高橋和也にインタビュー!「大原櫻子となら一緒に『リトル・ヴォイス』という船に乗れる」

インタビュー
舞台
2017.2.16
高橋和也

高橋和也

ジュディ・ガーランド、マリリン・モンロー、シャーリー・バッシー……珠玉の名曲の数々が無口な少女の運命を変えた―。 天才的な歌声をもつ少女を描いた舞台『Little Voice(リトル・ヴォイス)が5月15日から天王洲 銀河劇場にて上演される。本作は、1992年にロンドンナショナルシアターにて、サム・メンデス(映画『アメリカン・ビューティー』)演出により初演され、LV(リトル・ヴォイス)役のジェイン・ホロックスの抜群の歌唱力で話題となった。 1998年には映画化もされている(日本公開は99年)。

本作は、自分の殻に閉じこもり部屋から出られない少女LVが、歌の力で自分の人生を切り拓いていく過程を魅力的に描いている。LV(演:大原櫻子)を発掘する芸能プロモーターであり、LVの母マリー(安蘭けい)の恋人でもある、レイ・セイを演じる高橋和也に話を伺ってきた。


――本作の映画版を98年にご覧になっているんですね。

そうなんです。ちょうど僕がNYにいるときに観ました。アメリカ人にとってジュディ・ガーランドって絶大なるディーバ(歌姫)なので、そんな彼女をはじめとする様々な歌姫の声をそっくりにまねて歌う女の子がいると、ものすごく話題になっていたので僕も観てみたいと思って。

――98年というとほぼ20年前。当時、日本で舞台化の話が出ていたら、レイ・セイ役でなくビリー(LVに想いを寄せる青年)役が来たかもしれませんね(笑)。

かもしれない!(笑) 映画版だとビリーを演じたのはユアン・マクレガー(映画『トレインスポッティング』)なんだよね。ユアンさんも当時すごく人気があったから、彼の出演映画としても話題になっていましたね。

――月日流れて、今回レイ・セイ役を演じることになったのですが、このお話がきたときの最初の印象ってどうでしたか?

いかがわしくていい加減な芸能プロモーター役、嬉しかったですね! ギャンブラーみたいなもんですよね、こういう仕事って。

高橋和也

高橋和也

――「才能の卵」を発掘して、スターに育てるのが仕事…たとえ才能があっても時代の流れに乗れず終わるかもしれない…本当にギャンブルですよね。そんな芸能プロモーターに才能を発掘されるのが大原さん演じるLVです。

今回まず思ったのが、「誰がこの役をやるんだろう?」ということ。「大原櫻子さんです。まだ21歳で…」と聞いて、ちょうど僕の娘と同じくらいの女性だ!って思って。うちの子は今年成人式なんですよ。で、映像で彼女のコンサートの模様を拝見してキラキラしている姿や歌唱力の確かさ、いろいろな楽器を弾いたり踊ったり、という多芸なところ、何よりたった一人で武道館のお客さんを前に表現できるステージ度胸の良さ。「この子となら一緒に『リトル・ヴォイス』という船に乗れる!」と確信して、即マネージャーに「彼女に可能性を感じます!」と伝えました。どこかレイ・セイに近い感覚でしたね(笑)

欧米で言えば、例えばシャーリー・バッシーやエディット・ピアフ、ジュディ・ガーランド、マリリン・モンロー…そんな往年のディーバたち、文化的なレジェンドでありレガシーである人たちについて、文化的に下地がない日本で上演するにあたり、どうやればいいのか悩みますね。音楽好きな人や上の年齢層の方ならわかるかもしれないけれど、一般的には、シャーリー・バッシーってどんな人だったのか、とか、ジュディ・ガーランドがアメリカにおいてどれだけ偉大な大スターだったのか、とか…僕らにはよくわからない事だと思うんです。これはもう主人公のLVを演じる人にかかっているんだろうなって。それが率直な感想でした。若い人でそれだけ往年のディーバたちを歌いこなせる人が思い浮かばない中、大原さんに出会って、「ひょっとしたらこの人ならイケるかも」って感じました。

――舞台出演は三作目で早くも主演となる大原さん。今いちばん輝きを放っていると思います!

新しい才能を持った若い人たちと仕事をする機会が増えてきて、僕らの時代にはなかった感性とかに、僕自身も非常に刺激を受けています。自分はこの世界で30年以上やってきたんですが、自分なりの芸風みたいなものを、レイ・セイという役の中にいかににじませるか、を今回、自分の中のテーマにしています。

高橋和也

高橋和也

――レイ・セイはうさんくさいだけではなく、物語を動かすきっかけの人でもあると思うのですが、そもそも芸能プロモーターという職業の人たちにどんなイメージを持っていますか?

15歳の頃からずーっとこの世界でそういう職業の人を山ほど見てきたんですが、先ほども言ったとおり、ハッキリ言ってギャンブラーなんですよ、正直なところ。でもこれ、仕方がないんですよ。だって芸能界自体がギャンブル性の高い世界なので。だからその世界で生きていくためには、ある意味で調子の良さがあり、ずる賢さがあり。でもこの仕事が好きで好きでたまらない!このショービジネスという世界や、そこでパフォーマンスをする人が好きでたまらない!そんな強い気持ちも持ってないとやっていけない職業だと思うんですよ。

――加えて、「人の才能を見つける」という特殊な技能を持っている職種の人だとも思うんです。ある意味、親が子どもの才能を見つけてあげることにも近いのかな、と? 最終的には自分の力で歩んでいくのでしょうが、その目標に向かってナビゲートしていくという点では近いものなのでしょうか?

