自由度の増したグルーヴを獲得したNabowa、ジャンルや世代を超えた繋がりを示した濃密なライブ

レポート
音楽
2017.11.10
Nabowa

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Nabowa 5th Album『DRAWINGS』Release Live 2017.10.28(Sat)梅田Shangri-la 
[Guest] OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND

8月には3年2カ月ぶりとなるアルバム『DRAWINGS』を発表し、より進化した境地を示した京都発の4人組インスト・バンドのNabowa。全国15箇所をサーキットするツアーの中盤として10月28日(土)に大阪・梅田Shangri-laで行われた公演では、対バンに新作のラストを締めくくる名曲「夢の欠片」でボーカルを務めたTOSHI-LOWが在籍するOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(以下OAU)を迎え、その名コラボ曲のライブでの再現にも期待が高まる組み合わせが実現。巧みな演奏力の高さとワールド・ミュージック的な要素なども消化した自由度の高いグルーヴに定評のある両者が繰り広げたステージは、お互いをリスペクトし合う関係性やサウンド面での共通項を浮き彫りにしながら、ジャンルや世代を超えた繋がりを示した濃密なものとなった。

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND

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先攻のOAUは、鉄琴などを交えたイントロに叙情的なヴァイオリンが絡み、やがて躍動感のあるジプシー・スウィング的なアンサンブルへと展開していくインスト「Clumsy Queen“Isabella”」でライブをスタート。続いて、TOSHI-LOWらしい歌声と言葉が映える代表曲「夢の跡」をメロウに響かせると、ヴァイオリン奏者のMARTINが「ありがとうございます、呼んでくれて。でも、ここでベラベラ喋るのもなんだから、とりあえず新曲をと挨拶代わりのMCを挟んだ後にアイリッシュ色の強い新曲を披露した。

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND

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中盤でも「まだ早いですが、OAUはコレが今年最後のライブです」とMCを挟んで来年1月にビルボードライブ大阪でのワンマン公演が行われることを告知した後に、再び新曲を披露。メロウな序盤からアップテンポに転じ、ティンバレスとドラムによる打楽器セクションのソロも挟んでグルーヴを高める曲展開で新境地を示すと、「N.A.C」「Bamboo leaf boat」と続けて高まったテンションをキープ。ここでヴァイオリンの弦が切れるというアクシデントもあったが、ボーカルに専念してハンドクラップも伴いながらのアップテンポな「Making Time」、MARTINのギターを手にしてのフォーキーな「Thank You」で場内の一体感を高め、ラストは再びTOSHI-LOWがリードを取る「朝焼けの歌」へ。終盤のMCではTOSHI-LOWの口から全国各地の会場でNabowaに出会う時にはいつもボロボロのキャラバンにメンバー全員で乗り込んでやってきて、熱心にリハーサルを重ねたのが伝わるライブを披露した後に颯爽と同じキャラバンで帰っていくというエピソードが語られ、Nabowaの音楽に対するストイックな姿勢を真摯に讃えたのも印象深かった。

Nabowa

Nabowa

そんな先輩格のOAUから音と言葉のエールを受けてのNabowaは、最新作のオープニング部分を再現するようにイントロ的な「Slipper de」を経て、ファンキーなギターのカッティングとメロディアスなヴァイオリンの旋律が映える「Ping Pong」へ。

ロック、ファンク、フュージョン、クラシックなどの要素が軽快にクロスするサウンドで彼ららしい音世界を示すと、先のMCに応えるようにドラムの川上が「今日もボロボロのキャラバンでやってきました、Nabowaです」とMCを挟み、アラブ音楽っぽいエキゾチックなヴァイオリンの旋律が印象的だった最新作の「Ooh La La」をプレイ。続いてドラムマシンのリズムを鳴らしながら川上がピアニカを演奏し、レゲエ~ラヴァーズ・ロック風の心地よいグルーヴを聴かせる「ハーバーとハーバーと」、ギターの景山によるアグレッシヴなギターが際立った「Seven Seasons」、変拍子的なリズムを伴った「sunpeko」と新旧の曲を交互に織り交ぜながら、変幻自在なサウンド・アプローチで前半を一気に駆け抜けた。

OAUにも通じるようなジプシー音楽っぽいテイストの「Casablanca」で幕を開けた後半は、最新作の中でもよりディープなグルーヴを示した楽曲を中心としたセットで、よりスリリングな音世界を展開。ファンキーなベースラインからアフロ・ビート的なリズムを伴い、エフェクトを駆使したベース・ソロなども挟みながらの長尺で高みへと登り詰める「Af-roman」でアルバムよりもさらにドープさを増した境地を示すと、続く「aurelia」でも強靭な4ビートにニュー・ジャズっぽいギターやヴァイオリンとのユニゾンなども奔放に絡めながら、近年にライブを重ねてますますプレイヤーとしての力量を上げた4人の個性がより高次元な形で炸裂したサウンドで圧倒した。

Nabowa

Nabowa

ここで「次の曲も7拍子なので、踊れる人だけ踊ってください」と前置きして、怒涛の後半3曲よりもややメロウな「Swan」でグルーヴをキープしつつも場内を少しクールダウンさせると、ステージの真ん中にはボーカル・マイクが用意され、メンバーの呼び込みでTOSHI-LOWが登場。最新アルバム『DRAWINGS』の中でも映画のエンドロール曲のように特別な存在感を放っていた「夢の欠片」が、今回のツアーのなかでもココだけで、ライブにおけるレアな再演が実現した。久々となるアルバムを完成させて、より自由度の増したグルーヴを獲得したように感じられるNabowaのライブは、この後も続くツアーの場で回を重ねるごとにさらなる進化を遂げていきそうだ。

レポート・文=吉本秀純 撮影=大久保啓二

イベント情報
Nabowa 5th Album『DRAWINGS』Release Live
11月12日(日)
Nagoya CLUB QUATTRO (名古屋)
w/カルメラ

11月18日(土) 
Tokyo WWW X ワンマン(東京)
Guest Musician/Naz Yamada | IZPON | Takeshi Kurihara | Akane Matsubara

11月19日(日) 
Sendai LIVE HOUSE enn 3rd ワンマン(仙台)

11月23日(木)
Shizuoka BLUE NOTE 1988 (静岡)
w/Kan Sano

11月25日(土)
Yonago Moon & Spoon(米子)

11月26日(日)
Kyoto MUSE (京都)
w/indigo la End

 

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