格闘技の革命!? 日本初開催のアーマードバトル国際大会 『STEEL! HEROES』レポート

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小突き合う戦士

小突き合う戦士

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いま世界で今一番ホットなスポーツといえば何か? それは格闘技のエクストリーム・スポーツというべきアーマードバトルかもしれない。アーマードバトルとは、中世時代のデザインや材質を可能な限り史実に基づき再現した鎧や盾や刀などを装備して戦い合うスポーツだ。日本では、2013年に日本アーマードバトル・リーグ(JABL)が結成されて以来、様々な場所で公式戦を行い話題になっている。今回は、JABLが海外7カ国のアーマードバトルのファイター達を招待し、日本初開催として東京スターライズタワーで行った国際大会『STEEL! HEROES』の模様をレポートする。

■ルールについて知っておこう。

ひょっとしたら初耳だという方も多いかもしれないアーマードバトル。ここでルールを少しでも知っておけばより深くアーマードバトルを楽しめるはず。

ルールはいたって簡単。鋼鉄製のケージ(檻)の中で、14世紀から15世紀にかけて存在した、同一の時代、同一地域で統一した武器や鎧を纏って、パンチ、キック、投げ技などを駆使して戦うというもの。例えば、武器は15世紀のイタリア、甲冑は14世紀の日本という設定は禁止されているが、同一の時代・地域であれば、人種、性別、国籍は問わない。ルールはIMCF(International Medieval Combat Federation)という国際アーマードバトル組織のルールに沿ったもので、剣や刀の攻撃が鎧にヒットしたり、ダウンを奪うことでポイントが加算され勝者が決まる。

選手登場

選手登場

試合には、ポールアーム(薙刀のような形状をしている武器)、両手用のロングソード、片手で使うソードなど競技用のツールを使用するものの、武器の場合は日本の法律とリーグの安全規格にのっとり、素材や重量、エッジの丸みなど、厳格な規準が課せられている。

フェンシングや、ボクシングを想像してもらうとわかりやすいだろうか。体重や性別によってライト級やヘビーウエイト級といった階級もあれば、ダウンした相手に攻撃を加えたり、急所を故意に狙うことなどは当然のように禁止されている。これは純然としたスポーツであり、楽しむことが何よりも大切なのだ。もちろん魅力があるスポーツであることはいうまでもない。昔では考えられないような、みんなが憧れた西洋騎士と日本武士の対戦が現実に観られるのだから。

■試合形式も知っておけばさらに楽しめる!

試合形式は、ヨーロッパで実際に行われていた中世の騎士のトーナメントに準じている。1対1で戦うデュエル(決闘)、3対3、5対5、10対10以上のメーレー(団体戦)や、すべてのチームのメンバーがケージに入って戦う「オール in バトル」といったものがある。今回の「STEEL! HEROES」では、前日行われた予選の勝者によるデュエルの決勝、特別マッチとして女性同士のレディー戦、チーム同士のメーレーの決勝、オール in バトルが行われ、それぞれのチームの勝者には、ポイント(ヴィクトリーポイント)が与えられ、優勝チームが決まるシステムになっている。

得点システム

得点システム

また、今回は特別に、日本の大ヒットオンラインゲーム『英雄クロニクル』を開発したサクセス社の協力のもと、『英雄クロニクル』の設定に扮した騎士や武士が戦うエキシビジョンマッチ「英雄クロニクルスペシャルエキシビションマッチ!」が行われ会場は興奮の渦に巻き込まれた。

ディーヴァ

ディーヴァ

■気になる参加チームは?

今回の参加国は8カ国。アイルランド、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ポーランド、ニュージーランド、オーストリア、そして日本である。オーストリア以外の国々の強者が日本に現存する3チーム、「ドラコーネズ」「サングリエ」「黒鋼衆」に分かれ、日本の武者たちとタッグを組んで戦う。ただし、オーストリアは特別に、ヨーロッパのアーマードバトルグループで結成されたHMB(Historic Medieval Battles)という団体に所属する強豪チーム「ウルビス・アダマンティス・ヤポーニア」が招聘されている。

■これはスポーツを超えた「戦い」だ。

ここからは試合の模様をお伝えしよう。東京タワーのすぐそばにある東京スターライズタワーの5F、会場に入るとすでにこの日をまちわびた満員の観客の熱気でムンムンの状態だった。アナウンサーが「2016、STEEL! HEROES始まります!」との声で歓声が湧く。そしてそれぞれのチームのディーヴァ(応援隊長の女性)に引きつれられ、レッドカーペットを歩くデュエル(個人戦)の決勝戦に向かう戦士たち。彼らは20キロから30キロもあるという甲冑に身を固め、ノシノシと意気揚々と歩いていく。そして始まったのが、デュエルの決勝戦だ。まずはライトウェイト級のロングソード部門、サングリエの佐藤尚紀と黒鋼衆の八ヶ代大輔。

