プププランド今回のツアーを語る “その人なりの考えと、僕らの考えの意志交換ができている”

インタビュー
音楽
2018.3.1
プププランド

プププランド

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兵庫県を拠点にグッドミュージックを鳴り響かせている4人組、プププランド。2017年12月にリリースした3rdアルバム『CRY!CRY!CRY!』も、まるで短編小説のような読み応えある歌詞と流れるような文脈、美しくてのびのびとしたメロディ、さらに録音状態に至るまでどれをとっても最良の質。この完成度の高さは、若手屈指ではないだろうか。そんなプププランドが、2018年3月31日、神戸・太陽と虎でバンド史上初となるワンマンライブを行う。同アルバムのレコ発ツアー『TRY!TRY!TRY!』の千秋楽でもあるこの日、一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。4人にとって最大のTRYとなりそうな初ワンマンライブへの意気込み、そしてライブに対する考え方について、西村竜哉(Vo.&Gt)、吉川淳人(Gt.)、田中隆之介(Ba.)、谷朋彦(Dr.)に話を訊いた。

——現在、ツアーの真っ最中ですが、お客さんの反応はいかがですか。

:先日、ライブでは初めて「あすのせかい」(『CRY!CRY!CRY!』収録曲)をやったんですが、みんなちゃんと口ずさんでくれて。どの会場へ行っても、新作を全曲聴いて来てくれているんだなという実感があります。

田中:お客さんの反応の重みがいつも以上にありますね。一人一人に、より深く楽曲が浸透している。あと、物販の売れ行きもすごく良くて。みんなが、プププランドのライブを楽しんでくれている証拠の一つだと感じています。

西村:バンドって、まず音源をリリースして、それをみんなが聴いてくれて、そしてライブで一緒になるという流れですよね。今回のツアーでは、音源を聴いた上でのお互いの答え合わせができている印象なんです。その人なりの考えと、僕らの考えの意志交換ができている。音楽とはそういう物事を繰り返しながら活動していくものなんだって、再確認ができました。

吉川:リリースからツアーまで時間が空いたけど、その間、MVも今までにないスピードで再生回数が上がったり、2017年の下半期位から竜哉がお笑い芸人のアキナさんとラジオ番組(MBSラジオ「週刊ヤングフライデー」)をやらせていただいたり、色んなきっかけで新しいお客さんも増えました。ライブでは、「この曲はどんな風に聴こえるんだろう」という興味を持って、来てくれている気がします。

西村:僕らの曲は拳を上げて「オイ!オイ!」と声を出すようなものではないけど、ライブ中のみんなの何気ない一声や、表情でそういった感触がじんわりと伝わってくるんです。

プププランド

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——ツアーのタイトルは「TRY!TRY!TRY!」ということで、やはり挑戦がテーマですよね。

吉川:そうですね。今までやっていないことを試みたいという気持ちです。3月31日、ワンマンライブに初めて挑戦することもそうだし、それ以降、また新しくトライできるものを見つけていきたいという意欲も込められています。

西村:僕はこれから曲をもっと沢山書くことに挑戦したいですね。限界を突破したいんです。

——『CRY!CRY!CRY!』も一曲一曲の質が本当に高い。あと、録音も美しい。これだけ丁寧かつ高いクオリティのものを出すには相当な手間がかかると思うんで、なかなか難しいんじゃないですか。

西村:いや、でもそこは音楽をやっている以上は甘えられないですよ。とにかく数を出さなきゃ。

プププランド

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——ワンマンライブが一つのターニングポイントになりそうですね。ちなみにこれまでは、ライブはすべて対バン形式でしたよね。自分たちの企画イベントなどでは、対バン相手のセレクトに関して何かテーマはあったんですか。

:まずは僕らが格好いいと思える人ですね。

田中:「プププランドはこういうバンドと共演するのか」というびっくりする部分と、「なるほどね」と納得できる部分を行ったり来たりしている感じかな。

吉川:だけど、ジャンルにはこだわらない。そこがテーマ。

西村:どこにも属さないバンドになりたいし、どこにでも属せるバンドでもありたい。つまり、自分たちそのものがジャンルになりたいんです。

——そのお話がすごく聞きたいところなんです。プププランドはジャンルに特化しているわけではないですよね。だから、オルタナティブという言葉を使っているんじゃないかって。だけど、多くの人はジャンルという分け隔てがないと物事を判断できなかったりしますよね。

