かつては“想像すらできなかった”ステージで“やりたい放題”のライブを完遂したLiSA、大いに語る
-
ポスト -
シェア - 送る
LiSA 撮影=菊池貴裕
日本武道館2daysライブから始まった2015年は、LiSAにとって大いなる飛躍の年だった――と、今年の3月に行ったインタビュー記事に書いていたのだけれど、2016年はそれを上回る圧巻の勢いで突っ走り、そしてスターダムへと駆け上がっていったLiSA。横浜アリーナ2Daysライブを終えたタイミングで行ったこのインタビューでは、そのステージの感想を中心に、その彼女が裏でどんな想いを抱いていたのか、さらにはこの先の展望までイキイキと語ってくれている。きっとまたもや我々の予想を軽く超えていってくれるはずの、LiSAの2017年に想像をめぐらせながらお読みいただけたら嬉しい。
――LiSAさん!
はい!
――もう、最高得点出しちゃったんじゃないですか?
出しちゃったんじゃないですかぁ(笑)……!?
――圧巻でしたよ、貴方。
無敵だったでしょ、私(笑)。
――ええ、本当に。
楽しかったぁ!
――というのは、11月26日、27日の『LiVE is Smile Always ~NEVER ENDiNG GLORY~「the Sun」&「the Moon」』のことね。
そう! 本当にすごい楽しかった! お母さんが観に来てくれてたんだけど、ライブ後の感想の第一声が、“やりたい放題やったな……”だったの(笑)。
――あははは! さすがお母さん。
本当に、自分でもやりたい放題だったなと(笑)。本当に“楽しかった!”しか出て来ないくらい!
――それは何よりの成長の証だよね 。2014年は、ライブごとに“2014年の武道館に対するリベンジ”がつきまといながらも、ずっとずっともがきながら頑張って、2015年の武道館で、自分自身の中でしっかりとリベンジを果たした頃から、だんだん心からライブを楽しめるようになってきたのかなと思います。それで、今回の横アリ2daysで最強のLiSAが完成したなと。
まさにです! 本当に、ライブレポートにも書いていただいたんですけど、横浜アリーナは、私の“念願の場所”であった訳ではないって。本当にそのとおりだなって思ったんです。昔は、まったくそんな場所で自分がライブ出来ることを想像出来ていなかったし、そういうところでどういうライブをしたらいいかも分からなかった。でも、それがいろんな場所でライブをするようになって、だんだんやりたい場所が増えていったというか、見えていったって感じだったんです。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――まさに、具現化出来た瞬間でもあったんだね、横浜アリーナは。
そうなんです。1日目に“私、これ以上のライブ出来ないや!”って思って、ライブ終わってから楽屋で「明日ライブ出来ないかも?! 最高のライブ」しちゃった~!」って騒いでたんです(笑)。でも2日目になったら、ライブをやってる途中からまた「ヤバイ! これ以上のライブもう出来ない!」って思うくらい楽しくて最強のライブが出来ちゃったんです! 本当にみんなのおかげもあって、本当にめっちゃ楽しかった!
横浜アリーナの2日間は、5年間がまとまったライブだったなと思っているんです。この5周年で初めてのホールツアーをやったり、その前に幕張(メッセ公演)があったり。初めての武道館でのライブは、ずっとライブハウスでやってきた自分だからこそのライブハウスっぽいライブをやったんですけど、その後の2回目の武道館ライブは、2日間でとことんエンタテインメントなライブをしようと思って向き合ったライブでもあったんです。そのあたりから、LiSAの音楽を使ってエンタテインメントなライブをすることによって、広い場所でのライブがもっともっと楽しくなっていって、もっともっと楽しいライブがしたい!って思うようになって。幕張メッセもホールもアリーナも、それぞれ楽しいな!って思いながら、ライブハウスでもライブをして、やっぱりどっちも楽しいな!って思えた。そんな、LiSAが出来る全部を詰め込んだのが、この横浜アリーナでのライブだったなって思ったんです。
バンドだったら、あんな風に自転車で空を飛んだり、すっごく躍ったりは出来なかっただろうし、ポップな楽曲しか歌ってきていなかったら、こんなにもエロいことから、激しいことまでは出来なかっただろうし。そういう意味でLiSAはごちゃごちゃでファミレス感だから、なんだってやっていいし、なんだって出来るなって。だから「the Sun」も「the Moon」も、前半ではライブハウスっぽいライブをしてみたし、後半では、空飛んだり躍ったり、怪獣を倒したりしてみたんです。思いっきりその両方をやれたというか。“これぞLiSA!”っていうライブが出来たなって思っているんです。だからこそ、すごく達成感があったというか。“私って最強かも!”って思えちゃうようなライブが出来たなって。
――いろんな経験を積んで来たからこそ、形に出来たことだよね。……そうそう、会ったら褒めようと思ってたことが。
なになに!?
