経験と成熟を経て帰ってきた“明るく楽しい”モンパチ 東京公演でみせた過去最高のステージ
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MONGOL800 撮影=武安弘毅
Pretty good!! TOUR 2016-2017・東京公演 2016.12.17 新木場STUDIO COAST
前作『People People』発表以降のライブにおいて、キヨサクが「明るく楽しいアルバムを作りたかったけど、できなかった」とMCする場面に何度か遭遇した。そう、「himeyuri~ひめゆりの詩~」が冒頭を飾る前作は非常にメッセージ性の強い作風で、まさに彼らMONGOL800の代表作と言える2ndアルバム『MESSAGE』を踏襲する色合いを浮かべていた。人間も音楽も時代性から無縁ではいられない。その意味で前作もウソ偽わりない心情を吐露した作品だった。
MONGOL800 撮影=武安弘毅
そして、前作から約1年ぶり(過去最短!)に届いた8thアルバム『Pretty good!!』は、あの“明るく楽しい”モンパチを体現する内容となった。ずっとシリアスな顔ばかりはしていられない。どっちも彼ら本来の姿であり、両方あってこそモンパチなのだ。その新作に伴う全国ライブハウスツアー『Pretty good!! TOUR 2016-2017』は、11月19日の初日にあたる沖縄HUMAN STAGEを皮切りに、続く桜坂セントラルと、彼らの地元沖縄2公演からスタートした。この日の東京・新木場STUDIO COAST公演は全26公演中の12本目にあたり、フロアを見渡してみると、ビッシリと観客で埋まっていた。
MONGOL800 撮影=武安弘毅
「熱いぞ、東京! 沖縄から夏を届けにきました!」とキヨサクが挨拶すると、初期曲「PARTY」を筆頭にノリやすい曲調で満員御礼の場内を焚き付けていく。序盤からタカシはステージ前方でブルージーなギターソロを高らかに響かせ、積極的に前に出ていくアグレッシヴな姿勢も印象に残った。さらにキヨサクの歌を援護するタカシ&サトシのコーラスも最高で、3ピースとしてのチームワーク感もひときわ際立っていた。観客もそれに応えるように大声で歌い上げ、体を激しく動かし、バンドとフロアの相乗効果により、いきなり沸点を記録する盛り上がりだ。ライブでぐんぐんと成長を遂げている「OKINAWA CALLING」でも観客とコール&レスポンスを繰り広げ、音楽を通して会場がひとつになる光景に胸が熱くなるばかり。
MONGOL800 撮影=武安弘毅
また東京公演では新作収録の「Brand new morning」、「rainbow」の2曲でサウンド・プロデュースを務めたヨースケ@HOME、さらに浅草ジンタのSeasir(Tp)がスペシャル・ゲストで参加し、多くの観客を釘付けにした。
MONGOL800 撮影=武安弘毅
そして、気になる新作の楽曲はライブでどう聴こえるのか。それが非常に気になっていた。蓋を開けてみると、全10曲すべてを披露する大盤振る舞いで、新作がいかにライブを意識した作風であったかを骨身に思い知らされた。曲調的には1stアルバム『GO ON AS YOU ARE』、そう、モンパチの出発地点に戻ったような、聴き手の心を明るく照らすハッピー・モードに回帰していた。音楽本来の楽しさやワクワクドキドキする感じ、テンションが異様にアガッてしまう高揚感が、どの新曲からもストレートに伝わってくる。
MONGOL800 撮影=武安弘毅
ただし、人生経験を重ねた今のモンパチがハッピーな新曲を鳴らすと、デビュー時の彼らとは同じようで、やはり何かが決定的に違った。3人のアンサンブルには奥行きがあり、緩急があり、表現力は圧倒的にブラッシュアップされている。闇や影をきちんと踏まえた上での、明るく振り切ったサウンドは胸に沁みてしょうがなく、人生の中でハッピーな瞬間こそ、尊いものであり、実はかけがえのないものなんだと、教えてくれるようだった。特にキャッチーな輝きを放つ「風鈴」も良かったけれど、個人的に大好きな「Just for you」のサビには思わず涙腺が崩壊した。このサビがとても切ないのだ。もちろんフロアは観客の笑顔で咲き誇り、ショウ自体は底抜けにアッパーなものだった。
MONGOL800 撮影=武安弘毅
だからこそ、僕は逆にモンパチの楽曲から「切なさ」が炙り出されているようにも感じた。明るさ、楽しさ、つまり光彩は陰影があってこそ、初めてクッキリとした形を見せる。その成熟した楽曲アプローチにこれ以上なく感動した。名曲「小さな恋のうた」を織り交ぜた今回のショウは、デビュー時から観続けてきた筆者にとっても過去最高のパフォーマンスと太鼓判を押したい。
MONGOL800 撮影=武安弘毅
この後もまだまだツアーは続く。来年1月28日に沖縄・ミュージックタウン音市場でファイナルを迎えるが、この全国ツアーでモンパチの魅力に一人でも多くの人に触れてほしい。本当に本当に素晴らしいショウだった。
取材・文=荒金良介 撮影=武安弘毅
MONGOL800 撮影=武安弘毅
12月27日(火)
群馬 高崎club FLEEZ ※SOLD OUT
OPEN18:30 / START19:00
岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
OPEN17:00 / START18:00
広島 BLUE LIVE HIROSHIMA
OPEN17:00 / START18:00
兵庫 神戸Harbor Studio ※SOLD OUT
OPEN18:30 / START19:00
京都 KYOTO MUSE ※SOLD OUT
OPEN18:30 / START19:00
香川 高松festhalle
OPEN17:00 / START18:00
愛媛 松山 W Studio RED ※SOLD OUT
OPEN17:30 / START18:00
福岡 DRUM LOGOS
OPEN18:00 / START19:00
熊本 KUMAMoTo B.9 V1
OPEN18:00 / START19:00
鹿児島 CAPARVO HALL
OPEN17:30 / START18:00
沖縄 ミュージックタウン音市場
OPEN17:00 / START18:00