西村:ジャンル分けされている方が分かりやすいけど、でもそういう分かりやすさって目先のものでしかないと思うんです。ロックって、そういう小さいことじゃないですよね。

:ヤングフォークと言われていますし、それを意識していないわけではありません。だけど、あくまでニュアンスでしかない。CDショップに、ジャンルと書かれたコーナーがありますよね。僕らが分類されるべきコーナーは、オムニバスあたりなのかもしれない。

田中:そうそう。雑食でいいと思う。そういう体質は実は日本人に一番合っているはず。強いて言えばフォーク路線だけど、それもたまたまそうなっていているだけで、フォークを作るんだという志のなかでやっているわけではありません。各々の中から出てくる自然なものを音楽にしていきたいし、それが正解なんじゃないかな。

吉川:ジャンルで分けられること自体は嫌じゃないし、みんなが「フォークだ、オルタナティブロックだ」と言えば、それは「ありがとうございます」と思える。ただ、自分たちで枠を作ることはしたくない。みんなが好き勝手に言ってくれたらいいし、むしろ「早く僕たちにぴったりなジャンルを名付けてくれ」という感覚です。

プププランド

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——多くのイベントは、いわゆるジャンル性が中心となり、出演する人たちはそれに乗っ取った活動をしている人や、もしくはそのイベントテーマに合わせたりしますよね。でもワンマンライブではその必要がまったくない。先ほど西村さんがおっしゃったように、まさに自分たちがジャンルの一つになれる。

吉川プププランドしか見せられないものが、ワンマンでは見ることができる。そこにいないと味わえない空気感がある。僕らの音楽に漂う、懐かしさ、哀愁、そしてライブ中の派手な動き、西村の喋り。それらが全部交わる瞬間は、音源では味わえないし、対バンイベントでもそこまでは全部出せない。

——そういえば、少し話が逸れますが、SPICEで以前取りあげた『SUMMERズボップくん2017』のライブレポートを読んでいたら、西村さんと吉川さんがキスをしたと書いてあって。それについて、「意味不明な展開」と記述されていたんですよね(笑)。

西村:ハハハ(笑)。音楽のライターさんは、その意味不明という部分について、何か考えを膨らませて書くものなのでは!

プププランド

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——確かにそうです!

吉川:そもそも意味なんてなかったのかもしれない。だって、ライブなんだから。ギタリストが、ギターでボーカルを殴りつけたりしたら、絶対に意味はあるはずなんだけど。

西村:一つ言えるのは、あれは僕からキスをした。でも、したいからしたんです。

吉川:ライブってそういう空間ですよね。だから、お客さんもしたかったらしていいと思うんですよ。もちろん、お相手と合意の上ですけど。無理矢理はダメですよ。

西村:つまりどういうことかと言うと、どうすればハッピーなライブ空間が作れるかをいつも考えている。それは僕らもそうだし、ライブを見ているお客さんもきっとそうであるはず。

:ミュージシャンがよくお客さんに、「自由に楽しんでいいよ」と言いますよね。要は二人は、そのきっかけを作りたかったんだと思います。「これくらい自由にやっていいんだよ、プププランドのライブでは」ということ。

西村:当然、ルール違反はダメ。それを踏まえた上で、演者もお客さんも表現の仕方は人それぞれでいい。だから、意味ばかり追求していたら成り立たないんじゃないかな。

:でも昔、僕がやっていたバンドの解散ライブでは、お客で来ていた西村が勢い余ってステージに上がって来たことがあったよね。

西村:あ、いや……はい、すみませんでした。それは絶対にやっちゃダメですからね。知り合いとはいえ、反省しています。

プププランド

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——そんなこともあったんですね(笑)。ワンマンライブでは、そこにいる人たち全員が思いおもいのことができたらいいですよね。ちなみに、当日は何か特別な発表や企画はないんですか。

吉川:音楽的な部分で、次の展開を発表できるかもしれません。それは当日のお楽しみです。あと、エンタテインメント的な企画として、谷さんが粕汁を作ってくれるはず。

:え、ちょっと待って。ソールドアウトをしているワンマンライブで、メンバーが粕汁を振る舞うイベントってある!? そもそもどのタイミングで飲むの。そんなことを言うと本当にやらなきゃいけなくなるから、やめて。