――いつのまに、あんなにギターが上手くなられたの?
うぉっ! 上手くなってました? カッコ良かった? 嬉しいです! そこはめちゃめちゃ頑張ったところでもあるんです。今回、2日間ともセットリストを大幅に変えた上に、久々にやる曲も多かったから歌詞も覚え直さなくちゃいけないし、ダンスも7曲覚えなくちゃいけなかったし。でも、それ以上にギターは練習したんですよ。ギター曲は2曲だったんですけど、楽曲そのものももちろん練習したし、動きもめちゃめちゃ練習したんです。まずコードを押さえながら、動きながら、しかもギターを弾きながら歌うっていう、私にとってはかなりハードな事づくしで、これは困ったぞって思ってたんですけど……これが、やってしまったらすごく楽しくて(笑)。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――楽しかったんだ(笑)。楽しめてたなら良かった。
そう(笑)。2日目の「ヒトリワラッテ」の、ジャーンってギターをかき鳴らすとこなんて、いろんな方のライブDVDを観て研究しましたからね。
――だから弾き姿があんなに完璧なカッコ良さだったんだね!
あ、カッコ良かったです? 良かった~!
――正直、前に観たときは、ちょびっとぎこちなかったからなぁ(笑)。
あはははは!(爆笑) やっぱりバレてましたか(笑)。だって、ギターをステージで弾くようになったのって、2年前くらいですからね。それまで私、ギターを自分で弾こうなんて思ったことなかったから、練習なんてしたことなかったし。でも、ギターを弾いたり、ピアニカを弾いたり、ダンスをしたりするのは、自分自身を使った特効だと思っているから、そうすることで、場面の転換にもなるなぁって思ったのがキッカケで。魅せ方の1つとしてやってみようかなって、軽い気持ちで始めた感じだったんです。それをこんなに長く続けられるとは思わなかったし、こんなに人前で弾けるようになるとは思わなかったから、自分でもビックリしてて(笑)。
でも、ちゃんと練習したんですよ! ちっちゃいアンプを買って、おもいっきり音を歪ませて、そこからさらにヘッドホン付けて、鏡の前で1人リハーサルしたんです。本番のリハーサル前に、1人リハーサルをすっごい重ねて(笑)。お家で大きな鏡の前に立って、片手にセットリスト順に並べたiPod持って、それをマイク代わりにぶっ通し歌う。だから、本番前に1人横浜アリーナ何本もやりましたよ(笑)。
――素晴らしい! この先、ギターありきの曲も生まれてきそうだなって思いながら観てました。
そうですね、今なら出来るかも。今まではね、LiSAの1番の強みというか、軸になるのは、自分自身がアクティヴにパフォーマンスすることだと思っていたので、スタンドマイクでも歌いたくなかったし、ギターも持ちたくなかったんです。それは、動きに制限がかかるから。マイクを持って、とにかく動いて、とにかく走って、どれだけみんなと一対一で戦えるか?ってところだと思っていたので。
でも、ワンマンライブをするようになっていったことで、スタンドマイクで歌うということが、静と動を魅せていく上で大事に思えるようになったんです。その中の1つとして、スタンドマイクを使うのと同じ感覚で、ギターも使えるようになってきたんです。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――なるほどね。今回のセットリストの分け方は、どんな想いがあってのことだったの?
