“これがBRADIOだ!” ツアーで培った経験や想いが詰まった新アルバム『FREEDOM』を語る

2017.1.27
インタビュー
音楽

BRADIO

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『新・ミナミの帝王』の主題歌、『第68回 2017 さっぽろ雪まつり』のテーマソングなど、ぞくぞくとタイアップが決まり、2017年1月18日(水)にセカンドフルアルバム『FREEDOM』をリリースしたばかりのファンキーロックバンド・BRADIO。そのアルバムを引っさげて、3月5日(日)赤坂BLITZを皮切りに11都市12会場のワンマンツアーが始まる。そこで、BRADIOのボーカルをつとめる真行寺貴秋(以下、真行寺)とドラムの田邊有希(以下、田邊)に、今までのツアーで培った経験や想いが詰まったセカンドフルアルバム『FREEDOM』について、これから始まるワンマンツアーのみどころ、そして縁のある大阪でのライブについて語ってもらった。

――まずは1月18日(水)に発売された『FREEDOM』について聞かせてください。

真行寺:今の僕たちらしさを詰め込めた自信の1枚が出来たと思います。バンドって、色々なメンバーが居て、それぞれが違う意思や哲学を持っていますが、それが一つになっていくのがバンドとしても面白かったりします。今回は作品が出来上がってくるにつれて、メンバーみんなに“これがBRADIOだ!”っていう気持ちが芽生え、最終的に自信となって手応えを感じることが出来ました。

――なるほど。今までの作品も自信はもちろんあったと思うんですが、新しいフェーズにいったんですね。

真行寺:ファーストフルアルバムの発売から1年7ヶ月経っていますが、前回は前回で当時のBRADIOってものが存分に発揮できたアルバムだと思っています。でも、その頃からライブをする規模も大きくなっていき、自分たちを支えてくれるチームが増えていく中で、人と接する時間がどんどん増えてきて……僕たちの中の人間臭さがもっと音楽に溢れてもいいんじゃないかなっていう感覚になっていきました。また、前回のツアーで一緒にライブをしてきた対バンから刺激を貰う事も多かったですね。音楽はやっているけど音楽だけではダメだと思っていて、そこには心を表現する技術が必要だと思うし、その為にはどうしたら良いんだろうって考えていったんです。

真行寺貴秋

真行寺:僕たちのパーソナルな部分や人間的な飾らない人間臭さみたいなモノを、もっと曲にもライブにも出しても良いんじゃないかっていう想いが、今回の『FREEDOM』を作り上げたんだと思います。今までのBRADIOは、ミラーボールが似合ってディスコっぽくて、踊れて騒げるといったイメージがあると思うんです。でも、それだけじゃなくて、人間のネガティブな部分や奥に眠る黒い部分だったりを、グッと引き出せる楽曲が今回のアルバムには入れられたんじゃないかなと思います。

――『FREEDOM』のタイトルはどこからきたのですか?

真行寺:そもそも僕らのアルバムの作り方としては、コンセプトを決めてそれに向かって曲を作るというやり方では無く、数ある持ち曲の中から選曲してます。そして、そこから感じたものをタイトルにしてきました。今回の作品の中に「-Freedom-」という曲があるんですけど、アルバムタイトルの『FREEDOM』とはまた別のニュアンスがあって。表記を変えることで棲み分けしたんですけど、僕らは今まで、気がつけば規律の中で縮こまってやってたんだと思います。ただ、今回はある程度の規律の中で、本当に“BRADIOらしさ”が表現できて、その中でのびのびと音楽が出来たので、“自分たちはこうなんだ”って意味での“FREEDOM”だったりします。あとは聴いてくれた人が自由に感じ、受け取ってもらいたいという気持ちが『FREEDOM』のタイトルに込められています。

――なるほど。ちなみに、今回のアルバムの中だとどの曲が以前からあったものなんですか?

