復活のMONSTER大陸の今までとこれからをBimBamBoomとの対談で熱く深くまでえぐるインタビュー

2017.1.14
インタビュー
音楽

MONSTER大陸xBimBamBoom

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「シン・モンスター」と名を討ち、1年間の沈黙を破ってブルースロックバンドMONSTER大陸が本格的に活動を再開し、老舗ライブハウス渋谷ラママとの共同イベント「BLUES MONSTER」を立ち上げる事になった。ブルースやソウル、深い音楽ルーツ、そして音楽への情熱を持ったバンド達を集結させ、新しいシーンを生み出そうとしている。そんな彼らと、同イベント1回目のゲストとなるBimBamBoomを迎えて対談にて、今までとこれからを語ってもらった。

――昨年10月“シン・モンスター”と銘打って、約1年間の沈黙を破り、再始動しましたが、1年間というのは制作期間でもあり、メンバーの脱退もあって、立ち止まって考える時間でもあったのでしょうか?

藤倉:いえ、決して立ち止まってた訳ではないですね。バンド結成から約2年間一気に駆け抜けてきたので、色々振り返って「今」求められてる音楽感を踏まえてバンドを再構築してました。その一つがドラマーの交代で、幅広いジャンルを取り込んだ新しいサウンド作りのリハに時間を費やしてました。

――新しいドラマーを迎えるという大きな動きもあり、音楽的な部分でも変化を求めていきたいという気持ちだったのでしょうか?

藤倉:それはもちろんです。ルーツに忠実過ぎるというのは長所だと思っていたのですが、色々フェスやイベントに出して頂き、ダメだなと思いました。もっとオリジナリティを磨いていこうと考えを一新しました。今までの「ブルース基盤」から「新たなブルースを発信」という考えに変わりました。メッセージ性も同世代に向けようと振り切って作りました。

千賀:ドラマーが抜けて、こうも変わるのかと。新ドラマーのcheetaが加わったことで垢抜けたというか、前のMONSTER大陸は、超泥臭かったので良い化学反応が生まれました。彼女はロック一筋の人だったので、我々の知らなかったグルーブも持っていたし、逆に彼女の解釈で俺らの音楽を生まれ変わらせてくれたのかなぁ。。ブルースを基盤にした俺達の音楽を聴いてくれるファンは増えてきてるんだけど、今度は間口を広げた事で他からも来てくれるんじゃないかと思ってます。とにかく、すごくハマっていると思います。 “シン・モンスター”というコピーを付けたのですが、まさにその通りだと観てくれればわかってもらえると思います。cheetaと出会うまでに何十人もセッションした甲斐はありましたね。

藤倉:新しい曲には、プログレとかラップとか、今までにはなかった要素も入れていて、周りからは評判がいいです。前よりいいんじゃない?って(笑)。たぶんこれは(千賀)太郎も同じだと思いますが、根拠のない自信はあります(笑)。

千賀:自分達の音楽の基盤は揺るがないので、だからこそある意味何でもできるとも思っています。核があるからこそ、そこから拡げていくのは、そんなには難しくないと思っています。

MONSTER大陸/ 千賀太郎&藤倉嗣久

――ブルースを若い子に聴いて欲しいといつもおっしゃってますよね。

千賀:そうですね。ただ押し付ける気はないです。俺らの音楽を聴いて興味持ってもらえれば
という感じです。ブルースって当時のダンスミュージックですよね。ダンスミュージックは流行ってるじゃないですか?だったらイケるかなと思ってるんですよ。

藤倉:そう、自分達の音楽を通して「これがブルースなんだ、カッコイイ!」と思ってくれたら嬉しいです。ブルースという言葉だけでも知ってもらえたら嬉しい。

――ブルースって元々労働者の間から生まれたもので、辛い仕事、生活を少しでもハッピーにしようと歌われたものですよね?

千賀:今のご時世にピッタリだと思います(笑)。俺ら世代にも色々辛い事もある。でも頑張っていこうぜという部分で、俺らの音楽も奏でたいですね。

――“シン・モンスター”として始動すると同時に、渋谷ラママでの対バンイベント「BLUES MONSTER」の開催を発表しました。この企画はずっと温めていたものなんですか?

藤倉:前々から、同じような想いのミュージャンとイベントをやりたくて、タイミング的にも今かなと思いました。BimBamBoom(BBB)は2年前に、やっぱりルーツミュージックを基盤にした彼女達のイベントに呼んでもらい、女のコ達がクールでカッコいい演奏をやってて衝撃受けたのを今でも覚えてます。でもちょっとご無沙汰をしているうちに凄いサックスが加入していて「なんだこれは!パワーアップしてる」と思い、一緒にやりたい!自分達のイベントの一発目はBBBに出て欲しいと思いました。

MONSTER大陸/ 藤倉嗣久

――自分達がカッコいいと思っているバンドと対バンライヴは、共演ではなく競演で、ぶつかってそこから生まれる何かを楽しみたいという思いですか?