吉川:谷さんは料理が好きだから、いずれライブで粕汁を振る舞ってほしいなあ(笑)。そういえば、タナリュー(田中)さんは以前、ライブ中にお客さんの髪の毛をバリカンで刈ったことがあるよね。

田中:あれはお客さんもOKをしてくれたから出来たけど、ミスをしちゃって、ちょっと刈り過ぎた。さすがに「ちょっと待ってください、刈り過ぎじゃないですか」ってお客さんに怒られたし、ライブハウスの方も掃除が大変だったから、申し訳なかった(苦笑)。

西村:そういうこと、ありましたね。僕は絵を描くのが好きで、いずれ海外での個展を大きな目標としているんです。ワンマンライブで自分の絵を見てもらえるようなことが出来たら嬉しいな。ポストカードにして入場特典にするとか、会場内に飾るとか。

プププランド

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——それは実現性が高いし、お客さんも喜びますよね。あと、今回はライブに特化した話なのでもう一つ伺いたいことがあるんです。みなさん、本番前に何か習慣にしていることってありますか。

田中:僕はあまりないんですよね。ストレッチを軽くするくらい。

:僕は以前までは、「ライブではこのパンツしか履かない」という風にしていました。でもライブが増えて、2、3日連続とかになってきたから、さすがに毎日洗濯できなくなってやめましたね。

吉川:僕は必ずお腹を空かせてライブをするんです。その方が、文字通りハングリー精神が出てくる。食べてからライブに出たときは、すでに満足感があるから何かダメなんです。

西村:でも、僕らは普通に食べようとするじゃないですか。そうしたら、「やめろ、食べるな」と言ってくるんですよ。

:こっちまで巻き添えを食らっています。

西村:僕はライブ前、お手洗いに行かないようにしているんです。で、ヨガの呼吸法をやって気持ちを整えています。そのルーティンが自分にとって一番集中力があがるんですよね。

田中:もし「この曲、いつもより演奏が速いんじゃないか」って感じたら、それは早くトイレに行きたいってことなのかもしれない(笑)。

吉川:「竜哉、トイレに行きたいんだな」って(笑)。

——そういう情報を得てライブへ行くと、みなさんの見え方がまた少し変わってきそうです。今度の初ワンマンライブ、ますます楽しみになってきました。

:今回のワンマンライブはツアーのファイナルであり、プププランドの一つの集大成にもなるはず。僕らも本当に楽しみです。

田中:お客さんも僕らも、「生きていて良かった」と思えるライブをしたい。僕らはみんな、いずれ死んでしまう。だからこそ、生の輝きみたいなものをわずかでも感じて欲しい。人によっては、今度のワンマンが最初で最後のプププランドのライブになる方も必ずいる。だからこそ、全員の記憶に残したい。責任を持って演奏します。

西村:僕は、いろんなライブを見てきて、こうしてモノ作りができている。だから同じように、何か作っている人にキッカケを与えたい。あと、プププランドは自分が大学時代から続けているバンド。ずっとやってきて、初めてのワンマン。きっとすごいことになりますよ!

吉川プププランドはやっぱりすごいなって、改めて思ってもらえるライブをしたいですね。ツアーのラストになるので、全部を出し切ります。

取材・文=田辺ユウキ 撮影=渡邉一生

ツアー情報

プププランド『CRY!CRY!CRY!』レコ発"TRY!TRY!TRY!"ツアー]
2018/03/17(土) 札幌 SPIRITUAL LOUNGE 
w/ 
ナードマグネット/さよならミオちゃん
2018/03/23(金) 新潟 CLUB RIVERST 
w/ 空きっ腹に酒/SPARK!!SOUND!!SHOW!!/The Songbards/FORCETICKS/ザ・ジュアンズ
2018/03/24(土) 秋田 LOUD Affection 
w/ 空きっ腹に酒/The Songbards/tonetone/ヒト×ヒト
2018/03/25(日) 仙台 Flying Sun 
w/ 空きっ腹に酒/The Songbards/tonetone/
2018/03/31(土) 神戸 太陽と虎 
※ワンマン
 
イベント出演
爆ひな'18 powered by FM OH!「なんMEGA!」
【公演日時】2018年03月03日(土) OPEN 18:00 / START 18:30
【会場】心斎橋 Music Club JANUS
【出演】WOMCADOLEグッバイフジヤマプププランドLayne
【MC】前田彩名(FM OH!「なんMEGA!」DJ)
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