【SPICE単独連載】「プロ野球死亡遊戯」の中溝康隆がWBCを語る<初めてのWBC観戦マニュアル ~チケット完全攻略編~>

2017.1.16
コラム
イベント/レジャー

初めてのWBC観戦マニュアル ~完全攻略編~

「東京ドームはどこの席が観やすいのか?」これまで野球観戦ビギナーの人から幾度となく聞かれてきたこの質問。そりゃあ値段の高い席が選手との距離も近いし快適。……と思いきや、個人的にはあまりグラウンドに近すぎると逆に見づらく感じてしまう。百戦錬磨のプロの監督も真横のベンチから見ていると、ストライクやボール判定はいまいち分からないという。

……ってすいません。普通に始まったけど、いきなり正直に書かせてもらうとWBCの代金は高すぎる。

東京ドーム1次ラウンド3月7日の初戦を調べると、日本vsキューバ戦の指定席S 16,000円、指定席A 10,000円、指定席B 7,000円、人気の外野指定席は5,000円。仮に内野席でおネエちゃんをデートに誘って、そのあとご飯でも食べたら3万円コースだ。凄い、俺の財布も侍ジャパン以上に絶対に負けられない戦いである。

東京ドームラウンドはほとんど温泉旅行クラスの予算が必要。ならばWBC球場観戦は諦めるのか? いや野球ファンとしては待ちに待ったビッグイベント。是が非でもライブで体感したい。相変わらず日本人メジャーリーガー参加のハードルは高く、世界が注目する大谷翔平の日本代表ユニフォーム姿も今の内に見ておきたい。さらに一部報道によると、次回大会が開催されるかも不透明。というわけで、普段野球観戦はあまりしないけど、WBCは球場で。できればお手頃に……という方には、2階席の「パノラマシート 5,000円」「指定席C 4000円」をオススメしたい。ここなら2人合わせて代も1万円前後に抑えられ、帰りに『どうとんぼり神座 東京ドームシティ店』でラーメンも食べられる。

「うーんせっかくだからもっと前の席で見たいな……」って気持ちは分かる。でも野球は筋書きのないドラマ。球場は劇場だ。例えば映画館で最も人気の席は、真ん中より気持ち後ろの中央付近らしい。そこからならスクリーン全体を見渡すことが可能だからだ。同じ理由で、個人的に東京ドームでプロ野球観戦をする時は2階席前方付近のを買うことが多い。シーズン中の巨人戦で言う中央指定席FC。近すぎず遠すぎず、守備シフトから、打球の見え方まで文句なし。に求める、近い・安い・見やすいという基本条件の内、近さ以外の項目はクリアしている。例えば、ショート坂本勇人の広大な守備範囲を俯瞰で体感したい人には絶好の席種だと思う。

そして、今回のWBCでさらに突っ込んだ隠れた良席としては「指定席C3塁(侍マフラー付) 4,000円」というのがある。お得な「侍マフラー付」なのでキッズも大喜び。「侍ジャパンは1塁側だから逆でしょ」と思いきや、この位置なら侍ジャパンベンチの向かい側なので、双眼鏡片手にベンチ全体の様子が見られる。噂の中田翔と筒香嘉智のリップクリーム貸し借り疑惑をライブで目撃。さらに捕手の座る位置にも注目だ。前回大会でキャプテンを務めたあの阿部慎之助も若手時代は監督の近くに座っていたけど、やがて勇気を出して投手の隣を確保し、イニング間に会話を交わすように意識していたという。短期決戦を左右する捕手のあらゆる動きも、試合とともにチェックしてみてはいかがだろうか。もちろんあまりに上段席になるとグラウンドとかなり距離があるので、できれば指定席Cを購入する際は「座席選択」でしっかり位置を確認してから買った方がいいだろう。

ちなみに見落としがちなのが、3月8日(水)、3月10日(金)のがあれば、1枚で侍ジャパン戦と"赤い稲妻"キューバ代表チーム戦の2試合が観ることができるという事実。もし有給や春休みで早く東京ドームに行ける方は、12時開始のキューバ戦でテンションを上げてから、19時開始の日本戦に臨むなんて勝手にダブルヘッダー的な観戦スタイルも可能である。「えっ19時?」そう、普段のナイターは18時からなので、試合開始から観られないと嘆いてる多忙なお父さんにもやさしい19時プレイボールだ。

いつ、誰と、どの試合に出かけるのか? もちろん財布に余裕があるなら、奮発して指定席Sで選手の汗や息づかいを感じるのも至福の時。体力に自信のある方なら2,000円の立ち見席で、とりあえず入場してみて雰囲気を味わうのも悪くない。結局、スポーツ観戦で重要なのは「球場のどこで見るか」よりも、「球場で何を見るか」だと思う。苦労して手にしたでも、盛り上がりに欠ける一方的なワンサイドゲームや期待外れの凡戦の時だって当然ある。かと思えば、たまに憂鬱な気持ちを一瞬で吹っ飛ばしてくれる奇跡のような瞬間に立ち会えるから野球観戦はやめられない。まあ堅苦しいことは抜きにして、とりあえず球場に行こう。

4年に1度の野球の祭典。楽しみ方は自由なお祭り。まさしくWBCとは俺らの「春の野球フェス」なのである。

イベント情報
World Baseball Classic 2017(ワールドベースボールクラシック2017)

WBC強化試合
開催日:2017年3月3日(金)~3月6日(月)
会場:京セラドーム大阪

WBC 1次ラウンド
開催日:2017年3月7日(火)~3月11日(土)
会場:東京ドーム

WBC 2次ラウンド
開催日:2017年3月12日(日)~3月16日(木)
会場:東京ドーム

 

プロフィール
中溝康隆(なかみぞやすたか)

1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。
デザイナーとして活動する傍ら、2010年よりブログ「プロ野球死亡遊戯」を開始。累計6900万PVを記録し話題に。
昨年は初の単行本「プロ野球死亡遊戯 そのブログ、凶暴につき」(ユーキャン)を上梓。
3月25日には著書「プロ野球死亡遊戯 さらば昭和のプロ野球」(ユーキャン)と「隣のアイツは年俸1億 巨人2軍のリアル」(白泉社)が2冊同時発売された。

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ほぼ日刊イトイ新聞主催「野球で遊ぼう。」にライターとして参加。
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