一足お先に2ndアルバムを再現、ACC流ポップに沸いた「Awesome Talks -vol.2-」
Awesome City Club(オーサム・シティー・クラブ/ACC)
「Awesome Talks -vol.2-」2015年8月21日(金) shibuya WWW
出演:Awesome City Club / GREAT3 / group_inou / DJ: サイトウ“JxJx”ジュン
会場に足を踏み入れると、壁の片側一面にACCのイラスト&ロゴのバックドロップ幕が掲げられ、それを七色の照明が次々と照らしている。ステージの天井には回転するミラーボールがまばゆく輝いている。はあっという間にSOLD OUTとなった、Awesome City Club(オーサム・シティー・クラブ/ACC)の自主企画第二弾「Awesome Talks vol.2」。WWWの段々になった客席の中央に設けられたDJブースから繰り出される、DJサイトウ“JxJx”ジュンのモダンなアッパーチューンの数々が、ライブを待ちきれない心を躍らせる。
1番手のgroup_inouは、エレクトロなヒップホップで熱く盛り上げ、MCでクスッと笑わせ、時にエモーショナルなパフォーマンスで場内を圧倒した。続くGREAT3は、堀江博久(Keyboard)が加わっての4人編成で、jan(Bass)、白根賢一(Drums)、片寄明人(Vocal&Guitar)がステージ前面に横一列並びで演奏。夏の終わりに相応しい楽曲、懐かしめのナンバー、最新アルバムからの曲など、大人の魅力あふれるポップなサウンドに客席は酔いしれた。
そしてトリはACC。「架空の街“Awesome City”のサウンドトラック」をコンセプトに掲げ、2013年春に結成された男3女2の5人組バンド。フレーミングリップスの「Race for the Prize」をSEにして、メンバー全員が全身白を基調とした爽やかな衣装で登場すると、一斉に歓声があがる。PORIN(Vocal/Synthesizer)が「お待たせしましたー!みんな楽しんでる?いい時間にしようねッ」と叫んだ。前日に公式サイトで発表された通り、今日のライブは9月16日リリースの2ndアルバム『Awesome City Tracks 2』を曲順通りに演奏する“アルバム再現ライブ”が行われ、もちろん1曲目はアルバムでもオープニングを飾る「GOLD」からスタート!
atagi(Vocal&Guitar)の透き通った優しい歌声が、心地よいポップなサウンドに乗って会場に響き渡る。繰り返されるスキャットのフレーズが印象的だ。続く、初披露の新曲「what you want」はミラーボールが似合う、スタイリッシュな雰囲気のダンスミュージック。すでにライヴでお馴染みのグルーヴ感満載のシティポップ「WAHAHA」では、マツザカタクミ(Bass/Synthesizer/Rap)がラップを披露。タンバリンを叩きながら踊る、白のミニスカートからスラリと伸びるスレンダーな脚に真っ赤なストラップシューズを履いたPORINの、ハイトーンな歌声がラップに絡む。スタッフから手渡されたバズーカ型クラッカーを、客席に向かってPORINが撃つ場面には会場がどっと沸いた。
atagi「本日はようこそお越しくださいました!蓋を開けてみれば、SOLD OUT&満員御礼!本当にどうもありがとう!満員御礼だったんでバズーカ、購入しちゃいました!」
PORIN「びっくりさせてごめんなさい。でも気持ちよかった(笑)」。
atagi「今日はまだ発売していない2ndアルバムの再現ライブを、勝手にやるぞと決めて準備してきちゃいました、すみません!いち早く、誰よりも早く、2ndアルバムの全容と新しい曲をみなさんに体感してもらいたかったのと…もう待ちきれなかったんだよね。早く演りたくなっちゃって」と素直な心情を語った。快進撃を続ける彼らの、2ndアルバム完成の喜びと自信がうかがえる。
「2ndアルバムを出せるまで活動を続けて来れたんですが、音楽活動やバンドを続ける中で、出会いもあって別れもあって、いろんな移り変わりがあって、水の中を流れていくような不安定な道をずーっと現在進行形で僕たちは進んでいるんですけれども、出会いじゃなくて、別れの方にフォーカスを当てた曲をやります。ネガティブな別れじゃなくて、ポジティブな別れもある。このまま頑張っていればどこかで巡り合う人も、また一緒に美味しいお酒を飲める人もいるだろうな、っていう曲です」と曲紹介した「僕らはここでお別れさ」はチャイニーズ風のリズムの、スローなポップナンバー。ステージ後方に掲げられた5枚のパネルに、それぞれに手を振る映像が流れた。他の曲を演奏している時にも、沢山のイメージ写真のコラージュだったり、夜の街や交差点のイラスト動画だったり、VJが曲毎に凝っていてイメージが広がる。
「愛ゆえに深度深い」は、エレガンスな白のワンピースを着たユキエ(Drums)が繰り出す軽妙なリズムと、ダークな曲調、不思議な語感の歌詞をatagiがのびやかに歌い、マツザカタクミのラップに、PORINの歌声が絡み、モリシー (Guitar/Synthesizer)がピアノの音色を聞かせる、ACCのサウンドの一面をギュッと凝縮したような楽曲。クラウドファンディング方式でのリリースが発表されているシングル「アウトサイダー」は、究極にキャッチーでポップな、atagiとPORINの男女ツインボーカルが光るアッパーチューン。そして最後の曲は「Lullaby For TOKYO CITY」。VJによって映し出された、夜の街を走る自動車の車窓からの映像が、ピアノの音色から始まるゆったりしたバラードとクロスして、ストーリーを浮かび上がらせる。曲が終わると同時に、映像はここ渋谷の街に辿り着き、なにか言い表せない感情に心が満たされた。一瞬の静寂、そしてオーディエンスからACCに惜しみない拍手が贈られた。
アンコールに応えて、再びステージに現れた5人。物販の告知や本日の来場者配布の限定バーチャル7inch、初のワンマンライブツアー、そして2ndアルバムリリースのお知らせなどしながら、メンバーの充実感いっぱいの笑顔が弾ける。キュートなファルセットボイスでPORINがメインボーカルを務め、モリシーのギターソロが心地よいロックチューン「4月のマーチ」を披露。そして本日のラストソング、洗練されたオシャレなシティポップに、言葉遊び的な日本語詞が並ぶ「涙の上海ナイト」で客席を大いに盛り上げて大団円となった。至福に満ちたエンディングの中、彼らのことをもっと知りたくなったし、何よりワンマンツアーが今からとても楽しみだ。
取材・文=下村祥子 PHOTO by 古溪一道
「Awesome Talks -vol.2-」2015年8月21日(金) shibuya WWW
1. GOLD
2. what you want
3. WAHAHA
4. 僕らはここでお別れさ
5. 愛ゆえに深度深い
6. アウトサイダー
7. Lullaby For TOKYO CITY
[ENCORE]
8. 4月のマーチ
9. 涙の上海ナイト
11月6日(金) 名古屋・APOLLO BASE
11月13日(金) 大阪・梅田Shangri-La
11月15日(日) 福岡・DRUM SON
11月28日(土) 東京・代官山UNIT
[全7曲収録]
01. GOLD
02. what you want
03. WAHAHA
04. 僕らはここでお別れさ
05. 愛ゆえに深度深い
06. アウトサイダー
07. Lullaby For TOKYO CITY
VICL-64421
¥2,000+tax
発売元:Victor Entertainment/CONNECTONE
販売元:Victor Entertainment/CONNECTONE