安田昂弘の新作個展『EMERGE』 「気配」をグラフィックで体現する試み

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アート
2017.12.9

安田昂弘の個展『EMERGE』が12月9日から東京・中目黒のVOILLDで開催される。

クリエイティブチーム・CEKAIに所属し、グラフィックデザイン、映像制作、アートディレクションなど多彩な分野で活動する安田昂弘。TOKYO HEALTH CLUBのPVの監督や、ソウルの国際タイポグラフィビエンナーレ『Typojanchi』での展示など、国内外で作品を発表している。

同展ではグラフィックをベースとした平面作品約10点を展示。安田が作品を制作する上で根本的な題材になっている「見る」ということを軸にしながら、「気配」という曖昧な存在をグラフィックで体現することを追究し、新たな素材や印刷技法を用いて作品を制作したという。

会期前日の12月8日には作家が在廊するオープニングレセプションを開催。また同日に東京・中目黒のSolfaでレセプションのアフターパーティーが行なわれる。アフターパーティーにはMACKA-CHIN、DJ UPPERCUT、TOKYO HEALTH CLUBらが出演する。詳細はギャラリーのオフィシャルサイトでチェックしよう。

安田昂弘のコメント

いつからか僕たちは、デジタルによる形のない情報に対して、何も抵抗することなく受け入れるようになりました。
現在、均一な面から発光される情報はまるで神の目線のように、さも平等な視点のふりをして、善も悪も真実も嘘も、フラットなものとして私たちに近づいてきます。
発信者や発言者の真の姿を捉えることはほぼ不可能でも、その得体の知れない信号にまるで神様かのように人は縋ります。今や未知の情報は希望であり、スピードは正義となりました。

視覚文化にも同じことが起きています。
ただただ瞬発性の高い視覚信号をまとったビジュアルが膨大なスクロールの中でピックアップされ、そこに表記されている言葉も、背景や意図も無視され、共有され、少し時間が経つと何処かで見たことがあるようなビジュアルがどこからともなく、また本物と偽物が入り混じったスクロールの波に流れてきます。
テクスチャーの意味すら、ここ数年で大きく変わってしまいました。
世界中が全てフラットで平均化された情報で埋め尽くされる日はきっと遠くはないでしょう。

徹底的に平均化されていくこの世界おいて、人の意思はもうなくなってしまうのでしょうか。

未来が全てフラットになり、身体から切り離されたとしても、どうかそこに人の気配と想いが宿ることを祈って。

CINRA.NET
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