楠本桃子のゲームコラムvol.26 100年の歴史を紡ぎだす『ヴィーナス&ブレイブス〜魔女と女神と滅びの予言〜』
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※公式サイトより引用
筆者オススメのゲームをご紹介するこのゲームコラムも25回目となりました。さて、本日紹介するのは『ヴィーナス&ブレイブス〜魔女と女神と滅びの予言〜』。ナムコからPlayStation 2用ソフトとして、2003年2月13日として発売されたRPGです。
不死身であり、死ぬことのない主人公“ブラッド”の冒険譚である本作は、『7 〜モールモースの騎兵隊〜』のシステムを踏襲した作品となっていて、その独特なシステムは、当時も話題となりました。
絵本のように可愛らしいキャラクター達が目を引くゲームですが、戦略高いバトルと、世代交代によるシビアなステータス変動はコアゲーマーからの評価も高いです。
今回は、そんな『ヴィーナス&ブレイブス』の世界の魅力をまとめてみました!
【主人公は不老不死。だけど周りは普通の人々】
※公式サイトより引用
時はアクラル正暦999年。
ウェル=バリウスの予言によればこの年、世にも禍々しき魔物が現れるという。かつて、"神殺しのブラッド"、"戦場の鬼神"、"惨劇のディアボロス"の異名を持った騎士ブラッド・ボアル。
不老の命を持つブラッドは、いくつもの時代を経て、大陸南部辺境の小さな鉱山街バルクウェイで暮らしていた。戦いの日々は過ぎ、"ゴーレム山賊団"団員たちとのささやかな共同生活を楽しんでいた彼。街は、間もなく始まる1000年祭の準備に明け暮れていた。 だが、そんな平和な街に、突然魔物があらわれる。
あわてて剣を取るゴーレム山賊団。どうにか魔物を撃破し、街は1000年祭へと突入するが…。最後に戦ったドラゴンと、一人の魔騎士の尋常でない強さ。そして、街で何度かすれ違った謎の女の言葉「魔物の恐怖は去ったわけじゃない。このままでは街が滅びますよ…そして…人類も…。」
それらはブラッドの心に大きな闇となってのしかかる。ブラッドの前に降り立つ、白翼の精霊、女神アリア。アリアは、"大災厄"の予言は、本当に起こるのだという。そして、"それ"はもう始まったのだと。
女神アリアは預言書をブラッドに託す。ブラッドは旅立つ。それぞれの思いを持つ、仲間たちとともに。戦いはやがてアクラル大陸全土、いや、全ての世界を巻き込んだ過酷なものとなる。
試練の果てに、不滅の命を得たといわれる謎の大魔女ヴィヴィ。 女神アリア、不老の騎士ブラッド、そして多くの戦友たち。100年にわたる"大災厄"の予言との長い戦いの中、勇者たちは出会い、別れ、愛し、愛されて、そして死んでいく。勇者の意志は受け継がれ、思いは世代を超えて伝えられる。
『ヴィーナス アンド ブレイブス』
…これは、世界の危機に立ち向かった女神と不死なる男、そして名もなき勇者達の戦いの記録となる。(※公式サイトより引用)
本作の主人公"ブラッド"は不老不死。この不老不死という設定は、ゲームのストーリーだけではなく、システムにも密接に関係しています。
周りの仲間達は当たり前に年を取り、老い、死を迎える、というサイクルがあるのですが、ブラッドだけはそのサイクルから外れた存在。だからこそ、仲間の成長を見守ることができます。
子供の頃から知っていたキャラクターが、時間の経過と共に成長し、パーティーに加入してくれる、という熱い展開も!
