音楽劇『三文オペラ』主演 松岡充、吉本実憂、峯岸みなみインタビュー「今まで超えられなかった高みを目指す」

インタビュー
舞台
2017.11.10
三文オペラ

三文オペラ

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乞食、ギャング、恋、音楽……と、スキャンダラスで鮮烈なモチーフが激しく交わるベルトルト・ブレヒトの音楽劇『三文オペラ』が、KAAT神奈川芸術劇場にて2018年1月23日(火)から上演される。

本作の演出を手がけるのは、劇作家・演出家・翻訳家としてめざましい活躍をみせる谷賢一。出演にはSOPHIA、MICHAELのボーカルであり、俳優としても存在感を放つ松岡充ほか、舞台初挑戦となる吉本実憂、峯岸みなみ(AKB48)、当館芸術監督の白井晃など華やかなメンバーが揃い、音楽監督をドレスコーズの志磨遼平が務めることでも注目を集めている。今回はそんな『三文オペラ』で稀代の色男・マクヒィスを演じる松岡とマクヒィスを巡る女性、ポリー役の吉本とルーシー役の峯岸から本作にかける意気込みを聞いた。

<あらすじ>
マクヒィス(松岡)は、乞食商会社長ピーチャム(白井)のひとり娘ポリー(吉本)をみそめ、その日のうちに結婚式を挙げる。それを知ったピーチャムとピーチャム夫人(村岡希美)はなんとか二人を別れさせようと、マクヒィスと長年の親友同志である警視総監タイガー・ブラウン(高橋和也)を脅し、マクヒィスを逮捕させようとする。両親の企みをポリーから聞いたマクヒィスは、逃げると称して娼館に立ち寄るが、そこで昔なじみのジェニー(貴城けい)に裏切られ、逮捕されてしまう。牢獄に入れられたマクヒィスをたずねたポリーと、マクヒィスといい仲になっているブラウンの娘ルーシー(峯岸)が鉢合わせすると、二人の嫉妬の口論を利用し、マクヒィスはまんまと脱獄するが……。

 

こんな面白そうな企画はない(松岡)

――盗賊団のボスで色男のマクヒィス役を松岡さんが演じられると聞いて、率直にぴったりだと思いました。

松岡:そう言っていただけると嬉しいです(笑)。

――今回の出演が決まるまでの流れを教えてください。

松岡:以前、とある稽古場で偶然演出家の谷さんとお会いする機会がありまして。その時が初対面だったのに、「いつか一緒に作品を作れたら」と熱いパッションをもっておっしゃってくださって、本当に嬉しかったですね。谷さんがSOPHIAの音楽を聴いてくれていたというのも嬉しかったですし。その後、舞台やミュージカルをやらせてもらうことが続き、そんな中で谷さんの名前も聞くようになり、今回、KAAT神奈川芸術劇場で谷さん演出の作品ということでオファーをいただいたので「もちろん」とお受けしたんです。だから、今回僕が出演を決めたのは『三文オペラ』という傑作戯曲だからという前に「谷賢一」という演出家の存在があったからなんです。

さらに詳しく聞くと『三文オペラ』の設定を近未来の日本に変えて、共演者には白井さん、舞台初挑戦の吉本さん、峯岸さんがいます……と。より気持ちが盛り上がりました。これからの日本の演劇界に革命を起こそうとしている谷さんが、ブレヒトの『三文オペラ』をアレンジするだけでなく、初々しい顔ぶれから名俳優まで揃えていて……もうめちゃめちゃじゃないですか!?(笑) こんなおもしろそうな企画はないなと思いました。

松岡充

松岡充

――たしかに。舞台初挑戦となる吉本さんはポリー、峯岸さんはルーシーと、マクヒィスを巡る二人の女性を演じられるわけですが、どのような経緯で出演が決まったのでしょうか?

吉本:私はオーディションでキャスティングしていただきました。もともと舞台に挑戦したいと思っていたので、今回その機会をいただけてとても嬉しいです。

――オーディションでは、どのようなやり取りがあったのでしょうか?