藤倉:格闘技ですかね(笑)。我々の新ドラマーも女性ですが、女性バンドVS男バンドのガチンコバトルみたいになるんですかね?

山口:そう、ガチンコ対決。お客さんに旗渡して判定してもらったり(笑)。

――女性ドラマー対決です。

藤倉:そういう楽しみ方もありますね。全くタイプ違いますしね。

――BBBはオファーをもらった時はどう思いました?

山口:私達もサックスの(前田)サラちゃんが加入して、2016年は色々な事が形になってCDをリリースしたり、フェスにも出演したりバンドがしっかり固まって、ようやく外に出ていく機会も増えてきました。今まではワンマンもしくはゲストを呼ぶライヴしかやってこなかったので、今年はもっともっと外に打って出たいと思っていました。とにかく色々な人たちと演りたいとメンバーと話していた矢先に、MONSTER大陸から話をいただいて、「やります!」と。

BimBamBoom / 山口美代子

――山口さんはメジャーデビューもし、その後もライヴ&レコーディングミュージシャンとして、ワールドワイドに活躍されている日本を代表する女性ドラマーの一人ですが、山口さんから見たMONSTER大陸というバンドは、どういうバンドだと思いますか?

山口:ルーツミュージックを大切にしているところと、ライヴ力が高いという2つのイメージを持っていて。それと作品として、日本の音楽シーンにちゃんとメロディを残すという事を無下にしていない、大事に曲を作っているところがカッコいいです。そこが強みだと思います。

――MONSTER大陸というと、やはり演奏力の高さ、ライヴの強さだと思いますが、ライヴというものをどういうものと捉えています。

藤倉:さっきも言いましたが、演奏力だけじゃダメですね。ライヴの醍醐味ってその瞬間瞬間だと思います。毎回出ている音も違うし、もちろん感情も違うし、そういう事が楽しめるのが唯一ライヴだと思っています。やっぱり無下にできないですし、魂を込めてやるしかないと思います。

MONSTER大陸/ 千賀太郎

――よりメッセージを伝えたいとおっしゃっていましたが、ハーモニカの音色は色々な感情を掻き立ててくれ、メッセージを伝える時に、その輪郭をよりクッキリさせてくれる気がします。

藤倉:そうだと思います。

千賀:人に伝えるという事は本当に大事で、俺は言葉を覚えるか覚えないかぐらいの時からハーモニカを始めたので、そのサウンドでメッセージを伝えるという事を常に思っています。でも言葉で人に伝えるという事も大事。今練習しています(笑)。

藤倉:俺もそうかも(笑)。

千賀:だから歯がゆい部分があって。言葉にした時、どうやったらわかりやすく伝える事ができるんだろうと。

――BBBはインストと掛け声というスタイルで。

山口:私達は、最初にザ・ミーターズ(米国のニューオーリンズ・ファンクバンド)のコピーをやっていて、ミーターズの音楽に影響を受けています。掛け声は全然意味がない事ばかり言っています(笑)。だからMONSTER大陸と真逆(笑)。

――すごく不思議な感じですよね。クールでカッコいい音に浸っていると、突然かわいらしい掛け声が入ってきて、そのメリハリがいいです。

千賀:そこにやられるんですよ。

山口:狙いです(笑)。他にないスタイルだと思っています。掛け声はみんな楽しんでやっています。

――1stアルバム『TIGER ROLL』は一曲一曲しっかりキャラが立っていて、濃いですが、全員でセッションしながらアレンジを組み立ていく感じですか?

山口:そうじゃないとできないんです。今はそれぞれでアレンジをやろうとチャレンジしていますが、このアルバムを作る時は、全員がスタジオに入らないと何も始まらないという感じでした。

――だから全体的に生々しいのでしょうか。

山口:そうですね。私がライヴを想像してアレンジをするのが好きなので、弾いていて気持ちがいいところをピックアップしています。

前田:試行錯誤しながら作っています。

千賀:『TIGER ROLL』俺も聴きました。カッコよくて、女性って凄いな!と思いました。政治もそうじゃないですか?女性の時代来てますよね。ただ、俺らも負けないぞ!って笑)。

MONSTER大陸/千賀太郎xBimBamBoom/前田サラ

――前田さんは最年少メンバーで、天才サックス奏者です。若いのにデヴィッド・サンボーンの影響を受けていると資料にありますが、リアルタイムで聴いていたんですか?

