アジカン20周年ツアーでファンへ感謝「みんなのエネルギーでマジックが起こる」

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2017.1.15
ASIAN KUNG-FU GENERATION(Photo by TEPPEI)

ASIAN KUNG-FU GENERATION(Photo by TEPPEI)

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの結成20周年ツアー「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2016-2017『20th Anniversary Live』」が、昨日1月14日に福岡・福岡国際センターでファイナルを迎えた。この記事では1月11日に東京・日本武道館で行われたセミファイナル公演の模様をレポートする。

開演時刻を迎え、場内の照明が落ちるといきなり山田貴洋(B)のベースイントロが鳴り響き、観客を驚かせる。最初に演奏されたのは「遥か彼方」。前方と左右を紗幕で覆い、後方に大きなLEDビジョンが設置され、さながら巨大なキューブの中に閉じ込められたメンバーが演奏しているような光景を作り出す。壮大なサウンドスケープを生み出した「センスレス」に続き、「アンダースタンド」では紗幕が一斉に落とされて場内の照明が灯り、オーディエンスは4人の姿に大歓声を送った。

山田と伊地知潔(Dr)が刻む複雑なリズムが会場の空気を染め変えた「暗号のワルツ」、会場の一体感が急上昇した「君という花」が終わると、後藤正文(Vo, G)は観客に改めて挨拶。20年という歴史を振り返り「やってみるもんだね、20年。生涯これ以上のバンドは組めないって、ここ何年かで思いました」としみじみと語り「今日はフラットな感じで楽しんでください。俺らも楽しみます」と笑顔を見せた。

「じゃあ、すげえ懐かしい曲」という後藤の言葉に続いては「粉雪」。重厚なベースラインと喜多建介(G)の高らかなコーラスが絡み合い、独特の空気を生み出す。「踵で愛を打ち鳴らせ」は、サポートメンバーの下村亮介(Key / the chef cooks me)が奏でるシンセから始まり、オリジナルと異なる趣を見せた。

続くMCで後藤は、Oasisのドキュメンタリー映画「オアシス:スーパーソニック」を観たことを明かし「10代の頃に憧れたロックスターはみんなメチャクチャでね(笑)。でもあの5人がステージに立ったら、なんとも言えない魅力がある」と語る。そして「自分たちもそうなのかな、と。この4人で集まると変なパワーが出て、みんなが思ってくれてるエネルギーも一緒になってマジックが起きる。それって素敵なことだなと」とメンバーやファンへの感謝を表し、「ペースはともかく、アジカンをまだまだ続けていきたいなと思います」と、20周年を迎えての意気込みを語った。

後藤の「横浜の最寄りのスタジオの部屋番号が付いた曲をやりたいと思います」という紹介から「E」を演奏したあとは、「スタンダード」「ブラッドサーキュレーター」を披露。柔らかなピアノのイントロから、力強いアンサンブルへと展開した「月光」が終わると、メンバーは一旦ステージを後にした。

インターバルのあと再びステージに現れたメンバーが奏でたのは「振動覚」。ここからは昨年11月に再レコーディング盤をリリースした初期のアルバム「ソルファ」の楽曲を連続で披露していく。4人は「ソルファ」のジャケットイラストをプリントしたシャツに身を包み、「リライト」「ループ&ループ」「君の街まで」といったキラーチューンを畳み掛けた。

後藤は「いいシャツでしょ?」とオーディエンスに語りかけ「12年ぶりに録音した『ソルファ』の曲をやってますけど、当時のツアーはすごい大変で。日記にメンバーの悪口ばっかり書いてた(笑)」と笑わせる。そして「『ソルファ』の曲は難しいんですけど、年を取ってスムーズに演奏する方法を見つけて。みんなに楽しんでもらえたら」と、20年のキャリアを振り返った。その後も「サイレン」「Re:Re:」と、「ソルファ」の名曲を次々と披露する4人。「海岸通り」ではバイオリニストのNAOTO率いるストリングス隊がゲストとして加わり、壮大なサウンドで本編を締めくくった。

アンコールの声に応え、先にステージに登場した後藤はアコースティックギターを下げて「何曲か弾き語るんで、無理に立たなくてもいいですよ(笑)」と観客に語りかける。そして「ソラニン」を弾き語りで歌った後藤は、日々の曲作りについて「曲を作るときはいつもひとりぼっち。デモをメンバーに送っても全然返事が返ってこなかったり(笑)。でも何曲かがあいつらのお眼鏡にかなって、みんなに聴いてもらえると、寂しい曲作りの何がしかが成仏する気がするんだよね」と、ソングライターの喜びを明かした。

その後は喜多がメインボーカルを務める「タイムトラベラー」「八景」を連続で披露する。喜多は「武道館でメインボーカルを取るというのはなかなかのもので……(笑)」と喜び、ファンを笑わせた。アンコールラストは「さよならロストジェネレイション」「新世紀のラブソング」を演奏。オーディエンスの写真撮影が許可されたこのパートでは、観客のスマートフォンや携帯電話のキラキラした光が場内を美しく彩った。

すべての演奏が終わると、メンバー4人とサポートの下村は肩を組んでオーディエンスに挨拶、20周年を祝福した観客への謝意を表し、充実した表情でステージを降りていった。

ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2016-2017「20th Anniversary Live」 2017年1月11日 日本武道館 セットリスト

01. 遙か彼方
02. センスレス
03. アンダースタンド
04. 暗号のワルツ
05. ブラックアウト
06. 君という花
07. 粉雪
08. マーチングバンド
09. 踵で愛を打ち鳴らせ
10. 今を生きて
11. E
12. スタンダード
13. ブラッドサーキュレーター
14. 月光
15. 振動覚
16. リライト
17. ループ&ループ
18. 君の街まで
19. マイワールド
20. 夜の向こう
21. ラストシーン
22. サイレン
23. Re:Re:
24. 24時
25. 真夜中と真昼の夢
26. 海岸通り
<アンコール>
27. ソラニン
28. Wonder Future
29. タイムトラベラー
30. 八景
31. さよならロストジェネレイション
32. 新世紀のラブソング

音楽ナタリー
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