シャンソン・コンサート第2弾『la vie d’amour2016 ~シャンソンに誘われて~』安寿ミラ インタビュー
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安寿ミラ
昨年11月、長いキャリアの中でも初めてというシャンソン・コンサート『la vie d’amour』に挑戦した安寿ミラ。好評を受けて、シリーズ2作目とも言うべき『la vie d’amour2016 ~シャンソンに誘われて~』を、今年12月2日から4日まで青山の草月ホールで上演することになった。
出身の宝塚歌劇団で身につけたパリの香りとエレガンスは、シャンソンに世界によく似合う。キャッチコピーの「錆色の魅惑の声」で、再び挑むシャンソンの世界。そのコンサートにかける想いを安寿ミラに聞いた「えんぶ」11月号の記事を別バージョンの写真とともにご紹介。
人間のドラマが描かれている曲ばかり
──昨年のコンサートは、1部がドラマ仕立て、2部がショーという構成で変化もあり、観ごたえがありました。
嬉しいことに観てくださったお客様にも面白かったと言っていただきました。1部の物語もシャンソンの世界だからこそ出来上がったようなもので、ちょっと大人のドロドロの愛の話でしたが、演じていても楽しかったです。
──シャンソンならではの苦みもある話でしたね。
歌詞を変えたりせずに、そのまま全部あの話にあてはまったのがシャンソンのすごさですね。人間のドラマが描かれている曲ばかりで、まさにシャンソンの持つ魔力だなと思いました。
──そして2部のショーで一気に楽しく華やかな世界になりました。
お客様をドロドロのまま帰すわけにはいかないので(笑)。ダンスアクトの『FEMALE』シリーズもそうなのですが、お客様には最終的には笑顔になって帰っていただきたいという思いがあって。私が宝塚出身だからかもしれませんが、劇場では現実を忘れていただきたいと思っているんです。
──今年の劇中ドラマはどうなりますか?
演出の児玉(明子)さんが相当おもしろい物語を考えてくれています。フランス女性の強さとか激しさとか甘さとか、全部がミックスしたようなテイストなんですが、児玉さんはカナダに留学していた経験もあるので、それが生きていると思います。ドラマのモチーフになる曲は「百万本のバラ」で、あの曲だけでも十分に物語が成立するのですが、それを裏切って、最後に「そうなんだ!」というものになると思います。
声だけで人間とか人生が演じられるすごさ
──今年は何曲くらい歌うことになりますか?
1部2部合わせて全部で22、23曲くらいになります。昨年と違う曲ばかりですからそれだけでも覚えるのに大変なのですが、シャンソンは1曲1曲にドラマがありますから、すごくエネルギーを取られるんです。いわば芝居を20何本やるようなもので、1公演終わるとぐったりという状態で、ダンス公演よりきついですね。
──色々な人生を生きるということですね。
でもそのぶん、シャンソン歌手の人って、すごく楽しい職業なんだろうなと思うんです。芝居ではなく声だけで人間とか人生が演じられる。聴く方はその3分間で世界を見るわけじゃないですか。私もこのシリーズのおかげで、声だけで歌だけで演じる面白さが、少しだけわかった気がするのでよかったなと思います。
──それだけに年輪とか経験がそのまま映し出される世界なのでしょうね。
ジュリエット・グレコさん、あの方の公演を聴きに行ったら、歌っているというより喋っているんです。ピアノにつかまってずっと喋っているだけなんですが、それが素晴らしくて、彼女の人生が伝わってきて、これがシャンソンなんだと思いました。私はエディット・ピアフを演じたことでシャンソンと出会ったのですが、あの公演がなかったら、多分出会っていなかった。でも今はこうしてコンサートで色々な曲に出会えて、大嫌いだった自分の声も(笑)シャンソンだったらそんなに悪くないじゃない?と思えるので、有り難いです。今年もまたこうして、シャンソンへの挑戦をさせていただけるのですから、素敵な世界をお届けできるようにがんばります。
あんじゅみら
長崎県出身。1980年に宝塚歌劇団で初舞台を踏み、92年花組トップスターに。95年『哀しみのコルドバ』『メガヴィジョン』で退団。女優として舞台を中心に活躍中。「ANJU」の名で自身のダンスアクト『FEMALE』の構成・演出をはじめ、宝塚歌劇団など舞台の振付を数多く手がけている。主な出演舞台は『グリークス』『マクベス』『アルジャーノンに花束を』『タイタニック』『グランドホテル』など。
※構成・演出の児玉明子と安寿ミラの対談も近日公開します。お楽しみに!
〈公演情報〉
『la vie d’amour 2016』~シャンソンに誘われて~
構成・演出◇児玉明子
〈料金〉8,800円(全席指定・税込)