ぴあアリーナMMで開催、『After the Rain Birthday Party 2025』まふまふの日&そらるの日を詳細レポート

レポート
音楽
18:00
After the Rain

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After the Rain Birthday Party 2025 ~まふまふ/そらるの日~
2025.11.2-3 ぴあアリーナMM

そらるとまふまふによる音楽ユニット・After the Rainが、11月1日から3日にかけてぴあアリーナMMにて3daysで企画ライブを開催した。初日は“After the Rain Live 2025 ~After Halloween Night Party~”と題した1日遅れのハロウィンパーティーで会場を大いに盛り上げる。中日と最終日は『After the Rain Birthday Party 2025 ~まふまふ/そらるの日~』として、前者では10月18日に誕生日を迎えたまふまふ、後者では11月3日当日に誕生日を迎えたそらるにフォーカスした特別仕様のライブを展開した。

「まふまふの日」には白とピンクを基調にしたカラーリングと“まふてる”が、「そらるの日」には白と青を基調にしたカラーリングと“はんぺんくん”がステージにあしらわれ、セットリストはソロ曲が日替わりとなった。オープニングムービーの後にふたりが登場すると、両日とも初日の本編ラストを飾った「1・2・3 – 2023 ver. -」で華やかかつパワフルに幕を開けた。

両者ともイメージカラーのタキシード風衣装を身に纏い、主役の日を担うメンバーは頭に小さな王冠をつけていた。その後も「絶対よい子のエトセトラ」でフレッシュな空間を作り出し、観客もそれにシンガロングで応える。「世界を変えるひとつのノウハウ」ではふたりがサイドステージに移動して観客との距離を縮め、会場は笑顔に溢れた。

MCを挟み、「アイスクリームコンプレックス」「極楽地獄」と躍動感たっぷりにパフォーマンスする。両日とも初日以上にリラックスした様子で、その佇まいは初日の充実を何よりも物語っていた。「第3次カラクリ国家計画」はまふまふの日では鋭さを感じる気魄溢れる歌唱を轟かせ、そらるの日では自由に楽しむようなムードに溢れる。同じ楽曲でも日によって異なる印象を与え、ふたりが常に新鮮な気持ちで楽曲に向き合っていることがうかがえた。

そらる

そらる

このバースデーライブではそれぞれの日が主役を務めるというコンセプトを活かし、お互いのオリジナル曲から歌いたい楽曲をチョイスしてカバーするというAtR初の試みが行われた。まふまふが選んだそらるの楽曲は「ワンダー」で、そらるが選んだまふまふの楽曲は「携帯恋話」。そらるが作詞作曲した楽曲を歌うまふまふのボーカルからは普段とは違う表情が感じられ、一言一句を噛み締めるように歌う優しい声にはそらるの描いた物語へのリスペクトが伝わってきた。「携帯恋話」について「歌いやすい」「After the Rainの曲のほうが難しいと思う」と語ったそらるは、憂いを含んだフラットなボーカルで切ない歌詞世界を辿る。彼ならではの解釈と表現は、まふまふのボーカルとは異なる楽曲の側面を浮かび上がらせた。ソングライターの思いを汲んで歌うまふまふと、ボーカリストとして自分なりの表現へと落とし込むそらる。それぞれの向き合い方にもふたりの人間性や関係性が表れていた。

「彗星列車のベルが鳴る」で前半パートを締めくくると、その後は幕間映像へ。お互いのバースデープレゼントを買う企画VTRとして、まふまふの日にはまふまふのプレゼントを買いに行くそらるの様子が、そらるの日にはそらるのプレゼントを買いに行くまふまふの様子が放映された。

プレゼントの購入先は東京23区地図にダーツを打って決めるとのことで、そらるは一発で打ち抜いた世田谷区へ。手作りアクセサリー工房で「個人的にバングルが好きでよくつける」「たぶんまふまふは細身のほうが好きそう」とユニット名と桜のマークを刻印した細身のバングルを制作し、自炊が好きで日本酒を嗜むまふまふのために米屋で日本酒とブレンド米セットを購入する。ステージで現物を手に取ったまふまふはさっそく腕につけて「めちゃめちゃ綺麗! 売り物みたい! サイズもちょうどいい。めちゃくちゃうれしいです」「これから毎日つけます」と目を輝かせた。