吉本:その場でいただいた台本を谷さんと一緒に読み合わせしました。ポリーとルーシーがマクヒィスを巡って喧嘩をするシーンですね。谷さんがルーシー役を担当してくださり、その場で演技指導もしていただいたのですが、とても熱いご指導をしてくださり、この人についていけたらといいなと思ったんです。だから、出演が決まった時は、初舞台の不安より喜びの方が大きかったです。

吉本実憂

吉本実憂


 

舞台初挑戦だからこその、不安と感動

――今作が舞台初挑戦ということですが、演劇に対してどのような印象をお持ちですか?

吉本:観劇体験は何度もあるのですが、作る側となると未知の世界すぎて……。例えば、毎日、繰り返し上演するなかで、どのようにやったら同じお芝居を続けられるのか、とか。

松岡:毎回違っていいんだと思います。映画やドラマの撮影で、個人的に納得のいかない場合でも「OK」が出て進行していくこと、そんな悔しい思いをしたこと、ないかな? 演劇だと、その思いを次のステージで挑戦できるんですよ。そうやって、次へ、次へ、という挑戦が台詞を新しい言葉にしてくれる。1ステージごとに役が成熟していくから、きっと舞台を好きになると思いますよ。

吉本:なるほど!

――峯岸さんも今回舞台初挑戦ということですが、やはり不安も大きいですか?

峯岸:私はAKB48という仲間うちでしか、お芝居をしたことがなく、映画やドラマの経験もあまりないので、演技をするということ自体がドキドキです。ここ1、2年は趣味が観劇といえるくらいたくさんの演劇を観てきたのですが、今回、出演が決まってから白井さん演出の『オーランドー』を観たら、私もこうやって舞台に立つのかと思ってさらに緊張しちゃって。これまでとは、明らかに舞台の見方は変わってしまいましたね。

峯岸みなみ

峯岸みなみ

――峯岸さんもオーディションで決まったのでしょうか?

峯岸:そうです。私もポリーとルーシーの喧嘩のシーンを谷さんと読み合わせしたのですが、谷さんから煽られて、煽られて……(笑)。オーディションの最後に感想を聞かれて、どうしても出演したかったので、まだまだ伸びしろがあるように思われようと「AKB48という女性グループに10何年といるので女性の妬み嫉みを本当はもっと知っていますが、今日は全部出せませんでした!」と言ってしまったんです(笑)。それを有言実行できるように本番に向けてボルテージを高めていきたいと思っています。

松岡:お二人は今回、人生で初めての舞台出演になるわけじゃないですか? それをご一緒させていただけるなんて凄いことだなって今、しみじみと思ってお話を聞いてました。だって、初めての作品って初めて付き合った人みたいに忘れられないものじゃないですか(笑)。これからお二人はたくさんの舞台に出演されると思いますが、この“初挑戦作品”は、見どころだらけだと思いますね。
 

戯曲の根底に流れるロック精神と音楽の親和性

――『三文オペラ』はクルト・ヴァイルによる音楽も有名な舞台ですが、今作ではドレスコーズの志磨遼平さんが音楽監督をされ、ボーカリストである松岡さんがいらっしゃって、と音楽面でも見どころが多い舞台ですよね。

松岡:僕としては、今回、志磨さんが音楽監督をしていただけるので、とても気持ちが楽だし、楽しみです。やっぱり演劇界でいうところのロックサウンドと我々がやってるロックサウンドって多少なりとも違うだろうし、その違いは少なからずストレスになるんです。

舞台に出演させていただけるようになって、やはりその違いにぶつかり、一から発声を変えようと、自分のボーカルスタイルを壊してクラシックから勉強し直して、身体も作り直して、舞台での歌が歌えるようにはしたんです。でも、心のどこかで、もともと持っているスタイルを発揮したいというわだかまりみたいなものがあって。だから、ロック畑の志磨さんが演劇界で余すところなく手腕を振るうのならとても波長があうだろうと思っています。

――もともと『三文オペラ』の根底にもロックな精神が流れているので相性が良さそうですね。

松岡:それがあって、このタイトルを選ばれたんじゃないかなって思いますね。谷さんもロック好きですから(笑)。

松岡充

松岡充

――吉本さんと峯岸さんは、人前で歌うことについていかがですか?

