クーラ・シェイカー来日公演初日、超名盤『K』の完全再現ライブにみた現役感
クーラ・シェイカー photo by Mitch Ikeda
JAPAN TOUR 2016 / Album “K”再現ライヴ 2016.11.21 Zepp DiverCity
今夏のフジロックから約4ヵ月、再び日本に帰ってきたクーラ・シェイカーの単独来日は、デビュー20周年を記念したデビュー・アルバム『K』の再現ライブというスペシャルなメニューになった。しかもこの20周年記念ツアーは日本からスタートし、昨日のZEPP Diver City公演がその初日だったのだ。
再現ライブだけに『K』の曲順通りにショウはスタートするかと思いきや、なんと1曲目はビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のカヴァー! 思えば彼らが『K』でオマージュを捧げていた偉大なアルバムこそが『サージェント・ペパーズ~』だったわけで、今回の20周年記念公演は『K』を再現するだけではなく、彼らとファンが共にクーラの原点に立ち戻る時間旅行のようなものだったと言っていい。
クーラ・シェイカー photo by Mitch Ikeda
クリスピアンが「ほぼ(almost)『K』をそのまま演るよ」と言っていたように、今回のショウは『K』をほぼ曲順どおりに再現しつつも、合間に『K』以外の曲もプレイされるという複合リストになっているのが特徴。最新作『K 2.0』の「レット・ラヴ・ビー」を挟み、3曲目の「ヘイ・デュード」からいよいよ『K』の世界に突入! クリスピアンは「過去への扉を開けて一緒に旅に出かけよう」とファンに呼びかけると、日本語で「ゴ!ヨン!サン!ニ!イチ!」とカウントダウン、トップギアで蘇った「ヘイ・デュード」のヘヴィ・グルーヴに会場は一気にヒートアップしていく。
続く「ナイト・オン・ザ・タウン」でもつくづく思ったのだけれど、本当にこのバンドは巧い! 『K』の再現が単なる懐メロ・ショウにならなかったのは今現在の彼らのこの生身の説得力の賜物だと思うし、腰を落とし、両足を120度に開いてギターを弾きまくるクリスピアンの姿はまさにギター・ヒーローのそれだ。演奏力に難有りのバンドが多かった20年前のブリットポップにあって、その時からすでにクーラはライブバンドとしてずば抜けた実力を持っていたことを改めて思い出せてくれる『K』再現でもあったのだ。
クーラ・シェイカー photo by Mitch Ikeda
途中には「シャワー・ユア・ラヴ」のようなレア曲もインサートされ、『K』のアナログ盤のA面とB面をブリッジする構成になっている。「日本で最初にリリースされた思い出深いナンバー」と紹介された「グレイトフル・ホェン・ユー・アー・デッド」は文句無しで後半のハイライトだ。この曲の「パッパッパー!」にしろ「ヘイ・デュード」の「キャッチ・ザ・サ~ン!」にしろ、『K』ナンバーの一撃必殺なキラーフレーズの中毒性はつくづく凄い。「ゴヴィンダ」の「ゴーヴィンダ・ジャヤ・ジャア~」に至っては英語ですらないわけだけど、あの時代のUKロック・ファンはほぼ全員このヒンズー語が頭に刷り込まれていたのだから。
アンコールでは『K 2.0』のナンバーと「ハッシュ」「ゴヴィンダ」といったナンバーがミックスされ、過去と現在が背中合わせのそのセットの中でクーラの20年間が昇華されていく演出になっていた。20周年記念ライブをやるべきバンドが、やるべきアルバムで完璧にやりきってくれた幸せな90分だったし、それが可能だったのは『K 2.0』と共にカムバックした2016年のクーラ・シェイカーがちゃんと現役のバンド、「今を生きている」バンドだったからこそだと思う。
本日・22日(火)は東京/恵比寿リキッドルームにて、また明後日24日(木)大阪/なんばHatchにて公演が開催される。
Live report by Shino Kokawa Live photo by Mitch Ikeda
クーラ・シェイカー photo by Mitch Ikeda
11月21日(月) 東京: Zepp DiverCity <終了>
11月22日(火) 東京: 恵比寿リキッドルーム
11月24日(木) 大阪: なんばHatch
http://www.smash-jpn.com/live/?id=2593