自分の中にあった「the Sun」も「the Moon」を、どうやって表現していこうかな?と思ったときに、SunとMoonは姉妹だったんですね。誰かを照らすSunと、照らされるMoon。その2つを、どういう形で魅せていこうかな?って考えていくうちに、曲調で分かれるって感じではないなって思ったんです。LiSAという人の中には、前向きに生きていきたいLiSAと、感情を素直に言ってしまうLiSAという2人の人が居るんです。言ってしまえば、どちらもLiSAという人の感情であり、1人の中にもいろんな感情があるんだなって思っていて。なので、今回はそんなそれぞれを歌詞でまとめてセットリストを組んでみたんです。言葉で、それぞれの物語を綴っていきたいなと思ったので。
改めていろんな楽曲の歌詞を読んでみると、今回はSunとMoonだったけど、いろんなテーマに分けてライブが出来るのかもなって思いました。
――そうかもね。今回も分かれていたからこそ、どっぷりとその気持ちに入り込めた感じはあったなと。曲調で分かれてるライブはみたことあるけど、歌詞で分かれているライブは、そんなに無いですからね。
そうですね。またひとつ、可能性が広がったのかなって思ってます。
――もう何も怖くない?
ん~。でもね、やっぱり始まるまでは怖いです。けど、始まってしまえば全力で楽しめるようになった。楽しむしかない!って思えるようになったから。
――そうだよね。LiSAは毎回、何をするにでも自分自身を削っているからね。それだけの覚悟で向き合ってるというか。
そうですね。でも、自分自身を削って出て来たことだから、何かを覚えて演じてる訳じゃないから、思ったまんまをぶつけてるから、大変っていう感覚はないのかもしれない。その分ダイレクトなんだけど、自分そのものだから、受けとめるときも自分自身そのもので受けとめなくちゃいけないっていう責任は感じているかなって思います。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――ライブでは、2月15日にリリースされる新曲「Catch the Moment」も初披露されていたよね。
そうですね。ここで書けた歌詞は、この5年間があったからこそだと思うし、みんなが居てくれたからだと思います。今までだったら、いろいろな出来事を1個1個集めながら、“これを永遠にしていけるかな?”とか“きっと永遠なんてないよ! ずっと一緒になんていられる訳ないじゃん!”とも思ってたんですけど、なにも想像出来ていなかった先に横浜アリーナという場所があって、改めて“これはみんなが作ってくれた場所なんだ!”って思えたんです。
最初の方で話したけど、本当に横浜アリーナという場所でのライブは“念願”ではなく、想像すら出来なかった場所だったから、私が見ることが出来た横浜アリーナでの景色は、本当にみんなが見せてくれたモノだと思っているんです。みんなが現実にしてくれたものだから。1個1個大切にみんなと作り上げてきたら、いつの間にか横浜アリーナに辿り着いていたんですよ。
そう思ったら、この先もみんなと一緒に1個1個大切に目の前にあるものを一生懸命に作り上げていったら、もっともっと素敵な景色を見ることが出来て、みんなとずっと死ぬまで“永遠”に遊び続けていられるのかもしれない!って。そんな希望を持たせてくれたみんなが、「Catch the Moment」を私に書かせてくれたんだと思います。
――本当にリアルなLiSAの想いだね。この曲は、2017年2月18日より全世界で公開の映画『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の主題歌でもあるんだよね?
そうなんです。初めて監督とお話させてもらったときに、「一緒に映画を観た人がいたら、その人に「ありがとう」って言いたくなるような曲にして下さい」って言われたんです。なので、この物語の内容をしっかりと理解して、向き合って作ったところもあったんです。
――なるほどね。またリリースインタビューのときは、じっくりと話を聞かせてね。最後に2016年を振り返って、どんな1年だったと感じる?
