Amaryllis Bomb、涙と笑顔が溢れたツアーファイナル・赤坂BLITZ公演をレポート
Amaryllis Bomb
Amaryllis Bomb Tour~Make Some Noise 2017
2017.4.4 赤坂BLITZ
2月からスタートした2度目のワンマンツアーが全8公演ソールドアウトと、10代を中心に支持を広げてきているヒップホップユニット・Amaryllis Bomb。ツアーファイナルとなった赤坂BLITZもとにかく大盛況で、開演前からオーディエンスの熱気がかなり高く、待ちきれない様子が伝わってきた。そんなフロアの雰囲気をたとえるかのごとく、ステージ後方に設置されていたLEDビジョンには、時限タイマー付きのダイナマイトが開演までの残り時間を刻んでいる。20秒前から会場SEがフェードアウト。10秒前からオーディエンスがカウントダウンを始め、ゼロになると音玉が爆発! 場内が暗転すると、フロアは彼らのテーマカラーである赤と青のサイリウムでいっぱいになった。
Amaryllis Bomb・サグワ
Amaryllis Bomb・ゆうこん
まずはDJ OMAが登場。続けて、ステージ後方に組まれたセットの上手側からゆうこんが、下手側からサグワがそれぞれ姿を現わすと、フロアからは尋常じゃないほどの歓声が上がり、そのまま「Make Some Noise」でライブスタート。ハードなサウンドにのせて攻撃的なリリックを畳み掛けると、「飛ぶ準備はできてるか!? 飛び跳ねろ!」と「Take Off」へ。続く「What’s up」ではオーディエンスが手と声をあげ、序盤から大盛り上がりだ。
Amaryllis Bomb
そして「Amaryllis Bomb、赤坂に参上!」と威勢よく叫んだ2人は、改めて自己紹介。昨日の夜からワクワクがとまらなかったという2人も、フロアと同じくテンション高め。盛り上がるフロアを見渡して「このままガーッ!と行ってくれれば!」とサグワが話すと、ゆうこんは「でも、全力でやるためには準備運動が大事なんだけど。いいやつ持ってきましたけどいけますか!」と煽って「Action」へ。LEDビジョンにはLINEのトーク画面風の映像が映し出されていたのだが、オーディエンスのパートは白、Amaryllis Bombのパートは緑で色分けされていて、初めてライブを観にきた人にもわかりやすい工夫がされていた。音にあわせて手を交互に突き上げるオーディエンス達に、「夏は恋しくないかー!」とゆうこんの叫びから突入した「夏 da Rock on」では、全員でタオルを振り回す。2人はステージの上をとにかくひたすら動き回り続け、汗だくになりながらとオーディエンス達と楽しんでいた。
Amaryllis Bomb
Amaryllis Bomb・ゆうこん
Amaryllis Bomb・サグワ
フロアの熱狂をさらに盛り上げるべく、ライブ中盤ではゲストアーティストがステージに呼び込まれた。「SKIT」ではビートボクサーのツリメが登場。ラップとボイスパーカッションで客席を魅了すると、続く「ちょんまげって日本独自の文化でかっこいいよね!」「ホトトギスってなんで鳴くか知ってますか」では、DJ OMAが前に出てきて、ラップにコール&レスポンスに煽りに煽る。そこから「School bag 2 the Live」になだれ込んだのだが、曲が突如ストップ。「なんか物足りないなぁ……」と2人が話していると、ステージ後方に狐のお面をかぶった人物が姿を現わした。もしかして……!と察したオーディエンスも多かったようだが、お面をかぶっていたのは、この曲のシンガーであり、体調不良で活動を休止していたジェニー 。大歓声があがる中、3人で「School bag 2 the Live」を披露し、オーディエンスを大いに喜ばせていた。さらに「今日は調子良さそうだから、せっかくだから1曲歌っていきなよ」という提案から、ジェニーが「G3」を力強く歌い上げる。そして、4月6日から活動を再開することを発表すると、客席からは再び大歓声。仲間の復活をドラマティックにサポートしたこの光景は、なんとも美しかった。
ジェニー、Amaryllis Bomb
Amaryllis Bomb
また、キーボードとカホンをサポートメンバーに迎え、「日陰」をアコースティックバージョンにアレンジして客席に届ける場面も。そこから続けて披露された「Refrain」と「Yell」では、再びジェニーが参加。ただただフロアを盛り上げるのみでなく、曲に込められた思いやメッセージをMCではっきりと伝え、一言一言を大切に紡いでいくアプローチに、オーディエンスはペンライトを振りつつも、神経は完全に目と耳にいっている様子。かなり真剣に聴き入り、スペシャルな演奏に酔いしれていた。
