オーラル、フレデリック、テレン、パノパナらが競演 『MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017』オフィシャルレポート

2017.1.17
レポート
音楽

MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017

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MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017
2017.1.15 恵比寿LIQUIDROOM

THE ORAL CIGARETTESフレデリックLAMP IN TERREN、パノラマパナマタウンが所属、プロジェクト立ち上げ5周年を迎えたMASH A&Rの新春ライブイベント『MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017』が、1月15日、恵比寿LIQUIDROOMにて行われた。

一般発売開始後すぐにソールドアウトとなった本公演には、寒波の訪れで冷え込んでいたにもかかわらず、朝早くから多くの観客が来場。公演に先駆けて14時にオープンした2Fエリアでは、各バンドがプロデュースした特製フード&ドリンク、メンバーの等身大パネルや直筆の履歴書などが飾られたKATAでの展示を楽しんでいた。

MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017

MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017

16時45分、オープニングアクトからライブスタート。毎年MASHROOMのオープニングアクトには前年のMASH FIGHT!のグランプリアーティストが登場するのだが、昨年のMASH FIGHT! Vol.5はダブル・グランプリ受賞となったため、今年はオープニングアクトも2組!

まずステージに飛び出したのは「YAJICO GIRL」、大阪を中心に活動する19~20歳の5人組バンドだ。満員の会場にたっぷりとしたテンポの「Casablanca」が響き、すでに存在感たっぷりの堂々としたパフォーマンスでオーディエンスを惹きつける。サビでは自然とハンドクラップが沸き起こり、四方颯人(Vo)の透明感ある伸びやかな歌声とリリカルなギターのアンサンブルが印象的な「いえろう」へ。「僕らのペースを守りつつ、頑張っていきます。会場が熱狂的なうちに最後の曲をやりたいと思います!」というMCと共に新曲を披露。瑞々しくポップでありながらちゃんと一癖あるメロディ&アンサンブルは彼らの中にある確かなビジョンを感じさせるもので、最後はステージからエモーショナルにサウンドを解き放ち、フロアの熱をもう一段階押し上げてステージを去った。

YAJICO GIRL

続いて登場したオープニングアクト2組目は「Saucy Dog」。彼らもYAJICO GIRL同様、大阪を中心に活動してきた3ピースバンドだ。石原慎也(Vo&G)がカウント代わりに地を打ち、ミドルテンポのバラード「いつか」を名刺代わりに轟かせる。歌詞の一言一句が心にダイレクトに飛び込んでくるような石原の力強い歌声と、せとゆいか(Dr)の可憐なコーラスが印象的に絡み、シンプルな3ピースながら広がりのあるバンドサウンドと共に楽曲に託された心象風景を見事に描き出していく。ところどころ噛んでしまうMCもご愛嬌。最後は弱い自分に別れを告げるために書いたという「グッバイ」を大きく歌い上げ、ここから始まる新たなスタートに期待を感じさせながら本編へとしっかりバトンを繋いだ。

Saucy Dog

オープニングアクト2組の熱が残る中、先陣を切ったのは「パノラマパナマタウン」。ど頭から沸騰必至のキラーカード「世界最後になる歌は」を切るという攻めの姿勢で開幕、岩渕想太(Vo&G)がガンガンに煽りながらフロアのテンションを急上昇させ、続く「パノラマパナマタウンのテーマ」では一転、タメの効いたグルーヴと岩渕の自由なフロウで心地よく揺らし、LIQUIDROOMをパノパマの色で染め上げる。

パノラマパナマタウン

昨年はオープニングアクトとして登場したMASHROOMへの凱旋の喜びを見せつつも気迫は十分。タイトなビートで不敵に攻め立て飛翔する“シェルター”、そして年末に新たにミュージックビデオが公開された“過去と未来をつなぐ曲”「MOMO」と、この1年でビルドアップしてきたバンドの実力をきっちり提示。さらに一癖どころか100癖くらいありながらもリズミカルにオーディエンスを巻き込んでいく新曲「リバティーリバティー」でフロアを大きく揺らし、最後は初心を忘れることなく飛躍を誓うかのように「SHINKAICHI」で幕を閉じた。

パノラマパナマタウン

続く「LAMP IN TERREN」は、パノパナの汗が飛び散るステージングとは打って変わって、張り詰めた緊張感の中で松本大(Vo&G)の歌声を深く強く響かせながらライブスタート。秘めた攻撃性が滲み出る歌声とバンドサウンドでフロアを扇動する「innocence」、ドクドクとした心臓の鼓動をビートにシンクロさせながらスタートした「heartbeat」の2曲でその歌の奥深くにオーディエンスを引きずり込み、ここまでのアクトとはまた違う共鳴を引き出していった。

LAMP IN TERREN

ノリよく熱狂を煽るわけではない、けれど、歌を美しく彩りながらもその一音一音に確かな決意が漲らせるストロングなアンサンブル、そして何より聴き手の心臓をつかむような松本の歌に、じりじりとオーディエンスの熱が上がっていく。「流れ星よりも、流した涙こそが願いを叶えるんだ」という想いを綴ったという光溢れる新曲「涙星群の夜」を披露した後、最後は「キャラバン」で大きなシンガロングをフロアに響かせ、まさに“魔法のように”鮮烈な印象を残していった。