とにかく楽しかった! いっぱいお祝いしてもらったし、いっぱいみんなとも遊べたし。本当に感謝しかない1年だったなって思います。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――ここから先、2017年の6月17日には神戸ワールド記念ホール、24日~25日はさいたまスーパーアリーナ、7月1日は日本ガイシホール……とアリーナツアー『LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~』が決まっているわけだけど、“LiTTLE DEViL PARADE”って何? なんか、また企んでる感じ?
あはははは。悪魔ですからね(笑)。2017年もいっぱい戦っていかないとだから、まず“LiTTLE DEViL”と“PARADE”しちゃいます!
私の2016年のテーマは“許し”だったんですよ。自分のどんな感情も全部許してあげるっていうところから、今回のSunとMoonのテーマが生まれてきたんですね。そこからの2017年は、許しの延長線上にある何かだと思います。それの1つが、“LiTTLE DEViL PARADE”なんです!
――LiTTLE DEViL……。ちっちゃい悪魔……。
そう(笑)。小悪魔。
――LiSAじゃん。
あははは。そう私(笑)。
――パレードしちゃうの?
そうそう。パレードしちゃう。
LiSA 撮影=菊池貴裕
――基本、LiSAッ子はMだからね。
そうそうそう。結局SunとMoonどっちもドSだったから(笑)。
――素晴しく成り立ってるわけだね。需要と供給が。
そうなんです(笑)。
――やっぱりLiSAは小悪魔なんだね。
そう。私、いい子じゃないから。……あの、人間って誰でもコンプレックスを持っていると思うんですよ。コンプレックスが強くなっていったり、傷ついたりすると、それを隠そうとするんですね。でもね、私、気付いたんです。コンプレックスに感じているところを、どんどん出していった方がいい。コンプレックスは、愛してもらったときに、全部自分の武器になると思ったんです。憧れとか理想とかを追い求めようとすると、それに果てしなく近づきたくなるし、それになろうと思うけど、自分自身を客観的に見たときに、全部が自分なんだ!って思ったときに、それをすべて愛してあげられたら、もっと無敵になると思うんです。
だからね、みんな生まれたまま、子供のときのままで生きていけたら、本当はすごく素直に育っていくのに、今の流行だったりとはまったく別のところに自分が居ると知ったとき、それをコンプレックスに感じるようになる。でも、それを自分の1つだって認めてあげれたときに、すごいところまでいけるなって思うんです。
それを認められた、許せた先にあったのが“LiTTLE DEViL PARADE”だったんですよ。私はいい子なだけじゃないからね、そんないい子じゃない自分も許して、引き連れてパレードしようと思って。“いい子”って、責任感が強くて、真面目でしょ。もちろん、いい子であることは悪いことじゃないんですけど、いい子でいよう、いい子でいよう、いい子でいなくちゃ!って自分を追い込んでいたら、いつか鬱になってしまうと思うんです。自分のことをダメだダメだって思っちゃうから、どんどん追い込まれていってしまう。ダメな自分を許せなくて、とにかくなりたい自分になろうとすることばっかりを頑張るから、塞いじゃうんです。だから、無理しちゃダメ。ダメなところも愛してあげたらいいの。それがね、“許します教”です。
――“許します教”!?
そう、別名“今日もいい日だ教”(笑)。2017年は、そんな“今日もいい日だ”を広めながら、いっぱいパレードしていきたいと思います!
取材・文=武市尚子 撮影=菊池貴裕
LiSA 撮影=菊池貴裕
(「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」主題歌)
2017. 02. 15リリース
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
価格:¥1,800(+税) 品番:svwc70233-70234
・収録曲
01. Catch the Moment
02. カップリングA
03. カップリングB
☆「Catch the Moment」ミュージッククリップ
&特典映像収録DVD付
☆16P撮り下ろしブックレット封入
価格:¥1,300(+税) 品番:svwc70235
・収録曲
01. Catch the Moment
02. カップリングA
03. Catch the Moment –Instrumental-
☆アニメ絵柄描き下ろしイラストミニポスター封入
☆三方背スリーブケース仕様
価格:¥1,200(+税) 品番:svwc70236
・収録曲
01. Catch the Moment
02. カップリングA
03. カップリングB
CDの収録楽曲が異なります。