今年最後のH ZETTRIO大熱狂のリキッドルームライブをクイックレポート
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H ZETTRIO
H ZETTRIO 「PIANO CRAZE Next Next step!」2016.12.28@恵比寿リキッドルーム
今年1年で相当な飛躍をみせ、業界に刺激と驚きをもたらしたピアノトリオであるH ZETTRIOが今年最後のライブを「PIANO CRAZE Next Next step!」と銘打ち、恵比寿リキッドルームにて行った。彗星のようにシーンに登場し、今までにはない形態で斬新な楽曲たちを送り出し、瞬く間に多くの人の心を引き付けてきた彼らの年内ラストライブは、そんな1年を象徴するかのような圧倒的な空間だった。大歓声で迎えられた3人は、いつものように飄々としながらも、若干高めのテンションで登場した。待ちきれないという感じの満員のオーディエンスの手拍子とともに、メドレーセッションでこの日のライブは幕を開けた。
H ZETT M
相変わらずの超絶スキルで激しく打鍵されるピアノに、信じられないくらいのスピードでスラップするウッドベース、気持ちのいいスタンディングドラムが絡まりながら、ビートは疾走していく。2曲目「Something Special」では曲の途中でH ZETT Mが篠笛を取りだし、チャルメラのフレーズを吹いたり、うまくいかないとみるやハミングでフレーズを口ずさみ笑いを誘う辺り、実に彼らしいシニカルで、ファニーなピエロムーブも見せるから心憎い。そんなパフォーマンスから続いてソロへ流れ込むなど、笑いとピリッとした演奏が交互にやってくるからスリリングで目が離せない。
H ZETT NIRE
熱狂そのままに「ダイナミックにとろけて」へと入り、H ZETT Mがショルキー(編集注:ショルダーキーボード)持ち出したかとおもえば、それをバイオリンのように肩に乗せて弾き出したのだが、これがまた超絶にうまい。どうしてあんな弾き方なのにあのフレーズが紡ぎだせるのかと思っていると、今度はエレピの速弾きをお洒落にかましてくる。アーバンな雰囲気が、あたかもルパン三世やカウボーイビパップとかああいうハードボイルドなアニメのサントラを聞いてるかのような感覚で会場も熱を帯びてくる。ああいうのが好きな人は絶対に堪らないだろう。
H ZETT KOU
怒涛の序盤が終わり、ホッとするいつもの語り口で「大雑把な掃除、大掃除は終わったんですかー」とからかうようにMCで語り掛ける。演奏中とは打って変わって、ほっこりした雰囲気で進むMCをオーディエンスが3人を見守るあの空気がとても心地いい。煽るでもなく、大声をあげるでもなく、その空気を楽しみながら押したり引いたりしながら飄々と紡がれるMCが本当に彼らの作るライブの良い空気の1要素になっていると思う。
そして今日はマルチアングル配信がされていることを告げると、ゆっくりと聞かせる「Another Sky」へ。多国籍なリズムとフレーズが心地よく、正に異国の空へと連れて行ってくれる世界観を内包するこの曲だが、改めてたった3人の、しかもミニマムな楽器構成で、ここまで圧倒的な世界観を構築できるものなのかと感心する。シンプルに作られたセットも、彼らの奏でる音楽と照明で本当にどこか遠い国でコンサートをみてるような錯覚を起こさせていた。
そのまま、猫のように鍵盤をひっかくコミカルなアクションから「MESHI」「MESHI-episode2-」のメドレーへ。曲の冒頭でふざけあいながらセッションしていたかと思ったら、次の瞬間には超アヴァンギャルドなフレーズで掛け合いが始まる。このギャップが本当にたまらないしぞくぞくするのだ。と思えば途中鍵盤から離れたH ZETT Mはエレパッドでリズムを打ち始め、リズムx2とベースでのセッションが急に始まったりと、どこまでも懐が深いし、なんというかおもちゃ箱みたいなライブだ。お決まりの「飯食って!」「イェー」の独特のコール&レスポンスで場も熱くなり、ソロ回しを挟んで「Kids song」へ。ここまで来るとオーディエンスもずっぽりとこのトリオの世界に入り込んでいる。演奏のブレイクや、テンポチェンジなど、ただそれをしているだけなのに、ちょっとしたアクションの機微が笑いを誘うあたり、本当にエンタテイナーだなと感じる。
H ZETT M
更にたたみかけていくセットリストはアルバムのタイトル曲でもある「PIANO CRAZE」へ。文字通り狂ったように切り裂くピアノの旋律がけん引し、リズム隊がうねりとなって絡みついていくこの曲はライブでとても映える。尖った音と、真っ赤な照明が実によくあっていて、素直にかっこいい。そして興奮はそのまま、曲名の通り情熱的な「Passion」へと流れ込んでいく。なんというかとにかく旋律もグルーブも全てが”エモい”のだ。ルーツには洋楽があるんだけども日本人の琴線にふれるサビのフレーズなどは、非常にカタルシスを揺さぶってくるもんだから、心をごっそりと持っていかれる感覚だった。