戦い

戦い

ケージの中で対峙する2人は仮面に顔を隠しているものの眼光鋭く睨み合い火花が散っていて、体を揺らせてはこづきあい、今にも衝突が起きそうだった。そこをメインマーシャル(レフリー)であり、日本にアーマードバトルを伝えた伝道師ジェイ・ノイズが抑えつける。そして甲冑の安全性の確認が取れたあとデュエルのゴングが鳴った。

熱狂的なファン

熱狂的なファン

まず、ロングソード同士がぶつかり合う音の迫力に耳をふさぐ。なのに、甲冑を打つカチーンという音が会場に響き渡れば、鼓膜が破けそうになる。観客のボルテージはますます高まる一方だ。彼らは体と体をぶつけ合い、殴り合い、蹴り合い、もんどりうちながらケージにぶつかる。まるで動物園のライオンが怒って檻に体をぶつける感じで怖ささえ覚える。前日の予選で、選手同士がオーバーヒートのすえケージを壊してしまったという危険性もあり、鉄柱をさらにあしらえたという特別製のケージもガタガタと揺れまくる。それが壊れないようにスタッフが手で支えて抑えている。まだライトウエイト級なのだ。どちらかというとスピード勝負だ。小気味よくソードをぶつけ相手の後ろに回り込んで蹴りを入れようと素早く動く。時代劇の殺陣がリアルに起こっているような緊張感。凄まじい躍動感。これはすごいものを見てしまったと腰を抜かしてしまった。気づけばあっという間にダウンしている佐藤。ジェイが勝者の名を告げるとそれは八ヶ代だった。

激しい衝突

激しい衝突

続いてポールアーム部門のサングリエの高橋陽一と八ヶ代。こちらも試合の凄まじさは変わらない。とにかく会場に満ちるのは激しく武器がぶつかり合う音と甲冑に武器が当たって響く音。さらに武器が甲冑を引っ掻くギリギリという音。彼らは絡まり合いながらケージにぶつかりあう。想像以上に、ハードで、リアルなバトルだ。彼らはポールの柄を相手の首にかけて引き倒すような技を駆使しながら相手を押し倒してしまおうとバトルを繰り広げていく。目を見張ったのは、スポットライトに当たった彼らの甲冑の金属色が美しいことだった。

ヘビーウエイト級になると、ライオンは象に変わったような気になる。ソード&シールド部門のドラコーネズのジョシュア=ベッカーと黒鋼衆のハインリッヒ。ロングソード部門のドラコーネズのブライアンと黒鋼衆の田中克実。ポールアーム部門の巨漢でちょっぴり俳優をしていて実は『真田丸』に出演したかったとアナウンサーから暴露され笑いを取っていたサングリエの巨漢・阿見靖士と黒鋼衆のキリアン。ヘビー級になると武器と武器のぶつかりから音が違う。カキーンという音は、ドスン・ドスンと腹にこたえる。彼らがひとたび歩けば会場がグラグラ揺れる。ケージを吹き飛ばさんばかりにぶつかり、咆哮を撒き散らし、激しく息をする2人。とにかく圧倒的な破壊力に見惚れてしまった。

女性同士の戦い

女性同士の戦い

続いてのレディー戦のドラゴーネズの加川聖香とサングリエのソフィー。女性だからなんていう気負いはまるでなし。武器を小気味よくぶつけ、体をケージにぶつけ、掴み合い、転ばせあう。男性も女性も変わらない。なんだか手の汗が止まらなくなってくる。これはスポーツを超えた「戦い」なのだ。

■英雄クロニクルスペシャルエキシビジョンマッチに興奮!

デュエルの後に行われたのが「英雄クロニクル」をモチーフにしたエキシビジョンマッチだ。「英雄クロニクル」とは、ブリアティルト地方に存在する5つの国(セフィド神聖王国、ヴァルトリエ帝国、イズレーン皇国、マッカ連邦王国、オーラム共和王国)を舞台にしたターン制シミュレーション・オンラインRPGゲームだ。プレイヤーは5つの国のいずれかの陣営に所属し、キャラクターを作り上げる。キャラはスキルからキャラクター説明、決めセリフから容姿、必殺技を出した時の決めカットにいたるまで、いままでのRPGでは、デフォルトになっている項目をすべて設定可能だ。また、自分で描いたイラスト画像もアップロードができれば、作ったキャラクターを他のプレイヤーに貸したり借りたりもできる。自由度とフレキシビリティの高さで、日本だけではなく海外でも高い評価を得ている人気ゲームだ。

オッド氏

オッド氏

今回はそれぞれの5つの国の代表が、ゲーム上の国の代表となり、優勝国を決めるバトルロワイヤル。優勝は3試合で決められる。まず各国の代表5名で戦い、最後まで残った1名が勝ち抜け。2試合目は1試合目で残った4名で戦い、最後まで残った1名が勝者。3試合目は、1試合目、2試合目の勝者がバトルし優勝が決まる。