田邊:「彼女ハリケーン」は、もう3、4年前にはフルコーラスが完全にできていました。ライブではやっていなかったのですが、その頃からフルコーラスまで出来ていた曲なんです。

真行寺:元々曲としてはあったのですが、アレンジが全然違ったんです。当時ファーストフルアルバムを出す時に、ベースの酒井亮輔が、「俺は彼女ハリケーンが好きだから入れたい!」と言っていたんですけど、その時は曲がいっぱいありすぎて無しになって。でも次のアルバムの段階で、 亮輔がまだ「彼女ハリケーンを入れたい」と言ってたら、それは入れよう。って話をしていたんですね。そしたら今回のセカンドフルアルバムの選曲の際に、亮輔が「彼女ハリケーンを入れたい」とまた言ったので、1年以上もずっと思っているなら、それはこの曲は入れよう!ってことで入れました(笑)。

――1年以上も(笑)。

真行寺:他にも『FREEDOM』に入っている曲の中で、ファーストフルアルバムを作っている段階ですでにあった曲も入ったりしてます。シングルを色々と出していく中で、曲を作る時に何曲か案を出してそれをまとめて作るので、ネタ自体はファーストフルアルバムを出してからもちょこちょこ作りつつ、元々あったネタを後半カタチにしていった、っていう感じですね。歌詞は最後の最後につけます。歌詞を書きだめすると、その時の自分になってしまうのでなるべく書きだめをしないようにしていて。曲が出来上がったタイミングで色付けして、そこから歌詞をつけていくのがほとんどですね。

――『新・ミナミの帝王』の主題歌となった「Get Money」はどういう風に仕上げたのか気になります。

真行寺:書き下ろしというカタチでオファーを頂いたんですが、元々ちょっとした自分たちの持ちネタがあったんですよ。その中からコンペ形式のように何曲か出して、僕らの中では「あれ? これなんだ?」という感じもあったんですが、曲のイメージとかも合っていたので、この曲を色々調理してみようと。最初は、最後に入っているスタジアムコーラスは入っていなかったですし、もっとふわっとしたテーマ性のない曲だったんですが、ドラマのイメージを元にそこからどんどん展開していきました。

――ちなみに今回のきっかけ以前に『ミナミの帝王』は見た事は?

真行寺:見た事は全く無かったですね。

田邊:東京では放送していないので、オファーを頂いてから見ました。

真行寺:お金の絡んだ人間ドラマだったので、お金を持つことの覚悟とか、今回のアルバムの“人間臭さ”という意味でも、このテーマってすごく面白いなって思いました。今までBRADIOって、“お金よりも愛があればいいや、夢があればいいや”みたいなテイストが多かったんです。けど今回こういうドラマの世界観やテーマから、逆にお金がないと何もできないじゃんっていう、拝金主義者じゃないですけど“お金あっての人間臭さ”ってものが、この曲で表現できればと、チャレンジをさせてもらったので、本当に良い経験になりました。

――タイアップはそういう効果も生むんですね。そういった意味だと、個人的に「HOTELエイリアン」がとても気になります(笑)。スペーシーな要素が入っていて何かしらの中毒性も感じますね。

真行寺:曲のテーマとしてエイリアンという単語があったので、まさにスペーシーなものを音で表現してみようというところから始まってアレンジしました。

――アニメ『Peeping Life TV シーズン1??』のオープニングテーマになっていますが、最初「そこにBRADIO?」と驚きました。

真行寺:タイアップは本当に嬉しくて、共作者というか“一つの物を一緒に作る”という“チーム”みたいなものと捉えているので、その中でのやりとりも面白く、こうゆうアイデアもあるんだ!とか、新たな発見がたくさんあります。

――常にチャレンジ精神を感じます。「Colors」は『第68回 2017 さっぽろ雪まつり』のテーマソングにもなっていますが、歌詞に関しても、情景が浮かぶ内容になっていますよね。

真行寺:「Colors」も曲自体はあったんですけど、実は元々は夏の曲なんです(笑)。でもその当時から、夏の曲として作ったけど、なんかメロディーが冬の曲っぽいよねって意見があったなかで、さっぽろ雪祭りの話を頂いた時に「あれ、この曲このテーマソングに合うんじゃない!?」と冬の曲に書き直したのがこの「Colors」です。実際は「もっとロックっぽいのが欲しい」と言われていたんですが「これがBRADIOです! お願いします!」と提案させて頂きました。

――元々は夏の曲だったんですか?

真行寺:そうなんです。“冬の情景”を、冬という単語をあまり使わずに、秋、春、夏から囲って冬を表現する、みたいな歌詞にしました。北海道のHTB広場さんのテーマソングですが、実は歌詞は沖縄で書いてます(笑)。そういう意味でも曲を通してとても面白い体験ができました。

BRADIO

――次はライブに関して聞かせて頂きたいのですが、最近はワンマンライブが増えてきましたね。

田邊:一昨年の春くらいからワンマンツアーをやるようになって、それから少しずつ規模が大きくなって、会場数も増えてきました。最初は阿倍野ROCKTOWN、次はシャングリラ、BIGCATそしてなんばHatchですね。

――会場の規模がステップアップしていく中で、意識していることはありますか?