LAMP IN TERREN

おなじみのSEに乗って登場した「フレデリック」は、のっけから「オワラセナイト」でフロアを完全掌握、そのまま一気に「KITAKU BEATS」へと雪崩れ込み、大きな歓声を巻き起こしながらどこまでもダンサブルにオーディエンスを揺らしていく。「俺達はグランプリやなくて特別賞を受賞してMASH A&Rに入ったんですけど、誰よりも特別、オンリーワンであることを見せつけます」という三原健司(Vo&G)の剥き出しのMCで白熱を煽りながら、「ナイトステップ」では横揺れの黒いダンスビートで“リズムに乗って自由に踊る”ことの快楽性を体現し、そのまま「リリリピート」、「オドループ」と畳み掛けて天井知らずの狂騒を描き出す。もはや貫禄すら漂う、盤石のアクト。

フレデリック

フレデリック

フレデリック

「みなさん、最後に登場するのは大魔王ですよ!?(言わずもがなTHE ORAL CIGARETTESのことです)」というMCで暗に「お前らそんなもんか!」とフロアを挑発しつつ、「音楽大好きという気持ちを声に出して、俺達に全部くれませんか?」という言葉と共にラストの「オンリーワンダー」へと突入。この1年で自分達が打ち出すべき明確なメッセージを見つけ、それを楽曲制作とライブを通してきっちりと血肉化してきたフレデリックならではの強さと輝きを熱狂の中に刻みつけ、颯爽とステージを去った。

フレデリック

そして、トリを飾るは「THE ORAL CIGARETTES」。転換中から早くも叫声が上がり、すでに一撃で沸点を超えそうな熱気に迎えられて4人が登場。「一発目はあなた達に感謝の歌を!」という山中拓也(Vo&G)の雄叫びにワッと歓声が起こり、「Everything」へ。山中の歌に呼応する盛大なシンガロングも相まって、強い多幸感がフロアに弾けていく。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES

ドラマティックなサビに大きく心が揺さぶられる「5150」、 叩きつけるような演奏に血湧き肉躍る「STARGET」と、もはや臨界点突破状態のテンションの中でバンドとオーディエンスの激しくも確かなコミュニケーションが交わされていく様は圧巻。中盤のMCでは「そもそもバンドは自分達発信じゃないと誰も気づいてくれない。死ぬほどつらい時もあるけど、つらい想いをしたからこそ、このステージに立てる。俺は死ぬほど悩むことすら美しいと思うし、そうやって成長できるんだから、周りのことなんて気にするな!」と山中らしい言葉で目の前の一人ひとりにメッセージを伝えつつ、後半戦、さらなる気迫を燃え上がらせて「DIP-BAP」、「カンタンナコト」、「狂乱 Hey Kids!!」と怒涛の熱量でぶっ放し、目の眩むような熱狂の中で大団円を迎えていった。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES

有象無象に渦巻く感情のすべて呑み込むようなスケールと色気を放つようになった山中の歌声も、それぞれにアグレッシブに攻めながらもバンドとしての照準はピタリと定まった演奏も、今まさにロックバンドとして大きな進化を遂げているオーラルならではの勢いと確信が漲るステージだった。

THE ORAL CIGARETTES

アンコールは今夜限りの特別企画。なんと、所属4アーティスト同士がお互いのカバーを披露するというスペシャルな企みが披露されたのだ。ちなみに、その組み合わせはくじ引きで決められたという。

最初に登場したのはフレデリック、選曲は本編ラストを飾り大熱狂を巻き起こしたばかりのオーラルの「狂乱 Hey Kids!!」。本家が演奏した直後にカバーというマゾな展開にもかかわらず、「よくできました!」という拓也のセリフまで含めて原曲に忠実なカバーで堂々と攻め上げ、フロアからは大きな歓声と拍手が巻き起こった。続くLAMP IN TERRENは、フレデリックの「オドループ」を選曲。いきなりアカペラで始めるという、歌を聴かせることに長けたバンドの武器を生かしたカバーが感嘆を誘う。3番手はパノラマパナマタウン、選曲はLAMP IN TERRENの“キャラバン”。ラップを絶妙に盛り込んだ展開やギターの響きにパノパナらしさを差し込みつつ、ラストのオーラルへとタスキを回した。そしてそのオーラルは、パノラマパナマタウンの“シェルター”を披露。リリックを大胆に書き換えてMASH A&Rの仲間へのメッセージを歌ったその姿勢はもちろん、先輩バンドとしての格を見せつけるパフォーマンスで男らしく後輩へとエールを送った。そのまま流れ込んだ「大魔王参上」ではYAJICO GIRLSaucy Dogを含む全6組がステージに上がり、仲間でもありライバルでもある所属アーティスト同士が音の中で互いに笑顔を交わし合い、『MASHROOM 2017』は幕を閉じた。

MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017

なお、 1月16日(月)よりMASH A&Rによる2017年の才能発掘オーディション『MASH FIGHT! Vol.6』がスタート。応募の詳細はMASH A&Rオーディションページ(http://mash-ar.com/audition/)にて。


撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography) 

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