「LAMP IN TERRENは今日から0歳でもいい」BLITZをスタートラインに新たな冒険へ

2016.11.25
レポート
音楽

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

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TOUR “11” L.A.P 2016.11.19 赤坂BLITZ

過去最大キャパの恵比寿LIQUIDROOMを含む、4ヶ月に及んだ前ツアーを終えたと思ったら、すぐに今度は12日間で10公演、しかも九州から東北までまわるというなかなか有りえない弾丸スケジュールのツアーを敢行、しかもそのファイナルは過去最大キャパを更新する赤坂BLITZでのワンマン。そんな、思わず疑問符がいくつか浮かんでしまうような冒険を、なぜこのタイミングでLAMP IN TERRENは行ったのか。その答えを知りたくて、赤坂BLITZに向かった。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

オープニングナンバーは「メイ」だった。冒頭のフレーズを歌い終えバンドINすると眩い光が場内をめぐり、軽やかなサウンドに乗って松本大(Vo/G)が伸びやかに声を響かせる。続いて、「今日はここにいる全員と、絶対に忘れられない1日にします」と宣言し、2016年に彼らが続けてきた音楽の旅、そのテーマであり指針となった「キャラバン」へ。たくましいビートを繰り出す川口大喜(Dr)とメリハリの効いたベースラインで歌う中原健仁(B)が視線を交わしながら息を合わせ、グッとアグレッシヴなプレイをみせるようになった大屋真太郎(G)は客席を見やって笑みをこぼす。とてもリラックスした印象だ。間奏では前3人が客席ギリギリまで身を乗り出して喝采を浴びる。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

「Sleep Heroism」「ボイド」と、序盤のうちに惜しみなく強力な楽曲を並べていったこの日。フィジカルへの直接作用だけでなく、心の奥深くに火を灯すような内なる熱も感じさせるパフォーマンスからは、アンサンブルの安定感や表現の幅、そして4人編成に戻ってからしばらくは影を潜めていた感のある、松本のシンガーとして奔放に振り切っていくエネルギッシュな一面も随所に見てとれた。それは言うまでもなく大屋が復帰してから現在に至るまでにバンドが積み上げた、技術面、構成面の成熟がもたらすものに他ならないわけで、彼らが目指していた形、本来のLAMP IN TERRENの形、輪郭がここへきてよりクッキリと浮かび上がってきている。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

「新しい第一歩を踏み出すためのツアーだったと思います」(松本)
今回のツアータイトルにもあるように、彼らが10周年イヤーを終え結成11年目に突入して最初のツアー、そのファイナルが今日なのだが、10年前にバンドが誕生したこと自体にはさほど実感も執着も無い様子の彼ら。考えてみれば、上京前の学生期間はほぼ音源を作るだけの活動、その後も進学の都合でメンバーの出入りもあって、ライブのできなかった時期がほとんど。昨年、メジャーデビューを果たしてからも4人編成の本来の姿になるまでには時間がかかったわけで、そんな過ぎた10年を振り返るよりも、今は「これからのこと」にほぼ100%意識が向いているようだ。前傾姿勢で11年目に突入してやろう、そんな彼らの意志を象徴するかのように、新曲や未音源化楽曲も多く披露されていった。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

「at (liberty)」は、大屋が紡ぎ出す鍵盤のような音色のアルペジオからはじまり、憂いを帯びた大きなメロディが羽ばたいていくミディアムテンポのギターロック。松本がギターを置きハンドマイクで歌った「不死身と七不思議」は、音数を抑えたシンプルなアプローチながら、場内からクラップが起きる楽しい楽曲だ。約1年前の渋谷Quattroワンマンでもプロトタイプが披露されていた「時の旅人」は、タメの効いた演奏とミラーボールの演出でじっくり届けてくれた。
かつてのLAMP IN TERRENは、痛みや辛さや虚しさ、心のヒリついたりドロドロした部分を心象と情景でもって描き出し、ストイックに音として鳴らし歌う、そういうところが魅力のバンドであった。もちろん、この日もダークな楽曲や内省的な楽曲はラインナップされていたのだが、ここへきて、彼らの楽曲は新たな表情が目立ってきている。特に新曲に関していえばグッと開かれたものが多い。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

それは後半に畳み掛けるように演奏された「林檎の理」「ランデヴー」「multiverse」というこれまでのライブ定番曲に関しても同様で、いずれもどこかオープンな印象と前向きなパワー――言い換えるならば、「自分たちの音をリスナーと共有したい」「みんなで進んでいきたいんだ」という渇望や覚悟とともに鳴らされているように映る。そこが前面に出るようになったからこそ、このタイミングで「pellucid」のような優しいラヴソングや、つながりあいを力強く歌う「heartbeat」が生まれてきたのだろうし、これまで以上にまっすぐなMCで思いの丈を伝えるようになったのだろう。終盤には、松本が「新しい第一歩を踏み出すためのツアー」について、もう一歩踏み込んで言及する。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

この一年、何ができたのかを振り返ると少しの後悔と楽しさ、出会いがあったこと、この先の5年、10年に向けて自分たちを見つめ直すツアーになったこと。さらには、これまでの10年ではなくこの先を見据えて、LAMP IN TERRENは今日から0歳でもいいくらいだと思っていること。そしてこう結んだ。
「みんなの誇りになるような、手をつないでいたい、一緒にいたい、素直に大事って言えるようなバンドに……なります! 今日からよろしく!!」
“なりたい”でも“なろうと思う”でもなく、“なります”という力強い表明(このあたりにもメンタリティの変化・成長を感じるわけだが)に、会場からは大きな大きな拍手が沸き起こった。再スタートの決意とともに歌われたのは、バンドがはじめて作った曲である「L-R」。冒頭の一節をオーディエンスとアカペラで合唱した後、一際アグレッシヴに突っ走った4人とそれに応えるフロアは、なんとも輝かしい光景であった。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

アンコールでは本邦初披露となるタイトル未定の新曲も披露された。じわじわと熱を上げながらサビで一気に視界が開けるようなサウンド、その真ん中にある歌、という作りは、彼らのスタンダードといえる一曲。最後は「一緒に行こうぜ」と一声叫んで荒々しくぶっ放した「ワンダーランド」で、新たなスタートラインにして過酷な冒険となったツアーを締めくくった。

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

バンドとして完全体となってから1年の助走期間を経て、ポジティヴなエネルギーを推進力に進み始めたLAMP IN TERREN。どうやら「新曲はアルバム2枚ぶんくらいある」そうなので、これからどんな楽曲たちを我々に届けてくれるのか、またソールドできなかったことを素直に悔しがっていたこの日の会場=赤坂BLITZを満員のオーディエンスで埋める日はいつなのか、そしてその先に待つ景色はどんなものなのか。
どうやら2017年もLAMP IN TERRENを追っていくよりほかなさそうな僕です。


取材・文=風間大洋

LAMP IN TERREN 撮影=山川哲矢

セットリスト
TOUR “11” L.A.P 2016.11.19 赤坂BLITZ
1. メイ
2. キャラバン
3. Sleep Heroism
4. ボイド
5. at (liberty)(新曲)
6. 雨中のきらめき
7. reverie
8. innocence
9. 不死身と七不思議(新曲)
10. 時の旅人(新曲)
11. pellucid
12. 林檎の理
13. ランデヴー
14. multiverse
15. heartbeat
16. 緑閃光
17. L-R
[ENCORE]
18. 新曲 ※タイトル未定
19. ワンダーランド