真行寺:ライブの規模によって届き方が違うなと感じて、会場のキャパシティがどんどん大きくなっていくことで意識している事は、“コミュニケーション”なのかなと思っています。僕らは格好付けるよりも、ファンの人との距離を縮めたいし、ステージから降りたりもするし、もっとファンの方と触れ合いたいと思っています。そういうところがBRADIOの強みだとも思っています。アルバムを作ったりライブをやっていくなかで、人間っぽさやパーソナルなところをもっともっと出して、まず僕たちを知ってもらった上で僕たちのライブに参加してもらいたいという気持ちが強くなってきたし、そうあっていいんだなって自信がもてるようにもなってきました。なので、今はライブに対しては、下手に格好付けずそのままの僕らで挑んでいます。そこに対してのリアクションが大きく、みんなが「それがBRADIOなんだね」って感じて返してくれるのが伝わってきてる気がします。

――自分自身に答えがあるんですね。

真行寺:「人を動かしたかったら、まずは自分から」と思う気持ちもありますし、力づくでパーティーに連れ込むというやり方もありますが、僕たちをまず知ってもらって、僕たちを全部出すからそれに“みんな乗っかってきてくれよ”という部分も強くなってきました。

――ライブのステージングや衣装といった演出部分と、“BRADIOらしさ”がアットホームで良いギャップを生んでいる気もします。

田邊:そうですね。これからもずっと同じ目線ではいたいなってのがありますね。一緒にライブを作っていきたいし、お客さんの片思いではありたくないなって思います。やる以上は僕らも、お客さんも、スタッフも、みんながその1日を「最高だったよね。本当に良かったよね」って言える日を作りたくて。それはワンマンだけじゃなくて、フェスでもそうだし、小さなライブハウスでもそうだし。その気持ちってのは絶対にこれからも忘れたくないなって思っています。

――内容に一貫性を感じるし全てが繋がっていますね。

真行寺:今回のアルバムはそういった意味でもとても自信があって、今のBRADIOを本当に表現できたと思います。

――そのBRADIOらしさを表現するために、どんな工夫をしましたか?

真行寺:サウンド面では、引き算もしたし機材もこだわりました。ギターも6本くらい使ったり、1曲1曲に対してその曲の為だけの音みたいなもの作ったり、前回よりもかなりこだわって作ることが出来ました 。

――ライブだと大変そうですけど……(笑)。

真行寺:ライブのことはもちろん考えているんですが、作品は作品で最高の物を作ろうと固執しちゃうんで、出来上がった後に、これどうやってライブで再現するんだ?っていう問題はつきまといますね(笑)。

田邊:足がもう2本欲しい……物理的に無理だって(笑)。

真行寺:歌詞に関していうと、ベースの亮輔から「ポジティブな曲だけじゃなくて、ネガティブな曲も欲しいよね。そういったものがあったら、ポジティブなものがもっと違って見えたりするんじゃないか」という提案が出てきて、「蝙蝠」という曲では、生きていく中で必ずある苦しみだったり悲しみだったり、迷いがある中で、“けどやっぱり人として生まれてきたからには生まれてきた理由として苦しむために生まれてきたとか悲しむために生まれてきたんじゃなくて、俺たちは幸せになる為に生まれてきたんだよ。だからこそ、こうゆう悲しい事や苦しい事を通って、今それは一時的なものであって結果幸せになる為に生まれてきたんだよ”というメッセージを、“ネガティブ”というフィルターを通して、伝えていく事で表現できたのかなと思っています。

BRADIO

真行寺:聞いてくれた人のすぐ目の前にある問題を肯定することだったり、現実にある普遍的なモノが、今までより深く表現出来たって思っていて、今までは「みんなで夜BARに行ってパーティーして、可愛い女の子をナンパして、一緒にドライブしようよ」って妄想というか、現実ではあまり起こりえない世界観がずっとあったんですが、今回はそういった意味でも人間っぽさが表現できたんじゃないかなって。

――いまのBRADIOのライブは、本当に色んな感情を刺激してくれそうですね。

真行寺:そうですね。ライブに来てくれた人をのせたり笑顔にするだけじゃなくて、良い意味での涙だったり、もっといろんなものを引き出して、感動というか、心をえぐれるようなセットリストでライブ作りができるようになってきました。

――今回の『FREEDOM tour 2017』は、3月5日(日)の赤坂BLITZ~4月30日(日)の中野サンプラザまで全国11都市12会場とかなりのボリュームとなっていますが、どのようなツアーにしたいですか?

