝撃を受けました。
――<おんがくも人をころす>とか、<おんがくよ、人を生かせ>というフレーズにしても。
はるか:他の曲でも強めの言葉、刺さるような言葉があるけど、私はそういう言葉を書くことってできないし……。
ゆきやま:みんな避けたいもんね。
はるか:そうそう。それをできるほのかちゃんは、本当にすごいと思う。
――しかも、そこにはなんのてらいもないっていう。「魔女」のサビの破裂の仕方も凄まじいですよね。かといって、衝動的に突き抜けるわけでもなく、幻想感や空想感も混ざっているから……本当に無比だなと思うわけです。
ゆきやま:ほのか自身が、おとぎ話に出てきそうな感じしますもん。
ほのか:悪役ね(笑)。
リーガルリリー・ゆきやま(Dr) 撮影=菊池貴裕
――ちなみに、タイトルや歌詞の内容から映画『ジョニーは戦場へ行った』を想起する「ジョニー」という曲が生まれた背景も、すごく気になります。
ほのか:芸術家も戦争に行かされてしまうんだっていうことを考えたら、胸が苦しくなって。そこから書き始めたんです。今の日本で目に見えて戦争は起きていないけど、実は起きていることだと思っていて。
はるか:たまに、そういう話とかするもんね。
ゆきやま:うん。いざそうなったらどうする?とか。
ほのか:だから、「ジョニー」は直接的に是非を問うのではなくて、もしこうなったらどうする?っていう描き方をしようと。
――結果、すごくリアルに響くし、心がどうしたって動いてしまいます。
ほのか:だったら嬉しい。この曲を1曲目にするって挑戦ではあると思うんですけど……。
ゆきやま:でも、結果良かったよね。
――リーガルリリーらしさと、さらなる可能性を存分に感じることができる作品です、本当に。
はるか:自分でもすごく良いものが作れたな、という実感はあります。
ほのか:うん。ひとりでも多くの人に聴いてもらいたいです。
ゆきやま:聴いてくれた人が、絶対衝撃を受けるっていう自信もあるし。
ほのか:新しいものを見つけたときの感動を味わってもらえると思うので。全体に暗いなっていうことは思いますけど(笑)。
――「ぶらんこ」とかも、ちょっと心配になりますけど(笑)……ほのかさん、哀しい体験が多いとか?
ほのか:え、どうなんだろう。っていうか、すぐ物事を忘れちゃうから、それが哀しいっていう感じですかね。私、『ファインディング・ニモ』のドリーみたいな感じで、本当にすぐ忘れちゃうんですよ。哀しいことも、嬉しいことも、楽しいことも。
――楽しいことも?
ほのか:そうなんです。だから、「あのとき楽しかったからこの人に優しくしよう」っていうことができなくて。結構、生き辛いんです(苦笑)。
――哀しいことや辛いことを忘れるっていうのは、ある種の防衛本能でもあるような気もしますけど。
ほのか:かもしれないです。なにか嫌なことをされても、忘れちゃうので。
ゆきやま:とりあえず、ほのかには“今”しかないっていう感じだよね。
ほのか:そうだね。だから衝動的に曲を作って、衝動的に歌詞を書いて。
はるか:曲それぞれ、作ったそのときのほのかちゃんだなって思う。
ほのか:だから、「魔女」なんかはリーガルリリーを結成してすぐ……2年前に作ったんですけど、ちゃんと憶えていないので、今は人の曲を解釈するみたいな感覚があるんですよ。ライブ中も、そのときによっていろんな解釈で歌うし。
――同じ曲でも違った表情を見せることもあるだろうし、毎回生きた音と言葉を届けるということになるわけで。11月のレコ発ツアー『『行っちゃう?!vol.1』~東名阪クエスト~』への期待感も高まってしまいます。
ゆきやま:日本でのツアーは初めてだから……。
――そうでしたね、今年5月にカナダ3都市を回ったそうですけど。
ゆきやま:なので、どんな感じになるのか、ワクワクです。
ほのか:自分たちの企画だから、自分たちの好きなことを思いきりできるし。しらけても全然いいよね(笑)。
はるか:うん(笑)。私たち自身、すごく楽しみにしています!
取材・文=杉江優花 撮影=菊池貴裕
リーガルリリー 撮影=菊池貴裕
品番:BIOTOPE-001
発売元:Biotope records
価格:¥1,600(税抜き)+税
『行っちゃう?!vol.1』~東名阪クエスト~
■11月6日(日) @名古屋 CLUB ROCK 'N' ROLL
OPEN 17:30/START 18:00
adv ¥2,300/door ¥2,500(D別)
<出演>
リーガルリリー、EPISODE(ex.スクイズメン)、sable antelope、檸檬をかじる彼女
OPEN 17:00/START 17:30
adv ¥2,300/door ¥2,800(D別)
<出演>
リーガルリリー、PJJ、【GUEST】SIX LOUNGE、【DJ】Rock'n Roll Birthday
■11月21日(月)@新代田FEVER
OPEN 18:30 /START 19:00
adv ¥2,300/door ¥2,800(D別)
<出演>
リーガルリリー、+ゲストバンド(coming soon...)