映像作家 瀬戸桃子|こんな日本アーティストがパリで活躍中 【第12回】

インタビュー
2016.11.30
瀬戸桃子

瀬戸桃子

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映像作家 瀬戸桃子

パリに映像作家として活躍している日本人女性がいると聞いて驚いていたところ、ちょうど彼女の最新作が上映されるという情報をキャッチ。早速、パリ北部にある映画館へ出向きました。

この時に観た彼女の作品の題材は、日本のキャバクラでの男女のやりとりを撮影したもの。ちょっとエロスなのに、なんだかヒリヒリするリアルも感じられる作品です。これまでにないような映像に、思わず惹きつけられてしまいました。

短編映画の上映後、観客の前でまるでフランス人かのような、堂々とした流暢なフランス語であいさつをした瀬戸さん。会場にいるフランス人の観客たちから喝采を受けている姿を見て、これまた驚きました。そのカッコいい姿に、一体どんな方なんだろう?と興味をもった筆者は、今回詳しくお話を伺うことにしました。

 

パリで映像作家になられた経緯を教えてください。

私は東京出身なのですが、6歳から18歳まで東京にあるフランス人学校に通っていました。この頃から絵を描くのが好きで、将来は画家になりたいと思い、フランスが最適だろうということでフランスの美術大学に行くことしたのです。大学では最初のうちは絵だけでなく、あらゆるアートを勉強することになりなりました。そこで映像の実習を受けた際に、映像の面白さに出会ったのです。

ドキュメンタリーや実験映像だけでなく、アニメーション作品など色々な作品を制作しました。交換留学でアメリカ・サンフランシスコの美大でも学び、その後、フレノワ国立アートスタジオという学校の試験を受けて選ばれた学生に与えられる奨学金で作った作品が、賞をもらうことにもなりました。今は、フランスの『CNRS』(国立科学研究センター)に公務員試験を受けて入所し、ドキュメンタリー映画を作りながらも、個人の作品も撮り続けています。

 

日本とフランス、両方に関わる作品を作られていますね。

制作本拠地はパリですが、これまで広島の被爆者や、福島の地震の被害者の方のドキュメンタリー作品も作っています。一番新しい作品、『I don't want to sleep with you I just want to make you hard』(フランスの映画祭とイタリアの映画祭で2つの賞を受賞)も、日本は東京の歌舞伎町にあるキャバクラで撮影したものです。

最新短編映画『I don't want to sleep with you I just want to make you hard』より

最新短編映画『I don't want to sleep with you I just want to make you hard』より

その都度、興味を持ったテーマで作品を作り続けているのですが、例えば、歌舞伎町のキャバクラの作品には、フランス人たちが思うステレオタイプな日本のイメージを壊したいという思いがありました。日本にはオタクで恋愛に奥手な日本人男性ばかりではなく、キャバクラで女性に積極的にコミュニケーションをとる男性だっている、ということを伝えたかったのです。他にも、福島のドキュメンタリーでいうと、フランス人たちが感じている日本のイメージは「あんなに大変な震災に直面しても、取り乱さず、大人しく行動していて素晴らしい」というものが多いです。でも、作品の中には、日本人が泣いたり、喧嘩したり、わめいたりして、感情をあらわにする姿も出てきます。

私の作品を観てもらうことで、一面だけの日本のイメージだけでなく、「日本人もフランス人と同じ人間なんですよ」ということを伝えたいと思っています。

 

これからの活動予定を教えてください。

今まさに製作中なのが、ヴァーチャル・リアリティー用の映像です。動物や植物などの感触が伝わるような映像を撮影しています。これも近々世に出て皆さんに驚いてもらえる作品になると思います。そしてちょうど今、私の作品が日本でも公開中です。 東京の森美術館で開催されている『宇宙と芸術展』の中で、『プラネットA』(8分、2008年)、『プラネットZ』(11分、2011年)、『プラネットΣ』(12分、2014年)という映像を観てもらうことができます。機会があればぜひ足を運んでみてください。


あとがき
ライター・中村綾花

オリジナルな視点をもって、興味のある作品を精力的に取り続けている瀬戸さん。映像の話になると、まるで新しいおもちゃに夢中になっている子供のように目を輝かせていたのが印象的でした。パリ、日本だけでなく広く世界で活躍されていく彼女の今後の活躍が楽しみです。

 

プロフィール情報
瀬戸桃子
1980年東京生まれ。
フランス・マルセイユの国立美術大学の映像科、修士課程修了。
2011年に発表した短編「プラネットZ」は世界の100以上の映画祭で上映され数々の賞を受賞。2015年第65回ベルリン国際映画祭で、短編「プラネットΣ」が日本人初アウディ賞を受賞。アニメーション から実験アート的な映像、広島原爆や福島の震災や科学ドキュメンタリーまで、あらゆる作品を生み出している。

HP:http://www.setomomoko.org/
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