百戦錬磨の國村隼が「今までの体験でもなかった」と語る恐怖の撮影とは? 映画『KOKORO』京都国際映画祭2017舞台あいさつ
國村隼、ヴァンニャ・ダルカンタラ監督
10月13日、京都・TOHOシネマズ二条にて、『京都国際映画祭2017』の特別招待作品『KOKORO』が上映終了後の舞台挨拶に、キャストの國村隼と、メガホンをとったヴァンニャ・ダルカンタラ監督が登壇した。
國村隼、ヴァンニャ・ダルカンタラ監督
『KOKORO』は、ベルギー・フランス・カナダの3カ国による合作映画。最愛の弟を亡くし、失意の中、日本を訪れたフランス人女性アリス(イザベル・カレ)が行き着いたのは、投身自殺の名所と知られる崖のある海辺の村。そこで出会った元警察官のダイスケ(國村)は、悩める人々の心に寄り添い、自殺を思いとどまらせていた。同じように傷ついた人たち、そして島の人々との交流が、ゆっくりと彼女の心に変化をもたらしてゆく。
ヴァンニャ・ダルカンタラ監督
ヴァンニャ監督は、ずっと日本で映画を撮りたかったという。「日本全体に対して、すごく興味を持っていました。特に、映画や文学に」という言葉の通り、劇中には、日本らしさを感じるシーンが散りばめられている。「日本の文化をとても尊敬しているので、脚本の過程の部分から気をつけて、いろいろな方に『大丈夫?』と聞きました。海外の方には日本のよさを観ていただけるように、日本の方には違和感がないように」と、過剰な演出にならないように留意したことを、穏やかな笑みを浮かべてヴァンニャ監督は語った。
國村隼
その様子をニコニコと見ていた國村は、「監督にお会いする前に、脚本を先に読んでいて、すごく優しい映画ができるだろうなと思っていたんです。初めて会ったとき、ひと目で『この人はこの映画そのものだな』と。目の中にある穏やかな光り方と、人の目の奥をちゃんと見る誠実さ、真摯な感じがすごく印象的で、この人だから撮れるんだろうな、という印象でした」とヴァンニャ監督の人柄を絶賛。そんな國村のキャスティングについて聞けば、「すごく素晴らしい俳優さんで文句なしですけれど、人間性、人に惹かれて今回キャスティングしました。監督としても、何でも演技で返してくれるので、大変やりやすかったです」と、同じくベタ褒めで返したヴァンニャ監督。さすがの國村も照れ笑いで「Thank you for your comment.」と、流暢な英語で小さく会釈していた。
國村隼、ヴァンニャ・ダルカンタラ監督
「大変だとか、困ったことはそうない現場でした」と語った國村だが、唯一ダメだったと明かしたのが崖のシーン。「実は高いところが苦手なんです」と告白すると、“コワモテ”のイメージから一変、場内の観客からは思わず笑い声が漏れた。「映像だと『そんなに(崖は)怖くないのでは』と思うかもしれないけど、斜めになっていて……!」と断崖絶壁度を熱弁した國村は、「あれは今までの体験でもなかったです。情けないことに、とても怖いところでした。いやあ、克服までいかなかった……」と、百戦錬磨の俳優でも乗り越えられない“壁”があったことをと明かしていた。
國村隼、ヴァンニャ・ダルカンタラ監督
『KOKORO』は11月4日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。第4回目を迎える『京都国際映画祭2017』は10月15日(日)まで、よしもと祇園花月ほか京都市内各地で開催中。
原作:オリヴィエ・アダム「Le cœur régulier」