シナリオアートが描く“Warm”&“Deep”な夜 アコースティックワンマンライブ公式レポート
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シナリオアート
[Chapter #13]-Warm Night-&-Deep Night-
2016.12.4(sum) Galaxy
シナリオアートが冬のアコースティックワンマンライブ『[Chapter #13]-Warm Night-&-Deep Night-』を、12月3日(土)と4日(日)の2日間にわたって渋谷・神宮前にあるGalaxy 銀河系で開催した。
昨年は恵比寿ガーデンプレイスの38階にあるイベントスペース、恵比寿STUDIO38で行なったアコースティックワンマン。今年はGalaxyに舞台を移し、「-Warm Night-」「-Deep Night-」の2部制で内容の異なるライブが繰り広げられた。ここでは、12月4日(日)の模様をレポートする。
シナリオアート
彼らのレアセットを観ようと、隠れ家的なギャラリーにいっぱいのお客さんが集まった。ステージ上とその周辺には手作り感のあるデコレーション(シナリオアートチームで制作。テーマは森の音楽会とのこと)が施され、スピーカーにはフクロウのオブジェが乗り、たくさんのランプに明かりも灯る中、白の衣装に身を包んだハヤシコウスケ、ハットリクミコ、ヤマシタタカヒサが登場! 第1部「-Warm Night-」は16:30から、ゆったりムードの「ナイトフライング」でスタートした。
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着席スタイルとはいえ、多くの楽器に囲まれながら魅せる演奏をするシナリオアート。ヤマシタはベースのほかに、グロッケンシュピールやカホンなどを、クミコはドラム(通常スティック+ブラシ)に加えて、キーボードやパーカッションを代る代る担っていく。「ワンダーボックス」の間奏では、クミコの「レッツゴー、パレード♪」の声とサンバっぽいリズムに合わせて、コウスケもアコギのボディをコンコン叩いて盛り上げる。「今日はここまで」のキメを「今日はここから」とアレンジして歌うと、3人はますます笑顔に!
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「みなさまどうぞ温かく、自由に楽しんで帰ってください。最後までよろしくお願いいたします!」とクミコが挨拶。コウスケが「シナリオアートは夜の曲が多いので、夜についてのライブを構成してみました。やさしい夜も怖い夜も含めて、最終的に温かいと思うんです」と続け、夢についての歌「ドリーミーラブストーリー」へ。特にこのあたりのしっとりしたナンバーは、贅沢な時間を噛み締めるようにジッと聴き入って、中にはハンカチで目頭を押さえていたりもするファンの姿が印象深かった。
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その後も、3人共がトライバルなビートを鳴らして都会のジャングルセッションが生まれた「トウキョウメランコリー」、Warmには欠かせない祝福の歌「エポックパレード」などで、シナリオアートならではの歌の強さ、美しいハーモニーも光るにつれ、場内からは温かい手拍子が次々と沸き起こっていった。本編ラストはコウスケが1人で「センカイヘ」。アンコールは「ブレーメンドリームオーケストラ」で締めた。
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18:30からは「-Deep Night-」へ。第1部を陽とすれば、黒に衣装チェンジした第2部は陰。それをどうアコースティックで表現するのか見ものだったけれど、今度は打ち込み要素をバシバシ使い、とりわけヤマシタのシンセとラップトップが効いていたように思う。「ウォーキングムーン」「チェーンスモーク」などは、4つ打ちビートにコウスケのアコギがしなやかに絡み、一風変わったダンスチューンとして楽しませてくれる。
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「カオティックダウナー」のアウトロを会場全員でシンガロングしたあとは、「「-Deep Night-」ということで、夜がどんどん深くなるような世界を見せたいと思います。音とあなたのイメージだけで楽しんでください」というコウスケのMCによって、照明がグッと落ちる。視覚ゼロの中、観客は「ジェリーフィッシュ」でコウスケのファルセットを感じ、「ハイスイコウノサキニ」で歌詞のとおり“目には見えない孤独を心に響かせ”、存分に深みを味わっていく。そして、クライマックスに用意されていたのはあの大切な曲だった。
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「こんな真っ暗闇のような日々を送ってたことがあります。すべてのこと、大事なシナリオアートですら嫌になって、笑うことも話すことも人と顔を合わせることもできなくなってしまって……。唯一できたのが、この曲の歌詞を書くことでした。もし、つらくてどうしようもなくて、死にたくなるみたいな日々を送ってる人がいたら、私は救いたいなと思います」――そう語り、クミコは1人で「ホシドケイ」を弾き語ってみせた。第1部ではコウスケとヤマシタもそれぞれアコギ&ベースで参加したが、客席と同じくクミコの演奏にただじっくり浸る。2人は、今この瞬間の特別を感じていたのかもしれない。曲の後半で彼女が明るく照らされる演出に、会場からはすすり泣く音も。
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「月並みな言葉やけど、明けない夜はない。そんな言葉が好きです。夜明け前がいちばん暗いと思う。とてつもなく今が暗いなら、きっとすぐそのあとに夜が溶けて、希望の明日がやって来ます」というコウスケの言葉から「ウォーターサイドフェアリー」が届けられ、第2部本編は終了した。
「近々、素敵なお知らせができそうです!」なんて予告も飛び出し、アンコールは原点を見つめるように「ハジメマシテ」。それにしても、メンバー3人の表情はこの上なく晴れやかで、深い温かみがある。来年のシナリオアート、引き続き期待していてよさそうだ。
取材・文=田山雄士 撮影=佐藤広理
シナリオアート
2016.12.4(sum) Galaxy
01.ナイトフライング
02.ワンダーボックス
03.ハロウシンパシー
04.ドリーミーラブストーリー
05.ハイスイコウノサキニ
06.トウキョウメランコリー
07.ポートレイトボヤケル
08.エポックパレード
09.ナイトレインボー
10.フユウ
11.ホシドケイ
12.センカイヘ
[ENCORE]
13.ブレーメンドリームオーケストラ
01.ナイトスイマー
02.ウォーキングムーン
03.チェーンスモーク
04.ハロウシンパシー
05.ドリーミーラブストーリー
06.フユウ
07.カオティックダウナー
08.ジェリーフィッシュ
09.ハイスイコウノサキニ
10.ホシドケイ
11.ウォーターサイドフェアリー
[ENCORE]
12.ハジメマシテ