【時間は有限。仲間との限られた期間をどう過ごす?】
※公式サイトより引用
本作では、時間の経過により、ブラッドを除くすべての仲間が年をとっていきます。
青年期には大きな戦力となった仲間も、老いていくにつれて戦力も低下し、最終的にはとても低いステータスとなってしまいます。そのため、同じ仲間をいつまでもパーティーに入れて旅を進める、ということが困難となり、何度もパーティーチェンジの機会が訪れます。
一緒に旅をする仲間達は旅の途中、仲間同士で結婚をし、子供を産むことも。この子供は両親の資質を引き継ぐので、パーティーの戦力強化には必須です。強い親から生まれた子供はステータスも高いため、重宝する存在に。
自分のお気に入りのキャラが亡くなってしまうのは悲しいですが、そのキャラを受け継いだ子供をまた育てられるため、新鮮さが失われることがありません。
『俺の屍を越えてゆけ』が好きな方は、間違いなくハマるシステムだと思います。大切な仲間との別れを繰り返し、そして強くなっていくパーティー。災いから世界を守るために、ブラッドとその仲間達は、100年もの間戦い続けることとなります。
【3×4のマス目がバトルの鍵! 配置によって勝率変化!】
※公式サイトより引用
本作は“ローテーションバトル”と呼ばれる、独特なバトルシステムが採用されています。
3×4のフィールド上に自由に味方を配置したら、“現在の隊列を維持する”、“隊列の順番を次に回す”というどちらかの指示をパーティーに出してバトルを進めていきます。
前列にいるキャラクターは攻撃、後列にいるキャラクターは回復や補助、といったように、仲間の職業と配置場所により、どういった行動を起こすかは予め決定されています。
そのため、このキャラクターは攻撃、このキャラクターは回復……というようなコマンド入力も必要ありません。こちらが指示するのは隊列を維持するか、次に回すか、という2択だけ。一見簡単そうに見えますが、実はとても戦略高いバトルシステムなのです。
仲間になるキャラクターには、回復や補助は苦手だがHPが高い戦士、攻撃補助や回復補助を持つ冒険者、列ごとの回復ができる僧侶、といったように、様々な役割を持つジョブが設定されています。
そのジョブの特性を活かし、どこのマスにどのジョブを入れ込むのかをしっかりと練らなければ、勝利は厳しいものとなるかもしれません。
また、仲間達はバトルでHPがゼロになってしまったら、“戦死”という扱いになり、もう2度と戻ってくることはありません。
仲間をロストしてしまわないように、慎重に戦うことが大事なのですが、軽く見ているとすぐにロストをしてしまうので要注意!
いつでもパーティー全体を見渡し、的確な指示がだせる司令塔にならなければ、世界を救うことも難しいでしょう。
【感動的なストーリーと、キャラクターが高評価!】
※公式サイトより引用
物語のキーを握る、女神・アリアと、ブラッドと同じ不老不死のヴィヴィ。この2人の人気が高い本作ですが、その理由は一度エンディングを見ていただければわかるはず!
100年という長い月日を共に過ごす2人とブラッドには、感情移入をしてしまうこと間違いなしです。エンディングでは今までの旅を思い出し、思わずホロリときてしまいました……。
もちろん、100年の間には様々な仲間との出会いと別れを繰り返すことになります。旅の道中出会う人々も個性的な面々ばかり。きっとお気に入りの仲間が見つかるはずです。
不老不死の主人公だからこそ体験できるイベント達は胸を打つものが多く、ひとつひとつのイベントをじっくりと味わえるものとなっています。
キャラクターのグラフィックは暖かみがあり、どんな世代の方にも受け入れやすい絵柄です。もちろん時間の経過と共に、キャラクターの見た目も変化。お気に入りキャラクターの成長する姿を見ていると、大きな愛着がわいてきます。
【戦略家のあなたに捧ぐ! 100年というひとつの"歴史"が舞台のRPG】
100年の間、世代交代を繰り返しながら大災厄から世界を守る旅は長くて果てしないものですが、新しい仲間との出会いを楽しみながらゆっくりと進めてみてください。
戦略をじっくりと考えて完璧な勝利を目指すも良し、最強のパーティーを作り出すも良し、変化していく世界を歩いて見て回るも良し。長い時間をかけて歴史を作っていく体験ができるのは、ゲームの世界ならではですから。
自分だけのパーティーを作り、自分だけの歴史を辿り、エンディングまで辿り着いた時には、大きな感動を得ることができるはずです。
エンディングの達成感を大きく味わえるRPGとして、オススメの1本です。