『Little Voice リトル・ヴォイス』開幕間近、大原櫻子を直撃インタビュー!
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大原櫻子(撮影:中原義史)
1992年の英国北部の町を舞台に、天才的な歌声を持つ少女、リトル・ヴォイスとその周囲の人々の姿を描いた『リトル・ヴォイス』。ロンドンで初演されたあと、1998年には映画化もされているこの名作を、今回の日本版では劇団チョコレートケーキの日澤雄介が演出することでも注目を集めている。主人公のリトル・ヴォイス役に挑むのは歌手で女優の大原櫻子。その舞台初主演作『リトル・ヴォイス』の初日開幕まであと数日、というタイミングで稽古場で独占インタビューを決行! 稽古の手応え、作品への想いを語ってもらった。
――『リトル・ヴォイス』、間もなく開幕ですね。お稽古場の様子はいかがですか。
作品自体は最後までできあがっていて、ここからはよりよくするためにどうすればいいかを考える段階まできていますね。
今回も歌は歌うんですが一応初めてのストレートプレイなので、個人的にはちょっと初舞台のような気持ちにもなっているんです。これまでの舞台はふたつとも全然違うテイストで、地球ゴージャスの『The Love Bugs』(2016年)はエンターテインメントショー的なところが強かったですし、『わたしは真悟』(2016年)はアートっぽい世界観でしたし。そういう意味では、今まで自分が観てきた演劇と同じスタイルの作品に今回初めて触れている感覚なんです。
――大原さんが今回演じるリトル・ヴォイスという女の子は、ちょっと特殊なキャラクターと言えそうですが。
最初、小さい声の女の子の役だと聞いた時には、舞台でどうやればいいんだろうと思ったんです。でも、実際に小さい声なのかもしれないんですが、それより内面的なこと、なぜそういう風になってしまったのかという心情の部分が大事なのであって、そこをうまくお芝居で表現できたらいいなと思っています。
――演出の日澤雄介さんからは、どう演じてほしいと注文されていますか。
本当に普通のことなんですけれど、階段を下りる時の仕草であったり、コップを持つ動作だったりに、もっと日常感を出してほしいと言われています。そこでリアルに感じていることが表現として出せたらいいね、と。つまり演技をするというよりも、その場に生きている人間になることが今回の課題なのかなと思っています。
――リトル・ヴォイスとして、その舞台上の空気の中で生きていく、ということ。
そうですね。今までは人に見せるということを意識してやってきたんですが、それよりも今回はただ単に生きるんだという感じがすごくしています。稽古前に、これから通し稽古だ!って気合を入れるのではなく、ただ普通にしていようと思うようにしたら、すごく気が楽になって楽しくお芝居ができるようになってきました。
――劇中でリトル・ヴォイスとして歌われる時には、どういうことを意識して歌っているんですか。
今回の場合は、人の真似をして歌っているというか、その人になりきって歌うシーンがほとんどなので。だからリトル・ヴォイスが歌っているというよりも、シャーリー・バッシーの曲だったらシャーリー・バッシーになったつもりで歌っている感覚ですね。
――モノマネで歌うということも、これまではあまりされていないわけですよね。
あまりないですね。ただ、根本的に小さい時から人を真似して歌ってはいました。とはいえ、聴いている人から「似ているね」と言われるような歌い方は今回が初めてです。
――苦労はありましたか。
そうですね、難しかったです。このためのボイストレーニングは去年の12月からやっていたので、かなり長期にわたって練習はしました。
――今回のカンパニーについては、どんな印象ですか。
私、ストレートプレイの役者さんたちとご一緒するのは初めてなので、たたずまいから何から、ものすごく勉強になっています。みなさん、セリフひとつひとつを深く考えている方が多くて、とても落ち着いた雰囲気のカンパニーだと思います。
――本番に向けて今、一番楽しみなことはなんですか。
もう、すべてが楽しみなんですけどね。生バンドの演奏というのもそうですし、あと山本(涼介)さん演じるビリーくんは照明、ライトが好きな男の子という設定なので、舞台の照明も見どころのひとつになるんじゃないかと思っています。稽古の段階では本番がどういう照明になるか、まだ見たことがないので、劇場入りするのが今からとても楽しみ。それと私、実はこんなに笑える場面がたくさんある作品だとは思っていなくて。これが、意外に笑えるんですよ。
――いろいろな感情が生まれそうな作品ですよね。
ただ、そのおかげで毎日稽古が終わる頃にはヘトヘトになっちゃいますけど(笑)。
――最後にお客様に向けて、大原さんからお誘いメッセージをいただけますか。
登場するひとりひとりが弱い人間なので、その人たちが集まることで、すごく人間臭いドラマになっていると思います。ポスターやチラシの写真は華やかな雰囲気ですが、内容としてはとても重みのある、深く心に突き刺さるメッセージが込められている作品でもあります。生バンドで歌うシーンではライブに来た感覚で一緒に楽しんでいただけるとも思いますので、ぜひ劇場へ、気軽に足を運んでいただきたいですね。
取材・文=田中里津子 写真撮影=中原義史
■作:ジム・カートライト
■演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
■配役:
リトル・ヴォイス:大原櫻子
マリー・ホフ:安蘭けい
ビリー:山本涼介
セイディ:池谷のぶえ
ミスター・ブー/電話会社職員:鳥山昌克
レイ・セイ:高橋和也
翻訳:谷 賢一/音楽監督:扇谷研人/美術:原田 愛/照明:原田 保/音響:山本浩一/
衣裳:藤田 友/ヘアメイク:宮内宏明/振付:川崎悦子/歌唱指導:花れん/ 演出助手:和田沙緒理/舞台監督:齋藤英明、八木 智
■日程:5月15日(月)~5月28日(日)
■会場:天王洲 銀河劇場
■主催:ホリプロ/フジパシフィックミュージック 企画制作:ホリプロ
■問合せ:ホリプロ
■日程:6月3日(土) 18:30 、6月4日(日) 13:00
■会場:富山県民会館 大ホール
■主催:イッセイプランニング/富山テレビ放送
■問合せ:イッセイプランニング 076-444-6666 (平日 10:00-18:00)
■日程:6月24日(土) 12:00 /17:00
■会場:北九州ソレイユホール
■主催:RKB 毎日放送/キョードー西日本
■問合せ:キョードー西日本 092-714-0159