毛利亘宏が率いる「少年社中」劇団員フル出演の本公演に、高崎翔太が「ガッツリ悪役で」3度目の参加!
-
ポスト -
シェア - 送る
毛利亘宏・高崎翔太
『ミュージカル黒執事』『ミュージカル薄桜鬼』など2.5次元ミュージカルの人気シリーズを手掛けて有名な作・演出家の毛利亘宏。彼が主宰する劇団「少年社中」が来年2017年2月に第33回本公演『アマテラス』を上演する。再来年(2018年)で20周年の「少年社中」だが、劇団員12名がフル出演するのはこれが初めて。さらに、中村優一、高崎翔太ら旬の若手俳優陣8名のゲストも迎える大注目公演だ。大人になっても夢見る力を忘れないファンタジー作品を次々に産み出し熱烈なファンを獲得してきた劇団が、“AI(人工知能)”と“日本神話”をモチーフにどんな新作を見せるのか?主宰の毛利と、「少年社中」3度目の参加となる高崎に話を聞いた。『おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~』(おそ松役)などでメキメキと力をつける高崎は自他共に認める大の「少年社中」好き。並々ならぬ意気込みに期待が高まる!
――高崎さんは3度目の少年社中。毛利さんとは『ミュージカル薄桜鬼』でもご一緒されていますし、仲良しの印象ですね。
毛利 「高崎さんはうちの劇団に出てくれる以前から、外でも僕の脚本でやったことがあるんですよね」
高崎 「それもありますし、僕はもともと少年社中が大好きなんです。毛利さんとの出会いは、出演もしていない、観にも行けていない公演の打ち上げに飛び入り参加したことで(笑)」
毛利 「そうだ、覚えてる!」
高崎 「僕を使ってください!と猛アピールしました。あの時はなぜか、スタッフさんやお手伝いさんがもらう“大入り袋”を僕までもらっちゃって(笑)。……で、次の作品に呼んでいただけたという」
毛利 「アピールされたのは覚えていますよ。だって、出演していない人が千秋楽の大打ち上げにいるんだから(笑)。でも、よそでの活躍は見ているし、出てください、というか、出てほしいけどスケジュール大丈夫なの?と。こっちは願ったり叶ったりで」
毛利亘宏
――それが『ハムレットォ!』(2012)ですね。本当に出られてどうでしたか?
高崎 「観ていて好きなところに出るのは“気が重かった”です。だって……、いまも今後もずっと憧れですから!僕、本当に大好きで、毎回観に行ってDVDも買って、本当に何度も何度も繰り返し見ているんです」
毛利 「DVD買いましたよ~ってよく言っているよね」
高崎 「特に『ネバーランド』がめちゃめちゃ好きで、役者友だちが家に来るとまず見せます、ヤバイのがあるぞって」
毛利 「もはや布教活動(笑)!?」
高崎 「そうです(笑)!一人で見るものがない時もずっと流しています。セリフ覚えるほどに」
毛利 「すごいな……(笑)」
――毛利さんから見て高崎さんはどんな役者さんですか?
毛利 「初めて出てもらったのが5年前。そこからは、『ミュージカル薄桜鬼』をやったりで毎年コンスタントにご一緒してますが、高崎さんはその都度変わって、役者としてどんどん伸びています。最初の少年社中ではどちらかというと可愛らしいポジションだったけど、いま、どんどん変わってきているから、今回はどんなことをやってもらおうかと楽しみなところで」
高崎 「毛利さんが演出される稽古場に立つって緊張ですよ!ほかの監督ではこういう緊張の仕方はしない。なんか緊張するんです、毛利さんも、少年社中のメンバーも、見てる……、見てる……!と。今回の稽古場ではそれが払拭できたら!」
毛利 「劇団員フルメンバーだからね」
高崎 「はい。客演の方々もすごくて大好きな役者さんばかりです。ザン(ヨウコ)さんはずっと見てきているし、(橋本)祥平とか『薄桜鬼』のメンバーもいる。頑張るのは当たり前だけど、これは恩返し、というか。少年社中にはすごく恩を感じているので、自分の成長をしっかり見せられるようにがんばっていこうと思います」
高崎翔太
――劇団員フルメンバーに8人の客演。このカンパニーで目指すのは?
毛利 「濃度の高い少年社中をお見せしたいと思っています。最近はプロデュースの形態にちょっと寄りがちだったので、思いきり濃度の高い少年社中に揺り戻したいのが今回なんですよ。高崎くん、初の中村(優一)くん、田上(真里奈)さんと客演キャストといいバランスを取りつつ、少年社中ってこういう劇団なんだよということを思いきりぶつけたい。自分の中の劇団魂にぎゅっと力を籠める……、うん、それもありますね。我々も再来年で20周年。劇団という形で芝居をやるところが、いま、どんどん減っているし」
高崎 「20!……すごい」
毛利 「でしょ?自分でもびっくりするのよ(笑)。劇団というものを守るというか、劇団というシステムで芝居しているところもあるんだよってこと、ちゃんと、もう一回、自分たちのカラーを確かめたい、というのがあります」
――題材に日本神話を選んだのは?
毛利 「冒険活劇をダイレクトにやりたいなと。今回の発想の発端は、人工知能(AI)の話がしたいところからなんです。たとえば、子どもの頃に読んだ手塚治虫のファンタジーのような近未来のSF、そこに、僕がもともと好きな日本神話を掛け合わせた。どちらか単体でやるのは堅苦しいかな、少年社中に合うかな?とも考えて、いっそここは、SFと神話という相容れないものを重ねて毛色の違うファンタジーにしてみようと」
――日本神話の神々は『古事記』などを読むと意外と人間臭いというか、身勝手ですよね(笑)。
毛利 「そう、ひどいの(笑)!日本の神話、西洋の経典や聖典、そうしたものは元来、国造りのために作られたお話ですよね。僕自身もですが日本人には固有の宗教がないのもあるから、その側面からも、いま、この国を“国”たらしめる神話を作りたいと思ったのも最初にあって」
毛利亘宏・高崎翔太
――現代のこの国のぼやけた輪郭に問いかけるみたいな。
毛利 「そこですね」
――高崎さんが演じる“ツクヨミ”について教えてください。
高崎 「まだ役名しか聞いていないんですけど……」
毛利 「いま、ここで説明します(笑)!ツクヨミは敵役のヒール。高崎さん、どちらかというとベイビーフェイスでいい人の役が普段は多いよね?」
高崎 「そうですね、……うん、多いかも」
毛利 「今回は、ガッツリ悪役に立ってもらおうかと。闇の軍団を率いて」
高崎 「“夜の世界を統べる王”で、ツクヨミ軍がいるんですよね。その仲間たちが大好きな役者さんばかりなんです。すごく楽しみですが……、“荷が重い”」
毛利 「やっぱり、重いんだ(笑)」
高崎 「重いけど、仲間に支えてもらいながらがんばります」
――どんなヒールになりそうですか?
毛利 「いろいろ経験を積んだいまの高崎さんの魅力を出したいと思います。七変化、じゃないけど、単純にわかりやすい悪役ではなく、彼のやわらかさ、可愛らしさも含めて形作っていきたいなと。濃いメンバーを引き連れるんだから(笑)」
高崎 「もう、本当、濃いんです!がんばります!」
取材・文:丸古玲子 写真撮影:中原義史