浅井健一のみずみずしい初期衝動あふれるロックンロールアルバム『METEO』は如何にして生まれたのか

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浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS

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浅井健一、2年ぶりのソロ名義による新プロジェクト。バックを固めるのは、日本のオルタナ・シーンを代表するベーシスト・中尾憲太郎と、カナダでのバンド経験を持つ無名の女性ドラマー・小林瞳という、異色の顔合わせだ。その音は、彼のルーツのひとつであるロカビリーをはじめ、ガレージ感満載のエッジィなロックンロール。彼が関わってきたすべてのバンド遍歴の中でも、とりわけストレートでダイナミックな、初期衝動を感じさせるみずみずしい音に胸が高鳴る。浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS、ファーストにして傑作アルバム『METEO』と共に、新たなロックの扉が今開かれる。

――最高にかっこいいアルバムが聴けて、うれしいです。

ありがとう。

――正直に言うと、小林瞳さんというドラマーの存在を全然知らなくて。聴いてびっくりしました。とんでもないドラマーですね。

そうなんですよ。俺も全然知らなくて。SHERBETSのベースの仲田くんが、発掘してきたんですよね。仲田くんに紹介されて。

――それはいつ頃?

今年の3月。スタジオで会って、音出してみて、すごいなと思った。仲田くんから噂では聞いていて、すごいドラムがいるんだということは頭には入ってたけど、やっぱりすごかった。

――女性だから、という言い方は誤解を招くかもしれないですけど。パワー系ではないのに、グルーヴそのものが骨太というか。

パワーは男には負けるけど、ドラムって、パワーはマイクで拾って増幅できるんで。レコーディングでもライブでも、生音じゃない限りは。だから、パワーよりはやること、ノリですよね。ノリが違うんで。俺も、乗っちゃうんで……乗せられてる。

――わかります。浅井さん、今回ギター弾きまくってるし。気持ちよさそうに。

そうですね。憲太郎とも合うし。

――憲太郎さんとは、前から?

憲太郎とも、3月に初めて。これまで全然接点がなかった。でも人間性が真面目だから、やってて気持ちいいし、嗜好も全然理解できるんで。『マッドマックス』の一番新しいやつに、すげぇ感化されてるみたいだけど、そこも全然理解できるんで(笑)。

――今回はソロ名義ということですけど。形態としてはバンドですよね。

どっちでもいいんだけどね。

――曲は、もともとあったんですか。それとも3人で会ってから?

破片はあって。SHERBETSではなかなか表現できなくてずっと眠っていた曲があって、それを今回、この3人だとできたかな。SHERBETSとはまた違う生き物なんだわ。

――そうですね。

だから差別化ができていいなと思う。

――たとえば小林さんは、どんな音楽が好きなんですか。

それ聞いたんだけど、結局、俺も同じこと聞かれたら困ると思うんだ。好きな音楽なんて、いっぱいあるじゃん。彼女も同じようなこと言ってた。「ひとつのバンドの名前を言って、それだけだと思われちゃうと困るから」って。だから、いろいろ好きなんだと思うよ。俺もそうだから。……彼女は普通の人とは雰囲気が違うんだ。子供の頃から外国で暮らしてたらしいし、キャナダでバンドもやってたし。

――独特のノリ、ありますよね。

うん。うまく言えないけど。実際やってると、やけに気持ちいいとしか言えない。

――憲太郎さんとは、好みの音楽の話は?

してない。『マッドマックス』の話だけ(笑)。先月ぐらいに、かなり遅れて『マッドマックス4』(怒りのデスロード)を観たんですよ。それを観て、すっげぇ良かったから、次のリハの時に「憲太郎、観た?」って聞いたら、“俺は映画館に4回観に行きました”って。

――そりゃすごい(笑)。

すでに知っていて、大好きだって言うから。これは合うなと思った。

――それまでまったく会ったことのなかった3人が、こんなすごい音を出せるというのは、奇跡だと思います。しかも今回、浅井さんのルーツのロカビリーとか、そのあたりのサウンドをズバッと出してきたなという印象があるんですね。それは自然に?

自然にと言うか、もともとそういう曲があったんで。

――それがこの3人ならバッチリだろうと。

うん。逆にソウルっぽいものは、ちょっと苦手かもね。ファンキーな感じとかは。

――曲ごとでいうと、たとえば「朝の4時」は、めちゃくちゃ速いロックンロール。

速いね。

――こんな高速チューン、久々に聴きました。これはやっぱりSHERBETSじゃないなと思いますね。録音は一発録りですか。

ほとんど一発。……というか、全部一発。

――浅井さんの“OK!”という声をきっかけに曲が終わるとか。ライブ感満載な録音になっていて。

うん。全部生だからね。

――コーラスも、かなりたくさん入ってます。

レコードのコーラスは、全部自分なんですよ。“常識だぜ”とか、(セリフは)憲太郎に頼んだりしたけど。二人ともやったことないんで、照れるんですよね、歌うと。ライブではやってもらうけど。……瞳さん、コーラスうまいよ。

