人気乙女ゲームが初の舞台化!『オトメライブ 猛獣使いと王子様』初日公演レポート
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(C)2016オトメライブ猛獣使いと王子様製作委員会
2016年12月14(水)、新宿村LIVEにて『オトメライブ 猛獣使いと王子様』が開幕した。本作は、2010年6月に発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲームを舞台化したもの。動物になる呪いをかけられた隣国の王子様と、猛獣使いの主人公による恋愛を描いたファンタジックなストーリーで、これまでにもファンディスクやドラマCDの発売など幅広い展開でファンを魅了してきた。そんな人気作品の見どころについて、初日公演の模様とともにレポートする。
舞台は、主人公・ティアナ(白河優菜)が暮らすカトライア王国。見習い猛獣使いであるティアナは、母親のような立派な猛獣使いになるため日々奮闘し、父親からもらった笛で動物を操る。そんな少女の夢が動き出す瞬間を、明るい歌と楽しいダンスで表現し、観客をファンタジーの世界へといざなう。
“20年前の出来事”をキーワードに物語は進み、兄弟である4人の王子と出会うことでティアナの生活は一変する。この王子たちがお目見えするシーンでは、会場中の目が釘付けに。気高く美しい王子たちにぴったりな、後光のようにまばゆい光を従えての登場に思わず息をのむ。
ファザーン王国の第1王子であるマティアス(丹野延一)は、俺様とも思える言動でエスコート。第2王子のアルフレート(沖津海友)は、凛とした立ち振る舞いでクールな印象。第3王子のルシア(山下竜輝)は、ハキハキとした物言いでありのままの感情をぶつける。そして第4王子のエリク(大見拓土)は、表情豊かで元気いっぱいなキャラクター。
本作では、それぞれの王子との胸きゅんエピソードもてんこ盛り。さりげなくティアナの肩や腰に手を回したり、腕を引き寄せたり、顔を近付け囁いたり。決して嫌味ではない爽やかなボディタッチが多く、その仕草の一つひとつに、ティアナを含む会場中の女性の心をざわつかせる。
そんな女性客の気持ちを一身に背負う白河のティアナは、くるくると変わる表情がとても魅力的。きらきらとした笑顔からは純真な心が伝わり、ときに戸惑いながらも全身で悲しみを受け止める。まるでストーリーが進行していくごとに、感情の種類が一つ、また一つと増えていくよう。王子たちの個性がぶつかり合いながらも問題を解決するべくまい進し、ティアナは彼らとともに成長していく。
ストーリーが展開する上で鍵を握るのは、薬屋で働く少年・シルビオ(吉田龍介)。ティアナと出会うシーンでは歌とダンスで妖しく誘い、会場の雰囲気をがらりと変える。シルビオと関わることで物語がどう動いていくのか必見だ。
ティアナの幼馴染であるクラウス(吉岡圭介)も重要となる人物。ティアナから兄のように慕われているが、普段は真面目で堅物なイメージ。そんなクラウスがいるからこそ際立つコミカルなシーンにも注目。
美麗なスチルを使った演出もあり、ゲームでは欠かせない“モフモフシーン”も健在。そこに光と音楽、キャスト陣の熱量が加わり、ファンタジックな世界へと引き込んでいく。戦闘を交えながらクライマックスに向かう頃には、序盤ではほのぼのとした雰囲気だった空気が、別の色へと変わる。
初日公演のカーテンコールでは、マティアス役の丹野が「作品の世界に皆さんが入ってきてくれたら嬉しい」と言葉少なに語った。そのメッセージ通り、独自の世界観を堪能してほしい。
(取材・文/堀江有希)