来年の大河ドラマテーマ音楽をパーヴォ・ヤルヴィが指揮、ラン・ランも参加
-
ポスト -
シェア - 送る
左:パーヴォ・ヤルヴィ 右:ラン・ラン
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』(主演:柴咲コウ)が2017年1月8日より放送される。テーマ音楽を指揮したパーヴォ・ヤルヴィと、ソリストとして演奏に加わったピアニストのラン・ランが12月5日、合同インタビューに出席した。
(2016.12/5 NHK放送センター Photo:J.Otsuka/TokyoMDE)
『おんな城主 直虎』は、戦国時代に今川義元の支配下にあった遠江・井伊家を舞台に、井伊家当主の一人娘として生まれ、男の名で家督を継いだ“おんな城主”、井伊直虎の激動の人生を描いた物語。今回『おんな城主 直虎』のテーマ音楽を担当したのは菅野よう子。菅野はこれまでに震災復興支援ソング「花は咲く」の作曲や連続テレビ小説『ごちそうさん』で音楽を担当している。
例年、大河ドラマのテーマ音楽の演奏を行っているN響だが、今回指揮をしたのは、N響主席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィ。ヤルヴィは今回のプロダクションについて、「大切な友人で素晴らしい音楽家のラン・ランと共演でき、またN響と一緒に収録できたことはとても嬉しい。ラン・ランとの音楽創りは、楽しく喜びがあります。大河ドラマは幅広い層の方々が見るドラマで、必ずしもN響の音楽を聴きにきてくださるお客様ではないかもしれない。ただ毎週テレビを通してN響の名前を目にし、音楽を聴き、N響に興味を持ち音楽を聴いてみようとホールに足を運んでもらえる、そういった期待を持って取り組んだ」と語った。
パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノソロを担当したラン・ランは、「作曲家の菅野さんの素晴らしい音楽に感動した。アジアチックで、フランスの印象派の影響も感じられる菅野さんの音楽を、ヤルヴィさんと創り上げられたことは素晴らしい経験。ヤルヴィさんとの音楽創りで、不可能なことはないなと感じる。今回のサウンドトラックは大きな喜びをもって創り上げた音楽で、完璧なものだと思っている」と本プロダクションについて振り返った。
大河ドラマのオープニング音楽は、武満徹など日本の芸術音楽を代表する作曲家が担当してきたが、今回の菅野の音楽についてヤルヴィは、「今回のスコアを見たときに、非常に明るくて、いきいきとしていて、身体が弾むような、まさに彼女そのものだと感じました。映画音楽、テレビ音楽というヴィジュアルの音楽を作曲する上で必要なことは、“動き”に対する作曲家のセンス。菅野さんの音楽を聴いていると、どういう役が登場するのか、どういう動きが行われるのか、伏線でロマンがあるのだろうなと思わせる部分もあり、実際にスクリーンでみえるものの創造がつく。ヴィジュアルのセンスがある方が作曲した音楽は理想的。かつて武満徹さんのような作曲家が大河ドラマの音楽を担当されたと伺い、改めてこのプロジェクトの重要性を感じた」と語った。
ラン・ラン
一方、主人公の直虎の戦国時代を生き抜く女性をイメージしながら演奏したと語るラン・ランは、「菅野さんが曲を創られる際に、我々もいろいろな話合いをしました。テレビや映画のサウンドトラックは通常映像が先につくられ、そこに音楽をつけていくという流れが多い中で、今回は音楽が先にでき、その音楽をもとに映像が創られたと聞いています。菅野さんの音楽は一つひとつのキャラクターが輝き、生き生きとポジティブです。一方でふわふわとしたおとぎ話のような部分、国際色的な面もあります。20世紀前半は印象派の時代で、西洋の作曲家ドビュッシー、ラヴェル等は、オリエント(日本、インドネシア、中国)の絵画から影響を受けています。印象派の絵画は西洋と東洋の様式が融合したもので、オリエント的なフレーバーを足している。菅野さんの音楽もそのような様式で書かれており、印象派の延長線上にあると言っても良いかもしれません。このような音楽は、映画やテレビに向いている。いろいろな解釈ができる想像性をかき立てる音楽で、どんな方が聴いても受け入れられると感じます」と音楽面について語った。
なお、『おんな城主 直虎』本編放送後の『大河ドラマ紀行』の演奏は、ヴァイオリニストの五嶋みどりが務める。
大河ドラマ『おんな城主 直虎』
2017年1月8日(日)放送スタート(初回60分拡大版)
毎週日曜[総合]20:00〜 /[BSプレミアム]18:00〜
http://www.nhk.or.jp/naotora/