【動画あり】大原櫻子の主演舞台『リトル・ヴォイス』稽古場レポート

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2017.5.8
大原櫻子初主演舞台『リトル・ヴォイス』

大原櫻子初主演舞台『リトル・ヴォイス』

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大原櫻子の舞台初主演作『Little Voice リトル・ヴォイス 』が、2017年5月15日より東京・天王洲 銀河劇場で上演される。大原をはじめ、安蘭けい山本涼介池谷のぶえ鳥山昌克高橋和也が顔をそろえた稽古場にお邪魔した。

<あらすじ>
物語の舞台は、1992年のイギリス。うらぶれた田舎町で母・マリー(安蘭けい)と暮らすリトル・ヴォイス(大原櫻子)は、家にこもりマリーとさえほとんど口を利かない。唯一の楽しみは、部屋で父親の形見の古いレコードを聴くこと。一方、母・マリーは自堕落に酒を飲み男と遊びまわり、娘を本名ではなく「LV(Little Voiceの略)」と小バカした名前で呼ぶ。
電話工事にやってきた青年ビリー(山本涼介)はLVのことが気になりそっと会いに来るようになる。ある日、マリーの恋人であり芸能プロモーターのレイ(高橋和也)は、たまたまLVの歌声を耳にして驚く。LVはレコードを聴くうちに、エディット・ピアフ、ジュディ・ガーランド、マリリン・モンローなど往年のスターたちの歌を完璧にマスターしていたのだ。レイは、LVをうまく説得し、町のクラブのステージに立たせることに成功するが……。

 

初主演舞台×伝説の役への挑戦

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

『リトル・ヴォイス』が、日本で舞台化されると知り、驚いた方も多いのではないだろうか。なぜならLVは、もともとスターの歌マネを得意としていた女優・ジェーン・ホロックスのために生まれた役であり、ホロックスありきの作品だったからだ。原作は、1992年にロンドンで初演された舞台だが、日本では1999年公開の映画版『リトル・ヴォイス』でその名が知られるようになった。初演舞台でも映画版でも主人公・LVを務めたのが、ジェーン・ホロックス。その伝説の役に今回挑戦するのが、大原櫻子だ。

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

大原にとって、舞台出演3度目にして初の主演舞台となる。すでに多くの場で語られているとおり歌唱力には定評がある。それでもLV役を引き受けるには相当の覚悟がいっただろう。だからこそ歌唱シーンが近づくにつれ、観る側にもいくらかの緊張感があった。しかし大原が歌い始めた瞬間、稽古場の空気が変わった。


ホロックスによる元祖LVは、極めて完成度の高い声帯模写で、往年のスターたちをよみがえらせた。憑依というレベルで、歌う間、LVの顔は消えていた。一方で、大原のLVには血が通っているのを感じさせられた。大原LVのモンローのほうがチャーミングだったし、大原LVのシャーリー・バッシーのほうが覇気があった。大原の生の歌声の魅力は、ぜひとも劇場で体感してほしい。

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

もっと嫌な奴に!

見学した第2幕は、大原の歌唱シーンに加え、登場人物たちの人間性が浮き出てくる過程も見どころだ。聞こえてくる役者と演出・日澤雄介 (劇団チョコレートケーキ、第21回読売演劇大賞 優秀演出家賞受賞)のやり取りの中で印象的だったのは、マリーとレイへの「もっと嫌なやつに」という演出だった。

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

マリーは、恐ろしくよく喋る。気分の上下が激しく品がない。その役を引き受けたのが、元宝塚歌劇団星組トップスターの安蘭けいなのが面白い。稽古の合間、安蘭は、とあるシーンのウイスキーボトルの扱いについて日澤と意見交換しながら「こうかな? こうもできますよ?」とやってみせ、台詞の意味合いを確かめていた。

その横では、セットの階段で高橋和也が動きを入念に確認し、集中を高めるようにストレッチをする。落ち目の芸能プロモーターという胡散臭い役どころだが、極めてセクシー。役に入っているせいなのか普段からなのか分らないが、高橋が終始大人の男の色気をふりまいているので、それにひっかかり振り回されるマリーに少し同情した。

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

鳥山昌克が演じるミスター・ブーには、登場のたびに(そでにいるキャストまで)笑わされた。風変わりなマリーの隣人・セイディ(池谷のぶえ)と、電話会社職員で照明を創るのが好きなビリー(山本涼介)は、レイやマリーのような強さはない。しかしLVに繊細な心で寄り添える人物として劇中のスパイスになっている。

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

緊張の途切れない……かと思えば、休憩になるとキャスト同士が声をかけあい、ふざけたり、大原もLVの表情から一転し手を叩いて笑顔をみせるなど、見学していても休憩中さえ飽きない稽古場だった。

舞台『リトル・ヴォイス』

舞台『リトル・ヴォイス』

本作は、ただの「内気な天才少女のサクセスストーリー」ではない。“大原櫻子の生歌が聴きたい”、“映画版のファンだからどんなものかみておこう”どんな動機でも、気持ちよく裏切ってくれる作品になるはずだ。『リトル・ヴォイス』は5月15日(月)より、東京で上演。その後、富山、北九州と巡演の予定。


取材・撮影・文=塚田史香 動画=登坂義之

イベント情報
『Little Voice リトル・ヴォイス』

■作:ジム・カートライト
■演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ) 第21回読売演劇大賞 優秀演出家賞受賞
■配役
リトル・ヴォイス:大原櫻子
マリー・ホフ:安蘭けい
ビリー:山本涼介
セイディ:池谷のぶえ
ミスター・ブー/電話会社職員:鳥山昌克
レイ・セイ:高橋和也
 
■スタッフ
翻訳:谷 賢一/音楽監督:扇谷研人/美術:原田 愛/照明:原田 保/音響:山本浩一/
衣裳:藤田 友/ヘアメイク:宮内宏明/振付:川崎悦子/歌唱指導:花れん/ 演出助手:和田沙緒理/舞台監督:齋藤英明、八木 智
 
<東京公演>
■日程:5月15日(月)~5月28日(日)
■会場:天王洲 銀河劇場
■主催:ホリプロ/フジパシフィックミュージック 企画制作:ホリプロ
■問合せ:ホリプロセンター 03-3490-4949 (平日10:00~18:00/土10:00~13:00/日祝 休)
 
<富山公演>
■日程:6月3日(土) 18:30 、6月4日(日) 13:00
■会場:富山県民会館 大ホール
■主催:イッセイプランニング/富山テレビ放送
■問合せ:イッセイプランニング 076-444-6666 (平日 10:00-18:00)
 
<北九州公演>
■日程:6月24日(土) 12:00 /17:00
■会場:北九州ソレイユホール
■主催:RKB 毎日放送/キョードー西日本
■問合せ:キョードー西日本 092-714-0159
 
■公式ホームページ http://hpot.jp/stage/lv


 

 

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