イープラス貸切公演! 宝塚歌劇花組『金色の砂漠』観劇レポート&宝塚大劇場で遊ぶ≪1Dayプラン≫付き
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貸切公演の看板と館内体験コーナーより(撮影/石橋法子)
爽やかな秋晴れに恵まれた去る11月12日(土)、宝塚大劇場でイープラス貸切公演が行われた。演目は花組によるショーと芝居の2本立て、宝塚舞踊詩『雪華抄(せっかしょう)』、トラジェディ・アラベスク『金色(こんじき)の砂漠』。幕間には花組トップスター、明日海りおのサイン色紙を含むプレゼント抽選会が行われるなど、通常公演では味わえないスペシャルな演出に観客も大興奮。そんなイープラス貸切公演の模様を観劇レポートと共に紹介する。また、後半には大劇場を満喫する≪1Dayプラン≫もご提案。観て、食べて、体験できる大劇場の魅力を知れば、次回以降の観劇がいっそう楽しみになるはず。2017年からは宝塚大劇場にて、全組全作品のイープラス貸切公演が決定。続々公開中の受付情報もお見逃しなく!
◎花組観劇レポート
【第1幕】宝塚舞踊詩「雪華抄」
世界的服飾デザイナー丸山敬太とタッグを組んだ、豪華絢爛な和物ショー!
公演は日本物レビューで幕を開けた。暗転の中、「花のおどりを よいやさ!」の掛け声を合図にパッとステージに照明が点った瞬間「わぁ!」と歓声が沸き起こった。それもそのはず、総勢80名近い和装姿の出演者が一同に舞台上に姿を現したのだ。ここは竜宮城か、はたまた桃源郷か。舞台袖から客席に突き出た銀橋にまで画面一杯に溢れる美と色彩の洪水に、一瞬で劇世界へと誘われた。「この光景を観られただけでも大満足!」と幕開き3分で圧倒される、宝塚歌劇の虜になること間違いなし。その後も、移ろう四季をテーマに男女の恋模様などを絡めた舞踊絵巻がドラマティックに展開した。台詞を廃することで、かえって役者の個性が際立って見えるよう。中でも所作の美しさ、語る瞳の雄弁さ、スケールの大きな存在感で群を抜くのが花組トップスターの明日海りお。過去に光源氏役で魅せた色香も惜しみ無く発揮され、観客の視線を釘付けにする。また、格調高い日本古来の名画や図案を基に、現代的なエッセンスをちりばめた衣装やセットにも目を奪われた。作・演出の原田諒は日本物のショーを手掛けるのは本作が初めてだが、梅に始まり桜に終わる構成で、大胆にも繊細にも見せ場を作っていく。世界的に活躍するファッションデザイナー丸山敬太を衣装デザイン・監修に起用するなど、独自の感性が冴える。今後、個性豊かな座付き作家から観たい作品を選ぶのも楽しみ方のひとつだ。
【第2幕】トラジェディ・アラベスク『金色(こんじき)の砂漠』
奴隷と王女、身分違いの恋に秘められた愛憎渦巻く壮大な王朝ロマン劇!
昔々、砂漠の真ん中にある王国の王女は、ギィという名の奴隷を持っていたーー。前作『星逢一夜(ほしあいひとよ)』で鮮烈な宝塚大劇場デビューを飾り、今もっとも新作が待たれる上田久美子の最新作。創作において上田は「しばらくは”攻め”の姿勢」を公言するだけに、本作でもトップスターの明日海りおを奴隷役に据えるなど(!)、大胆な設定に驚かされる。主人公が今後どのようにして底辺から這い上がるのか。待ち受けるカタルシスへの期待感に、早くも胸を鷲掴みにされる。ギィ(明日海りお)は奴隷としてかしずく第一王女タルハーミネ(花乃まりあ)と互いに心を通わせるが、やがてその愛は国をも揺るがす騒動へと発展していく…。身分違いの恋、因果応報、絶体絶命の事件、それを上回るほどの真実が次々に明るみとなり、本当に最後の最後まで何が起こるか分からない。加えて、ギィの激しすぎる愛の一方で、忍ぶ愛、憎しみから生まれた愛など、様々な愛の形も描かれる。きっと老若男女に関わらず心動かされる瞬間があるはず。無邪気な幼少期から青年、そして大人の男へと多彩な表情で役を体現する明日海りお。終始感情を高ぶらせ、熱い演技で物語を牽引していく。それとは対照的に優しいオーラで物語の語り部役も担った第二王女付き奴隷役の芹香斗亜。また、本作が退団公演となるヒロインの花乃まりあも集大成にふさわしい熱演で観客を魅了した。フィナーレには役のイメージを担ったトップコンビによるデュエットダンスも盛り込まれ、観客は夢心地で余韻に浸っていた。
≪ イープラス貸切り公演ならではの3つの特典! ≫
【 特典1 】開演前に組長より挨拶がある:当日は花組組長、高翔みず希が簡単な作品紹介と共に観客へご挨拶。出演者からの一言でグッと舞台への親近感が増し、観劇への期待感も高めてくれる。