前田:デヴィッド・サンボーンがフュージョン以外に、90年代にエリック・クラプトンとブルージーなものをやったり、そういうのを中学生の時聴いていました。吹奏楽部に入っていて、サックスをやりたかったのですが、クラリネットをやる事になり、でもやっぱり諦め切れずに2万5千円のサックスを買ってもらって練習していました。父親も音楽好きで、その時これ聴いてみたら?と買ってくれたのがキャンディー・ダルファーのCDでした。教本も買ってくれて、そこにオススメCDとして載っていたのがデヴィッド・サンボーンの作品でした。ファンクミュージックはその頃から好きでした。

――前田さんは山口さんからBBBに誘われた時は、ビックリしましたか?

前田:私もルーツミュージックを掘り下げているタイミングで、キング・カーティス(米国のR&Bサックス奏者)とかを聴き始めて、カッコイイなぁと思っている時期で、そういう時に誘っていただいたので、「やりたいです!」って即決しました。BBBのライヴを観たら、クールで、女子がこれやっちゃう!?というところが面白くて。

山口:サラちゃんのバンドと対バンライヴやって、次にライヴをやる時はもうBBBのメンバーになっていました(笑)。

――二組ともやっぱり生へのこだわりは強いですか?

藤倉:そうですね。ただ機械を否定しているわけじゃなく、今は自らの手でやりたいなぁと。今色々便利なものがあって、新しい機材もどんどん出てきていて、そのうち人間が機械に動かされるんじゃないかという恐怖心が、子供の頃からありました。だから機械だけを頼っちゃいけないとは思ってます。

千賀:そうですね。今は、自分達が弾き出す音に集中したいです。

藤倉:それと自分でプレイした方が早いと思います(笑)。

BimBamBoom / 前田サラ

――ハーモニカの音は同期は無理ですよね。

千賀:どんなにシンセサイザーが進化しても、あの音を再現するのは無理です。サックスもそうでしょ?

前田:サックスも色々人工的な音が存在していますが、やっぱり違います。

千賀:人の息で楽器を鳴らすというのは、歌と変わらないと思う。それは生身の人間じゃないとできない……はず。そうであって欲しい(笑)。その時の気候や温度、気分、食べたもの、飲んだもの、お客さんのノリだったりが、全部音には出ます。そこを楽しみながら音を探していく事ができなければ、ライヴを続けられないと思います。

藤倉:彼は天才ですから、何をやっても大丈夫です。

千賀:いえいえ天才じゃないですよ。小さい時からテレビに出て、ハーモニカを吹いていたからそう言う人がいるだけで、でも自分は好きな事をやっていただけで、だけど人生で天才と言われる事ってなかなかないと思うので、ある意味背負っていかなければいけないというか…。

藤倉:前にも天才という事について話をしていたら「僕に唯一才能があるとしたら音楽をずっと好きでいる才能だけです」って言って、男として惚れました(笑)。

――千賀さんは天才で不器用で熱い男なんですね。

藤倉 劇画みたいな男です(笑)。

――今回の対バンでは女性ドラマー対決も楽しみですが、ハーモニカとサックス対決でもありますね。

藤倉:吹きもの対決。でもハーモニカは息を吸い込んでも鳴りますけどね(笑)。

千賀:ガチンコ対決という言葉が出てきてはいますが、何にせよいい音楽をやっている二組なので楽しんでもらえると思います。いい音楽が聴きたい人は絶対来て欲しいです。

前田:ライヴってその場で音楽が生まれているので、その瞬間瞬間を楽しんで欲しいです。

山口:BBBとしてラママでライヴをやるのが始めてで、そういう意味でもすごく楽しみです。

MONSTER大陸xBimBamBoom

――凄腕ミュージシャン同士の対バンって、観ている側は気持ちいいし、一番楽しいですよね。

藤倉:俺も刺激になると思います。色々な方のライヴを観に行きましたが、観終わった後感動できるライヴをやっている人は、やっぱり命を削ってお客さんに伝えたい事を音にして伝えていると思いました。

――MONSTER大陸も歌から感情がはみ出し、ほとばしっていると思います。

藤倉:俺らにはそれしかないので。

――「BLUES MONSTER」はこの後の予定は決まっているんですか?

藤倉:はい、隔月なんで、3月と5月もやります。すでに3月は決まっており、これも凄いんです。

 

取材・文=田中久勝  撮影=三輪斉史

 
イベント情報
Blues Monster 01
 

BLUES MONSTER


 日時:2017年1月21日(土)
 会場:渋谷La.mama
​ 時間:open18:30 start 19:00
 出演者:MONSTER大陸、BimBamBoom

 

 

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