申年を駆け抜けたMONKEY MAJIK、2016年締めくくりのスペシャルなアコースティックライブ
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MONKEY MAJIK
MONKEY MAJIK Live 2016 at The Globe Tokyo ~Special Acoustic Live~ 2016.12.11 東京グローブ座
結成15周年だった2015年に続き、東京グローブ座でのスペシャル・アコースティックライブを3日間に渡って開催したMONKEY MAJIK。2016年は干支の申年にちなんで“YEAR OF THE MONKEY”と題して、様々なことにチャレンジ。ダンスチューンや80s感を取り込んだ10枚目のアルバム『southview』で見せた新境地、その後の全国ツアー、三度目のタッグとなる吉田兄弟とのコラボレーションによるシングル「criminal」、そして先日リリースされたばかりのニューシングル「A.I. am Humen」(映画『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』主題歌)など、バンド内外でフレッシュな風が吹いているのは自明だ。
真冬らしい気候になったものの晴天に恵まれた3日間。全国から集まったファンが入り口でMONKEY MAJIKからのちょっと早めのクリスマス・プレゼントでもある入場特典のマグカップを受け取り、席に着く。二世代や夫婦も増え、ファン層の厚さを感じる。ミュージカル映画のサントラがBGMで流れ、華やかさの中にもリラックスムード漂う会場に、まずストリングス隊とサポートピアノのMrが登場してチューニング。続いてMaynard(Vo、Gt)とBlaise(Vo、Gt)が姿を見せ、二人でアコギを奏でながら「虹色の魚」からスタート。曲の途中でTAX(Dr)、DICK(Bs)とサポートパーカッションのJERRYも加わる。続けて、ストリングスとのコラボが映える「Free to fly」へ。アコースティック・ライブというにはスケール感のある演奏と音量だが、普段のバンドセットよりは耳に優しい音量で、そうなってくると何より際立つのは歌メロの普遍性だ。
この編成での展開がユニークだったのは2ndブロック。アーバンでグルーヴィな曲調も多い新作『southview』から続けて4曲を披露。特にあのエアロビクスダンスのMVも忘れられない「Delicious」をシンセやエレクトロニックな音像とは真逆なアプローチでリアレンジして見せた。それでもフロアから“Oh Oh Oh”のシンガロングとハンズクラップが起こるのだから、曲の浸透ぶりが分かるというもの。また、「Breath」ではDICKのメロディアスなベースとチェロのハーモニーがなかなかドラマティックだった。また、アコギでもファンク/ソウル的なギターリフを奏でながら、渋いバリトンボイスで歌うMaynardのボーカルがセクシーな「Kiss Me」も聴きどころ満載のアレンジで昇華されていた。さすがにライブバンド、そしてどんな形態でもライブを続けてきたMONKEY MAJIKの肩肘張らない音楽への向き合い方を垣間見たようなブロックだった。何と言ってもこれだけアレンジを変更していても、フロント二人の佇まいが、まるで曲が生まれる時のコミュニケーションを想像させるような自然体で進んでいくのがいい。
また、次のブロックではストリングスとピアノが迫ってくるイントロや、テクニカルなDICKのベースパート、TAXの人力ダブステップ調のビート感が新鮮な「Apology Accepted」やBlaiseのラップパートがクールな「delayed」も、アップデートを続けるこのバンドのポテンシャルを表現していた。それに加え、そもそも洋楽でもありJ-POPでもあり、その両方の良さを兼ね備えたバンドである。でも、そんなことを意識することなく自然に海外の潮流とリンクした音楽をここにいるオーディエンスはごく自然に受け入れて楽しんでいる。しかもこの抑制の効いたアコースティック主体の編成は、逆にMONKEY MAJIKの曲が持つアーバンな魅力と、スケール感の大きいルーツにある音楽性、つまり広範囲の洋楽のエッセンスをよく示している。
