『ボルダリングジャパンカップ』で藤井快が前人未到の3連覇! 野口啓代は復活の勝利を果たす

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2018.2.6
ボルダリングジャパンカップで優勝を果たした野口啓代(左)と藤井快(右)

ボルダリングジャパンカップで優勝を果たした野口啓代(左)と藤井快(右)

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来シーズンのボルダリング種目における日本代表を決める、国内唯一の選考会となる『スポーツクライミング第13回ボルダリングジャパンカップ』の準決勝と決勝が4日、駒沢オリンピック公園総合運動場・屋内球技場で行われた。男子は藤井快(25)が、前人未到の男子初の3連覇を達成。女子は野口啓代(28)が今年初戦を2大会ぶり11回目の(最多)優勝で飾った。野口は1年以上優勝から遠ざかっていたが、優勝を果たし目を潤ませた。

ワールドカップで勝つより狭き門。それほど今の日本のボルタリングの争いは激しい争いだ。前日に行われた予選では、男女とも準決勝の20人に残ったのはボルダリングのワールドランキング上位陣。特に男子はワールドランク100位以内にいる選手すべてが残った。やはり、世界での経験が大きく生きた形だ。

大会は男女別の課題がそれぞれ4つ用意され(M1~4、W1~4)、それをクリア(完登)するか、ボーナスポイントを取れたかで順位が決まる。各試技の持ち時間は準決勝が5分で決勝が4分だが、この時間を目いっぱい使ってしまうと疲労がボディブローのように蓄積してくる。早く攻略するのが勝利への近道となる。

準決勝に駒を進めたのは最初の課題(M1、W1)を上手く凌げた選手が多く、予選順位で5位以内に残った選手のスキルは他の選手とは頭一つは抜けていた。主催の日本山岳・スポーツクライミング協会は今回、かなりウォールの難易度を上げてきていたようだった。特に、第一課題で多くの選手が苦しむ中、それを軽く凌いだ上位選手のパフォーマンスの凄さが際立った試合となっている。

決勝に残ったのは男子では藤井快(2017年ワールドボルダリングランキング5位)以下、楢崎智亜(同2位)、原田海(同16位)、石松大晟(同15位)、杉本怜(同6位)、村井隆一(同51位)の6人。女子は弱冠15歳の森秋彩以下、野中生萌(同4位)、野口啓代(同3位)、谷井菜月、伊藤ふたば、尾上彩(同10位)の6人。

男子は実力者がそのまま残った形だが、女子はアジア選手権優勝・準優勝の野口と尾上、ワールドゲームズ優勝の野中を合わせた3強に、14歳コンビの谷井と森が割って入った形。2連勝を狙う伊藤を加えた10代が、円熟時に入った3人にどう挑むかの戦いとなった。

女子は第一課題、第二課題をクリアした野口、森、伊藤が先行する形で進み、難易度が高い第3課題をクリアした野口、森の一騎打ちに。パワーを必要とする第4課題をクリアした同競技の先駆者、野口がベテランの意地を発揮した。

男子は第2課題を唯一完登した藤井が終始優位に進め、第4課題はクリアできなかったものの、最後の試技を残して3連覇を達成した。

野口は「一昨年、昨年と勝てずに(ボルタリングを)辞めようと思ったこともあった。今回も狙ってはいたが、実際に優勝するとは思っていなかった。(この優勝は)今後の自分にとって大きな励みになる」と復活の狼煙を上げた。

一方、藤井は「今までは勝ちたいという気持ちが強くて崩れたケースがあったので、今回は(課題を)どう登るか、克服するかと考えるようにしたのが大きかったと思う」とメンタルの成長が3連覇に繋がったと話している。

「日本の若い世代のレベルが凄く上がってきている」と野口が話すように、今の10代の成長は著しい。今回、女子では2位に入った14歳の森秋彩が次々と難課題をクリアすると、会場中が「うおぉー」とどよめいた。その軽快な動きが観客を虜にしたように、選手の層がどんどん厚くなっている。

3月には『日本選手権リード競技大会2018』、『日本ユース選手権リード競技大会 2018』が控える。6月には八王子で『IFSC クライミング・ワールドカップ(B)八王子 2018(暫定)』が、盛岡で『第1回コンバインド・ジャパンカップ(暫定)』が開催される。群雄割拠の日本のスポーツクライミング界。ベテラン勢の活躍とともに、ニューヒーローやニューヒロインの誕生も楽しみで、これからますます注目されることになるだろう。

【最終結果(決勝)】

■男子
 1位 藤井快(25)
 2位 村井隆一(23)
 3位 楢崎智亜(21)
 4位 原田海(18)
 5位 石松大晟(21)
 6位 杉本怜(26)

■女子
 1位 野口啓代(28)
 2位 森秋彩(14)
 3位 伊藤ふたば(15)
 4位 尾上彩(22)
 5位 野中生萌(20)
 6位 谷井菜月(14) 

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