ここまではMCでもH ZETT Mが話した通り、アルバム「PIANO CRAZE」からの選曲が多いセットリストだったが、後半戦はH ZETTRIOクラシックともいえるぶっ飛ばしセトリだった。まずはMC終わりで、H ZETT Mが鍵盤だけでDJのスクラッチプレイのようなパフォーマンスを披露。信じられないテクニックに会場から歓声があがる中、「Beautiful Flight」がドロップされ一気に最高潮へと。本当にこの人たちは何が飛び出すかわからないびっくり箱みたいなバンドだ。興奮はそのまま掛け声とともに「Trio,Trio,Trio!!!」へ。ライブ曲としては鉄板の定番曲、お決まりの「H ZETT ◯◯!!」と各メンバーの名前を叫ぶ掛け声とともにソロ回しで余すところなくそれぞれの超絶スキルを披露し、続けて「晴天-Hale Sola-」へ。
H ZETTRIO
個人的にも大好きな曲なのだが、この曲は胸を抉られる切なさを感じながら盛り上がらざるをえないという、感情をめちゃめちゃにしてくれる名曲だ。全編を通して、JAZZと歌謡曲のいいところを混ぜてROCKにしたという傑作に会場もクライマックスといえるほどの盛り上がりに。そして「パノラマビュー」では会場全員が手を振り、ステージも客席も境界がないほどの一体感を生み出していた。
しかしもう後半も大詰めというところなのに、全員のパフォーマンスが全く落ちない。何万回打鍵したかわからないだろうに、指が擦り切れるくらいスラップしてるのに、まだあんなに弾けますか?むしろテンションの上昇とともに切れ味は鋭くなっているんだから信じられない。キレキレの演奏で最高テンションまで上り詰めて大きな全員のテンションのうねりが合わさってクライマックスへ。
そしてラストは「Next Step」。惜しむ声をこれまた飄々といなしながら、激熱な演奏でまとめていく。グルーブも熱も、またこれまで曲とは少し違い、まさにNext LevelへとH ZETTRIOを向かわせるかの曲に感じられた。
アンコールでは、この日の朝に”スッキリ”の生放送に出演し、セッションを行った尺八奏者のBamboo Flute Orchestraの辻本好美を呼び込んでのスペシャルなアクトとなった。カバー曲「SCATMAN」や「ABC」を尺八とともに奏でるのだが、なんとも艶っぽくもピーキーともいえる音色が、ジャンクでロックなH ZETTRIOの演奏とえらくハマる。和楽器だし、JAZZYだし、POPだしと、いったい何を聞かせられているのかわからなくなるんだが、なんだかそれがまた心地いい。情緒とお洒落さとHAPPYが同時にやってきて、誰もが同じような新たな刺激としての感動を感じていたと思う。
H ZETTRIO & BFO
と思えば次曲は「Dancing in the mood」でH ZETTRIOのフィールドに尺八が入り込むのだから堪らない。いつもの刺激的で切ないこの曲が、更に奥深いものになり胸に突き刺さる。全員出すぎている情緒をおさえることは一切なく、音の塊になってオーディエンスに襲い掛かる。それを受け止めたり返したりして熱も、音も、汗も何もかもが最高潮になり、最後は全員が心から笑顔になれているという物凄いグルーブが生まれていた。そして今年のお礼をつげて大団円の「Wonderful Flight」へ。包容力の強いこの曲で、今日のアクトも来場したすべての人も包み込みまとめ切った。
本当に見事というほかないショーで、数あるショーの中でも至高であると感じた。今までに彼らのショーを見たことがない人は、一生に一度でもいいからこの奇跡的なショーを見るべきと自信をもって言える。ピアノトリオだけで、この世界とグルーブを作り上げることがすでに奇跡なのだから。
このライブの模様はファンクラブ「Z界」にて12/28(水)24時〜1/3(火)22時まで配信されるとのことで、見逃してしまった方はマルチアングルで臨場感溢れるライブを是非見てほしい。
すでにツアーも発表されている彼らの2017年にも期待せざるをえない。
H ZETTRIO
取材・文=秤谷建一郎 撮影=伊東祐太
01.Neo Japanesque~Get Happy!~Neo Japanesque~Happy Saturday Night
02.Something Special
03.ダイナミックにとろけて
04.Another Sky
05.MESHI~MESHI-episode2-
06.Kids song
07.PIANO CRAZE
08.Passion
09.Beautiful Flight
10.Trio,Trio,Trio!!!