【 特典2 】幕間にはお楽しみ抽選会がある:今回は明日海りおサイン色紙、花乃まりあサイン色紙、次回貸切公演(月組公演ザ・ミュージカル『グランドホテル』/モン・パリ生誕90周年レヴューロマン『カルーセル輪舞曲(ロンド)』)のS席ペア招待券、明日海りお・花乃まりあ・芹香斗亜の直筆サイン入り公演ポスターがプレゼントされた。
幕間の抽選会
花組トップスター明日海りおサイン色紙ほか
【 特典3 】終演後にトップスター挨拶がある:舞台中央に登場したトップスター明日海りおが「みなさん楽しんでいただけましたでしょうか」と問いかけると、拍手で応える観客たち。千秋楽まで精進することを誓い一礼する明日海りおに、重ねて拍手が贈られた。トップスターからの生のコメントに、通常公演とはひと味違う一体感が味わえるはず。
◎観て、食べて、体験できる! 大劇場を満喫する≪1Dayプラン≫
ここでは15時公演を観劇する場合のタイムスケジュールを提案する。≪1Dayプラン≫を参考に、お好みでカスタマイズしてみよう。
【1】9:30~最寄り駅から沿道を散策しつつ劇場へ。
阪急「宝塚」駅前広場にあるモニュメント
100年以上の歴史を持つ宝塚歌劇団。劇場までのアクセスは阪急、またはJR「宝塚」駅から徒歩で向かうのがおすすめ。界隈の雰囲気を味わいながら視線を巡らせると宝塚歌劇にちなんだ名称や公演ポスターなどが目に留まり、地元に愛され町ぐるみで応援されているのが伝わってくる。
花のみち
大劇場へ続く「花のみち」には四季折々の草花が咲き誇る。沿道には飲食、雑貨などさまざまなお店が並び、軒先の多くにスターのサイン入り公演ポスターが飾られている。タカラジェンヌにも評判のサンドイッチ店など、メディアで話題のお店もあるから散策するだけでも楽しい。
花のみち
地元が生んだもう一人のスターで宝塚歌劇団とも縁のある漫画家・手塚治虫にちなんだモチーフやグッズも散見される。花のみちには人気キャラクターのカラータイルもあり、ご当地ならではの光景にファンならずとも感激しそうだ。
小林一三先生の銅像
劇場の入口向かいには創設者・小林一三先生の銅像が立つ。美しく精巧な造りで今にも語り出しそう。彼の功績や人柄を深く知るには池田市にある小林一三記念館(http://www.hankyu-bunka.or.jp)まで足をのばそう。旧自邸を改築した造りで記念館周辺には、小林のコレクションを展示する逸翁美術館など見所も多い。
宝塚大劇場の正面入口
テラコッタ風の壁面に鮮やかなオレンジ色の屋根が映える宝塚大劇場の入口。門をくぐった正面が約500席のバウホール。売店などが並ぶ館内ロビーを抜けると大劇場へたどり着く。
★耳より情報:専属スタッフ常勤の「チャイルドルーム」あり!
宝塚大劇場では専用のベビーシッターによる子どもの一時預かり保育に対応している。プレイルームやベビーベッドも完備。緊急時には携帯への連絡、また観劇中には客席まで知らせに来てくれる。1時間から利用可能なのでショッピングや喫茶など、ちょっとしたひと時を楽しみたいときにも重宝しそう。
※ご観劇2日前までに予約が必要。お問い合わせTEL.0797-85-6750(10:00~17:00/水曜定休)
【2】10:00~「ステージスタジオ」でメイク体験。
ステージスタジオ(写真は宝塚歌劇団提供)
ステージスタジオ(写真は宝塚歌劇団提供)
開館と同時に直行したいのが女性専用の「ステージスタジオ」。娘役のドレスから男役のスーツまで、舞台衣裳(レプリカ)を身にまといスター気分で撮影できる。昨年スペースを拡充しスタジオを2つ、試着室3つを備える。コースは事前予約が必要な「舞台メイクあり」と当日空いていれば予約なしでも体験できる「舞台メイクなし」がある。予約は当月と翌月分まで受け付ける。予約は希望日の1ヶ月前の月初に行うのがおすすめ。人気のあまり、観劇の予定がなくてもメイク体験のためだけに大劇場を訪れる人も少なくない。
・所要時間…2時間程度
館内ロビー
光輝くシャンデリアと、それを映し出すほど磨かれた床が印象的な館内ロビーは、
レビュー郵便局(写真は宝塚歌劇団提供)
【3】13:00~宝塚ホテルレストラン「フェリエ」で昼食。
レストラン「フェリエ」(写真は宝塚歌劇団提供)
大劇場の入り口横にある洋食レストラン。通常メニューに加え、公演ごとに作品をイメージした限定料理やデザートが提供される。また2階の和食レストラン「くすのき」でも例えばトップスターらの出身地にちなんだ食材を用いるなど、本拠地ならではの趣向を凝らしたメニューが揃う。その他、館内には複数のお食事処がある。