――ハマると思います。個人的に、「細い杖」がすごく好きです。頭から離れなくて。

まさに今、ラジオでかけてきたところ(インタビュー前のラジオ出演時)。

――これ、本当にあったことなんですか。25年前に、電車に乗っていて、目の見えない女性に会って、というストーリーは。

うん。その曲の歌詞を探してる時、突然思い出したとしか言いようがないんだけど。自分でも不思議だし。

――起きたことを歌ってるだけ。

そうだね。淡々と、起きたことを歌ってる曲だよね。思い出を綴ってるだけ。

――だからこそ、ずっと残る気がします。

うん、たくさんの人に聴いてほしいね。

――「マス釣り」も、起きたことを淡々と歌う曲じゃないですか。釣りに行った様子を、そのまま描いているだけ。

そうだね。すごいこと言おうとして歌詞を作ると、ロクなことがないんだ(笑)。素晴らしいことを言おうとして作ったら、何か変なんだよね。

――それって、浅井さんの作詞の秘訣な気がします。「Fried Bird」もすごく好きなんですけど、日常の軽い恋愛話から、サビで突然神話的な船が出てきたり。すごくシュールでかっこいいんですけど、こういう歌詞ってどうやって思いつくのか。

いや、自分の中から出てきた、としか言いようがないな。試行錯誤はしてるけどね。すんなり書ける時なんて、50曲中1曲ぐらいだね。

――ラスト・チューン「Finish Filed」も素晴らしい。最高にメロディアスなロック・チューン。

二日酔いの歌だけどね。

――えっ。そうなんですか(笑)。

前の日飲みすぎて、ボロボロなんだけど、仕事に行かなくちゃという曲(笑)。ドアを開けて、道をフラフラ歩いてる時。そういう状況なんだけど。

――言われてみれば確かに。今回は、歌詞の世界が、今まで以上に浅井さんの素に近いのかなと思ったんですよね。怒ったり、挑発したりじゃなくて、落ち着いてる感じがすごくしたので。穏やかで、おおらかというか。

怒ってないよね。聴いてる人が強くなったり、うれしくなったりする、そういう曲を作りたいからね。それは大事だと思う。

――そしてアルバム・タイトルが『METEO』。彗星、ですか。

そう。彗星のように現れて、彗星のように消えていく。……消えて行ったらイカンけど(笑)。初めの部分だけでいいんだけど。そんな気持ちでつけました。

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS

――年明け早々にはツアーも決まりましたが、どういうライブを見せたいですか。

きっとめちゃくちゃ良くなると思うんだけど、油断したらダメなんで。気を引き締めて、毎回最高の演奏をやることだけ考えてるかな。

――今年、結成から何度かライブを重ねる中で、上がってきてる感覚がありますか。

3回しかやってないけど、上がってきてるね。

――お客さんへ一言。メッセージをください。

そうだね、アルバムを聴いて、何も考えずに、とにかく来てくれたら。俺も無心で歌うんで、一緒にその時だけの時間を、めったにない時間だから、一緒に最高の気持ちになれたらいいと思ってやるんで。ぜひ来てください。

――ありがとうございました。……浅井さん、すごくいい顔してますね。つやつやしてる。今、調子いいんだろうなって気がします。

朝、ジムに行ってきたからね(笑)。

――そういうことですか(笑)。

まあ、普通のジムじゃないけどね。普通のジムだと面白くないから。今度、テレビがあるんで、絞っていこうかなと思って。

――絞った身体で(笑)。ライブ、楽しみにしてます。

ぜひ来てください。


取材・文=宮本英夫

リリース情報
浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS『METEO』
『METEO』初回盤

『METEO』初回盤

収録曲
01. Messenger Boy
02. 朝の4時
03. 細い杖
04. Cosmic Wonder Bowler
05. LA
06. Fried Bird
07. 何あせってんの
08. 魔術師
09. フルサト
10. マス釣り
11. Finish Field

初回限定盤、通信販売受付
http://sexystones.shop-pro.jp
 
初回限定盤
¥4,500(TAX IN)
Sexy Stones Records / SSR-051、052
CD (11曲入り)+DVD (初ライブの映像)+16Pブックレット+浅井健一デザインステッカー封入。
 
通常盤
2017年3月8日発売 
価格未定
Sexy Stones Records / VKCA-10062
 
ツアー情報
浅井健一& THE INTERCHANGE KILLS METEO TOUR 2017
2017年1月6日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE 
2017年1月7日(土)大阪府 Shangri-La
2017年1月12日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
2017年1月14日(土)宮城県 仙台MACANA
2017年1月15日(日)福島県 郡山CLUB #9
2017年1月21日(土)北海道 cube garden
2017年1月28日(土)福岡県 DRUM Be-1
2017年1月29日(日)大分県 COPPER RAVENS
2017年2月3日(金)岡山県 IMAGE
2017年2月4日(土)広島県 SECOND CRUTCH
2017年2月9日(木)京都府 磔磔
2017年2月10日(金)和歌山県 和歌山CLUB GATE
2017年2月18日(土)長野県 ALEcx 
2017年2月19日(日)静岡県 Shizuoka UMBER 
2017年2月23日(木)東京都 LIQUIDROOM
 
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