吉本:歌うのは好きですね。今年の9月までX21でグループ活動をしていて、人前で歌うこともあったのですが、舞台では自分じゃない、役の気持ちで歌うのでこれまでのやり方と違うことが多いだろうと思うのですが……。今の松岡さんの話を聞いて、大変だけどきっとやり甲斐があるだろうと感じました。少し不安な気持ちがほどけてきました。

吉本実憂

吉本実憂

峯岸:私も歌は自分の近くにある存在だと感じていましたが、もちろんグループで歌うわけではなく、お芝居の要素も入るわけですから、自分の至らない部分がモロに出てしまわないかと心配で……しっかり学んでいこうと思います。ただ、今回はロックサウンドになるのではないかと予想しているので、普通のミュージカルと違って、“気持ち”も評価していただけるとはないかと思っています。なので、まずは歌にちゃんと気持ちを乗っけていけたらと思っています。

峯岸みなみ

峯岸みなみ

これまで以上の高みを目指して

――松岡さんが演じられるマクヒィスは「色男」で「盗賊団のボス」という、人物そのものがロックなキャラクター。おのずと歌に気持ちを乗せやすいんじゃないですか?

松岡:踏まれても踏まれても立ち上がるマクヒィスの精神は、ロックに例えられますよね。ただ、本当の僕は逆です。真逆です! 普段はポケモンGOしかしてない男ですから(笑)。

一同:(笑)

松岡:でも、そもそも人種差別や階級社会が目に見えてあるわけではない日本でロックを提唱するのは難しいと思うんですよ。だけど、今後、社会的なほころびが日本でもますます顕著になるだろうと思うので、本作を近未来という設定にすることで、ロックがより作品と強い繋がりを持てるように感じますね。

――最後に本作への意気込みを聞かせてください。

松岡:僕は、演技をする上で自分がどんなプランを持っていようと演出家に言われたことはまずは聞きます。だけど、今までの経験で演出家の指示を追っかけているうちに稽古の大半が終わって、自分の考えていることは、そのまま仕舞ってしまうことが多かったんです。ただ、今回は稽古期間も長く取っていただいているので、谷さんに自分の考えていることも示して、喧嘩じゃないですけど、ちゃんとディスカッションを重ね、今まで超えられなかったより高いところを目指していければと思っています。

吉本:今はただ緊張しています。稽古期間になればさらに毎日緊張すると思うんですけど、作品を作るという意味ではこれまでしてきたことと変わらないので、変に肩肘張らずなるべく自然体で臨み、台詞一つにしても様々な視点から吟味して、充実した稽古期間にしたいと思います。

峯岸:毎日のお仕事の中で、これだけの準備期間を用意して作品を作ることがなかったので、稽古という贅沢な時間を楽しみながら、今までの喜怒哀楽は全てこの公演のためにあったんだと思えるくらい感情爆発で臨みます!

松岡:楽しみだなあ。稽古場は楽しいですよ~。公演がワンステージ終わる毎に、稽古場は楽しかったなあって思い出して寂しくなるくらい。二人の話を聞いていたら、僕も初めて舞台に出た時の気持ちが蘇ってきました(笑)。

吉本・峯岸:お稽古のスタートが楽しみです!

三文オペラ

三文オペラ


 

インタビュー・文=大宮ガスト 撮影=中田智章

公演情報
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「三文オペラ」

◆作:ベルトルト・ブレヒト
◆音楽:クルト・ヴァイル
◆演出・上演台本:谷 賢一
◆音楽監督:志磨 遼平(ドレスコーズ)
◆出演:松岡充 吉本実憂 峯岸みなみ 貴城けい 村岡希美  高橋和也 白井晃 他

【KAAT公演】
◆公演日程:2018年1月23日(火)~2月4日(日)
◆会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
◆前売開始:2017年11月11日(土)  
 ※KAme(かながわメンバーズ)先行11月4日(土)
◆お問合せ
チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)
 http://www.kaat.jp  
◆企画製作:KAAT神奈川芸術劇場

【札幌公演】
◆公演日程:2018年2月10日(土)
◆会場:札幌市教育文化会館 大ホール
◆主催:札幌市教育文化会館(札幌市芸術文化財団)、 札幌市、 エフエム北海道(予定)
◆共催:北海道新聞社(予定)
◆後援:札幌市教育委員会、 一般財団法人北海道公立学校教職員互助会
◆特別協力:札幌テレビ放送(予定)
◆お問い合わせ:札幌市教育文化会館 事業課 011-271-5822


 

 

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