・所要時間…30分~1時間程度
【4】14:00~「宝塚歌劇の殿堂」で背負羽根(レプリカ)を背負って記念撮影。
「宝塚歌劇の殿堂」
宝塚歌劇100周年を記念して、宝塚歌劇の発展に大きな貢献をした方々を紹介する施設が、2014年4月に宝塚大劇場内に開館。施設内は2階「殿堂ゾーン」、3階「現在の宝塚歌劇ゾーン」「企画展ゾーン」の3要素で構成され、「殿堂ゾーン」では宝塚歌劇団の卒業生とスタッフの功績をお一人おひとりの縁(ゆかり)の品、様々な写真資料などの展示により宝塚の歴史と共に知ることができる。気づけば「2時間以上滞在していた」という人もいるほど見応えたっぷり。これで入館料500円はお得すぎる。しかも! イープラス貸切公演当日に限り、対象
・所要時間…30分~1時間程度
2階「殿堂」
3階「現在の宝塚歌劇」は公演ごとに展示内容が変わる
同じく3階「現在の宝塚歌劇ゾーン」では、現在のスターの紹介や最近上演した公演の、衣裳や小道具を間近で鑑賞できる。中でも注目は、大階段をイメージしたセットを背景にシャンシャン片手に背負羽根(レプリカ)を背負って記念撮影できるコーナー。ポージングにも詳しいスタッフにカメラを手渡せば、無料で撮影してくれる。子どもから男性まで撮影可能。その他、歴代トップスターの手形や、「企画展ゾーン」もあり、こちらは年に数回テーマを設定して展示を行っている。
ダチョウの羽根で作られた背負羽根は子どもでも背負えるほどの軽さ
大階段を模した電飾の背景は刻々と色が変化する
憧れのスターと間接握手!?
【5】14:30~売店「レビューショップⅠ」で名物の人形焼を購入。
レビューショップ内の実演コーナー
店内で実演販売する名物の饅頭「宝塚人形焼」。時間帯によっては購入するのに行列ができるほどの人気商品につき、早めの購入がおすすめ。
「宝塚メランジェショコラ」(写真は宝塚歌劇団提供)
「宝塚メランジェショコラ」(写真は宝塚歌劇団提供)
「宝塚メランジェショコラ」ミックスナッツ味(写真は宝塚歌劇団提供)
他にも、宝塚歌劇のオリジナル商品が充実しており、選ぶのに迷ってしまうほど。イチオシは3種のチョコスナック菓子の詰め合わせ「宝塚メランジェショコラ」。カラフルなパッケージと小分け包装で、職場など大人数へのお土産にも重宝しそう。
・所要時間…20分程度
【6】15:00~公演を観劇する。
開場間近の大劇場入り口付近
「宝塚大劇場」入口
宝塚大劇場の収容人数は2550席。開演間近には入口付近に続々と人が集まり黒山の人だかりができるが、一旦開場すれば入場ドアが複数あるため、比較的スムーズに入場できるのが嬉しい。
劇場内ロビーラウンジ(写真は宝塚歌劇団提供)
通常公演では、幕間に30分休憩が入るため場内にはコーヒーからワインなどのアルコールも常備するラウンジ、売店、公演にちなんだ限定ドリンクを扱う特設ブースなどが設置されている。
宝塚大劇場
レッドカーペットが敷き詰められたゴージャスな劇場内。舞台からオーケストラピットを囲うように客席側に白く突き出た部分が「銀橋(ぎんきょう)」。通路幅ほどのエプロンステージで、劇中では銀橋の中央でトップスターらがスポットライトを浴びている間に舞台転換を行うなど、スマートかつドラマティックな演出に効果を発揮する。
・所要時間…3時間程度
【7】~18:30に閉館。
終演後は閉館まで30分程度時間があるため、やり残したことはここで消化しよう。閉館を知らせる「蛍の光」のメロディが流れたら≪1Dayプラン≫終了です。
≪ 2017年イープラス貸切公演ラインアップ ≫
【月組公演】ザ・ミュージカル『グランドホテル』/モン・パリ誕生90周年 レヴューロマン『カルーセル輪舞曲(ロンド)』
2017年1月14日(土)15:00開演
会場:宝塚大劇場
【宙組公演】ミュージカル・コメディ『王妃の館 -Château de la Reine-』/スーパー・レビュー『VIVA! FESTA!』
2017年2月26日(日)15:00開演
会場:宝塚大劇場
【星組公演】ミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』
2017年4月15日(土)15:00開演
会場:宝塚大劇場
【雪組公演】ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)』/かんぽ生命 ドリームシアターShow Spirit『Dramatic “S”!』
2017年5月6日(土)15:00開演
会場:宝塚大劇場