まふまふ

まふまふ

まふまふは3投目にして23区内に当てたものの「2投目に刺さった埼玉に行ったほうが面白そう」と言い、埼玉県の和光市へ。削る前のかつおぶし、手作りのおろし金、紅茶の詰め合わせをプレゼントとして購入したところ、そらるは小学生の頃に友人の家でかつおぶしを削らせてもらい、人差し指を1/3の長さほど切ってしまった過去を告白し、「俺あんまり怖いものないんだけど、今も削る前のかつおぶしを見るとぞわぞわする」と苦笑いを浮かべた。するとまふまふは「これから寒くなるからそらるさんがあったかくしてジムに通えるように」と、VTRとは別に急遽用意したマフラーとApple Watchを差し出す。そらるは「プレゼントは『これ好きかな?』と考える気持ちが大事だから」と言い、感謝を告げた。

「ねぇねぇねぇ。」を軽やかに届けたあとはソロセクションに入り、「お互いが相手に歌ってほしい曲」と「このライブで歌いたい自身のオリジナル楽曲」と「メドレー」を披露する。

まふまふの日では、そらるが「俺が聴きたい曲のなかからまふまふが歌っていて一番つらいであろう曲」という理由でリクエストしたトーマの「アザレアの亡霊」と、VocaDuo2025参加作品である堀江晶太の作詞作曲楽曲「レッツゴー!まふまふ(仮題)」を歌唱する。緊迫感のあるサウンド、高低差の大きいメロディ、言葉数の多い歌詞とシリアスなボーカルを響かせた後に、ボーカルテクニックをフル活用して古のインターネットカルチャーをユーモラスに歌い上げるという振れ幅に、客席も大きな歓声を送った。

まふまふ

まふまふ

まふまふは音楽活動をする前は家族以外に誕生日を祝ってもらえる人生ではなかったと振り返り、「こんな大きな会場でみんなに祝ってもらえるなんてうれしいです」と感謝を告げる。そして「僕がライブでやりたい曲やあまりライブでやってこなかった曲を織り交ぜてメドレー形式でお届けします」と告げ、まふまふのオリジナル曲やAtRでのソロ曲を5曲連続で披露する。「朧月」「忍びのすゝめ」などまふまふらしい和風テイストのロックナンバーをドラマチックにつなぎ、「それは恋の終わり」を物寂しさを含んだボーカルで美しく染め上げた。まふまふの音楽への美学が惜しみなく表れたセクションは、秋の肌寒さを鮮やかに描くようだった。

そらるの日では、まふまふがそらるにDECO*27の「愛迷エレジー - Arrange ver. -」をリクエスト。同曲でまふまふはギタリストを務め、さらにエッジーになった疾走感のあるバンドサウンドがそらるの声に宿るミステリアスなムードを際立たせた。まふまふがステージから去った後、そらるは自身の最新アルバム収録曲「空腹の怪物」を歌唱する。歌詞に描いた心情を真摯に伝える歌声は、観客を颯爽と楽曲の物語に引き込んだ。

そらる

そらる

そらるはメドレーのセクションで「最近歌ってみたライブを開催したら喜んでいただけたので、懐かしい楽曲からみんなが割と歌ってほしいと言ってくれている曲を選んでみました」と話し、「シャルル」や「カゲロウデイズ」、「モザイクロール(Reloaded)」など2010年代のヒットソング5曲をつなぐ。観客一人ひとりの楽曲に対する思い出と、そらるのボーカリストとしてのキャリアが交錯し、カバー動画で彼が支持者を増やしていった歴史をハイライトで追いかけるようだった。自身の誕生日当日に観客が喜ぶ選曲をプレゼントするところに、彼が音楽を通して観客とコミュニケーションを取りながら歩みを進め続けてきたこと、彼が多くの人から愛され続けている理由が感じ取れた。

その後は再び両者が揃い、今年9月に公開したばかりの「叢雲に風、花に月」に続いて「アイムユアヒーロー」を届ける。一糸乱れぬハーモニー、背中合わせでの歌唱など、両日ともに支え合いながら息の合ったツインボーカルを響かせた。AtRの楽曲はふたりだからこそ歌えるものであり、ふたりだからこそその真価を発揮できるのだろう。ソロアーティスト同士のユニットがここまで規模を大きくできたのは、彼らがAtRでなければできない音楽を追求してきたからだ。それを証明するような、堂々たるステージだった。

After the Rain

After the Rain

最終日の本編ラスト楽曲前に、まふまふは「僕はもともとそらるさんのいち視聴者だったので、『愛迷エレジー』のギターを弾いているときに『この動画を観ていたなあ……』と懐かしさがこみ上げてきた」と打ち明け、そらるも「そういえばこの曲の動画は、ほぼ初めて自分でパラミックスをした」と感慨に浸った。「初のハロウィンライブ、初の3days、まふまふに限っては初のバースデーライブで、初めて尽くしになって。……楽しかったね」と言うそらるに、まふまふも「楽しかったです」と即答する。「これだけ長く活動してきて、これだけ大きな会場で初めてのことができるのはみんなのおかげです」とそらるが頭を下げると、観客も大きな歓声で応えた。