11.晴天-Hale Sola-
12.パノラマビュー
13.Next Step
[ENCORE]
14.SCATMAN(cover)~Get Happy!~ABC(cover) w/BFO
15.Dancing in the mood w/BFO
16.Wonderful Flight
2017/3/12(Sun) 東京 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 16:00/START 17:00
THANK YOU SOLD OUT!!
現在イープラスで2017/1/10(The) 23:59までプレオーダー受付中!http://eplus.jp/hzettrio
4/11(Tue) 愛知 SPADE BOX
4/12(Wed) 三重 M’AXA
4/14(Fri) 福岡 BEAT STATION
4/15(Sat) 大分 音楽館
4/16(Sun) 宮崎 SR BOX
4/18(Tue) 鹿児島 SR HALL
4/20(Thu) 熊本 早川倉庫
4/22(Sat) 山口 Jazz Club BILLIE
※LIVEのみ¥5,500 / LIVE+DINNER ¥7,500
4/23(Sun) 岡山 Desperado
4/24(Mon) 和歌山 OLD TIME
5/12(Fri) 新潟 GIOIA MIA
5/13(Sat) 石川 Million City
5/14(Sun) 福井 北の庄クラシックス
5/16(Tue) 香川 DIME
5/17(Wed) 高知 X-pt.
5/19(Fri) 愛媛 サロンキティ
5/20(Sat) 広島 BLUELIVE HIROSHIMA
5/21(Sun) 島根 LIVE&STUDIO 松江B1
5/25(Thu) 北海道 cube garden
5/26(Fri) 北海道 cube garden
5/28(Sun) 北海道 CASINO DRIVE
6/2(Fri) 埼玉 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心 VJ-3
6/3(Sat) 群馬 DYVER
6/4(Sun) 栃木 悠日
6/8(Thu) 宮城 MACANA
6/9(Fri) 秋田 CLUB SWINDLE
6/10(Sat) 岩手 the five morioka
6/16(Fri) 静岡 窓枠
6/17(Sat) 山梨 桜座
6/18(Sun) 長野 Sound Hall a.C
6/23(Fri) 兵庫 CHICKEN GEORGE
6/24(Sat) 京都 KYOTO MUSE
6/29(Thu) 神奈川 CLUB CITTA'
土日公演:OPEN 16:00 / START 17:00
広島公演:OPEN 17:00 / START 18:00
山口公演:OPEN 17:30 / START 19:00
和歌山公演:OPEN 19:00 / START 19:30
料金:前売¥5,000 / 当日¥ 5,500
【Release Information】
2016.9.7 Release 3rd Album
「PIANO CRAZE」EXCITING FLIGHT盤 ¥3,000(tax out)
【Official Fan Club】
「PIANO CRAZE Next Next step!」12/28(水)@恵比寿LIQUIDROOMのライブの模様を配信中!ご入会はこちら。
Z界 URL: zettkai.club
※12/28(Wed)24時〜1/3(Tue火)22時まで視聴可能