まず、3回のゴングの後にケージの中央に立ったのは、サクセスのプロデューサー、『英雄クロニクル』の生みの親のオッド氏。「このエキシビジョンマッチに呼ばれて大変光栄です。今回は『英雄クロニクル』の5つの国の代理戦争をしていただこうというテーマです。優勝者には賞金10万円を贈呈します。ぜひみなさん楽しんでください」との興奮に満ちた声で歓声が上がる。

2試合目を制したヤコブ・ブザク

2試合目を制したヤコブ・ブザク

おそらくゲームファンも多くいたのだろう。観客の多くは、それぞれのゲーム上の国に思いを馳せて声を張り上げんばかりに応援していた。『英雄クロニクル』の人気の高さをひしひしと感じた。

最終的にケージの中央に立っていたのは、ヴァルトリエ帝国の戦士に扮した「ウルビス・アダマンティス・ヤポーニア」のアンドレアス・シュトイバーだ。彼はオーストリアの代表でもあるのだが、彼はラグビーのオールブラックスのように「アウー、アウー」とチームの合言葉のようなものを叫びながら観客を煽っていたのが印象的だった。

アンドレアス・シュトイバー

アンドレアス・シュトイバー

■これは現実の『真田丸』だ!

後半戦は、各チーム入り乱れての団体戦。もうここまでくるとすごいとしか言いようがない。30キロの甲冑を身につけ、各々の武器を持った、幾人もの戦士がバトルし合うのだ。ソードはぶつかり合い、盾で殴り合い、蹴りの乱れ打ち。甲冑は凹み、武器は折れ曲がる。まさに群雄割拠の戦国時代、天下分け目の戦いの様相を呈しているように見えた。さらに最後のすべてのチームの全員が戦い合う「オール in バトル」になると戦いの激しさはクライマックスを迎える。今回は舞台の広さの都合上、チームを2分割して、2試合行われた。ただ規模が縮小するどころか、この設定のおかげで、1試合目では1人だけでも可、2試合目では最高5人まで出せるルールとなり、これで人数割や武器の相性の選択における戦略が向上し、ヴィクトリーポイントが高いせいもあって、まるでゲームをしているようなスリリングな展開を生み出していた。

試合

試合

最終試合では17人の戦士が入り乱れて戦うのだが、甲冑に反射するライト、スモーク、歓声、悲鳴、応援、アナウンサーと解説者の叫び声、武器のぶつかる音、これらが混じり合い、コーダ(最終楽章)に差し掛かった圧巻としか言いようのないカタルシスが待っていた。最後に残ったのは、「ウルビス・アダマンティス・ヤポーニア」だった。彼らはやはり「アウー、アウー」と勝利の雄叫びをあげて観客を煽っていた。

試合後、選手たちは何事もなかったようにお互いの健闘を讃えあっていた。これこそ騎士道精神であり武士道精神なのだ。まさに中世時代がケージに降りてきて、タイムスリップをしてしまうような錯覚を覚えてしまう。

健闘を讃え合う

健闘を讃え合う

その後、表彰式が行われ、「STEEL! HEROES」は終幕を迎えた。

黒鋼衆の田中克実

黒鋼衆の田中克実

ウルビス・アダマンティス・ヤポーニア

ウルビス・アダマンティス・ヤポーニア

会場を後にしても興奮は冷めやらなかった。ふと見上げればライトアップされた東京タワーが本当に綺麗にそびえ立っていた。なんとも言えない歴史的瞬間に立ち会えたような喜びを覚えて嬉しくなる。アーマードバトルは、来年になれば、さらに多くのみんなの支持を得て、確実に多くの人の胸に届く熱いスポーツになるだろう、そんな予感を抱かせてくれた1日だった。

試合の前の緊張感

試合の前の緊張感

取材・文・撮影=竹下力

ゲーム情報
英雄クロニクル

開発:SUCCESS

推奨動作環境
OS:Windows® Vista/Windows® 7/Windows® 8.1/Windows® 10
ブラウザ:Internet Explorer® 9.0 以降 + Flash Player 最新版
     Mozilla Firefox 最新版 + Flash Player 最新版
画面解像度:800×600以上
回線:ブロードバンド回線(1Mbps以上)

公式サイト:http://suc.au-chronicle.jp/web/officials/index

 

アマードバトル情報
ジャパン・アーマードバトル・リーグ

〈応募資格〉
アーマードバトルに参加可能な、20歳以上の男女(格闘技経験者優遇)。
ドラコーネズ・サングリエ・黒鉄衆の3つのチームのうち、所属したいチームを1つお選びください。

〈ご入会までの流れ〉
Step1:応募書類の送付
Step2:入会審査
Step3:入会手続き
年会費:12,000円(※金額には全て消費税がかかります)
詳しくはhttp://www.armoredbattle.com/入会案内/から

公式サイト:http://www.armoredbattle.com

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