中盤ではBlaiseとストリングスのみで、より歌の深みを伝える「Written In The Stars」も披露。やはりこの人の歌は温もりとエモーションのバランスが最高だ。再びメンバーが戻ってきて、2016年を振り返る“Small Talk”のコーナー、つまりメンバー全員MCタイムが始まる。Maynard曰く「今年は“YEAR OF THE MONKEY”と銘打って、アルバムも作ったし、台湾ライブやファンミーティングもやったし忙しかった~」と振り返り、全員に「今年のNo.2とNo.1の出来事」を振る。中でも可笑しかったのはDICKがオフマイクで喋りながら途中で「なんで俺、マイクないの?」と素で笑いを誘ったこと、そしてサポートのJERRYがNo.1な出来事として「MONKEYの今年のファイナルをここでこうしてみなさんと共有できてることです!」と言い切ると、大きな拍手が起こったのは当然の流れか。加えて、Maynardが来年は全都道府県ツアーを開催することを発表し、各地から集まったファンは歓喜の声をあげていた。
中盤以降は人気曲「With you」や、イントロだけでハンドクラップが起こる「Around The World」、会場全体でスキャットの練習をした上でスタートした「Valentine」と、次第に着席のライブながらヒートアップしていく。そして、リリースされたばかりのニューシングル「A.I. am Human」も早速、アコースティック・アレンジでプレイするというチャレンジングな一幕も。何と言っても、オリジナルはトロピカル・ハウス寄りのダンサブルなビートと音像が際立つだけに、どう料理してくるか?と思ったら、生でもラテンビートなTAXのドラム、Blaiseの高音の張る声とファルセットの自在な行き来でスリリングに展開して見せたのだ。裏拍のハンズクラップも大いに援軍となって、会場全体で新曲を楽しむ様子が温かかった。
そして本編ラストはちょっと早いクリスマスに向けて、お祭り騒ぎじゃなく、シリアスに愛について歌う「Is this love?」が奏でられた。映画『CYBORG009』の、こちらはエンディングテーマだが、<何のために生まれて、誰のために戦う>というフレーズをMaynardが歌うと、クリスマスという記念日的なシーズンだからこそ、こうして音楽を鳴らしファンと共に過ごすことの大切さがこみ上げてくる気がする。音楽が生まれることはごく自然だけれど、大勢の人と同じ音楽で楽しい時間を過ごすことは当たり前ではないということ。楽しさの中にも心に留めておきたい何かを残してくれるからこそ、MONKEY MAJIKのライブ、そして音楽は長く愛されるようになったのだ。
アンコールでは最後の最後にフロント二人がピンボーカルでお茶目なところも見せながら、オーセンティックなクリスマスメドレーを歌い、ジャズバンドっぽい編成を生かしたアレンジで締めくくってくれた。自身の新生面をしっかり見せながら、全世代が楽しめるエンディングでスペシャルな3日間を終えるという、大人なスタンスも粋。来年はさらにクリスマスに近い時期に三度、登場したいと何度もMCで話していたが、ぜひ念願が叶ってほしい。
取材・文=石角友香
-LIVE HOUSE 原点回帰 -
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【熊本】 6月10日(土) 熊本B.9 V1 16:15 / 17:00
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【長崎】 6月13日(火) DRUM Be-7 18:30 / 19:00
【大分】 6月15日(木) DRUM Be-0 18:30 / 19:00
【鹿児島】 6月17日(土) 鹿児島CAPARVO HALL 16:30 / 17:00
【宮崎】 6月18日(日) 宮崎WEATHER KING 16:30 / 17:00
【兵庫】 6月22日(木) 神戸Varit 18:30 / 19:00
【和歌山】 6月24日(土) 和歌山CLUB GATE 16:30 / 17:00
【奈良】 6月25日(日) 奈良NEVER LAND 16:30 / 17:00
【大阪】 6月27日(火) 梅田Shangri-La 18:30 / 19:00
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【滋賀】 6月30日(金) 滋賀U STONE 18:30 / 19:00
【札幌】 7月2日(日) PENNY LANE24 16:30 / 17:00
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【岐阜】 7月9日(日) 岐阜Club ROOTS 16:30 / 17:00
【愛知】 7月11日(火) SPADE BOX 18:30 / 19:00
【沖縄】 7月15日(土) 桜坂セントラル 16:30 / 17:00
【沖縄】 7月16日(日) 桜坂セントラル 16:30 / 17:00