『エレクトリカル アンサンブル』展 Open Real Ensembleがソニー製品を“演奏”した初日イベントをレポート

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オープンリール式テープコーダーを囲むOpen Real Ensemble。左から、吉田悠、和田永、吉田匡。

オープンリール式テープコーダーを囲むOpen Real Ensemble。左から、吉田悠、和田永、吉田匡。

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2016年3月6日(月)〜3月31日(金)まで、東京・銀座ソニービル8階OPUS(オーパス)で開催中の『エレクトリカル アンサンブル –ソニーを奏でる、みんなで奏でる-』。本展は、ソニー・ミュージックアーティスツ所属のアーティスト、Open Real Ensembleとコラボーレーションした、来場者参加型イベントとなっている。なお、銀座ソニービルは2017年3月末での営業終了と建て替えが決まっており、本展は現OPUS最後のイベントとなる。

初日に開催されたオープニングイベントでは、展示されている音響機材を使ったOpen Real Ensembleのスペシャルライブとトークセッションも披露された。その際の様子をレポートする。

デジタル一眼レフカメラ「アルファ」

デジタル一眼レフカメラ「アルファ」

円形の音響空間になっているイベントスペースには、ソニーの初代ウォークマン「TPS-L2」やハンディカム「FDR-AX100」など、6種類のソニー製品が設置されている。これらの製品は、家電としての一般的な使い方をするのではなく、音響機材として生まれ変わったものだ。たとえば、デジタル一眼カメラの「アルファ」シリーズは、ボタンを押すと3台のカメラからそれぞれ異なるシャッター音が鳴る仕組みだ。このように、製品に触れる、手をかざすなどのアクションをすることで、特徴的でエレクトリックな音色が奏でられる。

ポータブルラジオ「スカイセンサー」

ポータブルラジオ「スカイセンサー」

来場者は、展示されている6つの楽器に自由に触れ、演奏することができる。時には、見ず知らずの他人とセッションがはじまるかもしれない。また、説明書きにはない、新しい演奏法が生み出されるかもしれない。このように、イベント空間全体が、予測不能なある種のサウンドインスタレーションとなっているのだ。

「トリニトロン」をパーカッションのように演奏する和田永

「トリニトロン」をパーカッションのように演奏する和田永

この音響機材制作を監修したのは、ファッション業界や海外からの評価も高いOpen Real Ensembleだ。メンバーは、和田永、吉田匡、吉田悠の3名。オープニングイベントのライブでは、彼らが本展のために作った楽曲を披露した。

「ウォークマン」をテルミンのように演奏する吉田悠

「ウォークマン」をテルミンのように演奏する吉田悠

設置された6つの楽器を、入れ替わり立ち替り演奏する3人。楽器が鳴らされるたびに「まさかこの家電からこんなに不思議な音が出るなんて!」と、驚きに包まれる。メンバーたちはパフォーマンスを交えながら楽器を変え、また配置を変えていく。その様子からはライブ演奏というよりも、コンテンポラリーダンスを見ているかのような印象を受けた。

「一般的な方法以外での家電の楽しみ方を感じてもらえたら」という思いから制作された、これらの楽器たち。続くトークセッションでは、「ソニーが推奨した使い方ではありません。あくまで、Open Real Ensembleが勝手にやっていることです。……と言いつつ、既成のものの使い方からちょっと斜めに見てみたらおもしろいものがあるぞ、というのをみなさんに感じていただければ」と、吉田悠がコメント。さらに和田は、古家電を楽器として扱う個人プロジェクトに携わっていたこともあって、今回はそのノウハウを大きく生かせたと明かした。

とはいえ、メンバーもはじめて目にする楽器の数々。曲が完成するまでには多くの苦労もあったそうだ。過去に発売されたものも含めると、膨大な数となるソニー製品。「まず、その中からどれを使ってどのような楽器にするか決めるために、ファミレスで12時間ミーティングをした」と、制作秘話を語った。小学校の同級生だったという和田と悠は、幼い頃から8ミリカメラでコマ撮りアニメーションを撮影していた共通点があったという。また、3人ともMD世代ということもあって、「ウォークマンは外せない」という結論になったそうだ。

ブラウン管テレビ「トリニトロン」

ブラウン管テレビ「トリニトロン」

そうして選ばれた、6つの製品たち。それぞれの楽器としての良さが曲の中で光るように、なるべくコンピューターなどを使った音の加工はせず、製品自体が持つ音の特徴を引き出す作りになっている。たとえば、「トリニトロン」は人体をアンテナにして音を出す構造のため、人によって出る音に違いがあるという。体内の水分量によって出る音に変化があるそうで、メンバーいわく「ポカリスエットを飲むといい音が出る」のだとか。

素人目には一見演奏が難しそうに見えるこれらの楽器だが、「テクノの精神があれば演奏できる、大事なのはバイブスですよ!」と、和田。「電気電波電磁電子の神様への感謝の気持ちがないと、うまく演奏できないですから」と熱量たっぷりに語り、会場の笑いを誘った。

展示期間中、会場では30分毎に、Open Real Ensembleの演奏映像が180度広がる壁面に投影される。また、来場者が奏でた音色は毎回アーカイブされていく。その音源を一部ミックスしたOpen Real Ensembleのライブ演奏が、最終日となる3月30日(木)に開催予定だ。

メンバーは最後に、「とにかくいろんな年齢の方が訪れるだろうし、世代によって選ぶ楽器やプレイも変わると思います。そうやって変なプレイがたまっていくのを楽しみにしています。僕らが気づかない演奏方法を誰かが気づいて、それが録音されていたら面白いですね」と、来場者へコメントを寄せた。

展示されている楽器たちは、本展を逃せば今後日の目を見ることはないかもしれない。この機会に、楽器ファンはもちろん、家電好きもぜひその不思議な音色を体感してみてはいかがだろう。

イベント情報
エレクトリカル アンサンブル -ソニーを奏でる、みんなで奏でる-

日時:2017年3月6日(月)〜3月31日(金)
開催時間:11:00〜19:00 ※入場無料
会場:東京・銀座 ソニービル8F コミュニケーションゾーンOPUS(オーパス)

【特別公演】
開催日時:2017年3月30日(木)
開催場所:東京・銀座 ソニービル8F コミュニケーションゾーンOPUS(オーパス)
ゲストアーティスト:Open Real Ensemble


http://www.sonybuilding.jp/eventspace/opus/electricalensemble/
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