叱られたくないと思っている人々へ 『水曜どうでしょう藤村DがデイリーポータルZに説教をする会』レポート
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水曜どうでしょう藤村DがデイリーポータルZに説教をする会 提供=東京カルチャーカルチャー
2016年12月7日、『水曜どうでしょう藤村DがデイリーポータルZに説教をする会』が東京・渋谷の東京カルチャーカルチャーにて行われた。イベント終了後には、来場者全員が満場一致で「年1回叱って貰う機会を作ろう」という意見を持って締めくくられた本イベント。来場者皆が次の叱責を楽しみにするイベントとはどのようなものだったのだろうか。
会場は、2016年12月に新たに渋谷ココチ4Fに移転した東京カルチャーカルチャー。温かみを感じさせるオレンジ色を基調にした店名サインは、初めて来場した人も抵抗なく入りやすい雰囲気を演出している。食べたり飲んだりしながらイベントを楽しめる会場で、メニューもおしゃれなものばかりだ。
開演後、本イベント開催に至った経緯が説明された。WEBメディア『デイリーポータルZ』が業界では老舗といわれ天狗になっているので、北海道の人気TV番組『水曜どうでしょう』を手掛けた藤村Dに叱って欲しい、というのがイベントの趣旨だ。また『デイリーポータルZ』は、天狗になっているにもかかわらず、黒字になったことがないのだという。『水曜どうでしょう』で160億円をもたらした藤村Dに、黒字化への秘訣を聞くというのも本企画の目的のひとつだ。
イベントは『デイリーポータルZ』の記事を見ながら、藤村Dがライター陣を叱るという方法で進められた。『デイリーポータルZ』のライター達は、どうにか藤村Dのご機嫌をとろうと、甘党の藤村Dに芋ようかんを送ってみたり、「『水曜どうでしょう』からインスピレーションを受けた」と発言してみたりと試行錯誤。あざといようにも見えるが、話をする対象を徹底的に調べ、面白いことを引き出そうとするライターの性が垣間見られた。
記事に関して藤村Dからは「目の付け所が良くておもしろいが、何の役にも立たないのが問題」というお叱りが多く発せられた。しかし、写真の撮り方についてや、漫画家の絵をマネする技術などに関しては、藤村Dも「使いたい」と高い評価を付けた。さらに「タイトルを吟味し格調高くして見栄えを良くするのが大切」「他の分野の重鎮に協力してもらい、企画を進めてみては?」といった具体的なアドバイスも。叱られることは、マイナスではなくむしろ得るものも多いようだ、そんなことを観客に思わせる一幕であった。
叱られるという高い壁に挑み、藤村Dの言葉からなにかを得ていくライター陣の姿は、観るものを勇気付けていく。「なにかに立ち向かうチャレンジ精神があれば、人の役に立つことができる」藤村Dはそういったことを伝えたかったのではなかろうか。
今回の『デイリーポータルZ』のライター陣は、ネット上だけでは役に立たなくても、現実と向かい合う精神を見せれば人を勇気づけられることを伝えてくれた。ポジティブに叱られ、ポジティブに叱る。”叱る“という行動について、前向きに立ち向かってみたくなるようなイベントであった。
メイン画像提供=東京カルチャーカルチャー
撮影・文=城岡修史
日時:2016年12月7日(水) ※終了
会場:東京カルチャーカルチャー(渋谷ココチ4F)
出演者:藤村忠寿、デイリーポータルZほか