そして「来年から再来年にかけてのAfter the Rainは今年の5、6倍の熱量で活動するので、みんなも稼いでおいてください(笑)。でもそのお金は無駄にさせないので、一緒に楽しいことをしていきましょう。よかったなと思ってもらえる活動ができるようにふたりで頑張ります」と続け、ふたりはその意志を込めるように「桜花ニ月夜ト袖シグレ」を高らかに歌い上げた。

After the Rain

After the Rain

アンコールではまず猫耳帽子をかぶって「すーぱーぬこになりたい」を披露する。両日ともにまふまふは猫耳を動かしたり、猫のような動きのダンスを取り入れて曲を盛り上げた。その後は誕生日祝いのサプライズとして、甘すぎるものが苦手なまふまふには寿司ケーキが、チーズケーキ好きのそらるには見た目はショートケーキのチーズケーキが進呈された。

まふまふの日にて、バースデーライブが初めてだったまふまふは「どういう顔をしていればいいのかわからない」「祝っていただくなんて申し訳ない気持ち」と恐縮しつつ、「でもみんなも楽しそうで、僕もこんなに楽しいならまたバースデーライブをやってもいいのかも」と語り「来年も誠心誠意でめちゃくちゃ活動するつもりです」と意気込みを見せた。そらるの日にてそらるは「こんなに大きな会場でまふまふも俺も誕生日を祝ってもらえて、めちゃくちゃ幸せです。これからもより良いものを届けられるように頑張ります」と告げる。ラストはAtRの結成のきっかけとなった「セカイシックに少年少女」。彼らが示唆した来年につながるようなポジティブで晴れやかな空間が広がり、それぞれの日に舞い上がった桃色と水色の紙吹雪もそれを華々しく彩った。

来年の活動についてそらるは「戦々恐々としている」「気が重い」と彼なりの表現で目前に控えるハードスケジュールへの気持ちを高め、まふまふは「僕は楽しみですよ」と爽やかに語る。この初めて尽くしの3日間のパーティーは、来年の盛大なアニバーサリーに向けた布石だったのかもしれない。だとすれば来年のAtRはさらに挑戦的でエネルギッシュな活動を繰り広げることだろう。これまでの経験や歴史、ファンの支えで、深みとスケールを増し続けるAfter the Rain。彼らの未来への期待が高まる3日間となった。


文=沖さやこ
撮影=岡本麻衣(ODD JOB)、堀卓朗(ELENORE)、笠原千聖(cielkocka)

セットリスト

After the Rain Birthday Party 2025 ~まふまふ/そらるの日~
2025.11.2-3 ぴあアリーナMM
 
<2025.11.2 まふまふの日>
1.1・2・3 -2023 ver.-
2.絶対よい子のエトセトラ
3.世界を変えるひとつのノウハウ
4.アイスクリームコンプレックス
5.極楽地獄
6.第3次カラクリ国家計画
7.ワンダー(まふまふ)
8.彗星列車のベルが鳴る
9.ねぇねぇねぇ。
10.アザレアの亡霊(まふまふ)
11.レッツゴー!まふまふ(仮題)(まふまふ)
12.まふまふメドレー
朧月
忍びのすゝめ

アンチウィルス
それは恋の終わり
13.叢雲に風、花に月
14.アイムユアヒーロー
15.桜花ニ月夜ト袖シグレ
[ENCORE]
16.すーぱーぬこになりたい
17.セカイシックに少年少女

<2025.11.3 そらるの日>
1.1・2・3 -2023 ver.-
2.絶対よい子のエトセトラ
3.世界を変えるひとつのノウハウ
4.アイスクリームコンプレックス
5.極楽地獄
6.第3次カラクリ国家計画
7.携帯恋話(そらる)
8.彗星列車のベルが鳴る
9.ねぇねぇねぇ。
10.愛迷エレジー - Arrange ver. -
11.空腹の怪物(そらる)
12.そらるメドレー
シャルル
独りんぼエンヴィー
カゲロウデイズ
モザイクロール(Reloaded)
Liekki
13.叢雲に風、花に月
14.アイムユアヒーロー
15.桜花ニ月夜ト袖シグレ
[ENCORE]
16.すーぱーぬこになりたい
17.セカイシックに少年少女

グッズ情報

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■受付期間
2025年11月30日(日)23:59まで
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2026年3月1日(日)までに発送予定
▼事後通販の受付はこちら
https://www.cielkocka-webshop.jp/collections/atr2025
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