僕は、子育てについては「こうしたほうがいいよ」と言うこともありましたが、それが時には親のエゴでしかなくて、親が子どもに押しつけていただけ、ということもまた実感としてあるんです。だから、あくまでも子どもたちの自発的な気づきや挑戦が大切で。結局、その子にとって最良の道ってその子が自分で選んだ道じゃないかな、と最近思うんです。

芸能の世界でもそうだと思うんですが、激しい競争の世界であり、無謀な事をするには余りにリスクが多い世界。そこで何があってもやり遂げるというタフさと、それが本当に好きなことなんだ!という強い想いが必要で。奥に入れば入るほど才能のある人はたくさんいるし、負けてしまうことも多々ある。その中で、芸能プロモーターというのは、励ますことも必要だし、サポートすることも必要。やさしさも必要。とはいえ、結局は卵たちの才能を発掘して、世の中に「どうだ!」と提示してあげるビジネスなんです。それは自分の子どもにはできないですね。自分の子どもをビジネスの種にするなんて、よっぽど腹をくくらないとできることではない。

そう思うと、ある意味芸能プロモーターって、親くらいの腹のくくり方が必要なんでしょうね。親と子の関係とはちょっと違う気もしますが、他人の子にそれだけ愛情を注げるかどうか、って点では近いかもしれませんね。

高橋和也

高橋和也

 

――LVは父親が遺したレコードを一日中聴き続け、その影響で特殊な才能を身につけましたが、高橋さんご自身が影響を受けた音楽やアーティストは? 

 

僕は、父がカントリー・ミュージックの愛好家だったので、たくさんLPのコレクションを持っていたんです。若い頃はもっとローリング・ストーンズやセックス・ピストルズ、ボブ・ディランといったロックミュージックのレコードを聴いてきたけれど、40歳を過ぎてからカントリー・ミュージックの良さに目覚めて、今は父のコレクションを1枚1枚聴き入ってます。それで新たな世界観が開けましたね。

高橋和也

高橋和也

あんなに内気で一日中お父さんが遺してくれたレコードを聴いていたLVがいつしかレコードの歌手そっくりに歌えるようになってしまう…あながち「ない」ことじゃないと思います。特に若い頃ってものすごい集中力を発揮して、特殊な才能を発揮させることがあると思うので。

ハンク・ウィリアムズという歌手が大好きなんですが、彼の曲を聴いて聴いて…いつか歌いこなせるようになりたいです。

――今回の舞台の中で高橋さんの歌声を披露できる場はありそうですか?

夢破れて、LVにもそっぽを向かれ、ちょっとやけくそになっている、中年プロモーターの叫びみたいなシーンがありそうです(笑)

――最後に、LVは歌の力で人生を切り拓くことになりますが、高橋さんにとって人生を切り拓く「力の源」とは何ですか? 

自分の人生を切り拓くって「葛藤」の末にしかないように思うんです。安易に手に入ったものってどれもこれも自分の人生を本当に切り拓くことにはならなくて、巨大な壁にぶち当たって自分自身にある種、絶望したところからしか、突破口は見いだせないように思うんです。
そういう風にもがいたり苦しんだりしているときって、つらいじゃないですか? でももがいた末に、「あ…行けた!」って光明が見える瞬間があるんです。だから僕の場合は、一度どん底まで落ち込まないといけないんだなと思いますね。

高橋和也

高橋和也

「でもこの芝居ってサクセスすることがテーマじゃないんですよね…」と語る高橋。その言葉の意味とは? 原作のタイトルにも「The rise and fall of…」と気になる言葉が!…どのような結末を迎えるのか、ぜひ劇場でじっくりご覧いただきたい。

取材・文:こむらさき

公演情報
『Little Voice(リトル・ヴォイス)』

■作:ジム・カートライト
■演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ) 第21回読売演劇大賞 優秀演出家賞受賞
■配役:
リトル・ヴォイス:大原櫻子
マリー・ホフ:安蘭けい
ビリー:山本涼介
セイディ:池谷のぶえ
ミスター・ブー/ビリーの上司:鳥山昌克
レイ・セイ:高橋和也

 
■スタッフ:
翻訳:谷 賢一/音楽監督:扇谷研人/美術:原田 愛/照明:原田 保/音響:山本浩一/
衣裳:藤田 友/ヘアメイク:宮内宏明/振付:川崎悦子/歌唱指導:花れん/ 演出助手:和田沙緒理/舞台監督:齋藤英明、八木 智

 
<東京公演>
■日程:5月15日(月)~5月28日(日)
■会場:天王洲 銀河劇場
■主催:ホリプロ/フジパシフィックミュージック 企画制作:ホリプロ

■問合せ:ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (平日10:00~18:00/土10:00~13:00/日祝 休)
 
<富山公演>
■日程:6月3日(土) 18:30 、6月4日(日) 13:00
■会場:富山県民会館 大ホール
■主催:イッセイプランニング/富山テレビ放送
■問合せ:イッセイプランニング 076-444-6666 (平日 10:00-18:00)

 
<北九州公演>
■日程:6月24日(土) 12:00 /17:00
■会場:北九州ソレイユホール
■主催:RKB 毎日放送/キョードー西日本
■問合せ:キョードー西日本 092-714-0159

 
■公式ホームページ http://hpot.jp/stage/lv
 
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