原作とは違ったカオスな世界観が売りのセルフスピンオフ作品「ひもうと! うまるちゃんS」

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アニメ/ゲーム
2015.8.31
 © SHUEISHA

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アニメ「干物妹! うまるちゃん」大好評放映中

 皆さんは現在大好評のアニメ「干物妹! うまるちゃん」をご存知でしょうか? 本作はヤングジャンプで連載中のサンカクヘッドの同名マンガをアニメ化したもので、表では完璧な才女の美妹、家ではグータラな干物妹の2面性を持った主人公うまるがお兄ちゃんと2人で暮らすダラダラ系コメディ作品です。

©2015 サンカクヘッド/集英社 「干物妹!うまるちゃん」製作委員会

©2015 サンカクヘッド/集英社 「干物妹!うまるちゃん」製作委員会

©2015 サンカクヘッド/集英社 「干物妹!うまるちゃん」製作委員会

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 本作はワガママでグータラな妹に振り回される兄のタイヘイのいい人っぷりとその悲哀がたまりません。もし自分が同じ立場になったら同じ態度で接する自信がありませんが、そんな兄に依存しまくっているうまるの様子がとても可愛いから、きっと許してしまうことでしょう。やはり可愛いは正義ってことでしょうか。

 また、うまるたちの隣に住む引っ込み思案で優しい海老名や、グータラ形態のうまると親しい極度の人見知りの切絵、天然なお嬢様のシルフィンなど、魅力的なヒロインが多数登場するのも特徴です。それぞれの人間関係によってかわるうまるのキャラクターの変化も見所の一つで、そんな場面によって演技を変えなければいけない難しい役を演じる田中あいみさんの演技にも注目です。

 そんな話題のアニメ「干物妹! うまるちゃん」ですが、スピンオフ作品「ひもうと! うまるちゃんS」の1巻が発売されました。本作はサンカクヘッドさん本人が描くスピンオフ作品で、SD化したうまる・海老名・きりえ・シルフィンの4人が自由に暴れまわるコメディです。今回はそんな「ひもうと! うまるちゃんS」を紹介します。

ヒロイン4人が仲良く遊ぶ、ありそうでなかったシチュエーション

 本編「干物妹うまるちゃん」においてうまるは外では本性を隠して生活しているため、ヒロインたちは基本的には家でのダラダラ生活を知りません。みんな外のうまるとは面識がありそこそこ仲良くしているものの、外の完璧な状態を素だと思っている海老名、うまるの干物妹状態を別人と勘違いして接しているきりえ、ゲーマーのUMR状態と仲良く接しているシルフィンなど、皆のうまるに対する認識はバラバラです。この外と中とのうまるの2面性がうまるちゃんの特徴であり、魅力でもあるのですが、ちょっとさみしくも感じます。

 普通の日常マンガみたいに4人が本音でワイワイ仲良くしているところを1回でいいから見てみたい、本作はそんな本編では今のところなかった4人が本音で仲良くワイワイしている夢のシチュエーションを描いた作品です。また、皆がまとまって何かしているせいか、常時干物妹状態であるはずのうまるが割りとしっかりしていたり、切絵が意外とボケキャラだったりと、新たなキャラクター性が生まれているのも面白いポイントです。海老名の若干不憫な感じや、天然で元気っ娘なシルフィンは相変わらずといった感じですが。

ファンタジーにSFとやりたい放題の世界観

 うまるちゃん本編は基本的には1話完結ではあったものの、そのストーリーは継続して続いていくため、あまり無茶が出来る作りのコメディではありません。ですが、うまるちゃんSではお話ごとに世界観や設定をリセットするシステムを採用することで、やりたい放題が出来る作りになりました。4人が唐突にアイドルグループになってみたり、人格が入れ替わってみたり、時にはゲーム世界に入り込んでみたりと、まさに何でもありの無法地帯。それは人間関係にも及び、タイヘイと海老名が結婚していたり、タイヘイが刑事となって4人を追い詰める役回りになったりしています。うまるちゃんは魅力的なヒロインの多い作品ですが、それらのキャラクターを使ってサンカクヘッド先生がやりたい放題楽しいシチュエーションを描いているといった雰囲気のマンガとなっています。

 ただ、このように色々と世界観からぶっ飛んだ作品なせいか、うまるちゃんがダラダラしている場合ではない事が多く、干物妹分やウザイ要素はかなり影が薄いです。また、4人をメインにした作品なためかタイヘイや、その他のキャラクターたちの出番は殆どありません。なので、そういった要素が見たい方は原作漫画やアニメで補完しましょう。また、巻末にはジャンプ系列の漫画家であるオニグンソウ・春野友矢さんを始めとした5人の描いたうまるちゃんのおまけ漫画が載っています。これも自作品のテイストを隠さないでうまるちゃんを描いているので実にカオスで面白いです。それらを踏まえて、本作は原作者直々のアンソロジーマンガだと思って読むといいと思います。原作とは違った雰囲気でありながら、原作やアニメファンの方ほどより深く楽しめる、本作はそんな作品となっています。

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