田邊:今回のワンマンツアーでは、小さいところでは200人くらいから、中野サンプラザでは2000人以上と会場のキャパシティの振り幅が結構あって、色んなライブの顔を見せられるんじないかなって思っています。もちろん会場の大小での気持ちの差は無いですが、物理的に差が出てくるところがあるので、それを逆手に取って、小さなところでは小さなところで表現出来るBRADIOの良さを、広いところでは広いところでのBRADIOの良さを表現できたらなって思っています。4月30日(日)のツアーファイナルが終わった時に、また一皮も二皮もむけたBRADIOが見せられるんじゃないかなって、希望を持ってます。ワクワクします。

――キャパシティや枠にとらわれないライブ構成を経たBRADIOのライブが楽しみです。そして、それもまた良いプレッシャーですね。

真行寺:そうですね。確かにプレッシャーも感じてますし、“どうなりたい”ってビジョンを早めに持っておきたいですね。東名阪の後半3公演は、また違った面白い演出も入れれたらな、と考えています。

田邊:去年の年末のツアーから、コーラス隊に2人、そしてキーボードはサポートメンバーとして入ってもらっているんです。

――他に入れたい楽器とかは?

田邊:レコーディングでは管楽器チームにも入ってもらっているのですが、ライブでも入ってもらいたいメンバーなので、それが現実になればいいなって。

真行寺:他にはパーカッショニストやダンサー、イリュージョンなんかも入れたいです。メンバー全員アイデアを出すのが好きだし、盛るのが好きなので(笑)。BRADIOお家芸じゃないですが、そういうことを盛り込むことでみんながハッピーになれたらなって思います。

――どんな仕上がりになるのか楽しみですね。では最後になりますが、大阪で待っている皆さんに何か一言お願いします。

真行寺:僕ら東京のバンドなんですが、よく「大阪のバンドですか?」と言われることがあって、大阪に受け入れられているのかなって気持ちにさせて貰っているので、大阪には何か近しいものを勝手に感じています(笑)。ライブでは音楽以外にも、ハッピーにしたいって気持ちがあるので、茶番だったり、お客さんを笑かしにいったりするセクションがあるんですが一番大阪がウケるんです。大阪の人には同じようなパッションやエネルギー、ソウルみたいなモノを感じているので、それに負けない様に、それ以上の情熱を投げられたらいいなって思っています。CDももちろん聞いて頂きたいですが、僕らはライブが本当に好きなので、是非遊びに来て頂いて、一緒に空間を共有して、同じ気持ちになれたらいいなって思ってます。とりあえず大阪には負けたくない気持ちで臨みますので、会場でお待ちしています!
 

取材・撮影=K兄 文=Lily

リリース情報
2ndフルアルバム『FREEDOM』
発売日:2017年1月18日(水)
全12曲収録
品番:
HRME-1013(初回盤・店舗販売限定) 3500円+税
HRME-1014(通常盤) 2500円+税
Amazon限定セット(通常盤+限定デザインTシャツ) 4800円+税
-CD-
1.Back To The Funk
2.-Freedom-
3. 彼女ハリケーン
4. 蝙蝠
5. ギフト
6.Revolution
7.KAMISAMA
8.HOTEL エイリアン
9. 思い通りにならない世界
10.Get Money
11.All I Need Is You
12.Colors
 
-DVD-(初回盤・店舗販売限定のみ)
7/17 開催「ファンカジスタツアー 2016 ~レインボービックバン編~」赤坂 BLITZ
1.FUNKASISTA
2.感情リテラシー
3.Golden Liar
4.ギフト
5.スパイシーマドンナ
6.Ride On Time
全6曲の LIVE 映像に加え、オフショットが入った約 60 分に及ぶボリュームたっぷりの映像を DVD に収録

 

ライブ情報
FREEDOM tour 2017

3月5日(日) 東京:赤坂 BLITZ
3月10日(金) 広島:セカンドクラッチ
3月12日(日) 香川:高松 DIME

3月19日(日) 富山:SOUL POWER
3月22日(水) 鹿児島:SR HALL

3月24日(金) 福岡:DRUM LOGOS
3月26日(日) 新潟:LOTS

3月31日(金) 北海道:Penny Lane 24
4月2日(日) 宮城:仙台 RIPPLE
4月8日(土) 大阪:なんば Hatch
4月22日(土) 愛知:名古屋 DIAMOND HALL
4月30日(日) 東京:中野サンプラザ


 
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