Amaryllis Bomb
ライブは後半戦へ。再びタオルが乱れ舞った「ハリケーン」や、「今日、この会場で一番バカな奴を決めようじゃないか!」というゆうこんの煽りから、サグワが「俺です!」とコミカルな動きで魅せた「Who Fool?」と、再びボルテージをあげていく。そして、「GOOD DAY」のハートフルな空気が会場を包み込んだ後、「今日はみなさんにとっていい日ですか?」とサグワがフロアに投げかけた。それを「俺は人生で一番いい1日です」とゆうこんが受け取り、今の思いを話し始める。
Amaryllis Bomb
ゆうこん「サグワと違って、俺はYouTuberじゃないし、ラップしかやってないし、みんなと会うのはライブのときぐらいなんだけど、(そのぶん)すごくライブを大事にしているので。こうやっていろんな人に来てもらえて、みんなに楽しんでもらえて、最高に嬉しいです」
そこから2人は、ここまで歩んできた道のりや、支えてくれている人達への感謝を話していると、突然ゆうこんが感極まり、涙を流した。「こういうことで泣くような奴じゃなかったんだけど(苦笑)、でも、音楽が本気で……」と話したところで、再び込み上げてきてしまうゆうこん。そんな姿を見て「うん。本気で音楽やってるんで、これからもよろしくお願いします!」とサグワが引き取ったところは、苦楽を共にしてきた2人だからこそできるやり取りでもあっただろう。
サグワ「疲れたらこうやってまた集まって、じゃんじゃん騒いで、嬉しかったら泣いたりして、どんどんAmaryllisの輪を大きくしていきたいです。今、俺らはまだ蕾だけど、この花を大きく咲かせていきましょう」
Amaryllis Bomb・サグワ
Amaryllis Bomb・ゆうこん
流れてきたのは「Bloom」。歌い始める直前に「ウソじゃなく本音を言うよ」と、突如言葉を挟んだゆうこんは、涙で声が裏返るのを抑えるように、そこまで聞かせていたクリーンな響きとは違った荒々しい声で、客席に言葉をぶつけていく。そして、「これからも頑張ろう」というエールと共に、サグワにマイクを渡す。MC中は、目を潤ませながらも笑顔を見せていたサグワだったが、これには感極まってしまったようで、溢れてくる涙を抑えるように、普段よりもガナり気味な声でラップしていた。そして、曲を終えた後、「こんなはずじゃなかった!」「くっそー!」と、涙と笑顔が入り混じったぐちゃぐちゃな表情になっている2人を見て、後ろにいたDJ OMAも、オーディエンスも、もらい泣き。銀テープが宙を舞ったラストナンバーの「Basic」まで約2時間、熱狂を煽り続けたツアーファイナルのエンディングは、会場全体の感情が激しく振り切れた感動的なものとなった。
Amaryllis Bomb
Amaryllis Bomb
Amaryllis Bombは、この日、新たなワンマンツアーを行うことを発表。6月17日には横浜FAD、7月17日には大阪ESAKA MUSE、8月25日には名古屋E.L.L.、そして、12月10日にはZepp DiverCityで開催することとなっている。「もっともっと大きい会場で、もっともっといいライブをしたいし、もっともっといろんな人に聴いてほしい」と熱く語っていた2人。サグワの言葉や、彼らが涙しながら披露した「Bloom」のリリックから引用するならば、2人はまだ〈蕾〉の状態かもしれない。その蕾が開いたとする瞬間をどこに設定するのかは彼ら次第だが、彼らの音楽に対するまっすぐな姿勢は、いつかきっと、大きな花を咲かせるだろう。
取材・文=山口哲生 撮影=大橋祐希
Amaryllis Bomb
Amaryllis Bomb
2017.4.4 赤坂BLITZ
2. Take off
3. What's up
4. Action
5. 夏 da Rock on
6. STARANTHEM
7. 笑え
8. SKIT with ツリメ
9. ちょんまげって日本独自の文化でかっこいいよね!(サグワ with DJ OMA)
10. ホトトギスってなんで鳴くか知ってますか(with DJ OMA)
11. School bag 2 the Live
12. G3(ジェニー)
13. 日陰(アコースティック ver.)
14. Refrain withジェニー(アコースティック ver.)
15. Yell withジェニー(アコースティック ver.)
16. ハリケーン
17. Who Fool?
18. Good Day
19. Bloom
20. Basic
⇒http://genesisone-net.com/art.amaryllis/